どうやら主人公は付喪人のようです。 ~付喪神の力で闘う異世界カフェ生活?~【完結済み】

満部凸張(まんぶ凸ぱ)(谷瓜丸

文字の大きさ
258 / 294
15.5章 魔崩叡者霊興大戦ラスバルム(王都)

我と吾

しおりを挟む
 ミハラVS三原。我らVS吾。
王都前の草原に積まれていくのは同じ顔の死体たち。
鏡による平行世界から連れてこられた自らがたった1人の道を外れた男によって殺されていく。
20人の我が吾を囲むようにとびかかり、その手に持つ無敵を斬れる魔法剣。ヴォーパールの剣をただ一人の吾に向かって突き刺そうとする。
数の暴力。だが、我らに囲まれて1人の吾は臆することもなく。傲慢にも吾は嗤っている。

「死ね吾よ!!!」

剣を突き刺す。肉に剣が刺さる感触。このまま押し込めば確実に殺せる。
20人の我らによる攻撃には吾も耐えられないだろう。
我はそう思っていた。だが、奴も吾である。

「ハハハハハ、どうした? 我よ」

その余裕ぶった顔が我には憎たらしい。孤独なだけで我らと同じ者なのだ。吾を囲むようにして剣を肉体に突き刺した20人の我らは吾には敵わない。
吾を倒せるのは我らだが、我らを倒せるのも吾なのだ。
吾の周りには、20人の我らが自らの肉体を突き刺したまま倒れている。
我らが刺したのは吾であるはずなのに、逆に我らが自分自身を刺し殺しているのだ。
これではうかつに手を出すことはできない。
古来の我らならできたであろう最大の防御術だったのだが……。
今の我らにはそんな防御などしなくていいほどの数がいる。そのため、反射の能力を封印してしまった。
かつての我らには必要がなかったからだ。
だが、10人、15人と我らが吾によって倒されていく今は違う。こうして我はかつて手放すべきではなかった能力を自らの意思で封印してしまったことを後悔していた。


 吾・・・・我らの能力である鏡の能力。
それはあらゆる攻撃の反射・あらゆる物体の複製・あらゆる物体の増殖・鏡がある場所への移動。
付喪人の中で最上位であり古き時より君臨する能力。
意思さえあれば世界を滅ぼし、平行世界までも文明どころか生命でさえ絶滅させることが出来る。使い方しだいによっては破壊神にも救済神にもなれる奇跡のような能力なのだ。
伝説のパーティーや魔王など、我らの神性には及ばない。


 追い詰められて絶望する我の顔は見たくないが、こうも戦いの中で高揚している吾というのも調子が狂う。
なぜ、吾だけが違うのだ。我らはもともと同じであった。
違うのは進んだ道と数だけである。我らと同じはずなのに吾は違う道を選んだ。我らという集団行動を捨てて個人を得た。
吾を囲む我は止まらない。
剣を振るい、剣を突き刺し、集団で襲いかかる。
だが、吾は止まらない。
吾には傷一つつけることができない。
いつからだ。いつから我らから吾は外れてしまったのか。
なぜ、吾が我らと同じではなかったのか。平行世界の一筋の可能性だった我なのか。それとも元々のオリジナルである我が吾と同じで、平行世界の可能性としての我らが我を増やしていたのか。
そんなのは何千年も昔の話だからよく覚えてはいない。その答えは走馬灯を見ている我しか知らないことである。

「傾奇者め!! 吾と同じ道を歩まぬ者に価値などないわ!!」
「だまれだまれだまれ、異端者である吾に言われる筋合いなどないわ!!」

ヴォーパールの剣がぶつかる。さすがの無敵を斬る魔法剣であっても、無敵と無敵では決着がつかないようだ。
剣と剣とが金属音を出しながらもぶつかり合う。その隙に他の我からの攻撃をくらわせようと試みたのだが、吾には通用しなかった。

「あまいあまいあまいあまい!!!
吾が我に隙を見せると思ったか!!!!」

吾はすぐに鏡を使って剣で斬りかかろうとした我を移動させて、剣で戦っている我の側にワープさせた。
腕を止めることなどできない。そのまま振り下ろされる魔法剣。
しかし、斬りかかってきた我を責めることもない。我は無数の存在。平行世界がある限り、我という存在がいる世界がある限り、我の異端者である吾を倒す者は現れるのだから。
こうして、また1人の我がその命を落とすこととなった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

Radiantmagic-煌炎の勇者-

橘/たちばな
ファンタジー
全てを創世せし神によって造られた、様々な種族が生息する世界──その名はレディアダント。 世界は神の子孫代々によって守られ、幾多の脅威に挑みし者達は人々の間では英雄として語り継がれ、勇者とも呼ばれていた。 そして勇者の一人であり、大魔導師となる者によって建国されたレイニーラ王国。民は魔法を英雄の力として崇め、王国に住む少年グライン・エアフレイドは大魔導師に憧れていた。魔法学校を卒業したグラインは王国を守る魔法戦士兵団の入団を志願し、入団テストを受ける事になる。 一つの試練から始まる物語は、やがて大きな戦いへと発展するようになる──。 ※RPG感のある王道路線型の光と闇のファンタジーです。ストーリー内容、戦闘描写において流血表現、残酷表現が含まれる場合もあり。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

朝敵、まかり通る

伊賀谷
歴史・時代
これが令和の忍法帖! 時は幕末。 薩摩藩が江戸に総攻撃をするべく進軍を開始した。 江戸が焦土と化すまであと十日。 江戸を救うために、徳川慶喜の名代として山岡鉄太郎が駿府へと向かう。 守るは、清水次郎長の子分たち。 迎え撃つは、薩摩藩が放った鬼の裔と呼ばれる八瀬鬼童衆。 ここに五対五の時代伝奇バトルが開幕する。

追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発

ハーフのクロエ
ファンタジー
 アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

処理中です...