うちの弟がかわいすぎてヤバい無理!

はちみつ電車

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告白バーベキュー

私の彼氏

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黒いタンクトップ姿でトングを持って肉を焼いていた難波さんが、トングを網の上に置いて近付いてくる。

今の、聞かれてた? 聞かれてない?! どっち?!

「遠山さん、もう一度言わせてください。僕と付き合ってください」

手を伸ばせば届きそうな距離に、姿勢良く難波さんが立っている。

手を伸ばせば、届くんだ。

「……はい……」

ヒューヒュー、と隣のブースの陽気な難波さんの友人たちがはやし立てる。
テーブルの上には空の缶ビールが散乱していて、みんなして素手で食べてるからベッタベタに汚れている。

うわあ、ノリが合わなそう。

「大輝のカノジョ、名前はー?」
「と……遠山です……」
「俺、兼松ー。大輝がカノジョ作んの久々じゃね?」

怖い怖い。上裸で背中には龍の字のタトゥー、サングラスをかけた金髪通り越して髪が白い色黒のお兄さん。

難波さんがヤイヤイ言われてる隙に逃げるように自分のブースに戻ると、魁十がタトゥーの人を指差した。

「龍の字間違えてる。線が3本いるのに2本しかねえ」
「え? あ、ほんとだ。よく気付いたね。さすがカイ」
「俺は紗夜と違って間違わねえから」
「私もちゃんと書けるよ。たぶん」
「まじでー。彼女さん」

……彼女……彼女!!

今頃になってカーッと顔が熱くなる。
付き合うんだ、私。あの難波さんの彼女になったんだ。

「良かったね、遠山さん」
「どうしよう朝倉さん、私彼女だって!」
「落ち着いて、落ち着いて。遠山さんって悪い男に引っ掛かりそうで心配してたけど、難波さんなら安心だよ。ねえ、なっちゃん」
「あ……う、うん。まさか、遠山さんが私に遠慮してたなんて思ってもみなかったからビックリしちゃった。言ってくれたら良かったのにー」
「ええ話や。友達を優先する優しさが難波さんを射止めたんや」
「どうして関西弁?」

朝倉さんもいつになくテンションが高い。
好きな人と付き合えるってなって、喜んでもらえるってすごく嬉しい。

「難波くんのどういうところが好きなんですかー?」
「えーやだ、恥ずかしい。やっぱり誠実なお人柄ですね」
「昔はもっとチャラい印象だったけど、すっかり大人の男性になったもんね」
「難波さんがチャラいなんて想像つかない。あの中に難波さんがいることが違和感しかないもん」
「昔からの友達なのかな。難波くんが入社した頃は魁十くんくらいの茶髪だったよ」
「やだ、チャラい」
「今俺のことチャラいって言った?」
「カイはチャラくない。かわいい」
「どーも」

おなかいっぱいだと思ってたけど、軽く登山もしたし体熱くなっちゃったしおなかすいた。
残しておいたトウモロコシをかじると、これまで食べたことないくらいおいしい。

「幸せの味」
「キャー! この幸せ者!」
「遠山さん」

難波さんに名前を呼ばれるだけで、また顔が熱くなる。
何これ、付き合うってなる前よりぎこちない。

「は、はい」
「友人が彼女できたお祝いにおごってくれるって言うんで、お先に失礼します」
「あ、はい。お疲れ様です」
「もー、二人とも会社じゃないんだから」

朝倉さん、背中バシバシ叩きすぎ……痛いんだけど、難波さんへと作り笑顔を向ける。

「あの、良かったら下の名前で呼んでもいいですか」
「えっ……はい、紗夜です」
「えと、紗夜ちゃん」

恥ずかしい……名前を呼ばれてこんなにドキドキしたのは人生で初めて。

「俺のことも、大輝って呼んでもらえたら嬉しいです」
「はい……大輝さん」
「大輝くんじゃダメですか? おじさんだと思われてそうで」
「思ってません! 大輝くんで全然いいです!」

そっか、結構年上だなって私も思ったもん。
難波さんも気にしてたんだ……難波さんじゃない、大輝くん……。

「わっぷ」

恥ずかしくて両手で顔を覆ってしまっていたら、ピヒャーって音と大輝くんの声がする。

魁十が大輝くんの顔面へと水鉄砲を発射していて、ビックリした。

「カイ! 何してるの?!」
「蚊がいたから、とっさに」
「蚊?」
「虫よけしてくれたんだね。ありがとう」

大輝くんがタンクトップの裾で顔を拭くと、おなかが丸見え。
うわ、結構腹筋すごい。引き締まってる。

無意識に自分の腹部を確認してしまう。
明日からの筋トレ、腹筋を重点的に鍛えよう。

「そんなに腹をガン見されると恥ずかしいですね」
「ごめんなさい! 腹筋がすごくて……あ、魁十ちょっと遅かったみたいですね。ほっぺた赤くなってきてます」
「かゆ……本当に蚊がいたんだ。じゃあ、また明日会社で」
「はい!」

ヘルメットを被り、バイクにまたがる大輝くんがカッコいい。
あの人、私の彼氏らしーよ。きゃー。

「知らねーよ」
「何が?」
「日本で2番目に大きい湖」
「そんな話してたっけ?」
「浮かれてんじゃねーぞ。2番目に高い山と2番目に幅の広い川と2番目に幹の太い木と2番目に区間距離が長い駅と2番目に深いダムを俺に報告するまでは帰らせねえから」
「そんな2番目の話ばっか絶対してないよね?」

魁十が片付け始める傍らで、私はなぜか日本の2番目について詳しくなっていった。
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