うちの弟がかわいすぎてヤバい無理!

はちみつ電車

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たのしい誕生日

ほとんど幸せしかない

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なっちゃんのサンダルによく似た、大きな黄色いビジューの付いた厚底サンダルを試着してみる。

立ち上がると、魁十と顔が近い。
183センチの女は、やっぱナシだな。
高身長男子の魁十とそう変わらないなんて、もはや女じゃない。

……サンダルはかわいいんだけどなあ。
私の背がもっと低ければ――

「いいじゃん。足めっちゃ長く見える。長くないのに」

そうなの。
7分丈のパンツを履いているんだけど、このサンダルに履き替えたらひざ下がかなり長くスタイル良く見える。

「足元にボリュームあるのってこんなかわいいんだな」
「かわいい?!」
「サンダルが」
「これ買う」
「即決じゃん」

だって、思春期の終わらない魁十が笑ってかわいいって言ったんだよ?!
買うしかないよね。
これ履く度に、目に入る度に魁十のかわいいんだな、が思い出せる。幸せな未来しかない。

「ふふっ。サンダルひとつでそこまで浮かれられんのすげえな」
「カイがかわいいって言ってくれたから」
「……何か食うか。腹減ってきた」

絶対嘘。
魁十がお昼に残ってたごはんでチャーハンを作った。
私はダイエット中だから腹八分に抑え、魁十はもう腹パンパン、って言いながら、残りをラップして冷蔵庫に入れるのがめんどくさくて食べきっていた。


「チョコパフェ。姉ちゃんは?」
「うーん……パフェ食べたいけど、太るかなあ……」
「結構歩いたしいいんじゃね」
「そうだね。チョコか、抹茶か……」
「抹茶にしたら。俺のチョコも食っていいから」
「抹茶パフェお願いします」

やったあ!
両方食べられる!

今日はめっちゃいい日。
ラッキーしかない。心なしか魁十も機嫌良いし、かわいいサンダル買えたし、パフェ2個食べられるし。

「お待たせいたしました。チョコレートパフェでございます」
「はい」
「抹茶パフェで」
「はい!」

おいしそう! これ絶対おいしいやつ!
こういう、上にミニケーキみたいなの乗ってるパフェ大好き!

「あ、あの、遠山くんだよね」
「え?」

ウエイトレスさんが魁十を知っているらしい。
大学の子かな?

「あの、岡崎ゼミで一緒の……」
「ああ、高松さん。顔見てなかったから分かんなかった」

やっぱり。
バイト先の子だったらバーベキューの写真なんかで顔覚えてるもん。

「こ……こちらはもしかして、か……彼女さん……?」

恐る恐るがすごい。
この子、魁十に気があるんじゃ?

「姉ちゃん」
「あー! それね! あるんだよね、確認しなかったら彼女だって誤解しちゃうパターン! 確認するって大事だよね!」
「は? あー、まあ、そうかな」

そのパターンは、魁十にとって特別な人にのみ発動するんだよ。
だから、あなたとはこじれなかっただけだもん。

「あの、これ、彼女だったら渡さないって思ったんだけど、社割の券あげる。家族には配っていいって言われてるから、私の兄とか弟とか言って使って」
「いいの? 半額券なんて」
「いいの! ごゆっくりどうぞ!」

……絶対気があるじゃん。
半額券くれるなんて、いい子だな。

「高松さん。ありがと」
「かっ……ありがとう!」

かって何。何言おうとしたの。

……魁十、あんな絶対気がある子にそんな笑顔見せちゃダメでしょ。
完全に魁十のこと好きになっちゃうよ。

「あの子、仲良いの?」
「ううん、全然。初めてしゃべった」
「そうなんだ」

モブオブモブか。
強く当たっちゃって申し訳ない。

「今度お礼に昼飯でもおごろうかな」
「それはお返しが大きすぎない?」
「このパフェ食堂の定食より高いし」
「あの子もただでもらった物なんだからお返しなんていらないよ」
「それは男として小さくね?」
「小さい方がいいものもあるの。ニキビとか」
「ない方がいいだろ」
「だから、お返しなんてなくていいの」

わけ分かんねえ、と魁十が目を細めて笑う。

うわあ.......お姉ちゃん感動。
国宝級かわイケメン。

「その顔だけはあの子の前でしちゃダメだからね」
「別に大学で笑うことなんかねえよ。俺真面目で通ってるし」
「あの不良だった魁十が」
「古い話を蒸し返すんじゃねえ」

せっかくいい日だったのに台無しかと思ったけど、絶品の笑顔見れちゃったからやっぱりいい日かな。

くそう、あの子にさえ出会わなければパーフェクトな休日だったのに。
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