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遠山魁十の回顧録
前編
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俺が3歳の時、姉ができた。
保育園で1番小さい俺の前で、ぞう組さんより大きい女の子が小さな人形を手に目を輝かせていた。
怖くて泣いた。
「かわいい! ぽぽちゃんよりかわいい!」
「ぽぽちゃん?」
「この子! さやの妹!」
姉はかわいいかわいいとまとわりつき、俺の毎日は一変した。
幼稚園に通っていた姉は、俺が帰る頃にはいつもすでに家にいた。
「どうしたの?! なんで泣いてるの?!」
「プリンのじゃんけんに負けておかわりできなかった.......」
「カイの保育園はプリンが出るの? さやもプリンが出る幼稚園が良かった~」
わんわん泣く俺たちに、母さんがプリンを買ってきた。
「さやの分あげる。明日もプリン食べられるよ」
姉はニッコリ笑って言った。
小学校からは、俺たちは同じ所に通った。
「魁十、覚悟!」
「うわあああん」
「カイを狙っちゃダメ!」
「紗夜ちゃん、ドッチボールはそういうゲームだから。ね?」
ドッチボールで狙われれば泣く、授業で当てられると泣く、授業参観で保護者に囲まれると泣く、どうしようもなく泣き虫な俺を大きくて強い姉がいつも守ってくれた。
6年生のある日の放課後だった。
「これゴミ箱入れちゃおうぜ」
「もうやめようよ。かわいそうだよ」
「遠山の味方するなら高鷺もハブるぞ」
「高鷺もって何? それ紗夜の上靴だよな」
姉のクラスの前を通りかかった俺は、姉がクラスでハブられていたと知った。
「なんで俺に言わないんだよ!」
守られるばっかり。助けられるばっかり。
姉は俺に何も言わずにひとりで泣いていた。
俺が泣いてたら急かすことなくしゃべれるようになるまで待って話聞いてくれるのに。
頼ってもらえない自分が情けなくて悔しくて大声で泣いた。
「姉ちゃんは悪くないのにおかしい。俺が先生に言う」
「ダメ。そんなことしたら今度はカイがハブられるかもしれない」
自分がいじめられるより俺がいじめられる方が嫌。
姉はそういう人なんだと知った。
姉はクラスの誰よりも大きくて強い。体も心も。
だけど、自分が生きやすいように生きるのがちょっとだけ下手。
そんな姉ちゃんをこれからは俺が守る。
中学生になった姉は、グングン伸びてた身長が伸びなくなり、代わりにみるみる胸が大きくなって時々男子たちの話題に上るようになった。
「すげーよな。揉みてえ」
「遠山、大人しいし無理矢理いけんじゃね」
「いけるな。俺が柔道場に遠山連れてくから、お前鍵かけろ」
気が付いたらそいつら3人を殴り倒してた。
「何も言わないってことは、冗談を言い合ってたらいきなり殴られたという彼らの言い分を認めるのね?」
何が冗談だ、本気で卑怯な計画立ててただろ。
認めなかったが殴った理由は誰にも言わなかった。
俺が人を殴った原因が自分だと知ったら、姉は自分を責める。
「なんか知らないけど、高鷺と付き合うことになったみたい」
時を同じくして、姉に彼氏ができた。
むしゃくしゃして、悪いヤツなら殴っていい、とマイルールを定め、ヤンキーが多いで有名な中学校に毎日乗り込んでやった。
俺が守ると決めた人はもう、俺の助けはいらない。
姉は高鷺のおかげで活き活きと学校に行くようになった。
家に帰ったら、高鷺がうちから出てきた。
「魁十のせいだからな」
「何が」
「遠山と別れる」
「紗夜にフラれたのを俺のせいにされても」
「親に不良の弟がいるような子とは別れろって言われた」
.......俺のせいで.......。
せっかく楽しそうに学校に行けるようになったのに。
保育園で1番小さい俺の前で、ぞう組さんより大きい女の子が小さな人形を手に目を輝かせていた。
怖くて泣いた。
「かわいい! ぽぽちゃんよりかわいい!」
「ぽぽちゃん?」
「この子! さやの妹!」
姉はかわいいかわいいとまとわりつき、俺の毎日は一変した。
幼稚園に通っていた姉は、俺が帰る頃にはいつもすでに家にいた。
「どうしたの?! なんで泣いてるの?!」
「プリンのじゃんけんに負けておかわりできなかった.......」
「カイの保育園はプリンが出るの? さやもプリンが出る幼稚園が良かった~」
わんわん泣く俺たちに、母さんがプリンを買ってきた。
「さやの分あげる。明日もプリン食べられるよ」
姉はニッコリ笑って言った。
小学校からは、俺たちは同じ所に通った。
「魁十、覚悟!」
「うわあああん」
「カイを狙っちゃダメ!」
「紗夜ちゃん、ドッチボールはそういうゲームだから。ね?」
ドッチボールで狙われれば泣く、授業で当てられると泣く、授業参観で保護者に囲まれると泣く、どうしようもなく泣き虫な俺を大きくて強い姉がいつも守ってくれた。
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「これゴミ箱入れちゃおうぜ」
「もうやめようよ。かわいそうだよ」
「遠山の味方するなら高鷺もハブるぞ」
「高鷺もって何? それ紗夜の上靴だよな」
姉のクラスの前を通りかかった俺は、姉がクラスでハブられていたと知った。
「なんで俺に言わないんだよ!」
守られるばっかり。助けられるばっかり。
姉は俺に何も言わずにひとりで泣いていた。
俺が泣いてたら急かすことなくしゃべれるようになるまで待って話聞いてくれるのに。
頼ってもらえない自分が情けなくて悔しくて大声で泣いた。
「姉ちゃんは悪くないのにおかしい。俺が先生に言う」
「ダメ。そんなことしたら今度はカイがハブられるかもしれない」
自分がいじめられるより俺がいじめられる方が嫌。
姉はそういう人なんだと知った。
姉はクラスの誰よりも大きくて強い。体も心も。
だけど、自分が生きやすいように生きるのがちょっとだけ下手。
そんな姉ちゃんをこれからは俺が守る。
中学生になった姉は、グングン伸びてた身長が伸びなくなり、代わりにみるみる胸が大きくなって時々男子たちの話題に上るようになった。
「すげーよな。揉みてえ」
「遠山、大人しいし無理矢理いけんじゃね」
「いけるな。俺が柔道場に遠山連れてくから、お前鍵かけろ」
気が付いたらそいつら3人を殴り倒してた。
「何も言わないってことは、冗談を言い合ってたらいきなり殴られたという彼らの言い分を認めるのね?」
何が冗談だ、本気で卑怯な計画立ててただろ。
認めなかったが殴った理由は誰にも言わなかった。
俺が人を殴った原因が自分だと知ったら、姉は自分を責める。
「なんか知らないけど、高鷺と付き合うことになったみたい」
時を同じくして、姉に彼氏ができた。
むしゃくしゃして、悪いヤツなら殴っていい、とマイルールを定め、ヤンキーが多いで有名な中学校に毎日乗り込んでやった。
俺が守ると決めた人はもう、俺の助けはいらない。
姉は高鷺のおかげで活き活きと学校に行くようになった。
家に帰ったら、高鷺がうちから出てきた。
「魁十のせいだからな」
「何が」
「遠山と別れる」
「紗夜にフラれたのを俺のせいにされても」
「親に不良の弟がいるような子とは別れろって言われた」
.......俺のせいで.......。
せっかく楽しそうに学校に行けるようになったのに。
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