うちの弟がかわいすぎてヤバい無理!

はちみつ電車

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弟と私

新たなムーブメント

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夢の国の有名なお城の前で、白いタキシードに身を包んだ魁十がひざまずく。

「俺と結婚してください」

私よりも遥かに大きくなった魁十を見下ろすと、普段は見えないつむじが見える。

魁十の、つむじ――きゅううぅぅん……。



目覚め微妙すぎ……。
ベッドに体を起こした私は、寝起き早々頭を抱える。

私の頭どうなってんの。
状況的に魁十がタキシードはまだいいとして、なんで私は事務服なの。
なんでつむじにときめかないといけないの。

「おはよ。寝不足?」
「寝不足……」
「なんで眠れなかったの? 秒で寝ちゃう人が」
「……カイのせいなのに……」

おもしろがっているかのように笑ってる魁十が憎たらしい。

やっぱあれ、冗談だな。
ちょっとだけだけど、本気にして変な夢まで見るなんて悔しい。

「行ってきます」
「紗夜、チューしてくれないの?」
「えっ……するよ、いつもしてるもん」

魁十のほっぺたに口を付け、私のほっぺたを魁十へ向ける。

「ねえ、こっち向いて」
「ん?」
「口にしていい?」
「えっ?!」
「あはは!」

手を叩いてウケた魁十が、唖然とする私のほっぺにチュッと音を立てる。

「行ってらっしゃい」
「……い……行ってきます!」

魁十め、思春期が終わって新たなムーブメントが起きてる!
完全に私のことをからかって遊んでる!

弟にもてあそばれるなんて最悪……。
からかい方もたちが悪い。

「うぅ……」

デスクに突っ伏して体を休めていると、ガタンと椅子を引く音がした。
なっちゃん、ご出勤。

「おはよう」
「おはよう……その顔、だいぶ気に病んでる感じ? 難波さんのこと」
「難波さん? ああ、大輝くんね。ううん、忘れてた」
「忘れてた?」

あのムーブはいつまで続くんだろう……思春期はかなり長かった。
中2くらいから始まって、もうすぐ22歳になるつい最近収まった。

……長すぎる……頭おかしくなりそう。

「遠山さん、ちょっといい?」
「はい」

朝倉さんについて会議室に入ると、大輝くん、浜崎さん、柏木さん、横田さんがズラリと並び、監督のように総務課長が腕組みして立っていた。

朝倉さんがドアを閉めると、合図のように4人が頭を下げる。

「事実ではない噂話で嫌な思いをさせてしまい、誠に申し訳ありませんでした。反省しております。二度とこのようなことは繰り返しません。本当に、申し訳ありませんでした」
「申し訳ありませんでした」

大輝くんの言葉に続いて、後の3人が追随する。
卒業式かな、これ。よく練習した感じする。揃ってた。

「大変良くできました」
「え? 謝罪を受け入れるということでいいですか?」
「はい」

なんかもうどうでもいいし。

「4人とも、頭を上げてください」

大輝くんは寂しそうな顔で私を見つめる。
誤解だよ、なのに、こんな謝罪させられるなんて、僕悲しい……。

アテレコしてみた。
怖っ……この人は心からこんな表情になるような気持ちを持ってはいないだろうに。

本心では後の3人同様、なんで俺らまで謝罪させられてんだよ、って思ってるんでしょう。

そんな顔してももう私は騙されない。
あの電話の衝撃はすごかった。あなたの本性を私は知ってる。
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