86 / 86
幸せの連鎖
やっぱり、かわいすぎる
しおりを挟む
今じゃねえだろ、とつぶやいた魁十がリビングを出て行く。
私もそれな、と思う。
魁十に続いて入ってきた大輝くんがうっとうしくて仕方ない。
「こんにちは、紗夜ちゃん」
「本当に法律に詳しいの? 魁十に取り入るための嘘じゃないでしょうね」
「あははっ。あいさつも無しにひどいなあ」
だって、こんなザックリ胸元の開いた服着てサングラスで前髪を上げたチャラい弁護士なんているとは思えないもの。
ほんと、顔だけはいいくせに全開にされると目のやり場に困る。
「正真正銘、東大院卒の司法試験合格者だよ」
「念のために合格証書見せてもらった。ガチだった」
ガチか……。
「無免許運転で現行犯逮捕されても法の力を逆手にとって無罪を勝ち取る自信があるんだって」
「めったにバイク乗らないのに教習所に通う時間と金がもったいない」
神は与えちゃいけない人に明晰な頭脳を与えてしまったんだね。
彼こそ神様の失敗作。何事があって学歴すごいのに高卒が途中入社する会社に流れ着いたのかしら。
「僕が絶対に魁十くんを合格させてあげるから、任せて」
「絶対だかんな」
「魁十くん、一発合格したら僕のお願いを聞いてくれるって約束忘れないでね」
「おうよ」
魁十も悪い。
合格しても「聞くわけねえだろ、バーカ」で済ますつもりらしいけど、無駄に頭いい大輝くんがそれを想定していないはずはない。
それも分かってるとは言ってたけど……。
「うちの近くの店でクレームブリュレが新発売されてたから買ってきたよ。紗夜ちゃん、どうぞ」
「ありがとう!」
やったあ! 駅前のケーキ屋さんのプリンもある!
にこやかな微笑みを浮かべる大輝くんからずっしりとした袋を受け取る。
プリンの重み、至福。
「プリンが大好きなんて、かわいいね」
「触んな」
隙あらばと私の頭をなでた大輝くんの手を魁十が引きはがす。
私はプリンさえあれば別に頭のひとつやふたつ気にしないのに。
だって、プリンを食べると魁十との思い出あれこれが浮かんで元気になれる。
「パンフレットもらって来たんだ。紗夜ちゃん、食べてみたいのある?」
「えーと……あ、これおいしそう!」
「こっちも紗夜ちゃん好きそうかと思った」
「たぶん好き!」
「次はこれとこれ買ってくるね」
「うん!」
楽しみ~。
魁十が勉強がんばってくれてるおかげでおいしいスイーツがたくさん食べられる。
感謝しかない。
ふと見ると、ムスッと魁十がひとりソファに座り込んでいる。
……かわいい。
自分の部屋に行くなり何なりできるのに、不機嫌を隠そうともせず居座る魁十がめっちゃかわいい。
目が合うと、立ち上がった。
「紗夜、プリン食お」
「うん! 食べ比べしたい!」
「はい、あーん」
テキパキとプリンのフタを取り、スプーンですくってニコッと笑う。
かわいすぎる……ヤバい、うちの弟がかわいすぎてプリンの味しない。パリパリのカラメルとくちどけ滑らかなクリームが絶品。
「おいしい! カイも食べて」
「紗夜が食べさせて」
クールな横目で大輝くんを見た魁十が口を開ける。
さては魁十、私が大輝くんとはしゃいでいたものだから嫉妬しちゃってるな?
やだ、かわいすぎる。
全力で乗っかっちゃう。
「あーん」
「ん! うまーい」
「でしょ、でしょ」
ペコン、とメッセージの通知音が聞こえた。
誰だろ……あ、河合さんだ。
難波さんと連絡が取れないんですが、弟さんの所にいませんか?
って、大当たりだよ、河合さん。
「紗夜、誰」
「何でもない」
「なんでスマホ隠すの」
ジェラってる魁十がかわいいから。
ごめん、河合さん。
5分から1時間だけ待って。
こんなジェラシー全開な魁十、そうそう見れないんだもん。
めっちゃくちゃかわいい……。
「なんで教えてくんないの」
「ほんと何でもないんだってば」
うわ、分かってた。分かってたよ。
やっぱり魁十は、ジト目で睨んでてもかわいくてかわいくてかわいすぎる!
私もそれな、と思う。
魁十に続いて入ってきた大輝くんがうっとうしくて仕方ない。
「こんにちは、紗夜ちゃん」
「本当に法律に詳しいの? 魁十に取り入るための嘘じゃないでしょうね」
「あははっ。あいさつも無しにひどいなあ」
だって、こんなザックリ胸元の開いた服着てサングラスで前髪を上げたチャラい弁護士なんているとは思えないもの。
ほんと、顔だけはいいくせに全開にされると目のやり場に困る。
「正真正銘、東大院卒の司法試験合格者だよ」
「念のために合格証書見せてもらった。ガチだった」
ガチか……。
「無免許運転で現行犯逮捕されても法の力を逆手にとって無罪を勝ち取る自信があるんだって」
「めったにバイク乗らないのに教習所に通う時間と金がもったいない」
神は与えちゃいけない人に明晰な頭脳を与えてしまったんだね。
彼こそ神様の失敗作。何事があって学歴すごいのに高卒が途中入社する会社に流れ着いたのかしら。
「僕が絶対に魁十くんを合格させてあげるから、任せて」
「絶対だかんな」
「魁十くん、一発合格したら僕のお願いを聞いてくれるって約束忘れないでね」
「おうよ」
魁十も悪い。
合格しても「聞くわけねえだろ、バーカ」で済ますつもりらしいけど、無駄に頭いい大輝くんがそれを想定していないはずはない。
それも分かってるとは言ってたけど……。
「うちの近くの店でクレームブリュレが新発売されてたから買ってきたよ。紗夜ちゃん、どうぞ」
「ありがとう!」
やったあ! 駅前のケーキ屋さんのプリンもある!
にこやかな微笑みを浮かべる大輝くんからずっしりとした袋を受け取る。
プリンの重み、至福。
「プリンが大好きなんて、かわいいね」
「触んな」
隙あらばと私の頭をなでた大輝くんの手を魁十が引きはがす。
私はプリンさえあれば別に頭のひとつやふたつ気にしないのに。
だって、プリンを食べると魁十との思い出あれこれが浮かんで元気になれる。
「パンフレットもらって来たんだ。紗夜ちゃん、食べてみたいのある?」
「えーと……あ、これおいしそう!」
「こっちも紗夜ちゃん好きそうかと思った」
「たぶん好き!」
「次はこれとこれ買ってくるね」
「うん!」
楽しみ~。
魁十が勉強がんばってくれてるおかげでおいしいスイーツがたくさん食べられる。
感謝しかない。
ふと見ると、ムスッと魁十がひとりソファに座り込んでいる。
……かわいい。
自分の部屋に行くなり何なりできるのに、不機嫌を隠そうともせず居座る魁十がめっちゃかわいい。
目が合うと、立ち上がった。
「紗夜、プリン食お」
「うん! 食べ比べしたい!」
「はい、あーん」
テキパキとプリンのフタを取り、スプーンですくってニコッと笑う。
かわいすぎる……ヤバい、うちの弟がかわいすぎてプリンの味しない。パリパリのカラメルとくちどけ滑らかなクリームが絶品。
「おいしい! カイも食べて」
「紗夜が食べさせて」
クールな横目で大輝くんを見た魁十が口を開ける。
さては魁十、私が大輝くんとはしゃいでいたものだから嫉妬しちゃってるな?
やだ、かわいすぎる。
全力で乗っかっちゃう。
「あーん」
「ん! うまーい」
「でしょ、でしょ」
ペコン、とメッセージの通知音が聞こえた。
誰だろ……あ、河合さんだ。
難波さんと連絡が取れないんですが、弟さんの所にいませんか?
って、大当たりだよ、河合さん。
「紗夜、誰」
「何でもない」
「なんでスマホ隠すの」
ジェラってる魁十がかわいいから。
ごめん、河合さん。
5分から1時間だけ待って。
こんなジェラシー全開な魁十、そうそう見れないんだもん。
めっちゃくちゃかわいい……。
「なんで教えてくんないの」
「ほんと何でもないんだってば」
うわ、分かってた。分かってたよ。
やっぱり魁十は、ジト目で睨んでてもかわいくてかわいくてかわいすぎる!
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
同居人の一輝くんは、ちょっぴり不器用でちょっぴり危険⁉
朝陽七彩
恋愛
突然。
同居することになった。
幼なじみの一輝くんと。
一輝くんは大人しくて子羊みたいな子。
……だったはず。
なのに。
「結菜ちゃん、一緒に寝よ」
えっ⁉
「結菜ちゃん、こっちにおいで」
そんなの恥ずかしいよっ。
「結菜ちゃんのこと、どうしようもなく、
ほしくてほしくてたまらない」
そんなにドキドキさせないでっ‼
今までの子羊のような一輝くん。
そうではなく。
オオカミになってしまっているっ⁉
。・.・*.・*・*.・。*・.・*・*.・*
如月結菜(きさらぎ ゆな)
高校三年生
恋愛に鈍感
椎名一輝(しいな いつき)
高校一年生
本当は恋愛に慣れていない
。・.・*.・*・*.・。*・.・*・*.・*
オオカミになっている。
そのときの一輝くんは。
「一緒にお風呂に入ったら教えてあげる」
一緒にっ⁉
そんなの恥ずかしいよっ。
恥ずかしくなる。
そんな言葉をサラッと言ったり。
それに。
少しイジワル。
だけど。
一輝くんは。
不器用なところもある。
そして一生懸命。
優しいところもたくさんある。
そんな一輝くんが。
「僕は結菜ちゃんのこと誰にも渡したくない」
「そんなに可愛いと理性が破壊寸前になる」
なんて言うから。
余計に恥ずかしくなるし緊張してしまう。
子羊の部分とオオカミの部分。
それらにはギャップがある。
だから戸惑ってしまう。
それだけではない。
そのギャップが。
ドキドキさせる。
虜にさせる。
それは一輝くんの魅力。
そんな一輝くんの魅力。
それに溺れてしまう。
もう一輝くんの魅力から……?
♡何が起こるかわからない⁉♡
高嶺の花の高嶺さんに好かれまして。
桜庭かなめ
恋愛
高校1年生の低田悠真のクラスには『高嶺の花』と呼ばれるほどの人気がある高嶺結衣という女子生徒がいる。容姿端麗、頭脳明晰、品行方正な高嶺さんは男女問わずに告白されているが全て振っていた。彼女には好きな人がいるらしい。
ゴールデンウィーク明け。放課後にハンカチを落としたことに気付いた悠真は教室に戻ると、自分のハンカチの匂いを嗅いで悶える高嶺さんを見つける。その場で、悠真は高嶺さんに好きだと告白されるが、付き合いたいと思うほど好きではないという理由で振る。
しかし、高嶺さんも諦めない。悠真に恋人も好きな人もいないと知り、
「絶対、私に惚れさせてみせるからね!」
と高らかに宣言したのだ。この告白をきっかけに、悠真は高嶺さんと友達になり、高校生活が変化し始めていく。
大好きなおかずを作ってきてくれたり、バイト先に来てくれたり、放課後デートをしたり、朝起きたら笑顔で見つめられていたり。高嶺の花の高嶺さんとの甘くてドキドキな青春学園ラブコメディ!
※2学期編4が完結しました!(2025.8.4)
※お気に入り登録や感想、いいねなどお待ちしております。
ハイスぺ幼馴染の執着過剰愛~30までに相手がいなかったら、結婚しようと言ったから~
cheeery
恋愛
パイロットのエリート幼馴染とワケあって同棲することになった私。
同棲はかれこれもう7年目。
お互いにいい人がいたら解消しようと約束しているのだけど……。
合コンは撃沈。連絡さえ来ない始末。
焦るものの、幼なじみ隼人との生活は、なんの不満もなく……っというよりも、至極の生活だった。
何かあったら話も聞いてくれるし、なぐさめてくれる。
美味しい料理に、髪を乾かしてくれたり、買い物に連れ出してくれたり……しかも家賃はいらないと受け取ってもくれない。
私……こんなに甘えっぱなしでいいのかな?
そしてわたしの30歳の誕生日。
「美羽、お誕生日おめでとう。結婚しようか」
「なに言ってるの?」
優しかったはずの隼人が豹変。
「30になってお互いに相手がいなかったら、結婚しようって美羽が言ったんだよね?」
彼の秘密を知ったら、もう逃げることは出来ない。
「絶対に逃がさないよ?」
出逢いがしらに恋をして 〜一目惚れした超イケメンが今日から上司になりました〜
泉南佳那
恋愛
高橋ひよりは25歳の会社員。
ある朝、遅刻寸前で乗った会社のエレベーターで見知らぬ男性とふたりになる。
モデルと見まごうほど超美形のその人は、その日、本社から移動してきた
ひよりの上司だった。
彼、宮沢ジュリアーノは29歳。日伊ハーフの気鋭のプロジェクト・マネージャー。
彼に一目惚れしたひよりだが、彼には本社重役の娘で会社で一番の美人、鈴木亜矢美の花婿候補との噂が……
『冷徹社長の秘書をしていたら、いつの間にか専属の妻に選ばれました』
鍛高譚
恋愛
秘書課に異動してきた相沢結衣は、
仕事一筋で冷徹と噂される社長・西園寺蓮の専属秘書を務めることになる。
厳しい指示、膨大な業務、容赦のない会議――
最初はただ必死に食らいつくだけの日々だった。
だが、誰よりも真剣に仕事と向き合う蓮の姿に触れるうち、
結衣は秘書としての誇りを胸に、確かな成長を遂げていく。
そして、蓮もまた陰で彼女を支える姿勢と誠実な仕事ぶりに心を動かされ、
次第に結衣は“ただの秘書”ではなく、唯一無二の存在になっていく。
同期の嫉妬による妨害、ライバル会社の不正、社内の疑惑。
数々の試練が二人を襲うが――
蓮は揺るがない意志で結衣を守り抜き、
結衣もまた社長としてではなく、一人の男性として蓮を信じ続けた。
そしてある夜、蓮がようやく口にした言葉は、
秘書と社長の関係を静かに越えていく。
「これからの人生も、そばで支えてほしい。」
それは、彼が初めて見せた弱さであり、
結衣だけに向けた真剣な想いだった。
秘書として。
一人の女性として。
結衣は蓮の差し伸べた未来を、涙と共に受け取る――。
仕事も恋も全力で駆け抜ける、
“冷徹社長×秘書”のじれ甘オフィスラブストーリー、ここに完結。
【完結】冷徹執事は、つれない侍女を溺愛し続ける。
たまこ
恋愛
公爵の専属執事ハロルドは、美しい容姿に関わらず氷のように冷徹であり、多くの女性に思いを寄せられる。しかし、公爵の娘の侍女ソフィアだけは、ハロルドに見向きもしない。
ある日、ハロルドはソフィアの真っ直ぐすぎる内面に気付き、恋に落ちる。それからハロルドは、毎日ソフィアを口説き続けるが、ソフィアは靡いてくれないまま、五年の月日が経っていた。
※『王子妃候補をクビになった公爵令嬢は、拗らせた初恋の思い出だけで生きていく。』のスピンオフ作品ですが、こちらだけでも楽しめるようになっております。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
俺を信じろ〜財閥俺様御曹司とのニューヨークでの熱い夜
ラヴ KAZU
恋愛
二年間付き合った恋人に振られた亜紀は傷心旅行でニューヨークへ旅立つ。
そこで東條ホールディングス社長東條理樹にはじめてを捧げてしまう。結婚を約束するも日本に戻ると連絡を貰えず、会社へ乗り込むも、
理樹は亜紀の父親の会社を倒産に追い込んだ東條財閥東條理三郎の息子だった。
しかも理樹には婚約者がいたのである。
全てを捧げた相手の真実を知り翻弄される亜紀。
二人は結婚出来るのであろうか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる