二度目の人生は異世界で溺愛されています

ノッポ

文字の大きさ
8 / 25

カイル【 1 】

しおりを挟む
 
 ふと何かを感じ視線を上げれば左上の方に神聖な優しい魔力を感じる。視線をそのままにしていると魔力はやがて光った後に手紙の形になり、最後に手紙を残して消えた。


「これは……」
 思わず呟くと、部屋に控えていた侍従から

「どうかされましたか」
 と聞かれた。

「何でもないよ」
 微笑みながら言えば侍従は

「何かありましたらお呼びください」
 一礼した後、また元の場所に戻った。





 この手紙は、送り先の人物以外には見えないようにされているな。聖女様はこちらの世界に来られてから魔法を使い始めたそうだが、よく使いこなされている。

 さて、何が書かれているのだろうか。

 不思議に思いながら開けた手紙の内容に、読み終わった後思わず頭を抱えた。



 そうか私は聖女様にとって自分に興味の無い安全圏な存在だと思われているな。これは聖女様への接し方に失敗したか。
 いや、しかしだからこそこうして手紙を送ってくださったのだ。むしろ成功したのか?

 思わず遠い目になりながら思考に沈む。








 私は南の大国カルデッド国の皇太子だ。
 帝王学は幼い頃から学んでいたし、王族としての責務として立ち振る舞いにも気を付けている。


 正直、聖女様に初めてお会いした時、目を奪われた。美しすぎる容貌は神々しく、貴族達との顔合わせの際 リップサービスとして令嬢達に掛けていた言葉のどれもが軽く思えて、不覚ながら言葉が出て来なかった。

 聖女様の容姿に惹かれたのはもちろん私だけでなく、周りに集っていた者たちも熱い視線で聖女様を見ていた。
当然、聖女様の周りには常に人が群がり、皆聖女様の夫になるべく行動を開始していた。

 私も同じく行動するべきかと思われたが、私が最初に聖女様が降臨されるとの情報を聞いた当初の目的である、聖女様の人柄を知ることはそれでは駄目だと思い自重した。



 この大陸において女神信仰は唯一の信仰であり、神殿は重要な位置にある。
 そして史上初の聖女様の降臨。温厚な人物ならいいが、あまり苛烈な性格であったり、または大神殿の中で何か偏った情報ばかり与えられて問題のある人物になってしまったら……という可能性もある為、できれば側でその人となりを見極めたい。
 そう考えた私は陛下に進言し、大神殿に向かう事になった。 

 大神殿は聖女様の為に宮殿を建てていて、そこに滞在する為には何か名目が必要か……と思ったが、すんなりと滞在を許可された。
 大国の皇太子の身分と、精霊と契約していることで許可されたらしい。
 私が契約しているのは下位精霊だが、精霊に対して女神様の眷属として信仰している神殿側としては、私の滞在要請は無下に出来なかったようだ。


 精霊は契約すると魔力を増幅させてくれたりといった恩恵が受けられるが、反対に大変な事もある。
 契約した者によってそれぞれ違うが、私の場合は交渉の際、相手を観察して意図を推しはかろうとするせいか、人の心情の機敏に対して色のオーラで視えるようになってしまった。

 あまり邪な考えな者だと赤黒い色が体に纏わりついている。
 上に立つものとして非常に役立つ反面、貴族女性の傲慢やお互いへの嫉妬心などもわかってしまうため、貴族令嬢との顔合わせや茶会などは地獄だった。

 顔ではお互い笑顔で会話をしつつ、心の中では醜い心で攻撃し合っている令嬢達には本当にうんざりだった。




 そんな私だが、聖女様と対面したらそんな感情は感じられない。
 そもそも聖女様自体が高位精霊との契約者だ。
 私は聖女様に対して、生まれて初めての心を奪われる、人に恋するといった感情を覚えたが、常に人に弱みを見せないよう振る舞っていた長年の経験から聖女様に対してどう接したらいいかわからない。


 対面して話す際も、当たり障りない会話しか出来ず 部屋に戻って来てから落ち込む、といった本当に情けない日々を送っていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

黒騎士団の娼婦

星森
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。 異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。 頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。 煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。 誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。 「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」 ※本作はAIとの共同制作作品です。 ※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

甘い匂いの人間は、極上獰猛な獣たちに奪われる 〜居場所を求めた少女の転移譚〜

具なっしー
恋愛
「誰かを、全力で愛してみたい」 居場所のない、17歳の少女・鳴宮 桃(なるみや もも)。 幼い頃に両親を亡くし、叔父の家で家政婦のような日々を送る彼女は、誰にも言えない孤独を抱えていた。そんな桃が、願いをかけた神社の光に包まれ目覚めたのは、獣人たちが支配する異世界。 そこは、男女比50:1という極端な世界。女性は複数の夫に囲われて贅沢を享受するのが常識だった。 しかし、桃は異世界の女性が持つ傲慢さとは無縁で、控えめなまま。 そして彼女の身体から放たれる**"甘いフェロモン"は、野生の獣人たちにとって極上の獲物**でしかない。 盗賊に囚われかけたところを、美形で無口なホワイトタイガー獣人・ベンに救われた桃。孤独だった少女は、その純粋さゆえに、強く、一途で、そして獰猛な獣人たちに囲われていく――。 ※表紙はAIです

転生先は男女比50:1の世界!?

4036(シクミロ)
恋愛
男女比50:1の世界に転生した少女。 「まさか、男女比がおかしな世界とは・・・」 デブで自己中心的な女性が多い世界で、ひとり異質な少女は・・ どうなる!?学園生活!!

なんか、異世界行ったら愛重めの溺愛してくる奴らに囲われた

いに。
恋愛
"佐久良 麗" これが私の名前。 名前の"麗"(れい)は綺麗に真っ直ぐ育ちますようになんて思いでつけられた、、、らしい。 両親は他界 好きなものも特にない 将来の夢なんてない 好きな人なんてもっといない 本当になにも持っていない。 0(れい)な人間。 これを見越してつけたの?なんてそんなことは言わないがそれ程になにもない人生。 そんな人生だったはずだ。 「ここ、、どこ?」 瞬きをしただけ、ただそれだけで世界が変わってしまった。 _______________.... 「レイ、何をしている早くいくぞ」 「れーいちゃん!僕が抱っこしてあげよっか?」 「いや、れいちゃんは俺と手を繋ぐんだもんねー?」 「、、茶番か。あ、おいそこの段差気をつけろ」 えっと……? なんか気づいたら周り囲まれてるんですけどなにが起こったんだろう? ※ただ主人公が愛でられる物語です ※シリアスたまにあり ※周りめちゃ愛重い溺愛ルート確です ※ど素人作品です、温かい目で見てください どうぞよろしくお願いします。

旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハーレム異世界ラブコメ〜

ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉 転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!? のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました…… イケメン山盛りの逆ハーレムです 前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります 小説家になろう、カクヨムに転載しています

能天気な私は今日も愛される

具なっしー
恋愛
日本でJKライフを謳歌していた凪紗は遅刻しそうになって全力疾走してたらトラックとバコーン衝突して死んじゃったー。そんで、神様とお話しして、目が覚めたら男女比50:1の世界に転生してたー!この世界では女性は宝物のように扱われ猿のようにやりたい放題の女性ばっかり!?そんな中、凪紗ことポピーは日本の常識があるから、天使だ!天使だ!と溺愛されている。この世界と日本のギャップに苦しみながらも、楽観的で能天気な性格で周りに心配される女の子のおはなし。 はじめて小説を書くので誤字とか色々拙いところが多いと思いますが優しく見てくれたら嬉しいです。自分で読みたいのをかいてみます。残酷な描写とかシリアスが苦手なのでかかないです。定番な展開が続きます。飽き性なので褒めてくれたら続くと思いますよろしくお願いします。 ※表紙はAI画像です

異世界に落ちて、溺愛されました。

恋愛
満月の月明かりの中、自宅への帰り道に、穴に落ちた私。 落ちた先は異世界。そこで、私を番と話す人に溺愛されました。

処理中です...