二度目の人生は異世界で溺愛されています

ノッポ

文字の大きさ
10 / 25

クラウス【 1 】

しおりを挟む



 俺は北の端の方にある国の王族だ。北の端は魔獣が多く、小さな頃からそれが日常だった。
男たちは体を鍛え、女と領地を守る。
国と言っても、強い冒険者から貴族になった者もたくさんいる国なので畏まった奴らはあまりいない。国王ですら時には剣を持ち戦うような国だ。
俺は一応第四王子だが、あまり周りから敬われるというか、大事に大事にというよりかは 幼い頃から剣術の指導者が付き、日夜修行に明け暮れた日々を送った。まぁ、うちの国は王族でも貴族でもそんなものだ。
力が無ければ、国が領地が、魔獣にやられてしまう。守る為には強くならないと、みたいな風潮だ。
俺は毎日懸命に剣を振るったが、体つきは大きく成長しなかった。一応、他の国からみたら身長や体つきは良い方だと思うが、なにしろ周りが筋肉ダルマばかりなのだ。俺は悔しい気持ちを魔法の適正があった闇魔法に向け、剣と闇魔法の両方が使える形を目指した。

 毎日腕を磨き、たまに王族としての勉強して、という日々を送っていた俺はある日、聖女様が降臨という話を聞いた。


 
「護衛騎士の募集しているぞ」
 すぐ上の兄が俺のところに来て突然言い出した。

「それで?」
 俺はいきなり言われて訳がわからず、疑問で返した。


「いや……お前は兄弟の中で一番綺麗な顔をしているし、剣も魔法も両方腕がある。北の方の国から誰も行かないらしいが、お前なら中央の大神殿とやらに行っても、周りに負けないでむしろ上の方に行けるんじゃないかなと思ってさ」

 さっき国王である父に自分が行ってみようかと言ったら、「お前みたいな筋肉ダルマだと中央の大神殿で浮かないか……?」って却下されて諦めたらしいが、歩きながら、そうだ!クラウスなら適任だ!みたいに思いつき、そのまま俺の部屋に来たらしい。
すぐ上の兄は何というか……脳筋なんだよな。中央の大神殿にも聖女を守るためよりか、集まってくる各国の騎士と手合わせしたかっただけかもしれない……とまで思った。
父である国王も、行かせたくないよりかは、脳筋タイプの兄だと中央の大神殿でやって行けないと思って止めたかったんじゃ……と推測する。


 しかし中央か……兄が部屋から出て行った後、父に話を聞きたくなり、執務室に行った。


「どうした?」
 執務をしていた父は、俺が来たことを知って、不思議そうに尋ねた。たしかに俺はあまり執務室に行かないからな。



「兄から中央の大神殿の話を聞いて……」
 俺がそう言い始めたら、父は頭を抱えた。

「あいつは……さては、ここを出てすぐに行ったな」
 頭痛を堪えるような様子からして、すぐに行動する脳筋タイプと父からも、兄は思われていそうだ。先日も突然単騎で魔獣を狩りにいく修行だとか言って城から出て行こうとして、さすがに止められていた。


「興味が湧いたので」

「別に行く必要はない。募集はあるが、すぐに応募が相次ぐだろう。各国に騎士を要請までは来ていない。中央から近い国々が争うようにして騎士を送るだろう。聖女様の降臨はめでたいことだが、俺たちは目の前の魔獣を討伐し、国を守っていればいい」

「しかし、北の国からも多少は行った方が良いのでは?」

「だがなぁ……大陸の一部で黒髪は嫌われているし、お前は闇魔法も使うだろ。あそこは光魔法至上主義な奴らも多いから、居心地が悪いかもしれないぞ」


 たしかにこの国では黒髪は主流だが、大陸全体で考えたとき、黒髪は僅かな人数な上に嫌われている。魔獣と同じ色だとかふざけたことをいう者も中にはいる。

 だが、中央に行けば良いこともある。行ってしまえば、前から来ていた隣国からの縁談を断る理由に出来る。

「縁談とか嫌なので」

「あぁー……そうだったなぁ」
 父は苦笑する。

 昔から俺は女が苦手だ。俺の顔を気に入り、纏わりついてくるのが何人かいたが、お茶会だなんだと強引に呼ばれ、つまらない話を長々とするものだから、俺が剣術の時間があると帰ろうとすると激昂して怒られる。その繰り返しだ。

 さらに、隣国の王女の1人が俺を気に入ったらしく、婿に来いと言って来ているが、会うと常に男を侍らしていて傲慢な物言いだから好きではない。さらに、俺の闇魔法はイメージが悪いから使うなと言われた。なぜ俺が自分の足りない所を補おうと習得した闇魔法について、そんな風に言われなくてはならないのか。
すぐに断りたかったが、女は少ないため、守るべき対象であるし、隣国の国王は娘である王女を溺愛している。
穏便に断れず困っていた俺にとって、中央の大神殿への選択は魅力的に思えた。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

黒騎士団の娼婦

星森
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。 異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。 頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。 煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。 誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。 「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」 ※本作はAIとの共同制作作品です。 ※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

甘い匂いの人間は、極上獰猛な獣たちに奪われる 〜居場所を求めた少女の転移譚〜

具なっしー
恋愛
「誰かを、全力で愛してみたい」 居場所のない、17歳の少女・鳴宮 桃(なるみや もも)。 幼い頃に両親を亡くし、叔父の家で家政婦のような日々を送る彼女は、誰にも言えない孤独を抱えていた。そんな桃が、願いをかけた神社の光に包まれ目覚めたのは、獣人たちが支配する異世界。 そこは、男女比50:1という極端な世界。女性は複数の夫に囲われて贅沢を享受するのが常識だった。 しかし、桃は異世界の女性が持つ傲慢さとは無縁で、控えめなまま。 そして彼女の身体から放たれる**"甘いフェロモン"は、野生の獣人たちにとって極上の獲物**でしかない。 盗賊に囚われかけたところを、美形で無口なホワイトタイガー獣人・ベンに救われた桃。孤独だった少女は、その純粋さゆえに、強く、一途で、そして獰猛な獣人たちに囲われていく――。 ※表紙はAIです

転生先は男女比50:1の世界!?

4036(シクミロ)
恋愛
男女比50:1の世界に転生した少女。 「まさか、男女比がおかしな世界とは・・・」 デブで自己中心的な女性が多い世界で、ひとり異質な少女は・・ どうなる!?学園生活!!

なんか、異世界行ったら愛重めの溺愛してくる奴らに囲われた

いに。
恋愛
"佐久良 麗" これが私の名前。 名前の"麗"(れい)は綺麗に真っ直ぐ育ちますようになんて思いでつけられた、、、らしい。 両親は他界 好きなものも特にない 将来の夢なんてない 好きな人なんてもっといない 本当になにも持っていない。 0(れい)な人間。 これを見越してつけたの?なんてそんなことは言わないがそれ程になにもない人生。 そんな人生だったはずだ。 「ここ、、どこ?」 瞬きをしただけ、ただそれだけで世界が変わってしまった。 _______________.... 「レイ、何をしている早くいくぞ」 「れーいちゃん!僕が抱っこしてあげよっか?」 「いや、れいちゃんは俺と手を繋ぐんだもんねー?」 「、、茶番か。あ、おいそこの段差気をつけろ」 えっと……? なんか気づいたら周り囲まれてるんですけどなにが起こったんだろう? ※ただ主人公が愛でられる物語です ※シリアスたまにあり ※周りめちゃ愛重い溺愛ルート確です ※ど素人作品です、温かい目で見てください どうぞよろしくお願いします。

旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハーレム異世界ラブコメ〜

ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉 転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!? のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました…… イケメン山盛りの逆ハーレムです 前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります 小説家になろう、カクヨムに転載しています

能天気な私は今日も愛される

具なっしー
恋愛
日本でJKライフを謳歌していた凪紗は遅刻しそうになって全力疾走してたらトラックとバコーン衝突して死んじゃったー。そんで、神様とお話しして、目が覚めたら男女比50:1の世界に転生してたー!この世界では女性は宝物のように扱われ猿のようにやりたい放題の女性ばっかり!?そんな中、凪紗ことポピーは日本の常識があるから、天使だ!天使だ!と溺愛されている。この世界と日本のギャップに苦しみながらも、楽観的で能天気な性格で周りに心配される女の子のおはなし。 はじめて小説を書くので誤字とか色々拙いところが多いと思いますが優しく見てくれたら嬉しいです。自分で読みたいのをかいてみます。残酷な描写とかシリアスが苦手なのでかかないです。定番な展開が続きます。飽き性なので褒めてくれたら続くと思いますよろしくお願いします。 ※表紙はAI画像です

異世界に落ちて、溺愛されました。

恋愛
満月の月明かりの中、自宅への帰り道に、穴に落ちた私。 落ちた先は異世界。そこで、私を番と話す人に溺愛されました。

処理中です...