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クラウス【 1 】
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俺は北の端の方にある国の王族だ。北の端は魔獣が多く、小さな頃からそれが日常だった。
男たちは体を鍛え、女と領地を守る。
国と言っても、強い冒険者から貴族になった者もたくさんいる国なので畏まった奴らはあまりいない。国王ですら時には剣を持ち戦うような国だ。
俺は一応第四王子だが、あまり周りから敬われるというか、大事に大事にというよりかは 幼い頃から剣術の指導者が付き、日夜修行に明け暮れた日々を送った。まぁ、うちの国は王族でも貴族でもそんなものだ。
力が無ければ、国が領地が、魔獣にやられてしまう。守る為には強くならないと、みたいな風潮だ。
俺は毎日懸命に剣を振るったが、体つきは大きく成長しなかった。一応、他の国からみたら身長や体つきは良い方だと思うが、なにしろ周りが筋肉ダルマばかりなのだ。俺は悔しい気持ちを魔法の適正があった闇魔法に向け、剣と闇魔法の両方が使える形を目指した。
毎日腕を磨き、たまに王族としての勉強して、という日々を送っていた俺はある日、聖女様が降臨という話を聞いた。
「護衛騎士の募集しているぞ」
すぐ上の兄が俺のところに来て突然言い出した。
「それで?」
俺はいきなり言われて訳がわからず、疑問で返した。
「いや……お前は兄弟の中で一番綺麗な顔をしているし、剣も魔法も両方腕がある。北の方の国から誰も行かないらしいが、お前なら中央の大神殿とやらに行っても、周りに負けないでむしろ上の方に行けるんじゃないかなと思ってさ」
さっき国王である父に自分が行ってみようかと言ったら、「お前みたいな筋肉ダルマだと中央の大神殿で浮かないか……?」って却下されて諦めたらしいが、歩きながら、そうだ!クラウスなら適任だ!みたいに思いつき、そのまま俺の部屋に来たらしい。
すぐ上の兄は何というか……脳筋なんだよな。中央の大神殿にも聖女を守るためよりか、集まってくる各国の騎士と手合わせしたかっただけかもしれない……とまで思った。
父である国王も、行かせたくないよりかは、脳筋タイプの兄だと中央の大神殿でやって行けないと思って止めたかったんじゃ……と推測する。
しかし中央か……兄が部屋から出て行った後、父に話を聞きたくなり、執務室に行った。
「どうした?」
執務をしていた父は、俺が来たことを知って、不思議そうに尋ねた。たしかに俺はあまり執務室に行かないからな。
「兄から中央の大神殿の話を聞いて……」
俺がそう言い始めたら、父は頭を抱えた。
「あいつは……さては、ここを出てすぐに行ったな」
頭痛を堪えるような様子からして、すぐに行動する脳筋タイプと父からも、兄は思われていそうだ。先日も突然単騎で魔獣を狩りにいく修行だとか言って城から出て行こうとして、さすがに止められていた。
「興味が湧いたので」
「別に行く必要はない。募集はあるが、すぐに応募が相次ぐだろう。各国に騎士を要請までは来ていない。中央から近い国々が争うようにして騎士を送るだろう。聖女様の降臨はめでたいことだが、俺たちは目の前の魔獣を討伐し、国を守っていればいい」
「しかし、北の国からも多少は行った方が良いのでは?」
「だがなぁ……大陸の一部で黒髪は嫌われているし、お前は闇魔法も使うだろ。あそこは光魔法至上主義な奴らも多いから、居心地が悪いかもしれないぞ」
たしかにこの国では黒髪は主流だが、大陸全体で考えたとき、黒髪は僅かな人数な上に嫌われている。魔獣と同じ色だとかふざけたことをいう者も中にはいる。
だが、中央に行けば良いこともある。行ってしまえば、前から来ていた隣国からの縁談を断る理由に出来る。
「縁談とか嫌なので」
「あぁー……そうだったなぁ」
父は苦笑する。
昔から俺は女が苦手だ。俺の顔を気に入り、纏わりついてくるのが何人かいたが、お茶会だなんだと強引に呼ばれ、つまらない話を長々とするものだから、俺が剣術の時間があると帰ろうとすると激昂して怒られる。その繰り返しだ。
さらに、隣国の王女の1人が俺を気に入ったらしく、婿に来いと言って来ているが、会うと常に男を侍らしていて傲慢な物言いだから好きではない。さらに、俺の闇魔法はイメージが悪いから使うなと言われた。なぜ俺が自分の足りない所を補おうと習得した闇魔法について、そんな風に言われなくてはならないのか。
すぐに断りたかったが、女は少ないため、守るべき対象であるし、隣国の国王は娘である王女を溺愛している。
穏便に断れず困っていた俺にとって、中央の大神殿への選択は魅力的に思えた。
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