81 / 161
本物の家族
81
しおりを挟む
「ふふふ。」
突然姉が笑い出し、私はまたもやムッとする。
「何が可笑しいの?」
「ううん、ごめん。私を怒ってくれるのは美咲だけだから、嬉しいの。」
意味不明だ。
訳がわからなくて眉間にシワを寄せると、姉は私の手を取り優しくにぎった。
「私は美咲が羨ましいのよ。」
「何言ってるの?」
姉は思い出すようにゆっくりと話す。
「お母さんが再婚して私に妹ができたときは本当に嬉しかった。特にお父さんが大喜びしてたわ。でもそれからしばらくしてお父さんの態度がおかしくなった。私はお父さんの実の娘じゃないし、思春期にも差し掛かっていたせいもあったんでしょうね。お父さんは私を腫れ物でも触るように接したの。一切怒らない。まるで他人行儀よ。」
子供の頃の思い出はあまりいいものはない。思い出せば思い出すほど、姉だけが褒められ私は怒られる。そんな光景しか思い出されない。それなのに美咲が羨ましいとは、まったくもって意味がわからない。
「私はお姉ちゃんが羨ましかった。怒られるのはいつも私。親の愛情はお姉ちゃんにばかりいってたじゃない。」
「そう見えてしまったのかもね。実際愛情なんてないわ。ただ甘やかされただけ。」
「そんなことない。お姉ちゃんはたくさん褒めてもらったじゃない。私は親に褒めてもらったことなんてない。誰も私のことなんて褒めてくれなかった…。」
そこまで言ってハタと気付いた。
誰も褒めてくれないんじゃない。
私を褒めてくれるのはいつも姉だ。
姉だけは私を褒めてくれていた。
テストでいい点を取ったときもいい大学に入ったときも、大企業に就職したときも、姉は「美咲はすごいね!」って毎回褒めてくれていた。
いつも私のことを見てくれていたのは姉だった。
それから、もうひとつ気付いた。
気付いてしまった。
柴原さんがすずを褒めるとき、いつもモヤモヤした感情が生まれていた。
なぜだろうとずっと思っていた。
これは嫉妬だ。
私はすずに嫉妬していたんだ。
私もすずのように、柴原さんに褒められたかった。
褒めてもらいたかったんだ。
突然姉が笑い出し、私はまたもやムッとする。
「何が可笑しいの?」
「ううん、ごめん。私を怒ってくれるのは美咲だけだから、嬉しいの。」
意味不明だ。
訳がわからなくて眉間にシワを寄せると、姉は私の手を取り優しくにぎった。
「私は美咲が羨ましいのよ。」
「何言ってるの?」
姉は思い出すようにゆっくりと話す。
「お母さんが再婚して私に妹ができたときは本当に嬉しかった。特にお父さんが大喜びしてたわ。でもそれからしばらくしてお父さんの態度がおかしくなった。私はお父さんの実の娘じゃないし、思春期にも差し掛かっていたせいもあったんでしょうね。お父さんは私を腫れ物でも触るように接したの。一切怒らない。まるで他人行儀よ。」
子供の頃の思い出はあまりいいものはない。思い出せば思い出すほど、姉だけが褒められ私は怒られる。そんな光景しか思い出されない。それなのに美咲が羨ましいとは、まったくもって意味がわからない。
「私はお姉ちゃんが羨ましかった。怒られるのはいつも私。親の愛情はお姉ちゃんにばかりいってたじゃない。」
「そう見えてしまったのかもね。実際愛情なんてないわ。ただ甘やかされただけ。」
「そんなことない。お姉ちゃんはたくさん褒めてもらったじゃない。私は親に褒めてもらったことなんてない。誰も私のことなんて褒めてくれなかった…。」
そこまで言ってハタと気付いた。
誰も褒めてくれないんじゃない。
私を褒めてくれるのはいつも姉だ。
姉だけは私を褒めてくれていた。
テストでいい点を取ったときもいい大学に入ったときも、大企業に就職したときも、姉は「美咲はすごいね!」って毎回褒めてくれていた。
いつも私のことを見てくれていたのは姉だった。
それから、もうひとつ気付いた。
気付いてしまった。
柴原さんがすずを褒めるとき、いつもモヤモヤした感情が生まれていた。
なぜだろうとずっと思っていた。
これは嫉妬だ。
私はすずに嫉妬していたんだ。
私もすずのように、柴原さんに褒められたかった。
褒めてもらいたかったんだ。
4
あなたにおすすめの小説
バイトの時間なのでお先に失礼します!~普通科と特進科の相互理解~
スズキアカネ
恋愛
バイト三昧の変わり者な普通科の彼女と、美形・高身長・秀才の三拍子揃った特進科の彼。
何もかもが違う、相容れないはずの彼らの学園生活をハチャメチャに描いた和風青春現代ラブコメ。
◇◆◇
作品の転載転用は禁止です。著作権は放棄しておりません。
DO NOT REPOST.
呪われ公爵様は偏執的に花嫁を溺愛する
香月文香
恋愛
月の明るすぎる夜、公爵令嬢のイリーシャは、双子の弟が殺される場面に遭遇する。弟を殺めたのは、義理の兄である「呪われた子」のユージンだった。恐怖に震えながら理由を問うイリーシャに、彼は甘く笑いながら告げる。
「きみを愛しているからだよ」
イリーシャは弟の地位を奪い公爵家当主となったユージンと結婚することに。
ユージンは重すぎる愛でもってイリーシャを溺愛するが、彼女は彼を許せなくて——。
ヤンデレに執着された発狂寸前ヒロインによる愛と憎悪の反復横跳び。
※他サイト(小説家になろう・魔法のiらんど)にも掲載しています
冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない
彩空百々花
恋愛
誰もが恐れ、羨み、その瞳に映ることだけを渇望するほどに高貴で気高い、今世紀最強の見目麗しき完璧な神様。
酔いしれるほどに麗しく美しい女たちの愛に溺れ続けていた神様は、ある日突然。
「今日からこの女がおれの最愛のひと、ね」
そんなことを、言い出した。
嘘をつく唇に優しいキスを
松本ユミ
恋愛
いつだって私は本音を隠して嘘をつくーーー。
桜井麻里奈は優しい同期の新庄湊に恋をした。
だけど、湊には学生時代から付き合っている彼女がいることを知りショックを受ける。
麻里奈はこの恋心が叶わないなら自分の気持ちに嘘をつくからせめて同期として隣で笑い合うことだけは許してほしいと密かに思っていた。
そんなある日、湊が『結婚する』という話を聞いてしまい……。
夜の帝王の一途な愛
ラヴ KAZU
恋愛
彼氏ナシ・子供ナシ・仕事ナシ……、ないない尽くしで人生に焦りを感じているアラフォー女性の前に、ある日突然、白馬の王子様が現れた! ピュアな主人公が待ちに待った〝白馬の王子様"の正体は、若くしてホストクラブを経営するカリスマNO.1ホスト。「俺と一緒に暮らさないか」突然のプロポーズと思いきや、契約結婚の申し出だった。
ところが、イケメンホスト麻生凌はたっぷりの愛情を濯ぐ。
翻弄される結城あゆみ。
そんな凌には誰にも言えない秘密があった。
あゆみの運命は……
家政婦の代理派遣をしたら花嫁になっちゃいました
ゆきりん(安室 雪)
恋愛
このご時世、いつ仕事がクビになるか分からない。社内の派遣社員が一斉にクビを告げられた。天音もそんな1人だった。同じ派遣社員として働くマリナが土日だけの派遣を掛け持ちしていたが、次の派遣先が土日出勤の為、代わりに働いてくれる子を探していると言う。次の仕事が決まっていなかったから天音はその派遣を引き受ける事にした。あの、家政婦って聞いたんですけど?それって、家政婦のお仕事ですか!?
強面の雇い主(京極 樹)に溺愛されていくお話しです。
幸せの見つけ方〜幼馴染は御曹司〜
葉月 まい
恋愛
近すぎて遠い存在
一緒にいるのに 言えない言葉
すれ違い、通り過ぎる二人の想いは
いつか重なるのだろうか…
心に秘めた想いを
いつか伝えてもいいのだろうか…
遠回りする幼馴染二人の恋の行方は?
幼い頃からいつも一緒にいた
幼馴染の朱里と瑛。
瑛は自分の辛い境遇に巻き込むまいと、
朱里を遠ざけようとする。
そうとは知らず、朱里は寂しさを抱えて…
・*:.。. ♡ 登場人物 ♡.。.:*・
栗田 朱里(21歳)… 大学生
桐生 瑛(21歳)… 大学生
桐生ホールディングス 御曹司
俺に抱かれる覚悟をしろ〜俺様御曹司の溺愛
ラヴ KAZU
恋愛
みゆは付き合う度に騙されて男性不信になり
もう絶対に男性の言葉は信じないと決心した。
そんなある日会社の休憩室で一人の男性と出会う
これが桂木廉也との出会いである。
廉也はみゆに信じられない程の愛情を注ぐ。
みゆは一瞬にして廉也と恋に落ちたが同じ過ちを犯してはいけないと廉也と距離を取ろうとする。
以前愛した御曹司龍司との別れ、それは会社役員に結婚を反対された為だった。
二人の恋の行方は……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる