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プロローグ
2.愛でたい!(2) *アイカ視点
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ブラウン銀髪美人のクレイアさんが、私の横に座ったままのリティアさんに報告している。
「やはり、奴隷の闇売買に手を染めていたようです」
「ヴィアナの騎士が嘆かわしいことだな」
「西街区の無頼も関わっているようです」
「では、ノクシアスの手下か?」
紫髪のスチームパンクお姉さんなアイラさんが口を開いた。
「いえ、無頼と言ってもチンピラの類で、表向きはノクシアスとは無関係なようです」
「ふむ……」
出会って何分経ったか分からないけど、初めてリティアさんが笑顔でない表情を見せた。品のある端正な顔立ちに残る幼さが、かえって美しさを引き立ててます。
――うわぁ、合掌してぇ。
美人2人から美少女への報告は続いてたけど、固有名詞飛び交う会話は頭に入ってこない。ただ2人とも跪いてるので、私の位置からも胸元がばっちり見える……。
――圧巻です!
綺麗な人たちに囲まれて、私の異世界生活の始まった感がスゴい。
綺麗な人を愛でてるときだけ「生きてるなぁ」って感じるのは、ぼっち生活で身に付いた悲しい習性かもしれませんが、幸せで満たされてしまうものは止めようがありません。しかも、現物を目にするのは7年ぶりです。
とにかく、私は愛でたいのだ!
「アイカだ」
と、リティアさんが突然、私を2人に紹介した。
「初めての王都ヴィアナだというのに、いらぬ災難に巻き込んでしまった。『無頼の束ね』たる私の不徳のいたすところだ。アイラ。面倒をみてやってくれんか?」
「はっ。殿下の御意のままに」
って、紫髪のアイラさんが頭を下げてる。話の流れから、北街区というところの親分さんの娘らしい。私、こんな美人さんに面倒みてもらえるんですか……!?
「それで、アイカ。待たせて悪かったが、あの悪い男との間に起きたことを教えてもらってもいいか?」
「あ……、はい……。あの……」
土間の片隅で倒れている背負子を指差した。
「あれを買ってもらえるというので……」
「あれはなんだ……?」
「熊の……毛皮です」
「熊?」
「……山奥から王都に向かう途中でバッタリ出会っちゃって。……狩りました」
「アイカが、か?」
「はい……」
「あははははっ」
と、リティアさんは気持ちよさそうに笑った。
「そんな小さな身体で、スゴイなアイカは! 弓か?」
「あ、はい……。手製なんですけど……」
と、背中に仕込んだままだった小弓を出して見せると、ヤニス少年が剣の柄に手をやるのが目に入った。おおっ……。王女殿下の護衛なんですね。不用意に武器とか出してすみません。
リティアさんは私の作った不格好な弓を手に取り、興味津々な目で眺めている。
物理ぼっちサバイバル生活で仕方なく身に付けた小弓で、美少女から興味を持ってもらえるようなアレではないですからっ! と、卑屈な気持ちも湧き上がるんだけど、
――スゴいなアイカは!
って、リティアさんの褒め言葉が何度も頭の中でリフレインして、くすぐったくもある。
「ん?」
と、小弓を返そうとしたリティアさんが、私の顔を覗き込んだ。
――近い、近い。
肩を抱かれてるだけでも恐れ多いのに、美しいお顔をそんなに近づけられたら、どうしていいか分かりません。
「山奥から来たと聞いたが、アイカは『山々の民』か?」
「すみません……、分かりません」
「ふむ。守護聖霊という言葉は?」
ふるふると首を振って応えた。
――初めて聞く言葉ですけど、とても異世界っぽいです! 興奮してます!
「メラニアを呼べ」
と、指示したリティアさんは、にっこりと微笑んだ。
「アイラ」
「はっ」
「すまんが、さっきの言葉は忘れてくれ」
ええっ!?
私、なにか悪いことしてしまいました? 美人でおっぱい大きいアイラさんに面倒みてもらうの楽しみだったんですけど……。
名前も似てるし、いいコンビになれるかもしれませんよ……?
と、狼狽える私の気持ちをよそに、リティアさんは笑顔のままだ。
「アイカ。私の侍女にならぬか?」
「えっ……?」
「見たところ、アイカには珍しい守護聖霊があるようだ。見たことのない色がする」
おっと。それは日本由来の神様のどなたかですかね?
「今、しっかりと審神けられるメラニアという審神者を迎えに行かせているが、まれな守護聖霊のある者は私の第六騎士団で引き受けることになっている」
「あ、えっと……」
「どこか行くあてがあるなら仕方ないが、見たところそうでもなさそうだったのでな」
「あ、はい……。特に行くところは……」
悪いおっさんに悪いことされそうになったところを助けてくれた美貌の第3王女さま。お近くで美しい顔を愛でさせてもらっただけでも、恐れ多いのに、私を侍女にだと?
それは、ここにいる美しい人たちを愛で放題の、めくるめく王宮生活が待ってるヤツですか?
社会的ぼっち17年、異世界に招魂転生して物理ぼっち7年。ついに私にも運が向いて来たって考えていいんでしょうか――!?
「やはり、奴隷の闇売買に手を染めていたようです」
「ヴィアナの騎士が嘆かわしいことだな」
「西街区の無頼も関わっているようです」
「では、ノクシアスの手下か?」
紫髪のスチームパンクお姉さんなアイラさんが口を開いた。
「いえ、無頼と言ってもチンピラの類で、表向きはノクシアスとは無関係なようです」
「ふむ……」
出会って何分経ったか分からないけど、初めてリティアさんが笑顔でない表情を見せた。品のある端正な顔立ちに残る幼さが、かえって美しさを引き立ててます。
――うわぁ、合掌してぇ。
美人2人から美少女への報告は続いてたけど、固有名詞飛び交う会話は頭に入ってこない。ただ2人とも跪いてるので、私の位置からも胸元がばっちり見える……。
――圧巻です!
綺麗な人たちに囲まれて、私の異世界生活の始まった感がスゴい。
綺麗な人を愛でてるときだけ「生きてるなぁ」って感じるのは、ぼっち生活で身に付いた悲しい習性かもしれませんが、幸せで満たされてしまうものは止めようがありません。しかも、現物を目にするのは7年ぶりです。
とにかく、私は愛でたいのだ!
「アイカだ」
と、リティアさんが突然、私を2人に紹介した。
「初めての王都ヴィアナだというのに、いらぬ災難に巻き込んでしまった。『無頼の束ね』たる私の不徳のいたすところだ。アイラ。面倒をみてやってくれんか?」
「はっ。殿下の御意のままに」
って、紫髪のアイラさんが頭を下げてる。話の流れから、北街区というところの親分さんの娘らしい。私、こんな美人さんに面倒みてもらえるんですか……!?
「それで、アイカ。待たせて悪かったが、あの悪い男との間に起きたことを教えてもらってもいいか?」
「あ……、はい……。あの……」
土間の片隅で倒れている背負子を指差した。
「あれを買ってもらえるというので……」
「あれはなんだ……?」
「熊の……毛皮です」
「熊?」
「……山奥から王都に向かう途中でバッタリ出会っちゃって。……狩りました」
「アイカが、か?」
「はい……」
「あははははっ」
と、リティアさんは気持ちよさそうに笑った。
「そんな小さな身体で、スゴイなアイカは! 弓か?」
「あ、はい……。手製なんですけど……」
と、背中に仕込んだままだった小弓を出して見せると、ヤニス少年が剣の柄に手をやるのが目に入った。おおっ……。王女殿下の護衛なんですね。不用意に武器とか出してすみません。
リティアさんは私の作った不格好な弓を手に取り、興味津々な目で眺めている。
物理ぼっちサバイバル生活で仕方なく身に付けた小弓で、美少女から興味を持ってもらえるようなアレではないですからっ! と、卑屈な気持ちも湧き上がるんだけど、
――スゴいなアイカは!
って、リティアさんの褒め言葉が何度も頭の中でリフレインして、くすぐったくもある。
「ん?」
と、小弓を返そうとしたリティアさんが、私の顔を覗き込んだ。
――近い、近い。
肩を抱かれてるだけでも恐れ多いのに、美しいお顔をそんなに近づけられたら、どうしていいか分かりません。
「山奥から来たと聞いたが、アイカは『山々の民』か?」
「すみません……、分かりません」
「ふむ。守護聖霊という言葉は?」
ふるふると首を振って応えた。
――初めて聞く言葉ですけど、とても異世界っぽいです! 興奮してます!
「メラニアを呼べ」
と、指示したリティアさんは、にっこりと微笑んだ。
「アイラ」
「はっ」
「すまんが、さっきの言葉は忘れてくれ」
ええっ!?
私、なにか悪いことしてしまいました? 美人でおっぱい大きいアイラさんに面倒みてもらうの楽しみだったんですけど……。
名前も似てるし、いいコンビになれるかもしれませんよ……?
と、狼狽える私の気持ちをよそに、リティアさんは笑顔のままだ。
「アイカ。私の侍女にならぬか?」
「えっ……?」
「見たところ、アイカには珍しい守護聖霊があるようだ。見たことのない色がする」
おっと。それは日本由来の神様のどなたかですかね?
「今、しっかりと審神けられるメラニアという審神者を迎えに行かせているが、まれな守護聖霊のある者は私の第六騎士団で引き受けることになっている」
「あ、えっと……」
「どこか行くあてがあるなら仕方ないが、見たところそうでもなさそうだったのでな」
「あ、はい……。特に行くところは……」
悪いおっさんに悪いことされそうになったところを助けてくれた美貌の第3王女さま。お近くで美しい顔を愛でさせてもらっただけでも、恐れ多いのに、私を侍女にだと?
それは、ここにいる美しい人たちを愛で放題の、めくるめく王宮生活が待ってるヤツですか?
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