【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら

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195.持ち直し大浴場(1)

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「こういうときは、けずに、すぐスキンシップとるのよ!」

と、メイファンに引っ張られたアスマが、今朝けさも左腕をいる。

――むにんっ(左腕/上)。

里佳りかにフラれて初めてこぼした涙のせいか、丸1日、ふわふわと過ごしてしまった。

ひと眠りすると、宮城きゅうじょう1階の解体は終わっていた。それで、予定通り明日には回廊かいろう決戦けっせんの準備が整う。と、聞かされても、今ひとつ心がふるい立たない自分が不思議だった。

「いよいよだねぇ」

と、メイファンは背中をくれている。

――むにゅん(背中/下)。

昼一番に重臣じゅうしん会同かいどう招集しょうしゅうして、ウンランさんたち囚人しゅうじんの扱いをシアユンさんに一任することを決めた。

シアユンさんが彼らと話しをして「大丈夫」と判断した時点で釈放しゃくほうになる。

夕方には、外征がいせいから戻ったアスマが顔を見せてくれた。

「頼まれていた呪符モノは、太保シアユン殿に渡しておいた」

と、耳打ちしてくれた。

「ありがとう」と、笑顔でこたえたつもりだったけど、アスマに変な顔をされた。俺の様子がおかしいとさっせられたかもしれない。

夜の戦闘に向かう前に動揺どうようさせてしまったのではないかという後ろめたさも、なんだか他人事ひとごとのように感じた。

――むにんっ(左腕/下)。

そのアスマが気まずそうに、左腕をながら、俺の顔をチラチラ見ている。

いや、ホントにアスマのせいじゃないんだけど……。

回廊かいろう決戦けっせん重臣じゅうしん会同かいどう、ウンランさんの呪符じゅふ。色んなことが重要じゅうよう局面きょくめんを迎えてるタイミングで、虚脱きょだつ状態みたいになってる自分が情けない……。

「きっと、全部上手うまくいきますよ!」

と、右腕をくれるユーフォンさんが笑った。

――ふにゅん(右腕/上)。

ふわふわの、やわやわの、あわあわにつつまれてる自分の中がからっぽみたいな、変な感覚がする。

「明日。予定通り回廊かいろう決戦けっせんいどむの?」

と、メイファンがたずねた。

――むにゅん(背中/上)。

司馬兼剣士長フェイロンさん兵士長ヤーモン、それに司空ミンリンさんと話し合って、最終的には明日の夜明けに判断することにしたよ」

「そうかあ」

――むにゅん(背中/下)。

俺が決め切れないのを見兼みかねたフェイロンさんが、そのように仕切しきってくれた。

「……マレビト様?」

――むにゅん(背中/上)。

「え……?」

「聞いてる?」

と、メイファンの顔が真横にあった。

「あ……」

一瞬、真っ白になって、なにも考えてなかった……。

「私はねぇ、城壁の外の景色をマレビト様に見てもらいたいんだぁ」

――むにゅん(背中/下)。

「外……?」

「城壁に囲まれてて、外の景色って見たことないでしょ?」

――むにゅん(背中/上)。

言われてみたら、その通りだ。望楼ぼうろうからでも城壁の外は見えない。いや、取り囲む人獣じんじゅうたちに必死で、その外のことまで考えたことがなかった。

「私たちが狩りに行く森があってね」

――むにゅん(背中/下)。

「うん」

「森を抜けるとがけになってて、その崖に座ってながめる夕陽ゆうひがスゴいキレイなんだぁ」

――むにゅん(背中/上)。

「へえ……」

「崖の下は一面の草原で、その中に夕陽が沈んでいくの。マレビト様にも見せてあげたいなぁ」

――むにゅん(背中/下)。

第3城壁が高いとはいえ、山も見えないということは、大陸的な平地へいちがずっと続いてるんだろう。勇壮ゆうそうな日没の風景が頭に思いえがかれた。

「ひひっ! どう? 興味ある?」

――むにゅん(背中/上)。

「そうだな。すごくキレイなんだろうな」

里佳と第3城壁の上に並ぶ夢を見たことがある。外の景色をすごく綺麗きれいだと感じていて、人獣じんじゅうのいない城内から歓喜かんきの声が響く夢だった。

頑張った俺をめてくれるように、里佳は微笑ほほえんでいた。

少し、身体のしんに力が戻ってくるのを感じた――。
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