乳だけ立派なバカ女に婚約者の王太子を奪われました。別にそんなバカ男はいらないから復讐するつもりは無かったけど……

三葉 空

文字の大きさ
9 / 24

第9話 女の本能

しおりを挟む
 街外れの古びた宿屋のベッドにて、2人して横たわっていた。

「はぁ、はぁ……マミ、相変わらずすごかったよ」

「ありがとうございます……けど、ホリミック様」

「何だい?」

「せっかくなら、もっと良いスイートな部屋で致したかったです」

「それは俺もだけど、あまりお金を勝手に使うと、父上たちがうるさいから」

「ならば、宮殿のお部屋ですれば良いじゃないですか。私はあなたの子供を身ごもった、王妃になる女ですから、当然訪れても問題ないでしょう?」

「う~ん、そうなんだけど……まだ、父上と母上がシアラサイドにきちんと謝罪が済んでいないから。それまで固く禁止されているんだ。相手に迷惑をかけておきながら、お前はのんきに腰振り人形になるのかって」

「そうなんですか~……」

 マミは髪をくるくるといじりながら、退屈そうに言う。

(はぁ、何か期待外れだな)

 元より、この乳のデカさで上玉の男たちをメロメロにして来た。公爵子息さえも。

 けど、せっかくだから、もっと上を目指したいと思った結果、このバカな王太子、ホリミックを篭絡したのだ。それは良いのだけど……

(正直、あまりかっこよくないし、アレもテクもイマイチだし……)

 マミは欲求不満状態にあった。また、まだお腹は膨らんでいないが、これから妊娠したせいで体型が崩れて行くことが嫌だった。

(でもまあ、妊娠するとお乳も大きくなるし。それでまた、もっと良い男を落とそうかしら)

 とは言え、お気楽でおバカなマミも分かっている。王太子の夫がいながら浮気をしたら、自分が国外追放、下手をすれば処刑をされてしまうことを。

(はぁ~、失敗した。こんなことなら、そんな偉くなくても、ワイルドでかっこいい男たちと遊びまくっておけば良かった。これから生涯、こんな冴えない男としかエッチ出来ないなんて……)

 マミは己の未来が閉塞して行くようで、とても気分が萎えていた。

「おっと、いけない、もうこんな時間か。マミ、出よう」

「……はい」

 着替えを済ませて、宿屋から出た。

「じゃあ、俺は宮殿に戻るから。安心しろ、君はちゃんと家まで送らせる」

「ありがとうございます」

「また会おう、ハニー」

 ちゅっ。

(……おえっ)

 マミは吐き気を催す。それくらい、ホリミックに対して嫌悪感を抱いていた。

 彼は馬車に乗り込むと、最後まで手を振りながら去って行く。

「……はぁ~」

「マミ様、どうぞお乗り下さい」

「あ、どうも」

 テンションがひどく下がった状態で馬車に乗り込む。

 ガタゴトと、揺れる振動の方が、先ほどのあの男よりもよほど気持ち良かった。

「――っ!?」

 ふと、ボーっと窓の外を眺めていたのだけど、

「ちょっと、停めて!」

「は、はい?」

 御者は戸惑いつつも、馬車を停めた。マミは慌てて馬車から降りた。

「マミ様、どうされましたか!? あまり慌てると、お腹の子に良くありませんよ!!」

 そんな御者の忠告など、どうでも良かった。マミは街を歩く1人の男に釘付けになっていた。それは非常に整った顔立ちながらも、ワイルドさを感じさせる。恐らく、旅人だろう。身に纏うローブは良い具合に年季が入っていた。

「うっ……」

 この時、マミは今までにないくらい、乳が張り、子宮が疼くのを感じた。既に、そこには先客がいるのに……

「あっ」

 そのイケメンは、気付けば姿を消していた。マミはしばらく、彼の残像を求めてまたボーっとしていた。

「マミ様、大丈夫ですか? もしかして、具合が悪いとか……」

「いえ、むしろ絶好調ですよ~」

 マミはにやりと笑う。

「あの、私やっぱり歩いて帰ります」

「えっ? それはいけません。王太子さまの子を身ごもっているんですよ?」

「知らないんですか? 妊娠した時は、むしろ適度な運動が大事なんですよ~」

「そうかもしれませんけど……」

「じゃあ、そういうことで」

「あ、マミ様!」

 御者の言うことを聞くのは、お馬さんだけよ、と言わんばかりに。

 マミは鼻歌を歌いながら、1人で歩いて行く。

「……欲しい、あのイケメンの子が」

 マミは自分のお腹に目を落とし、ゆっくりと撫でる。

「……ごめんね」




しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

皇太子殿下の御心のままに~悪役は誰なのか~

桜木弥生
恋愛
「この場にいる皆に証人となって欲しい。私、ウルグスタ皇太子、アーサー・ウルグスタは、レスガンティ公爵令嬢、ロベリア・レスガンティに婚約者の座を降りて貰おうと思う」 ウルグスタ皇国の立太子式典の最中、皇太子になったアーサーは婚約者のロベリアへの急な婚約破棄宣言? ◆本編◆ 婚約破棄を回避しようとしたけれど物語の強制力に巻き込まれた公爵令嬢ロベリア。 物語の通りに進めようとして画策したヒロインエリー。 そして攻略者達の後日談の三部作です。 ◆番外編◆ 番外編を随時更新しています。 全てタイトルの人物が主役となっています。 ありがちな設定なので、もしかしたら同じようなお話があるかもしれません。もし似たような作品があったら大変申し訳ありません。 なろう様にも掲載中です。

妹に婚約者を奪われたので、田舎暮らしを始めます

tartan321
恋愛
最後の結末は?????? 本編は完結いたしました。お読み頂きましてありがとうございます。一度完結といたします。これからは、後日談を書いていきます。

婚約破棄されたショックで前世の記憶を取り戻して料理人になったら、王太子殿下に溺愛されました。

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 シンクレア伯爵家の令嬢ナウシカは両親を失い、伯爵家の相続人となっていた。伯爵家は莫大な資産となる聖銀鉱山を所有していたが、それを狙ってグレイ男爵父娘が罠を仕掛けた。ナウシカの婚約者ソルトーン侯爵家令息エーミールを籠絡して婚約破棄させ、そのショックで死んだように見せかけて領地と鉱山を奪おうとしたのだ。死にかけたナウシカだが奇跡的に助かったうえに、転生前の記憶まで取り戻したのだった。

姉の代わりになど嫁ぎません!私は殿方との縁がなく地味で可哀相な女ではないのだから─。

coco
恋愛
殿方との縁がなく地味で可哀相な女。 お姉様は私の事をそう言うけど…あの、何か勘違いしてません? 私は、あなたの代わりになど嫁ぎませんので─。

罠に嵌められたのは一体誰?

チカフジ ユキ
恋愛
卒業前夜祭とも言われる盛大なパーティーで、王太子の婚約者が多くの人の前で婚約破棄された。   誰もが冤罪だと思いながらも、破棄された令嬢は背筋を伸ばし、それを認め国を去ることを誓った。 そして、その一部始終すべてを見ていた僕もまた、その日に婚約が白紙になり、仕方がないかぁと思いながら、実家のある隣国へと帰って行った。 しかし帰宅した家で、なんと婚約破棄された元王太子殿下の婚約者様が僕を出迎えてた。

【完結】女王と婚約破棄して義妹を選んだ公爵には、痛い目を見てもらいます。女王の私は田舎でのんびりするので、よろしくお願いしますね。

五月ふう
恋愛
「シアラ。お前とは婚約破棄させてもらう。」 オークリィ公爵がシアラ女王に婚約破棄を要求したのは、結婚式の一週間前のことだった。 シアラからオークリィを奪ったのは、妹のボニー。彼女はシアラが苦しんでいる姿を見て、楽しそうに笑う。 ここは南の小国ルカドル国。シアラは御年25歳。 彼女には前世の記憶があった。 (どうなってるのよ?!)   ルカドル国は現在、崩壊の危機にある。女王にも関わらず、彼女に使える使用人は二人だけ。賃金が払えないからと、他のものは皆解雇されていた。 (貧乏女王に転生するなんて、、、。) 婚約破棄された女王シアラは、頭を抱えた。前世で散々な目にあった彼女は、今回こそは幸せになりたいと強く望んでいる。 (ひどすぎるよ、、、神様。金髪碧眼の、誰からも愛されるお姫様に転生させてって言ったじゃないですか、、、。) 幸せになれなかった前世の分を取り返すため、女王シアラは全力でのんびりしようと心に決めた。 最低な元婚約者も、継妹も知ったこっちゃない。 (もう婚約破棄なんてされずに、幸せに過ごすんだーー。)

異母妹に婚約者の王太子を奪われ追放されました。国の守護龍がついて来てくれました。

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 「モドイド公爵家令嬢シャロン、不敬罪に婚約を破棄し追放刑とする」王太子は冷酷非情に言い放った。モドイド公爵家長女のシャロンは、半妹ジェスナに陥れられた。いや、家族全員に裏切られた。シャロンは先妻ロージーの子供だったが、ロージーはモドイド公爵の愛人だったイザベルに毒殺されていた。本当ならシャロンも殺されている所だったが、王家を乗っ取る心算だったモドイド公爵の手駒、道具として生かされていた。王太子だった第一王子ウイケルの婚約者にジェスナが、第二王子のエドワドにはシャロンが婚約者に選ばれていた。ウイケル王太子が毒殺されなければ、モドイド公爵の思い通りになっていた。だがウイケル王太子が毒殺されてしまった。どうしても王妃に成りたかったジェスナは、身体を張ってエドワドを籠絡し、エドワドにシャロンとの婚約を破棄させ、自分を婚約者に選ばせた。

妹に全部取られたけど、幸せ確定の私は「ざまぁ」なんてしない!

石のやっさん
恋愛
マリアはドレーク伯爵家の長女で、ドリアーク伯爵家のフリードと婚約していた。 だが、パーティ会場で一方的に婚約を解消させられる。 しかも新たな婚約者は妹のロゼ。 誰が見てもそれは陥れられた物である事は明らかだった。 だが、敢えて反論もせずにそのまま受け入れた。 それはマリアにとって実にどうでも良い事だったからだ。 主人公は何も「ざまぁ」はしません(正当性の主張はしますが)ですが...二人は。 婚約破棄をすれば、本来なら、こうなるのでは、そんな感じで書いてみました。 この作品は昔の方が良いという感想があったのでそのまま残し。 これに追加して書いていきます。 新しい作品では ①主人公の感情が薄い ②視点変更で読みずらい というご指摘がありましたので、以上2点の修正はこちらでしながら書いてみます。 見比べて見るのも面白いかも知れません。 ご迷惑をお掛けいたしました

処理中です...