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7月 グロリオサ
第79話
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千秋にタラタラと話しかけながら寮へと戻れば、丁度飯時のようで、人で溢れかえっている食堂が視界に広がった。それを華麗にスルーして、千秋の手を軽く引きながらエレベーターホールへと向かう。
「今日の晩御飯はカップ麺ね。もうマジで疲れちゃった」
「……」
「演技については部屋で説明するから、ね?」
言外に絶対逃さんぞと笑顔で伝えれば、目を細めながら眉間に皺を寄せた。獣に威嚇されているようで、ふふ、と笑い声を漏らせば嫌そうに俺から目を逸らす。だから、嫌そうな顔を見るのも好きって言ったでしょ?からかって遊ぼうと思っていたが、タイミングよくエレベーターが来てしまう。開かれていく扉の向こうへと一歩足を踏み出して、小さくおいでと千秋に囁く。さらに顔を顰めた千秋は威嚇する獣そのもので、ぐるると空耳が聞こえてくる。ほんと、狼みたいだなぁ。そんなことをぼんやりと考えながら、エレベーターに乗り込む千秋の揺れる青髪を見つめた。
鍵を開けて真っ暗な部屋の電気をつける。ただいまぁ~おかえりぃ~なんて一人で呟きながら、靴を適当に放り出した。千秋もそれに倣い靴を脱ぎ、俺の分まで脇に並べる。心の中でニヤつきながらそれを眺めて、視線をこちらへ向けた千秋に笑いかけた。
「おかえりなさい、千秋」
「、…」
瞳を僅かに揺らした千秋が、意味もなく口を開け、また閉じた。なんとも言えない表情をする千秋にくすくすと笑いを漏らしながらリビングへと辿り着く。すぐさまリュックを下ろし、棚からカップ麺を二人分取り出してお湯を注ぎ込んでから、ウィッグを外して洗面所へと向かった。
洗顔を終えてリビングに出れば、丁度千秋がカップ麺に液体スープの素を入れていたので、隣に並んで俺もスープの素を入れる。千秋は優しいけど、こういうのはやってくれないのだ。甘えんなアホって一蹴されて終わり。散々な目にあった今日くらいやってくれたっていーじゃん!なんて目で見てみたが、スッとさりげなく逸らされてしまう。え~ん!千秋のケチ!
「テメェ、その面晒して良いのかよ?」
「ん、」
口に入れていたものを喉奥に無理矢理追い立てて飲み込む。喉を通っていく麺の感触が残って、若干の不快感を覚えながらも気にせず口を開いた。
「諒先輩にも壱成先輩にも見られちゃった。あーあ、千秋だけだったのに」
唇を尖らせながら、目の前で頬杖をついている千秋の顔を伺うように覗き見る。千秋の表情はいつものムッとした表情だ。眉間に皺を寄せ不機嫌そうにこちらを見ている。
「千秋と俺だけの秘密だったのにね。俺は少し残念なんだけど、千秋はどう?」
「…んなもん、どうでも良いに決まってンだろ」
瞳がすぐに逸らされる。心なしかいつもよりも不機嫌な千秋に気が付かれないように目を細めながら、食べかけのラーメンに手をつける。
持っていた箸を置いて残ったスープを飲むために器に口をつける。醤油のしょっぱすぎるくらいの濃い味がとっても体に悪そうでサイコーに美味しい。ぷはぁ~なんて息を吐いてから口元をティッシュで拭い、空になったカップ麺を回収する。千秋はとうの昔に食べ終えているので、千秋の分も回収し、ゴミ箱へ入れた。
「千秋的にはむしろ残念だもんね?まぁ、千秋の秘密を俺も握ってるから、まだまだ離れられないだろうけど」
下着やパジャマを片手で抱えながら洗面所へと向かう道すがら、千秋に向けてそう囁けば、眉間の皺がさらに深く刻まれる。それがとっても面白くってクスクス笑いながら風呂場へ駆け足で向かった。
熱い雨を頭から浴びる。雫が体を伝い落ちていく感覚を覚えながらも、脳みそに焼き付いた光景を思い出し、そっと指先を下半身に這わせる。保健室での戯れは、熱に浮かされていたせいもあってか、溶けてしまいそうなほどの快感だった。自分のものではない、大きな掌に握り込まれた己の愚息。その光景すら淫らで、俺は何度生唾を飲み込んだだろう。思い出すだけで熱い息が漏れ出てしまった。反応しつつある性器に呆れつつも、頭を振って思考を切り替えるために、シャワーの温度を少し上げた。
髪の毛をタオルで乱雑に拭きながら、くぁと一つ欠伸を零す。あれほど乱れたせいか、流石に体力も限界が近いらしく、どっと疲労と睡魔が襲いくる。ぐぬぬ、と呻きながら、千秋に髪の毛乾かしてもらえないかな…なんて邪な考えを抱き、ドライヤー片手に洗面所を後にした。
「おう、おかえ、り…あー、依夜、だもんな。そうだよな…」
「うわっ、イヨくん瞳紫色なの?ヤベェ、ちょ~~エロい…てかおめめとろんとろんじゃん!カワイ~~俺と2人っきりだったら絶対ェ食ってたワ!」
リビングに戻れば人が増えているではないか。分かっていたことではあったが、予想より随分早かった。驚きつつも2人に近づいて、にっこり笑顔を向けて見せる。
「どう?俺の瞳。アメジストみたいで綺麗でしょ?」
身を乗り出して琥珀とカラメル、糖度の高い二つの瞳を交互に見つめる。美味しそうだな、と呑気な感想を抱きながら2人からの賛辞を待つ。
「…おー、だな」
「マジでイヨくんの瞳スゲェ綺麗。俺こんな綺麗な瞳って初めて見たかもだワ…」
諒先輩の反応が薄い。すぐに目を逸らされてしまったし、もっとニカッと笑ってくれると思ったが、表情もイマイチだ。
ぐぐっとさらに詰め寄って、無理矢理瞳を合わせる。
「目、逸らさないで」
琥珀が一瞬、ギラリと輝きゆらめいた。俺の瞳をしっかりと射抜いているのを感じながら、意識して瞳を細める。諒先輩からの賛辞は未だ来ず、代わりに息を呑む気配だけがする。焦ったく思いながらも、ゆっくりと瞬きを繰り返せば、は、と小さく息を吐き、ほんの少し、引き結んでいた唇を開き、
「ぅおあ!?」
「っぶね~……」
体を思い切り離された。いつの間にか肩に置かれた手によってだと気がついてムッと唇を突き出す。
「諒先輩全然褒めてくんねーし」
「いや、お前…お前なぁ!」
「いいんちょ~の忍耐力スゲェ~~~ワ。俺ならがぶっといっちゃうナァ~~~」
壱成先輩は何の話してんの?
「今日の晩御飯はカップ麺ね。もうマジで疲れちゃった」
「……」
「演技については部屋で説明するから、ね?」
言外に絶対逃さんぞと笑顔で伝えれば、目を細めながら眉間に皺を寄せた。獣に威嚇されているようで、ふふ、と笑い声を漏らせば嫌そうに俺から目を逸らす。だから、嫌そうな顔を見るのも好きって言ったでしょ?からかって遊ぼうと思っていたが、タイミングよくエレベーターが来てしまう。開かれていく扉の向こうへと一歩足を踏み出して、小さくおいでと千秋に囁く。さらに顔を顰めた千秋は威嚇する獣そのもので、ぐるると空耳が聞こえてくる。ほんと、狼みたいだなぁ。そんなことをぼんやりと考えながら、エレベーターに乗り込む千秋の揺れる青髪を見つめた。
鍵を開けて真っ暗な部屋の電気をつける。ただいまぁ~おかえりぃ~なんて一人で呟きながら、靴を適当に放り出した。千秋もそれに倣い靴を脱ぎ、俺の分まで脇に並べる。心の中でニヤつきながらそれを眺めて、視線をこちらへ向けた千秋に笑いかけた。
「おかえりなさい、千秋」
「、…」
瞳を僅かに揺らした千秋が、意味もなく口を開け、また閉じた。なんとも言えない表情をする千秋にくすくすと笑いを漏らしながらリビングへと辿り着く。すぐさまリュックを下ろし、棚からカップ麺を二人分取り出してお湯を注ぎ込んでから、ウィッグを外して洗面所へと向かった。
洗顔を終えてリビングに出れば、丁度千秋がカップ麺に液体スープの素を入れていたので、隣に並んで俺もスープの素を入れる。千秋は優しいけど、こういうのはやってくれないのだ。甘えんなアホって一蹴されて終わり。散々な目にあった今日くらいやってくれたっていーじゃん!なんて目で見てみたが、スッとさりげなく逸らされてしまう。え~ん!千秋のケチ!
「テメェ、その面晒して良いのかよ?」
「ん、」
口に入れていたものを喉奥に無理矢理追い立てて飲み込む。喉を通っていく麺の感触が残って、若干の不快感を覚えながらも気にせず口を開いた。
「諒先輩にも壱成先輩にも見られちゃった。あーあ、千秋だけだったのに」
唇を尖らせながら、目の前で頬杖をついている千秋の顔を伺うように覗き見る。千秋の表情はいつものムッとした表情だ。眉間に皺を寄せ不機嫌そうにこちらを見ている。
「千秋と俺だけの秘密だったのにね。俺は少し残念なんだけど、千秋はどう?」
「…んなもん、どうでも良いに決まってンだろ」
瞳がすぐに逸らされる。心なしかいつもよりも不機嫌な千秋に気が付かれないように目を細めながら、食べかけのラーメンに手をつける。
持っていた箸を置いて残ったスープを飲むために器に口をつける。醤油のしょっぱすぎるくらいの濃い味がとっても体に悪そうでサイコーに美味しい。ぷはぁ~なんて息を吐いてから口元をティッシュで拭い、空になったカップ麺を回収する。千秋はとうの昔に食べ終えているので、千秋の分も回収し、ゴミ箱へ入れた。
「千秋的にはむしろ残念だもんね?まぁ、千秋の秘密を俺も握ってるから、まだまだ離れられないだろうけど」
下着やパジャマを片手で抱えながら洗面所へと向かう道すがら、千秋に向けてそう囁けば、眉間の皺がさらに深く刻まれる。それがとっても面白くってクスクス笑いながら風呂場へ駆け足で向かった。
熱い雨を頭から浴びる。雫が体を伝い落ちていく感覚を覚えながらも、脳みそに焼き付いた光景を思い出し、そっと指先を下半身に這わせる。保健室での戯れは、熱に浮かされていたせいもあってか、溶けてしまいそうなほどの快感だった。自分のものではない、大きな掌に握り込まれた己の愚息。その光景すら淫らで、俺は何度生唾を飲み込んだだろう。思い出すだけで熱い息が漏れ出てしまった。反応しつつある性器に呆れつつも、頭を振って思考を切り替えるために、シャワーの温度を少し上げた。
髪の毛をタオルで乱雑に拭きながら、くぁと一つ欠伸を零す。あれほど乱れたせいか、流石に体力も限界が近いらしく、どっと疲労と睡魔が襲いくる。ぐぬぬ、と呻きながら、千秋に髪の毛乾かしてもらえないかな…なんて邪な考えを抱き、ドライヤー片手に洗面所を後にした。
「おう、おかえ、り…あー、依夜、だもんな。そうだよな…」
「うわっ、イヨくん瞳紫色なの?ヤベェ、ちょ~~エロい…てかおめめとろんとろんじゃん!カワイ~~俺と2人っきりだったら絶対ェ食ってたワ!」
リビングに戻れば人が増えているではないか。分かっていたことではあったが、予想より随分早かった。驚きつつも2人に近づいて、にっこり笑顔を向けて見せる。
「どう?俺の瞳。アメジストみたいで綺麗でしょ?」
身を乗り出して琥珀とカラメル、糖度の高い二つの瞳を交互に見つめる。美味しそうだな、と呑気な感想を抱きながら2人からの賛辞を待つ。
「…おー、だな」
「マジでイヨくんの瞳スゲェ綺麗。俺こんな綺麗な瞳って初めて見たかもだワ…」
諒先輩の反応が薄い。すぐに目を逸らされてしまったし、もっとニカッと笑ってくれると思ったが、表情もイマイチだ。
ぐぐっとさらに詰め寄って、無理矢理瞳を合わせる。
「目、逸らさないで」
琥珀が一瞬、ギラリと輝きゆらめいた。俺の瞳をしっかりと射抜いているのを感じながら、意識して瞳を細める。諒先輩からの賛辞は未だ来ず、代わりに息を呑む気配だけがする。焦ったく思いながらも、ゆっくりと瞬きを繰り返せば、は、と小さく息を吐き、ほんの少し、引き結んでいた唇を開き、
「ぅおあ!?」
「っぶね~……」
体を思い切り離された。いつの間にか肩に置かれた手によってだと気がついてムッと唇を突き出す。
「諒先輩全然褒めてくんねーし」
「いや、お前…お前なぁ!」
「いいんちょ~の忍耐力スゲェ~~~ワ。俺ならがぶっといっちゃうナァ~~~」
壱成先輩は何の話してんの?
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