救う毒

むみあじ

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9月 コルチカム

第118話*

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湿った空気と体を包み込む暖かさに、ほぅと吐息を漏らす。頭皮に触れる感覚が心地よくて、なんだか眠くなってきた。



「依夜様、痒いところはございませんか?」
「んーん、ないよぉ…きもちぃ…」
「洗い流しますので、上を向いてくださいますか?」
「はぁい」



ザーッという水音と共に熱い水が皮膚に触れて、雫になって流れていく。目を伏せて心地よさに身を任せていると、水音が止んだ。目を開けてみれば、慣れた手つきで俺の使っているコンディショナーを手に取り毛先へと塗りつけている八剣が鏡へと映った。真剣な表情ではあるものの、どこか嬉しそうな彼をくすりと笑って、このご褒美にしてよかったなと心の底から思う。

誘拐犯に攫われた俺だったが、自力で犯人を拘束し頼れる大人に即連絡。そこでお迎えが来てくれることが判明し、無事お迎え係の八剣に保護され、自宅のお風呂場で八剣に懇切丁寧にお世話をされているのが現状だ。え?ネイブはどうしたって?彼は誘拐犯の捕縛担当らしいから、そのまま置いてきちゃった!もしかすると、誘拐犯と“お楽しみ”中かもね



「依夜様、お身体を洗わせていただきます。…その、下も、よろしいのでしょうか…?」
「ん?うん、勿論。小さい頃みたいに、して?」


いつの間にかコンディショナーも洗い流されていたようで、八剣は手にボディソープをのせ、モコモコと泡立てて待っていた。控えめに聞いてくる彼にふふ、と笑みを漏らしてから腰掛けていたバスチェアから立ち上がり、彼へと裸体を晒す。


ぐ、と喉から声を出した八剣は、そのまま掌を俺の体へと押し付け、流れるように体をなぞっていく。


「…後ろを向いていただけますか?」
「うん」


いう通りに後ろを向けば、彼の節くれだった大きな手が俺の背中をなぞり、脇の下をくすぐった。くふくふと笑いを漏らしながらきゅっと脇を閉じれば、困ったように眉を下げた八剣が鏡越しに顔を覗かせる。


「ふふ、くすぐったい」
「…少々、我慢していただけますか?申し訳ありません…」
「んふふ、ふふっ、がんばる」


体を撫でる手がくすぐったくてどうしても笑いが漏れてしまう。それでもなんとか耐えていると、下半身へと手が伸びる。尻たぶを持ち上げるように指が流れ太ももの内側に指が這う。悪戯心で太腿に手を挟むと、ぐ…と息を詰める音が背後から聞こえた。


「ふふ、くすぐったいからダメ」
「…い、いよさま…」


おろおろと困り顔を浮かべる八剣に口角が上がる。困り顔が好き。俺が困らせているのだと思うともっと好き。だって可愛いから。


「ぁわ、」
「申し訳ありません、少々このままで…手早く済ませますので…」


しかしそれもすぐさま覆される。俺の太ももにもう片方の手を差し込み、肩幅程に足をひらかせた彼は、俺を自身の太ももの上に座らせてからすかさず俺の腹部に腕を回した。

そのまま手を下半身へと滑らせ、鼠蹊部を軽く撫でられる。


「、ぁ…ん…っ」


鼠蹊部を撫でた手は、すぐに俺の性器を掴み上下に撫でた。そのまま大きな手で俺の性器が扱かれ、手淫で上りつめてしまう想像をし、背筋をぶるりと震わせる。しかし、そんな想像とは裏腹に、パッと離される掌。名残惜しさを感じて、無意識にも追い縋ろうとした腰にハッとする。


「…依夜様、お体を流しますね」
「ぇ、あ……うん」


ぼんやりとしたまま体を流れていく泡と温水を眺める。脳裏を駆け巡るのは、ニィさんと秀にぃさんに施された淫猥な行為の数々。それらは脳裏に焼きつき、体に刻み込まれた。

ぽたり、と紫黒の毛先から雫が溢れ落ちる。それを見届けてから、熱を持て余す体を八剣へと向ける。


「八剣、濡れちゃったね」


俺の体を抱き込んだせいで濡れてしまったシャツは、その下に隠された肌をうっすらと透かした。仕事だからと言って服を脱がなかった八剣だが、結局はシャワーの飛沫で多少なりとも濡れると分かっていたのだから、大人しく俺とお風呂に入ってしまえばよかったのだ。

透けたシャツのボタンに手をかけて、濡れた手で一つ一つ外していく。「依夜様っ…!?」という驚愕の溢れた声と共に、俺の手を止めようとした八剣へ目だけで待てと命令して、そのままボタンを全て外した。

鍛え抜かれた腹筋が、シャツの隙間から顔を覗かせる。そこを指でつーとなぞれば、擽ったいのかピクリと筋肉が蠢いた。くすくすと笑みを漏らしながら、そのまま指を下へ這わせズボンのボタンを外してチャックを下ろす。


「ねぇ、八剣…一緒に気持ちいいことしよ?」






はぁ、と漏れた熱い息はどちらのものかもわからない。沸騰した脳みそは、ただひたすら快楽を追い求めるだけだ。


「ぁあっ…ん、ふぁっ…♡」
「はぁ…っいよ様ッ…」


壁に手をついた俺は、背後に立った八剣の大きな手によって性器を優しく握り込まれている。太腿に挟んでいる八剣の性器が前後に動く度に、連動するように俺の性器も扱かれ、頭がおかしくなりそうだ。


「あ゛ッ♡ぁ、あっ♡やつるぎ、やつるぎぃっ…♡きもち、っはぁ…♡きもちぃ…♡」
「いよ様っ、いよさまっ…!」


ぐちゅりぬちゅりと、粘ついた水音が反響する。その卑猥な音に体はさらに昂って、握り込まれている俺の性器はより一層張りつめた。


「っいよ様、興奮しているのですか…?ここが、さらに大きくなりましたよ…?」
「ん、やぁ…っ」
「あぁ、ほら、っまた大きくなりましたね」
「んぅう~っ…♡」


腰の動きを止めた八剣は、俺の性器の先端を親指でぐりぐりと抉るように弄ぶ。ずくりと熱くなる腰と足元から覚束なくなるような快感に、俺はたまらず喘ぎ声をあげた。しかし、快感に身を捩る俺を無視して、彼は俺の耳元で甘く囁きながら更に先端を擦るように撫でる。


「すごい量の我慢汁ですよ?ふ、まるで女性の愛液のようですね…」
「ぉ、♡ぉ、お、んなのこ、じゃッ…♡ない、もんっ♡」
「えぇ、そうですね。依夜様は、男の子です。男の子なのに、従者であり飼い犬である私に、性器を手で慰められ気持ちよくなってしまう、いやらしい、男の子ですね」
「っ、ぅう~~~っ…♡」


浅ましくもビクビクと震えてしまう腰に八剣の手が添えられる。労わるように撫でられる度に甘い痺れが止まらず、より一層性器に熱が集まる。恥なんて早々に捨てている俺は、直接的な刺激が欲しくて、かくかくと腰を動かし始めていた。


「…おや…私の手がそんなにも気持ちいいのですか?」
「ふ、ッう~っ…♡ぅん、っ…はぁっ♡やつるぎのて、きもちぃの…っ♡もっと、いっぱぃ…ぁっ…♡しこしこっ♡って、して…?」
「ッ、いけないお人だ…えぇ、仰せのままに…」


太ももに挟んでいるそれが、硬さと大きさを増したのをひしひしと感じる。
壁に額を押し付けながら下半身を見てみれば、大きな掌から顔を覗かせている俺の薄桃色の性器と、太ももに挟まれた赤黒い八剣の性器先端が目に入る。大きさも色も違うそれを見比べれば、思わずくらりときてしまった。


「ぁっ、あっ、あっ…♡やつるぎ、やつるぎぃ…ッも、ぃく…♡いぅ゛ッ…♡」
「いよさま、いよさまッ…」
「も、ぃくっ…ぃく、いく、いぐっ…♡♡」


性器全体を包み込んでいる掌が、前後させるスピードを早めていく。はっ、はっ、はっ、と犬のように息を吐いて、口からだらしなく涎を垂らしている俺は、透明な汁によっててらてらと輝く性器と掌に、どうしようもない興奮を覚えた。

馬鹿の一つ覚えのように、いく、いく、と喘ぐものの、肝心の精液は一滴も出る気配がない。いつまでもぐるぐると腹の底をのたうち回る熱が焦ったくて、浴室の壁に無い爪を立てた。ぐちゃぐちゃに攪拌された脳みそは何もかもを投げ出して、反射のように言葉を紡いでいく。


「ぃかへてッ♡い゛、かしぇてッ♡くらさぃっ…♡」
「ッふふ、どこへ…ですか?」
「っわかってる、くせにぃ゛ッ♡ぁ゛っ♡」
「いいえ、私は貴方からの命令がなければ動けない木偶の坊ですからッ」
「ぉ、♡ぉおうそつきめぇッ♡ぁう゛ッ♡」
「それで、どうして欲しいのですか?」


どうして欲しいのか、と耳元で呟かれぶるりと背中が震える。これは、ダメだ。だめ。でも、むりだ。耐えられない。こんなのはたえられない。


「ゃつるぎのっ…♡はぁ、っ♡おっきいてでッ♡おれのちんぽしこしこしてっ♡いけってめいれぃしてっ♡ざーめんださせてッ…♡ごしゅじんさまからのっ、めいれいだからっ♡」
「あぁ、混濁してしまって……お可愛らしい…えぇ…えぇ…仰せのままに、依夜様」


俺がごしゃじんさまなのに、俺をワンちゃん扱いしてくる八剣に、おれはわんちゃんとしてめいれいするしかないのだ。

ごちゃごちゃになった脳みそで導き出した答えを精査する事もなく、太ももを先程よりもキツく閉じながら腰を振る。く、と声を漏らした八剣に気をよくしながらまたダラダラと涎を垂らして声を漏らした。


「ッいよさま…口吸いの許可をッ…」
「あっ♡うっ、はぁっ…♡ん、ちゅうっ♡いぃよっ、えろいちゅうっ♡」
「いよさまッ…!」


俺と同じくらいに一心不乱になって腰を打ちつけていた八剣が、俺にちゅうの許可を求めた。俺は素直に八剣の方へと顔を向け、だらしなくも舌をれろ、と出して見せる。ギラギラと情欲に濡れる瞳が俺を射抜き、性急に俺の舌へとむしゃぶりついて肉厚な舌を絡ませた。

卑猥な音に淫らな光景、どちらともわからない唾液の味は甘く、浴室の中を満たす空気は性の香りを孕み、肌が粟立つような快楽は俺の体を戦慄かせる。




五感全てを淫蕩に浸した俺は


「イケッ…」


八剣の発した、たった二文字の言葉によって




「ぁッ、ッ~~~~~ッッ♡♡♡」



声にもならない嬌声を上げながら、はしたなく白濁を溢れさせた。

それは八剣も同じだったようで、太ももに挟んだ彼の性器がどくどくと脈動し、勢いよく溢れた白が俺のものと混ざり合い床へと溜まっている。


前後不覚になった俺は、それを呆然と眺めながらゆっくりと瞼を落とした。
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