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自覚前①
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私達は食べ終わった食器を片付けていた。
「今日は楽しかったわね~」
雪ちゃんが、上機嫌で呟く。
「そうですね。私も久し振りにすごく楽しかったです」
買い物でストレスも発散出来たし。
……まあ、『笹木』と言う一番の悩みの種が全く解決していないんだけど。
「ハンバーグも美味しかったし、大満足よ」
食器洗剤でアワアワになった手をすすぎながら、雪ちゃんがニコニコしている。
余程楽しかったんだろうな。
「ありがとうございます」
嬉しい。料理を褒められると嬉しいのは誰だってそうだよね。
ふふっ、とニヤけながらテーブルに残っているコップを取りに行く。
「明日もお休みですし、まだ飲みますか?」
私はワインを指差した。
ハンバーグを食べながら少し飲んだけど、まだボトルに半分位残っている。
「そうね……そうしようかしら」
「じゃあ、軽くつまめる物何か作りますか?」
「本当?嬉しいわぁ。お願い出来るかしら?」
私は「分かりました」と言って、ふと目に付いたアボカドを手取る。
チップスを買って来たから、アボカドのディップを作る事にしよう。
「アボカド大好き♡」
「それは良かったです。すぐ出来るんで、座って待っていて下さい」
「はーい」
食器を洗い終えた雪ちゃんは、手に付いた泡をザバザバと洗い流し、いそいそとソファーに腰を下ろした。
なんか、わんこみたいで可愛い
「あと何かあったっけ……あ、あのチーズで良いか」
キューブ型の、一口サイズのチーズを買っていた事を思い出した。
「さて…と……作っちゃいますか」
私は、チャチャッとアボカドのディップを作り、器に盛り付ける。
お皿の中心にそれを置き、その周りをグルッと囲うようにチップスを並べた。
チーズは、少し深目のお皿にザラッと出した。
「お待たせしました」
トレイに乗せて、雪ちゃんの所へ運ぶ。
「待ってました♡」
観ていたテレビを消し、テーブルに向き直る。
「美味しそうね」
並べた物をキラキラした目で見て、雪ちゃんが呟やく。
「さ、どうぞ食べて下さい」
「はーい、いただきます♡」
私はワインの入ったグラスを、雪ちゃんに渡した。
「うん!美味しい!アボカドのこのとろける感じ、最高ね!」
さっきあんなに夕飯を食べたとは思えない勢いでパクパクと口へ運んでいるのを見て、私はやっぱり嬉しくなってふふと笑った。
「良かったです」
私も…と手を伸ばした所で雪ちゃんが、
「そーだ!こないだ知り合いから高いワイン頂いたんだわ!それも開けちゃいましょう!」
と、ポンッと手を叩き、キッチンの方へ小走りで走って行った。
高いワイン……ちょっと楽しみ。
「二丁目で仲良くなったおじさまに、『最近ワインに凝ってる』って言ったらくれたのよ~」
そう言ってテーブルに置かれたワインは、高級感が漂っていた。
真っ黒の箱に、金色の英字体で「なんとか~」って書いてある。
……読めない。
「確かに高そうですね……」
箱の形状から見て、3~4万はしそうだった。
「確か、7万くらいだった様な……」
「な、ななまん!?」
ワーオ……予想を越えた値段に、目眩がする。
「高いワインってたまに飲みにくいのがあったりするんだけど、これは美味しかったの。2本貰ってたんだけど、1本は飲んじゃった」
2本……14万……。
もう眩暈すら飛び越えて、目が点。
そんな私を他所に、雪ちゃんは手際よくコルクを開ける。
「今日は楽しかったわね~」
雪ちゃんが、上機嫌で呟く。
「そうですね。私も久し振りにすごく楽しかったです」
買い物でストレスも発散出来たし。
……まあ、『笹木』と言う一番の悩みの種が全く解決していないんだけど。
「ハンバーグも美味しかったし、大満足よ」
食器洗剤でアワアワになった手をすすぎながら、雪ちゃんがニコニコしている。
余程楽しかったんだろうな。
「ありがとうございます」
嬉しい。料理を褒められると嬉しいのは誰だってそうだよね。
ふふっ、とニヤけながらテーブルに残っているコップを取りに行く。
「明日もお休みですし、まだ飲みますか?」
私はワインを指差した。
ハンバーグを食べながら少し飲んだけど、まだボトルに半分位残っている。
「そうね……そうしようかしら」
「じゃあ、軽くつまめる物何か作りますか?」
「本当?嬉しいわぁ。お願い出来るかしら?」
私は「分かりました」と言って、ふと目に付いたアボカドを手取る。
チップスを買って来たから、アボカドのディップを作る事にしよう。
「アボカド大好き♡」
「それは良かったです。すぐ出来るんで、座って待っていて下さい」
「はーい」
食器を洗い終えた雪ちゃんは、手に付いた泡をザバザバと洗い流し、いそいそとソファーに腰を下ろした。
なんか、わんこみたいで可愛い
「あと何かあったっけ……あ、あのチーズで良いか」
キューブ型の、一口サイズのチーズを買っていた事を思い出した。
「さて…と……作っちゃいますか」
私は、チャチャッとアボカドのディップを作り、器に盛り付ける。
お皿の中心にそれを置き、その周りをグルッと囲うようにチップスを並べた。
チーズは、少し深目のお皿にザラッと出した。
「お待たせしました」
トレイに乗せて、雪ちゃんの所へ運ぶ。
「待ってました♡」
観ていたテレビを消し、テーブルに向き直る。
「美味しそうね」
並べた物をキラキラした目で見て、雪ちゃんが呟やく。
「さ、どうぞ食べて下さい」
「はーい、いただきます♡」
私はワインの入ったグラスを、雪ちゃんに渡した。
「うん!美味しい!アボカドのこのとろける感じ、最高ね!」
さっきあんなに夕飯を食べたとは思えない勢いでパクパクと口へ運んでいるのを見て、私はやっぱり嬉しくなってふふと笑った。
「良かったです」
私も…と手を伸ばした所で雪ちゃんが、
「そーだ!こないだ知り合いから高いワイン頂いたんだわ!それも開けちゃいましょう!」
と、ポンッと手を叩き、キッチンの方へ小走りで走って行った。
高いワイン……ちょっと楽しみ。
「二丁目で仲良くなったおじさまに、『最近ワインに凝ってる』って言ったらくれたのよ~」
そう言ってテーブルに置かれたワインは、高級感が漂っていた。
真っ黒の箱に、金色の英字体で「なんとか~」って書いてある。
……読めない。
「確かに高そうですね……」
箱の形状から見て、3~4万はしそうだった。
「確か、7万くらいだった様な……」
「な、ななまん!?」
ワーオ……予想を越えた値段に、目眩がする。
「高いワインってたまに飲みにくいのがあったりするんだけど、これは美味しかったの。2本貰ってたんだけど、1本は飲んじゃった」
2本……14万……。
もう眩暈すら飛び越えて、目が点。
そんな私を他所に、雪ちゃんは手際よくコルクを開ける。
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