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第1章 家をつくろうと思っていたら街ができてい
29.アプルル採取
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あれから俺たちはいろいろな遠征依頼や討伐依頼を受け宝玉を集めては売るなんてことをしようとしていた俺たちだったが、素材を売るだけで結構な儲けになるので俺の取り分は『宝玉』は売らないことにしている。
『宝玉』を落とすとまるで磁石に引き寄せられるように動く。そんな不思議なもの、集めてみたくなるじゃない。しかも、これ、念動力で動かそうとすると震えだして光るのだ。何この不思議物体。
何か素材に使えそうな気がして、売らないで取っておいているのだ。
ファナさんも現金化しているとついつい使ってしまうので『宝玉』はそのままにしておいて、本当に欲しい武器が見つかった時に現金化して使うようにするなんて言っている。
クレジットカードを使わない人の言い分みたいだが。
武器オタクのファナさんなら簡単に溶かしそうなので、さもありなんという感じだ。
「指名依頼ですか?」
今日も何か依頼を受けようかと冒険者ギルドに向かったところ、受付のお兄さんに捕まった。
俺たちに指名依頼があるらしい。最近は、引っ越しの手伝い依頼とか、開拓依頼とか、普通に考えて冒険者に頼む依頼じゃないのが多かったが今日はどんな依頼かな。
首を傾げるとお兄さんが手と手を目の前で組んでお祈りのポーズみたいなのをし出した。
「うん、アプルルの採取依頼。100個で10金貨。今回の依頼主はぜひ納品を直接してほしいって言ってるけど、どうかな? よければ教会に行ってくれるかい?」
「教会関係者からの依頼か」
「うん、そうだよ。何か話したいことがあるみたい。無理強いをする気はないって言ってたから、気軽に行ってくれて大丈夫だと思うけど」
「どうする、マコト」
ファナさんに問われて俺は頷いた。どんな話があるか気になるが、指名依頼をクリアすると冒険者ギルドのなかでのランクが上がっていくらしいし、アプルルの納品ならすぐ達成できるから受けてもいいと思う。
ファナさんも同じ考えだったのだろう。
「じゃ、受託する」
「はーい、了解」
二人して受付のお兄さんにギルドカードを差し出して、アプルルの採取依頼を受託した。
◆
アプルルはジャイアントスパイダーの大好物なので、それを取りに行くのは非常に難易度が高いらしい。というのもアプルルの生えているところはすなわちジャイアントスパイダーの縄張りになるので、その縄張りに入った上に彼らの目を盗むか、無双しながらアプルルを収穫しなくてはならない。
だから、『辺境の森』の採取依頼の中でもずば抜けて難易度が高く、故に報酬も高いのだ。
だがしかし、俺たちにはそんなことは関係ない。
久々に戻ってきた『防衛拠点』。
そこには俺がコツコツとつくったアプルルの果樹園がある。
もはやチートレベルに採集が簡単である。しかしこの『防衛拠点』自体、死にそうになりながらつくったものであるので、ずるをした感は薄い。それに約2週間、俺の生命を支えてくれた子たちだ。たまに戻ってきて愛情をもって育てている。
「いつ見ても『防衛拠点』は壮観だな。じゃあ、採集に取り掛かるか」
「はい、根こそぎ取っていきましょう」
と、いってもアプルルの生命力は非常に高いので、採集自体には気を遣わず根こそぎ果実を取ってしまっても2~3日経てば、またすべて復活してくれる。
ファナさんと協力してアプルルの木から根こそぎアプルルを採取していく。
ファナさんは身軽に跳ねて大剣で器用にもアプルルだけを切り落として背中のかごに入れて行っている。俺はというとそんな身軽に動けないので、ひたすら念動力を使って周辺のアプルルを引き寄せている。念動力は早い速度で動かせないので、目につく限り一気に動かし、『無限収納』に入れられそうな範囲まで持ってくる、という感じだ。
手数で勝負か、速度で勝負か。俺たちの採取速度は拮抗していた。
まとめて採取して『無限収納』に突っ込むだけという超お手軽な採取方法の俺と拮抗するファナさんが恐ろしすぎる。
20本くらいのアプルルから、それぞれ200個くらいのアプルルが取れます。
さて、ファナさんとマコトさんが採取したアプルルの総数は何個でしょうか。
そんなことを考えながらどっさりアプルルの入ったカゴたちをファナさんから受け取る。
「めっちゃ取れたなぁ」
ファナさんが満足そうに笑っている。取れすぎである。
俺は受け取ったカゴたちを片っ端から無限収納に突っ込んでいく。
「ですね。納品用に100個は分けておきましょうか」
カゴをいくつかしまわないでおいて、他の箱を無限収納から取り出す。
残したカゴから100個数えながら箱に振り分ける。これは、納品用、と。100個+αくらいを詰めた箱をそう考えながら『無限収納』にしまうと、しっかり納品用アプルルと、普通に採取したアプルルが『無限収納』の枠で区別された。ひとまとめにされてしまうと取り出す時、大変だからね。こういった技が必要なのだ。
「じゃ、戻るか」
俺がすべてしまい終えたのを見て、ファナさんがそう言った。
頷いて、歩き出す。防衛拠点の防壁の一部を念動力で動かして外に出てから、念入りにその出口を閉じる。
そこからはジャイアントスパイダーやらジャイアントアントやらを避けながらいつも通り街まで戻った。
『宝玉』を落とすとまるで磁石に引き寄せられるように動く。そんな不思議なもの、集めてみたくなるじゃない。しかも、これ、念動力で動かそうとすると震えだして光るのだ。何この不思議物体。
何か素材に使えそうな気がして、売らないで取っておいているのだ。
ファナさんも現金化しているとついつい使ってしまうので『宝玉』はそのままにしておいて、本当に欲しい武器が見つかった時に現金化して使うようにするなんて言っている。
クレジットカードを使わない人の言い分みたいだが。
武器オタクのファナさんなら簡単に溶かしそうなので、さもありなんという感じだ。
「指名依頼ですか?」
今日も何か依頼を受けようかと冒険者ギルドに向かったところ、受付のお兄さんに捕まった。
俺たちに指名依頼があるらしい。最近は、引っ越しの手伝い依頼とか、開拓依頼とか、普通に考えて冒険者に頼む依頼じゃないのが多かったが今日はどんな依頼かな。
首を傾げるとお兄さんが手と手を目の前で組んでお祈りのポーズみたいなのをし出した。
「うん、アプルルの採取依頼。100個で10金貨。今回の依頼主はぜひ納品を直接してほしいって言ってるけど、どうかな? よければ教会に行ってくれるかい?」
「教会関係者からの依頼か」
「うん、そうだよ。何か話したいことがあるみたい。無理強いをする気はないって言ってたから、気軽に行ってくれて大丈夫だと思うけど」
「どうする、マコト」
ファナさんに問われて俺は頷いた。どんな話があるか気になるが、指名依頼をクリアすると冒険者ギルドのなかでのランクが上がっていくらしいし、アプルルの納品ならすぐ達成できるから受けてもいいと思う。
ファナさんも同じ考えだったのだろう。
「じゃ、受託する」
「はーい、了解」
二人して受付のお兄さんにギルドカードを差し出して、アプルルの採取依頼を受託した。
◆
アプルルはジャイアントスパイダーの大好物なので、それを取りに行くのは非常に難易度が高いらしい。というのもアプルルの生えているところはすなわちジャイアントスパイダーの縄張りになるので、その縄張りに入った上に彼らの目を盗むか、無双しながらアプルルを収穫しなくてはならない。
だから、『辺境の森』の採取依頼の中でもずば抜けて難易度が高く、故に報酬も高いのだ。
だがしかし、俺たちにはそんなことは関係ない。
久々に戻ってきた『防衛拠点』。
そこには俺がコツコツとつくったアプルルの果樹園がある。
もはやチートレベルに採集が簡単である。しかしこの『防衛拠点』自体、死にそうになりながらつくったものであるので、ずるをした感は薄い。それに約2週間、俺の生命を支えてくれた子たちだ。たまに戻ってきて愛情をもって育てている。
「いつ見ても『防衛拠点』は壮観だな。じゃあ、採集に取り掛かるか」
「はい、根こそぎ取っていきましょう」
と、いってもアプルルの生命力は非常に高いので、採集自体には気を遣わず根こそぎ果実を取ってしまっても2~3日経てば、またすべて復活してくれる。
ファナさんと協力してアプルルの木から根こそぎアプルルを採取していく。
ファナさんは身軽に跳ねて大剣で器用にもアプルルだけを切り落として背中のかごに入れて行っている。俺はというとそんな身軽に動けないので、ひたすら念動力を使って周辺のアプルルを引き寄せている。念動力は早い速度で動かせないので、目につく限り一気に動かし、『無限収納』に入れられそうな範囲まで持ってくる、という感じだ。
手数で勝負か、速度で勝負か。俺たちの採取速度は拮抗していた。
まとめて採取して『無限収納』に突っ込むだけという超お手軽な採取方法の俺と拮抗するファナさんが恐ろしすぎる。
20本くらいのアプルルから、それぞれ200個くらいのアプルルが取れます。
さて、ファナさんとマコトさんが採取したアプルルの総数は何個でしょうか。
そんなことを考えながらどっさりアプルルの入ったカゴたちをファナさんから受け取る。
「めっちゃ取れたなぁ」
ファナさんが満足そうに笑っている。取れすぎである。
俺は受け取ったカゴたちを片っ端から無限収納に突っ込んでいく。
「ですね。納品用に100個は分けておきましょうか」
カゴをいくつかしまわないでおいて、他の箱を無限収納から取り出す。
残したカゴから100個数えながら箱に振り分ける。これは、納品用、と。100個+αくらいを詰めた箱をそう考えながら『無限収納』にしまうと、しっかり納品用アプルルと、普通に採取したアプルルが『無限収納』の枠で区別された。ひとまとめにされてしまうと取り出す時、大変だからね。こういった技が必要なのだ。
「じゃ、戻るか」
俺がすべてしまい終えたのを見て、ファナさんがそう言った。
頷いて、歩き出す。防衛拠点の防壁の一部を念動力で動かして外に出てから、念入りにその出口を閉じる。
そこからはジャイアントスパイダーやらジャイアントアントやらを避けながらいつも通り街まで戻った。
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