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第2章 宝玉を追いかけていたら世界を救っていた
49.古代文明
しおりを挟むエルフの斥侯アイレさんを仲間に加えて、洞窟探索を開始した。
洞窟には案の定罠が大量にしかけられており、俺たち3人はアイレさんの後ろをこわごわとついて歩くこととなった。
本当に俺たちに罠を見つけるセンスがないらしく、アイレさんの前を歩こうものなら5秒で罠を踏み抜きそうになるためだ。
しかも、洞窟にはほとんどモンスターはおらず――居ても俺がスキルも使わずに倒せるレベルの虫みたいなやつしかいない――俺たち3人は完全にお荷物であった。
「本当にアイレが仲間になってくれてよかった」
罠を解体しているアイレさんを見ながらファナさんが言った。深く頷く。
アイレさん曰く、この先に進むと人間の存在を感知するセンサーのようなものがついていて、空間ごと爆破されるようになっているらしい。
よくそんなことがわかるよね。そう言われて見ても、こっちはよくわからないというのに。
ファナさんはそこにいるだけで安心感を与えてくれるし、美しいから無問題だ。クレト様も観賞しているだけで心が浄化されるので、この薄暗い洞窟において十分に役割を果たしている。
何かしら仕事しないと申しわけない気分になってくるが変に手を出しても足手纏いになるだけなので、我慢する。
念動力で壁に印をつけることでマッピングの協力をしようとか思ったが、ここまで道はほぼ一本道だし。アイレさんも普通にマッピングできているみたいだ。
そんなわけで肩身を狭くしながらアイレさんの指示に従って、おおよそ30分ほど歩き続けたところ、行き止まりにたどり着いた。
え? 行き止まり?
もしかして気が付かなかっただけで他に脇道があった?
宝玉を『無限収納』から取り出して念動力をこめると、宝玉が輝いて行き止まりの壁の方に向かって光の筋を出した。
「ここが終着地点みたいだな……?」
ファナさんが首をひねった。
おかしい。宝玉の光に導かれてたどり着いた洞窟なのに、罠しかなくてしかも最終的には行き止まりに到着するなんて。
そんな夢のない話があるだろうか……。現実って無常すぎる……。
すっかり肩を落とす俺たちだったが、そこで俺はハッと閃いた。
いかにもな洞窟にたどり着いたからここがゴールだと信じてやまなかったが、ここはまだ通過点であり、この壁よりずっと先に目的地があるのでは?
罠がないか確かめるために耳をつけて壁をトントン叩いているアイレさんを見る。ここで罠がなければこの洞窟のある山を迂回して、その先に進むとしよう。
罠の探知が終わったアイレさんが難しそうな顔をして戻ってきた。
「いえ、この壁は薄くつくられており、壁の先に空間があるようです」
「じゃあ、壁を壊しましょう!」
俺は勢いよく言った。そんなん、絶対何かある!
「罠の類はないんですよね?」
念のためそう確認すると、アイレさんが頷いてくれた。俺は気合を入れて、壁に近づくと、念動力で壁の岩を動かし始めた。
壁の真ん中から穴が開いて、その穴が広がるように想像して……。
俺の想像通りに壁はゆっくりと動き出した。
「え、」
「わぁあ」
「なんと……」
「……!」
壁の先に広がっていた光景を見て、俺たちは息を呑んだ。
そこに広がっていたのは、コンクリートのように見える床や壁、張り巡らされた金属の管と、機械のようなもの。
「古代……文明……?」
クレト様が呆然とつぶやいた。
そう、目の前にあったのはSFチックな広々とした空間だったのだ。
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