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戰蹴鞠
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奇天烈船の建造が始まった。
その仕様は、模型造りをしていた職人たちにしっかりと伝えてある。造船所も前々から目星をつけていたところを常備兵で一気にほじくり返し、完成させた。甲斐からは立派な丸太が富士川を下りどんどん届いている。職人たちの住む場所も、その材木で作れる。なにせエリート職人集団なのだ。自分達でなんだって作れる。
こうして造船計画に手がかからなくなると、義元は公卿・冷泉 為和を今川館に呼んだ。
「これは太守様、ご機嫌麗しゅう」
「うむ、そなたも息災のようでなによりじゃ」
冷泉家の家領は今川領地内にあるため、だいたい駿府に居る。そして氏輝兄上と彦五郎兄上といっしょに小田原であった歌会に参加してたのに、一切病気も貰わずピンピンしてるラッキーマンでもある。
「太守様の政で、町は大層賑おうておりますな。まことに良い政をなされます」
「うむ、今日そなたを呼んだのもそのこと」
「はて、わたくしに、なにか相談ごとでも?」
「民たちをもそっと喜ばせてやろうと思うての。為和殿から知り合いの公家に声をかけて頂き、蹴鞠の指導をしていただきたいのじゃ」
「はて。話がみえませぬ。蹴鞠会とも違うようで、武士の方々ではなく領民にと、おおせですかな?」
「さよう。これは言わば、人を使こうた碁。人に指図し鞠を蹴らせ、その勝ち負けを競おうと思うてのう」
ヨシモーはその現代知識を用い、サッカーを再現しようとしていた。本来の蹴鞠は羽根つきのように、如何に長く鞠を落とさないで蹴り続けられるかといったもの。
「はてさて、太守様はなんとも奇妙な事を思いつかれる…。それも文殊の知恵とやらですかの?」
「いやいや、そこまでのものではない。しかし碁石では自分で動かぬし、成長もせぬ。いま兵を用いて試しておるところでの。これがなかなか面白い。そこで為和殿の感想も聞きたいのじゃ」
「なるほど、そういうことでおじゃれば拝見いたしましょう」
こうして、義元の兵が行うサッカーを観せられた為和が試しに監督をしてみると、たちまちその魅力に魅せられた。
「―ああっ、もう!そうではない!もっとこう、外に!外におじゃれ!」
雅も風流も放り出し、唾を飛ばして指示をだす為和。
「ほほほ、楽しまれておるようでなにより。如何でござろう?戰蹴鞠の為和組、欲しくはありませぬか?」
「欲しい!なんとも面白きかな!この戰蹴鞠には、碁では感じぬ興奮がおじゃりまする!」
「ほかの公家のみなさまにも蹴鞠組を持って頂ければ、それもまたよい慰めとなりましょう」
「おお、真にそうでおじゃるな!」
「さらに、その様子を領民たちにも観戦させれば、勝った蹴鞠組を指揮した者の名声も高まりましょう」
「ッ!それはよい!実にいい考えでおじゃる!」
時は戦国時代。名を上げるにも戰の仲裁やらなんやらと血なまぐさい物が多く、公家にとっては肩身の狭い時代。そんななかで全く別の手で名をあげる方法があるのなら、喉から手が出るほどに欲しかった。
こうして義元が冷泉為和に話したことは、瞬く間に領内にいる公家に知れ渡り、みなこぞって蹴鞠組を組織しだしたのであった。
その仕様は、模型造りをしていた職人たちにしっかりと伝えてある。造船所も前々から目星をつけていたところを常備兵で一気にほじくり返し、完成させた。甲斐からは立派な丸太が富士川を下りどんどん届いている。職人たちの住む場所も、その材木で作れる。なにせエリート職人集団なのだ。自分達でなんだって作れる。
こうして造船計画に手がかからなくなると、義元は公卿・冷泉 為和を今川館に呼んだ。
「これは太守様、ご機嫌麗しゅう」
「うむ、そなたも息災のようでなによりじゃ」
冷泉家の家領は今川領地内にあるため、だいたい駿府に居る。そして氏輝兄上と彦五郎兄上といっしょに小田原であった歌会に参加してたのに、一切病気も貰わずピンピンしてるラッキーマンでもある。
「太守様の政で、町は大層賑おうておりますな。まことに良い政をなされます」
「うむ、今日そなたを呼んだのもそのこと」
「はて、わたくしに、なにか相談ごとでも?」
「民たちをもそっと喜ばせてやろうと思うての。為和殿から知り合いの公家に声をかけて頂き、蹴鞠の指導をしていただきたいのじゃ」
「はて。話がみえませぬ。蹴鞠会とも違うようで、武士の方々ではなく領民にと、おおせですかな?」
「さよう。これは言わば、人を使こうた碁。人に指図し鞠を蹴らせ、その勝ち負けを競おうと思うてのう」
ヨシモーはその現代知識を用い、サッカーを再現しようとしていた。本来の蹴鞠は羽根つきのように、如何に長く鞠を落とさないで蹴り続けられるかといったもの。
「はてさて、太守様はなんとも奇妙な事を思いつかれる…。それも文殊の知恵とやらですかの?」
「いやいや、そこまでのものではない。しかし碁石では自分で動かぬし、成長もせぬ。いま兵を用いて試しておるところでの。これがなかなか面白い。そこで為和殿の感想も聞きたいのじゃ」
「なるほど、そういうことでおじゃれば拝見いたしましょう」
こうして、義元の兵が行うサッカーを観せられた為和が試しに監督をしてみると、たちまちその魅力に魅せられた。
「―ああっ、もう!そうではない!もっとこう、外に!外におじゃれ!」
雅も風流も放り出し、唾を飛ばして指示をだす為和。
「ほほほ、楽しまれておるようでなにより。如何でござろう?戰蹴鞠の為和組、欲しくはありませぬか?」
「欲しい!なんとも面白きかな!この戰蹴鞠には、碁では感じぬ興奮がおじゃりまする!」
「ほかの公家のみなさまにも蹴鞠組を持って頂ければ、それもまたよい慰めとなりましょう」
「おお、真にそうでおじゃるな!」
「さらに、その様子を領民たちにも観戦させれば、勝った蹴鞠組を指揮した者の名声も高まりましょう」
「ッ!それはよい!実にいい考えでおじゃる!」
時は戦国時代。名を上げるにも戰の仲裁やらなんやらと血なまぐさい物が多く、公家にとっては肩身の狭い時代。そんななかで全く別の手で名をあげる方法があるのなら、喉から手が出るほどに欲しかった。
こうして義元が冷泉為和に話したことは、瞬く間に領内にいる公家に知れ渡り、みなこぞって蹴鞠組を組織しだしたのであった。
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