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本編
第六話 天使のように
しおりを挟む夜更け、机の上に広げたノートにペンを走らせる。
ハンバーグ、オムライス、親子丼――翔太が好きだった料理を、ひとつずつ思い出して書き残す。
「……これで、翔太も困らないよね」
ページの端には小さく「翔太が笑いますように」と記した。
涙で文字が滲みそうになって、慌てて袖で拭う。
翌日、陽に小さな箱を手渡す。
中には鍵のスペアと、翔太がよく使う薬、そして僕が書いたメモが入っていた。
「……陽。これ、翔太に渡してほしい。僕がいなくなったときに」
「……遥、お前……」
「お願い。僕じゃないときでも、翔太が困らないようにしてあげたいんだ」
陽は拳を握りしめ、必死に涙を堪えていた。
「……ほんと、お前は天使みたいだな。自分が一番つらいのに」
「天使なんかじゃないよ」僕は微笑む。
「ただ……翔太の幸せを願ってるだけ。僕にできるのは、それだけだから」
窓の外に夜風が吹き抜ける。その冷たさに触れながらも、胸の奥に灯るのはただひとつ――翔太への愛だった。
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