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70.港町
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馬車が止まった。まだ背中が温かいまま!ミハイルさんは私の肩に顎を乗せていて息遣いが近い。
「ミハイルさん着いたみたいですよ」
「あぁ…」
「離して…テリーさんが…」
窓のカーテンが空いていてバックハグされている私が丸見えで、外で扉を開けるタイミングに困っているテリーさんが見える。
「早く街に行きたいです」
「口付けてくれたら離す」
「本当?頬でいい?」
解放してくれたミハイルさんは艶ぽく微笑み見つめてきた。
『その表情罪です!』
と心で叫びならが右頬にキスをする。
恥ずかしくて赤面する私に色っぽく微笑むミハイルさん。すると馬車の外から凄い大きい咳払いをしたテリーさんが扉を開けていいか聞いてくる。大きい声で許可を出すと扉が開き気まずそうにテリーさんが声をかけて来た。どうやら街はずれの停泊場に着いたようだ。
何も無かった様にすました顔をしてミハイルさんが、降りて手を差し伸べてくれ私も馬車を降りる。降りた瞬間に潮風の匂いに心が躍る。
大叔母の家が海辺にあり幼い頃に何度が泊りに行った事がある。確か小学校低学年だったかぁ?
この世界でも海は同じだと分かり嬉しい。
「ハル。街は他国からの入国者や他の領地から荷物の受取や買い付けで人が多い、勿論自警団があり治安は比較的いいが素行の良くない者もいる。俺の傍を離れないでくれ。もし俺から離れるときはテリーに付き添ってもらえ」
『ん?テリーさん思いっきり騎士だから目立つんですが…っへ?』
テリーさんを見ると平民の装いに着替えている。他の騎士さん達もだ。但ししっかり帯剣はしている。どうやら街ぶらするのに目立たない様にしてくれている様だ。騎士の皆さんに
「よろしくお願いします」
と頭を下げると、皆さん騎士の礼を返してくれる。
こうして夕方に来る殿下やアレックスさんが来るまでミハイルさんとのデートが始まる。
やはりエスコートでは貴族なのがバレるて言うか、クロードさん曰くミハイルさんの赤髪は既にシュナイダー家嫡男って看板背負ってる状態でバレバレらしい。コールマン領の街でのアレックスさん状態なんだよね…また領民から色々言われるんだろうか…
結局手を繋いて街を散策する。
街並みは王都と違い異国情緒溢れていて目が楽しい。そこでガラス製品を扱うお店が目に入る。元の世界であった切子細工のグラスが目に入り窓の外からじっと見ていた。その様子に気付いたミハイルさんが手を引き入店する。店内は案外広く窓から入った日の光に照らされガラス細工がキラキラしてとても綺麗だ!
「いらっしゃい!…おぉ!若様ようこそお越し下さいました」
『ほら一発でバレてるよ』
しかしあまり気にしていないミハイルさんが手を上げて店主に答えている。
「ハル。何か気になるモノがあるのか?」
「うん。このグラスの細工は元の世界にもあったの。綺麗だね…」
「若様…そのお嬢様はもしかして婚約者ですか?」
「あぁ…」
「何と光栄だ!店頭に出していない品も沢山ございます。何かありましたらお声をおかけ下さい」
「ありがとうございます。見せていただきます」
すると店主は驚いた顔をし何故か涙ぐみ微笑んで店の奥へと行ってしまった。あっ⁈やらかした?
「ミハイルさん私…粗相しましたか⁈」
「いや、ハルの礼に感動したのだろう」
「え~お礼言うのくらい普通の事でしょう⁈」
「貴族令嬢は平民に礼は言わないから店主は感動したのだろう」
「私は平民ですよ」
「ハル!婚約した時点でハルはシュナイダー公爵家の人間になったんだぞ。もう忘れたか⁈」
「あぁぁ…ソウデシタ…」
すっかり忘れていた。それがまたミハイルさんを不機嫌にしてしまう。少し気まずくなった時にあるグラスに目が留まる。ベッドサイドに水差しと一緒に置いてあるグラスと同じ大きさのグラスだ。グラスの後ろに張り紙があり
“お名前を彫る事ができます。お気軽にお声をかけてください”
と書いてある。
カラフルなグラスが並んでいて、グラスを見ていたらローランド殿下、ミハイルさん、アレックスさん3人の色のグラスがある。名前彫れるなら名前を入れてもらってプレゼントしようかなぁ…真剣に悩んでいる私の顔を覗き込んでミハイルさんが
「ハルはこれが欲しいのか?」
「私では無くて殿下とミハイルさんとアレックスさんに感謝をこめてプレゼントしたいなぁって思って…」
「!!」
ミハイルさんは破顔して抱き付いて来た。びっくりして硬直していると店主が店内に戻って来たのに、驚いて店の奥に逃げて行った。
「ミハイルさん人が見ていますから!」
「ハルは恥ずかしがり屋だなぁ…」
やっと離してくれたのでグラスを選ぶ。若葉色が無いから近い黄緑と赤と黄色を選んでいたらミハイルさんが眉間の皺を深めて
「ハル…贈ってくれるなら自分の色よりハルの色がいい。このグラスはベッドサイドに置くグラスだろう?ならば尚更ハルの色がいい!」
ミハイルさんは私の手の中の3色のグラスを元の場所に戻し黒色のグラスを3個取った。目が点になっていたらミハイルが嬉しそうに
「名前を彫ってハルが贈ってくれるんだろう?」
「うん。すみませ~ん!これおねがいします」
店主は走ってきて黒色の切子グラスを受取り彫る名前を紙に書くように紙と羽ペンを渡した。まだひらがなレベルの私では正しく名前が書け無いのでミハイルさんに書いてもらう。紙を受け取った店主は固まる。そう彼は平民だから私の多重婚が許されている事もローランド殿下とアレックスさんが求婚している事も知らない。もしかしたら若様は恋多き悪女に捕まったと思っているかもしれない。
きっと明日には若様のお相手は悪女と噂されるかも…少し気が重くなってきた。
店主の頭の上に疑問符を乗せたまま会計をしてもらい父様に頂いたお小遣いから支払いをした。彫るのに1時間ほどかかるらしくまた後で取りに来ることにした。
ミハイルさんは機嫌が良くずっと口角が上がったままだ。街の人は微笑んでいるミハイルさんをあまり見たことが無い様で、通り過ぎる人は必ず2度見しているのが可笑しく、一人でクスクス笑っていた。暫く街のお店を見てまわっていたら小物屋さんの前でミハイルさんは止まり、私の手を取り迷うことなく店内に入って行った。中に入ると帽子やショール、髪飾り等が並んでいる。このお店はシンプルなデザインの物が多く私の趣味にあっている。ミハイルさんのセンスの良さに感心していると、ミハイルさんはある一画で止まり何かを手に取っている。
「何かありましたか?」
「あぁ…これがいい」
ミハイルさんが手に取っていたのは髪飾りで、朱色のサンゴを加工した花の形をしたものだった。サンゴって私の中ではおばあちゃんがネックレスで着けているイメージしかない。しかしこの髪飾りは凄く可愛いしサンゴでも色の濃いサンゴらしく赤に近かった。ミハイルさんは私の髪に飾りを当てて微笑み私に様子を伺っている。髪につけてくれ鏡の前に誘導するミハイルさん。
自分で言うのもなんだが結構似合っているしこれ好き。何より鏡に映る後ろのミハイルさんがとろける様な微笑みをしている。他に女性がいたら卒倒必至だ。
「これでいいか?」
「へっ?いいんですか?」
「ヴェルディアに行っている間ずっと付けていて欲しい」
「ありがとうございます。嬉しい…」
『も!目の毒だ!』
今日のミハイルさんは激甘で多分ミハイルさんの後ろは蟻の大行列が出来ている筈だ。ってこの世界に蟻っているのかなぁ⁈
「店主。これを頼む。このまま着けて行くので包まなくていい」
「はい。ありがとう…若様⁈キャーお越しいただきありがとうございます。若様が髪飾りを愛らしいお嬢さんに…えっ!!婚約者ですか?」
「あぁ…お忍びできている。あまり大事にしないでくれ」
「申し訳ございません。若様この髪飾りは同じサンゴから作ったブローチもございます。愛らしいお嬢様にはお似合いになると思いますが如何なさりますか⁈」
「ミハイルさん髪飾りだけでいい…」
「ではブローチももらおう」
あぁ…思いっきり店主のお姉さんの思うつぼにはまり買わされているよ。でもお姉さんが持って来てくれたブローチは可愛い。同じ花のデザインで大きめ。これは侯爵様に買って頂いたショールを羽織った時に付けると合うかもしれない。そう思うと顔が綻ぶ。結局ミハイルさんに髪飾りとブローチを買って頂いた。お礼を言うと頬を突いて口付けの催促だ。きっと今のミハイルさんは糖度計を振り切っているだろう! 恥ずかしいけど背伸びをして今度は左頬に口付けた。赤面しながらふと店主のお姉さんが視界に入ると悶絶している。
どんどんテンションが上がっているミハイルさんに手を引かれ外に出ると、鐘の音が響き6時を告げている。丁度お腹の虫も泣き出した。
「ハル。お昼にしよう」
「はい!お腹空きました」
街から少し歩き港の方へ行くと大きな船が見えて来た。街と違い船員たちが荷物を運んだりして活気がある。そんな人たちを眺めながら歩いているとゴリゴリマッチョな顎髭をたくわえた大男が手を振り歩いてくる。
「若!若が女性を連れているの初めて見たな。誰だいその可愛い嬢ちゃんは?随分幼いけど未成年じゃないだろうな?」
「ミック!港はどうだ?」
「あぁ…問題ないよ。っでお嬢を紹介してくれよ」
珍しくこのミックさんと言う男性には饒舌なミハイルさん。背の高い2人を見上げていたらミックさんは屈んで私と目線を合わせて小さい子に話すように
「嬢ちゃん幾つだ?」
「あの…小柄で幼く見えますがこちらの成人年齢超えています。子ども扱いはやめて下さい」
「ミック。彼女は俺の婚約者でれっきとした成人女性だ。失礼の無い様にしてくれ」
「若!本当か?やっとあんた嫁を娶る気になったんだ。どうやらちゃんと惚れて決めたようだな。惚れこんでるのが丸わかりだ」
「あぁ…生涯彼女だけだ」
ミックさんはお笑い芸人張りにズッコケる。
「お嬢。若に媚薬でも盛ったのか?普段の若じゃないぜ」
「ミック問題ないなら行くぞ。ハルとの時間を大切にしたい」
「待ってくれよ!お嬢を嫁に迎えるなら、俺たちも今後関わる事になる。閣下!ちゃんとした挨拶と紹介させていただきたい」
歩いて行こうとするミハイルさんをミックさんが止めミハイルさんの眉間の皺が深まる。
「ミハイルさん!私お腹は大丈夫ですから!」
「昼飯に行くのか?アリッサとこか?俺も今から行くトコだ。一緒に食おうぜ!嬢ちゃん名前教えてくれないか?」
「えっと春香といいます。よろしくお願いします」
「はるちゃんな!よし皆んなで上手い飯を食いに行こう!」
ミックさんは渋るミハイルさんの肩を抱き、反対の手で私の手を引いて歩き出した。
『あー折角ミハイル機嫌よかったのにレベル4になってるよ』
こうしてテンション高めのミックさんにお店に連行されて洗礼を受ける事になる。
「ミハイルさん着いたみたいですよ」
「あぁ…」
「離して…テリーさんが…」
窓のカーテンが空いていてバックハグされている私が丸見えで、外で扉を開けるタイミングに困っているテリーさんが見える。
「早く街に行きたいです」
「口付けてくれたら離す」
「本当?頬でいい?」
解放してくれたミハイルさんは艶ぽく微笑み見つめてきた。
『その表情罪です!』
と心で叫びならが右頬にキスをする。
恥ずかしくて赤面する私に色っぽく微笑むミハイルさん。すると馬車の外から凄い大きい咳払いをしたテリーさんが扉を開けていいか聞いてくる。大きい声で許可を出すと扉が開き気まずそうにテリーさんが声をかけて来た。どうやら街はずれの停泊場に着いたようだ。
何も無かった様にすました顔をしてミハイルさんが、降りて手を差し伸べてくれ私も馬車を降りる。降りた瞬間に潮風の匂いに心が躍る。
大叔母の家が海辺にあり幼い頃に何度が泊りに行った事がある。確か小学校低学年だったかぁ?
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「ハル。街は他国からの入国者や他の領地から荷物の受取や買い付けで人が多い、勿論自警団があり治安は比較的いいが素行の良くない者もいる。俺の傍を離れないでくれ。もし俺から離れるときはテリーに付き添ってもらえ」
『ん?テリーさん思いっきり騎士だから目立つんですが…っへ?』
テリーさんを見ると平民の装いに着替えている。他の騎士さん達もだ。但ししっかり帯剣はしている。どうやら街ぶらするのに目立たない様にしてくれている様だ。騎士の皆さんに
「よろしくお願いします」
と頭を下げると、皆さん騎士の礼を返してくれる。
こうして夕方に来る殿下やアレックスさんが来るまでミハイルさんとのデートが始まる。
やはりエスコートでは貴族なのがバレるて言うか、クロードさん曰くミハイルさんの赤髪は既にシュナイダー家嫡男って看板背負ってる状態でバレバレらしい。コールマン領の街でのアレックスさん状態なんだよね…また領民から色々言われるんだろうか…
結局手を繋いて街を散策する。
街並みは王都と違い異国情緒溢れていて目が楽しい。そこでガラス製品を扱うお店が目に入る。元の世界であった切子細工のグラスが目に入り窓の外からじっと見ていた。その様子に気付いたミハイルさんが手を引き入店する。店内は案外広く窓から入った日の光に照らされガラス細工がキラキラしてとても綺麗だ!
「いらっしゃい!…おぉ!若様ようこそお越し下さいました」
『ほら一発でバレてるよ』
しかしあまり気にしていないミハイルさんが手を上げて店主に答えている。
「ハル。何か気になるモノがあるのか?」
「うん。このグラスの細工は元の世界にもあったの。綺麗だね…」
「若様…そのお嬢様はもしかして婚約者ですか?」
「あぁ…」
「何と光栄だ!店頭に出していない品も沢山ございます。何かありましたらお声をおかけ下さい」
「ありがとうございます。見せていただきます」
すると店主は驚いた顔をし何故か涙ぐみ微笑んで店の奥へと行ってしまった。あっ⁈やらかした?
「ミハイルさん私…粗相しましたか⁈」
「いや、ハルの礼に感動したのだろう」
「え~お礼言うのくらい普通の事でしょう⁈」
「貴族令嬢は平民に礼は言わないから店主は感動したのだろう」
「私は平民ですよ」
「ハル!婚約した時点でハルはシュナイダー公爵家の人間になったんだぞ。もう忘れたか⁈」
「あぁぁ…ソウデシタ…」
すっかり忘れていた。それがまたミハイルさんを不機嫌にしてしまう。少し気まずくなった時にあるグラスに目が留まる。ベッドサイドに水差しと一緒に置いてあるグラスと同じ大きさのグラスだ。グラスの後ろに張り紙があり
“お名前を彫る事ができます。お気軽にお声をかけてください”
と書いてある。
カラフルなグラスが並んでいて、グラスを見ていたらローランド殿下、ミハイルさん、アレックスさん3人の色のグラスがある。名前彫れるなら名前を入れてもらってプレゼントしようかなぁ…真剣に悩んでいる私の顔を覗き込んでミハイルさんが
「ハルはこれが欲しいのか?」
「私では無くて殿下とミハイルさんとアレックスさんに感謝をこめてプレゼントしたいなぁって思って…」
「!!」
ミハイルさんは破顔して抱き付いて来た。びっくりして硬直していると店主が店内に戻って来たのに、驚いて店の奥に逃げて行った。
「ミハイルさん人が見ていますから!」
「ハルは恥ずかしがり屋だなぁ…」
やっと離してくれたのでグラスを選ぶ。若葉色が無いから近い黄緑と赤と黄色を選んでいたらミハイルさんが眉間の皺を深めて
「ハル…贈ってくれるなら自分の色よりハルの色がいい。このグラスはベッドサイドに置くグラスだろう?ならば尚更ハルの色がいい!」
ミハイルさんは私の手の中の3色のグラスを元の場所に戻し黒色のグラスを3個取った。目が点になっていたらミハイルが嬉しそうに
「名前を彫ってハルが贈ってくれるんだろう?」
「うん。すみませ~ん!これおねがいします」
店主は走ってきて黒色の切子グラスを受取り彫る名前を紙に書くように紙と羽ペンを渡した。まだひらがなレベルの私では正しく名前が書け無いのでミハイルさんに書いてもらう。紙を受け取った店主は固まる。そう彼は平民だから私の多重婚が許されている事もローランド殿下とアレックスさんが求婚している事も知らない。もしかしたら若様は恋多き悪女に捕まったと思っているかもしれない。
きっと明日には若様のお相手は悪女と噂されるかも…少し気が重くなってきた。
店主の頭の上に疑問符を乗せたまま会計をしてもらい父様に頂いたお小遣いから支払いをした。彫るのに1時間ほどかかるらしくまた後で取りに来ることにした。
ミハイルさんは機嫌が良くずっと口角が上がったままだ。街の人は微笑んでいるミハイルさんをあまり見たことが無い様で、通り過ぎる人は必ず2度見しているのが可笑しく、一人でクスクス笑っていた。暫く街のお店を見てまわっていたら小物屋さんの前でミハイルさんは止まり、私の手を取り迷うことなく店内に入って行った。中に入ると帽子やショール、髪飾り等が並んでいる。このお店はシンプルなデザインの物が多く私の趣味にあっている。ミハイルさんのセンスの良さに感心していると、ミハイルさんはある一画で止まり何かを手に取っている。
「何かありましたか?」
「あぁ…これがいい」
ミハイルさんが手に取っていたのは髪飾りで、朱色のサンゴを加工した花の形をしたものだった。サンゴって私の中ではおばあちゃんがネックレスで着けているイメージしかない。しかしこの髪飾りは凄く可愛いしサンゴでも色の濃いサンゴらしく赤に近かった。ミハイルさんは私の髪に飾りを当てて微笑み私に様子を伺っている。髪につけてくれ鏡の前に誘導するミハイルさん。
自分で言うのもなんだが結構似合っているしこれ好き。何より鏡に映る後ろのミハイルさんがとろける様な微笑みをしている。他に女性がいたら卒倒必至だ。
「これでいいか?」
「へっ?いいんですか?」
「ヴェルディアに行っている間ずっと付けていて欲しい」
「ありがとうございます。嬉しい…」
『も!目の毒だ!』
今日のミハイルさんは激甘で多分ミハイルさんの後ろは蟻の大行列が出来ている筈だ。ってこの世界に蟻っているのかなぁ⁈
「店主。これを頼む。このまま着けて行くので包まなくていい」
「はい。ありがとう…若様⁈キャーお越しいただきありがとうございます。若様が髪飾りを愛らしいお嬢さんに…えっ!!婚約者ですか?」
「あぁ…お忍びできている。あまり大事にしないでくれ」
「申し訳ございません。若様この髪飾りは同じサンゴから作ったブローチもございます。愛らしいお嬢様にはお似合いになると思いますが如何なさりますか⁈」
「ミハイルさん髪飾りだけでいい…」
「ではブローチももらおう」
あぁ…思いっきり店主のお姉さんの思うつぼにはまり買わされているよ。でもお姉さんが持って来てくれたブローチは可愛い。同じ花のデザインで大きめ。これは侯爵様に買って頂いたショールを羽織った時に付けると合うかもしれない。そう思うと顔が綻ぶ。結局ミハイルさんに髪飾りとブローチを買って頂いた。お礼を言うと頬を突いて口付けの催促だ。きっと今のミハイルさんは糖度計を振り切っているだろう! 恥ずかしいけど背伸びをして今度は左頬に口付けた。赤面しながらふと店主のお姉さんが視界に入ると悶絶している。
どんどんテンションが上がっているミハイルさんに手を引かれ外に出ると、鐘の音が響き6時を告げている。丁度お腹の虫も泣き出した。
「ハル。お昼にしよう」
「はい!お腹空きました」
街から少し歩き港の方へ行くと大きな船が見えて来た。街と違い船員たちが荷物を運んだりして活気がある。そんな人たちを眺めながら歩いているとゴリゴリマッチョな顎髭をたくわえた大男が手を振り歩いてくる。
「若!若が女性を連れているの初めて見たな。誰だいその可愛い嬢ちゃんは?随分幼いけど未成年じゃないだろうな?」
「ミック!港はどうだ?」
「あぁ…問題ないよ。っでお嬢を紹介してくれよ」
珍しくこのミックさんと言う男性には饒舌なミハイルさん。背の高い2人を見上げていたらミックさんは屈んで私と目線を合わせて小さい子に話すように
「嬢ちゃん幾つだ?」
「あの…小柄で幼く見えますがこちらの成人年齢超えています。子ども扱いはやめて下さい」
「ミック。彼女は俺の婚約者でれっきとした成人女性だ。失礼の無い様にしてくれ」
「若!本当か?やっとあんた嫁を娶る気になったんだ。どうやらちゃんと惚れて決めたようだな。惚れこんでるのが丸わかりだ」
「あぁ…生涯彼女だけだ」
ミックさんはお笑い芸人張りにズッコケる。
「お嬢。若に媚薬でも盛ったのか?普段の若じゃないぜ」
「ミック問題ないなら行くぞ。ハルとの時間を大切にしたい」
「待ってくれよ!お嬢を嫁に迎えるなら、俺たちも今後関わる事になる。閣下!ちゃんとした挨拶と紹介させていただきたい」
歩いて行こうとするミハイルさんをミックさんが止めミハイルさんの眉間の皺が深まる。
「ミハイルさん!私お腹は大丈夫ですから!」
「昼飯に行くのか?アリッサとこか?俺も今から行くトコだ。一緒に食おうぜ!嬢ちゃん名前教えてくれないか?」
「えっと春香といいます。よろしくお願いします」
「はるちゃんな!よし皆んなで上手い飯を食いに行こう!」
ミックさんは渋るミハイルさんの肩を抱き、反対の手で私の手を引いて歩き出した。
『あー折角ミハイル機嫌よかったのにレベル4になってるよ』
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