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114.披露宴
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いつも以上に甘いアレックスが
「テクルスの使いになっていなければ俺はまだ独身で、お前に嫌われたままだったんだな…」
「嫌いかは分からないよ」
「何故だ?あんなにきつく当たっていたし、春香も嫌いな人の上位だって…」
「うん。でも厳しい事を言ってけど私を思っての言葉だったし、何より不器用だったけどキツイ言葉の奥に優しさがあったから。好きにはならないけど大嫌いにはならなかったと思うよ」
そう言い微笑むと少し瞳を潤ませて
「春香…いや使いに選んでくれたテクルスに感謝だ」
「私色々やらかすから前みたいに駄目な時は叱ってね」
「あぁ…春香のそういう前向きな所が好きだ」
そうアレックスは不器用だ。でも最近は無自覚の愛情表現が当たり前になってきた。その低音から炸裂する激甘な言葉も慣れて来た。寧ろもっと言って欲しいと思う自分がいる。目が合うと微笑みをくれる。私…幸せです。
「あぁ…(ダンスが)終わるな。他の夫の所にやりたくない。このまま逃げるか⁈」
「なっ!!」
音楽が終わり挨拶の為にアレックスの手を離そうとしたら抱き寄せられて濃いキスをされた!びっくりして固まる私。ぎゅっと抱きしめるアレックス。会場がざわつき出した。再起動しアレックスを見上げたら
「俺が最後なんだからこれ位いいだろうミハイル」
「あぁ…今の俺は全てが最後でも構わない。栄誉を手にしたんだから」
「ねぇ⁈何の話?意味不明なんだけど!」
するとアレックスが腕を解きまた軽くキスをして私をミハイルに渡した。
私の手を取ったミハイルは蕩ける様な微笑みをして
「町屋敷に行けば分かるよ」
「??」
アレックスがフロアから出たらまた音楽が奏でられる。慌ててミハイルの肩に手を置き踊り始める。
「夫達だけで秘密の相談事はずるいよ!私が関わる事は教えて欲しい!知らないままは嫌だよ」
「一緒に生活を始めたら何でも話すと誓おう。しかしそれまでの事は勘弁してくれ」
「私が嫌な事はでは無い?」
「あぁ…優しくすると誓う」
「優しく?やっぱり意味不明だよ」
この後何を聞いても微笑むだけで教えてくれない。でもミハイルの優しい眼差しを受けていたら、本当に優しくしてくれるのは分かるから良しとした。
さて…ダンスも終わり一旦席に戻ると飲み物と軽食が用意されていた。私たちの後は来賓客がダンスを楽しんでいる。到着が遅れていたハンナ王女とジョシュさんが躍っている。やっぱり美男美女のダンスは福眼だ。それにギラン皇太子とアンリ王女も一緒に踊っている。するとひと際大きい熊…もといジャン陛下が近づいて来てこれまた大きな声で
「春香妃殿下の夫方に許しを乞いたい。私はダンスパートナーがおらん。妃殿下に願いたいのだがよろしいか?」
一瞬表情を硬くする三人。しかし…
「友好の証に許可しましょう」
ローランドがそう言うと他の2人も頷く。
「では春香妃殿下私と一曲お願いできますか⁈」
「はい。喜んで」
こうして優しい熊さん…じゃなかった!ジャン陛下と踊る事になった。相変わらず大きい殿下だから自然と見上げる。
「春香殿は幸せをもたらす女神だ」
「そんな事言ったら女神様たちが“一緒にするな”て怒りますよ」
「相変わらず謙虚だな。そこも人を惹き付ける要素なのだな」
国も安定しもう直ぐ父になる陛下の眼差しは優しくて
「陛下も戴冠式の時と比べて穏やかな表情でヴェルディアが平和なのが良く分かります」
「全て春香殿が協力してくれたからだ。何度も言うが困ったらいつでも言ってくれ。ヴェルディアは貴女の味方だ」
「お心遣い嬉しいです。でも頼らなくていい様に自力で幸せになります」
「では見守ろう」
陛下と踊りながらこれまでの事を思い出していた。この世界に来ていっぱい大変な思いや怖い思いもしたが、沢山の人に出会え幸せだ。
音楽が終わり陛下に礼をしてダンスを終えると、後ろにレイトン殿下が居てダンスに誘われた。慌てて夫達を見たら難しい顔をしながらも頷いてくれた。
レイトン殿下の手を取るとジル妃殿下が視界に入る。目の前の殿下も妃殿下も何かスッキリして憑き物が取れた様だ。やっぱり昨晩致したのかなぁ⁈
そう思うと恥ずかしくなって来た。レイトン殿下は私をみて小さく笑い
「まず貴女に感謝を。話はジルから聞いています。我々は貴女に頼ってばかりだ。この恩は必ず返し困った事があれば必ず味方となり助けると誓おう」
そう言い殿下は手をぎゅっと握った。心遣い感謝し
「ありがとうございます。でも出来る事をしただけで、大したことはしていません。お気持ちだけで…」
「貴女はご自分の価値を知らない様だ。ジャン陛下の後にダンスに誘う為に、他の方々を出し抜くのにどれ程苦労したか…恐らく今日はダンスの申込で大変な事になりますよ」
嫌な予言?され思わず声が大きくなり
「やめて下さい。そんな人気者ではありませんから」
「もし側室を迎えるなら貴女がいい。ジルも許してくれるでしょ」
「遠慮します」
「私では不満か?」
「いえ恐れ多くて」
「まぁそういう事にしておこう。貴女の夫達はいい男だ。断るのも無理ないね」
こうしてどこまでが本心か分からないレイトン殿下とのダンスが終わると、レイトン殿下の予言?通り終わると次の人が待っている状態。
続けて7人と踊ったところで体力の限界を迎えた。8人目はレイモンド父様だ。気合を入れて父様の手を取ろうとしたら不意に体が浮いた。
「春香無理をし過ぎだ。一旦休みなさい」
「父様…」
「息子達に喝を入れねばならんな!妻が無理をしているのに止めずに」
父様は静かに怒っている。レイモンド父様に抱かれ控席に戻ると既にアビー母様がいて、夫達は仲良く母様の説教を受けている。椅子に下してもらうとマニュラ母様がお茶を入れて下さった。
お茶を飲み息が整ったらケイン父様が控室に下がる様に言い、ケイン父様が私を抱いて控室に移動する。残された夫達は今度はマニュラ母様に怒られている。父母共に私に過保護な気がする。控室に戻りながら
「頑張ったね。でも足が痛いのだろう⁈控室にマッサージするように侍女を控えさせているよ」
「ありがとうございます。すみません…体力無くて」
控室に着くとマリーナさんがいて直ぐにお湯を張ったタライに足を浸ける。温かいお湯で痛みが取れていく感じがする。この後ハーブオイルでマッサージされ足の痛みもマシになった。施術が終わった頃に夫達が控室にやって来た。表情を見ていると母様達にかなり絞られてようだ。やっぱりウチの母最強!
眉尻を下げたローランドが
「春香…済まない。春香が皆から慕われてるのが誇らしくて、春香の体を思いやれていなかった」
「いいよ。体力無い私が情けないだけだよ。明日からランニングでも始めるかなぁ」
場を和ませるために少しお道化てみる。いつもは運動しようとすると“危ない”とか、“これ以上痩せるな”と反対するのに母達の圧力があるせいか何も言わない夫達。そんな夫達がかわいく見える。
少し休憩したら復活しゲストを待たせてはいけないので会場に戻る。この後また数人と踊り私の役目を終えた。
控席で果実水を飲み歓談する人々を眺める。初めは苦手な人や怖かった人も、今は仲良くしてもらっている。私は第一印象でダメだと思うと勝手に相手と距離を取り避けて来て。きちんと向き合えば仲良くなれるのだとここに来てから知った。だって嫌いだった人が今は最愛の夫になり親友になった。
日本を恋しい気持ちはまだあるしきっと死ぬまで消えない。だって故郷だもん。偶に夢を見ると涙が出る事もある。少しずつこっちでの思い出をつくってここが故郷といえる日が来るといいなぁ…
「「春香」」「ハル」
優しい夫の声がして振り返る。眩しい位の美丈夫が私を見ている。これからは愛してくれる人に愛を返していこうと心に誓った。
こうして盛大に開かれた披露宴は終わった。翌日に町屋敷に戻ると思っていたが、国賓のお見送りがあるのであと5日は王城に滞在する事になり毎日お見送りに追われた。
ローランドがやらかした日に3人が協議し直し、添い寝なら床を共にする事がOKになった。夫達は紳士で一緒にベッドで寝てもちゅー以上は絶対しなかった。初めは緊張していた私も慣れて来て秒殺で眠れるようになり、夫の体温と安心する香りで熟睡して、ここ数日肌の調子が良くマリーナさんの機嫌がいい。だってマッサージいらずなのだ。
披露宴が終わって5日目、走り去る最後の馬車に手を振りお見送り完了。明日シュナイダー公爵家の町屋敷に移り3週毎に夫達の住まいに移る。
順番は何故こうなったか知らないがローランド→ミハイル→アレックスの順だ。披露宴が終わるまでローランドの所に居たので明日からミハイルが待つ町屋敷だ。
最後の夕食はローランドと陛下とアンヌ母様といただく。楽しい食事会だが所々陛下の世継ぎを期待する話が入る。そしてアンヌ母様がローランドに
「ローランドは完璧王子と言われるのにここ一番弱いのよ。ここ一番の強さは同じ加護持ちのミハイルが受けたのね。だから春香さんがこちらに渡って来た時も初めてもミハイルが受けるのよ。可哀そうなローランド…これは神のお決めになった事だから仕方ないわ諦めなさい」
「初めて?」
意味が分からず首を傾げてローランドを見たが目を逸らされて。
『あ…また私の知らない話だ』
そう思ったがミハイルが町屋敷に移ったら内緒話はもうしないって言ってた。明日移るからスルーする事にしたが…少し胸騒ぎが…
食事会の後半は話は難しく愛想笑いで終え就寝の為に自室にローランドと戻った。眠る前に居間で二人でゆっくりお茶をする。いつもは向かい合うのに今日は横に座るローランド。
「次に春香がここに来るのは6週後だ。ここ数週間ずっとここに春香が居たから、明日から眠れるか不安だ」
「あっという間だよきっと。寂しかった会いに来てね。私も会いたい時は行くし」
「春香…愛している」
「私も好き!」
この後早めに湯浴みをして私のベッドに入り他愛もない話をしながら二人で眠りに付いた。
翌朝、5時にミハイルが迎えに来る。朝ゆっくり起きてローランドと朝食を頂き身支度をする。ローランドは後追い状態で隙あらば抱きしめてキスしてくる。正直ちょっと鬱陶しいけど暫く会えないから目を瞑ろう。
そして少し早めにミハイルが迎えに来た。不機嫌なローランドと破顔したミハイル対照的な2人を前に戸惑う私。陛下とアンヌ母様にご挨拶し世話になった皆さんにお礼を言って馬車に移動する。最後に抱き付くローランド。
「春香。暫く会えない口付けていいか?」
「うん」
軽い気持ちで返事すると抱き寄せられ
「!!!」
見送りの人が大勢いるのかでディープキスをされ頭が真っ白になる。段々息が苦しくなって来て意識が遠のく…
見かねたアレックスがローランドを引き離しミハイルに抱き留めてくれる。
ごたごたしたが馬車に乗り町屋敷に出発し新たな生活を始めます。只管笑顔のミハイルに少し気持ち悪さを感じながら馬車は町屋敷に向かい進んで行く。
楽しい新婚生活を夢見る新妻だった…が…町屋敷に着き夫達の決め事が発覚し、ここから数日色んな意味で翻弄される事になるなんて思いもよらなかった。
「テクルスの使いになっていなければ俺はまだ独身で、お前に嫌われたままだったんだな…」
「嫌いかは分からないよ」
「何故だ?あんなにきつく当たっていたし、春香も嫌いな人の上位だって…」
「うん。でも厳しい事を言ってけど私を思っての言葉だったし、何より不器用だったけどキツイ言葉の奥に優しさがあったから。好きにはならないけど大嫌いにはならなかったと思うよ」
そう言い微笑むと少し瞳を潤ませて
「春香…いや使いに選んでくれたテクルスに感謝だ」
「私色々やらかすから前みたいに駄目な時は叱ってね」
「あぁ…春香のそういう前向きな所が好きだ」
そうアレックスは不器用だ。でも最近は無自覚の愛情表現が当たり前になってきた。その低音から炸裂する激甘な言葉も慣れて来た。寧ろもっと言って欲しいと思う自分がいる。目が合うと微笑みをくれる。私…幸せです。
「あぁ…(ダンスが)終わるな。他の夫の所にやりたくない。このまま逃げるか⁈」
「なっ!!」
音楽が終わり挨拶の為にアレックスの手を離そうとしたら抱き寄せられて濃いキスをされた!びっくりして固まる私。ぎゅっと抱きしめるアレックス。会場がざわつき出した。再起動しアレックスを見上げたら
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「あぁ…今の俺は全てが最後でも構わない。栄誉を手にしたんだから」
「ねぇ⁈何の話?意味不明なんだけど!」
するとアレックスが腕を解きまた軽くキスをして私をミハイルに渡した。
私の手を取ったミハイルは蕩ける様な微笑みをして
「町屋敷に行けば分かるよ」
「??」
アレックスがフロアから出たらまた音楽が奏でられる。慌ててミハイルの肩に手を置き踊り始める。
「夫達だけで秘密の相談事はずるいよ!私が関わる事は教えて欲しい!知らないままは嫌だよ」
「一緒に生活を始めたら何でも話すと誓おう。しかしそれまでの事は勘弁してくれ」
「私が嫌な事はでは無い?」
「あぁ…優しくすると誓う」
「優しく?やっぱり意味不明だよ」
この後何を聞いても微笑むだけで教えてくれない。でもミハイルの優しい眼差しを受けていたら、本当に優しくしてくれるのは分かるから良しとした。
さて…ダンスも終わり一旦席に戻ると飲み物と軽食が用意されていた。私たちの後は来賓客がダンスを楽しんでいる。到着が遅れていたハンナ王女とジョシュさんが躍っている。やっぱり美男美女のダンスは福眼だ。それにギラン皇太子とアンリ王女も一緒に踊っている。するとひと際大きい熊…もといジャン陛下が近づいて来てこれまた大きな声で
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一瞬表情を硬くする三人。しかし…
「友好の証に許可しましょう」
ローランドがそう言うと他の2人も頷く。
「では春香妃殿下私と一曲お願いできますか⁈」
「はい。喜んで」
こうして優しい熊さん…じゃなかった!ジャン陛下と踊る事になった。相変わらず大きい殿下だから自然と見上げる。
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「相変わらず謙虚だな。そこも人を惹き付ける要素なのだな」
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「お心遣い嬉しいです。でも頼らなくていい様に自力で幸せになります」
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音楽が終わり陛下に礼をしてダンスを終えると、後ろにレイトン殿下が居てダンスに誘われた。慌てて夫達を見たら難しい顔をしながらも頷いてくれた。
レイトン殿下の手を取るとジル妃殿下が視界に入る。目の前の殿下も妃殿下も何かスッキリして憑き物が取れた様だ。やっぱり昨晩致したのかなぁ⁈
そう思うと恥ずかしくなって来た。レイトン殿下は私をみて小さく笑い
「まず貴女に感謝を。話はジルから聞いています。我々は貴女に頼ってばかりだ。この恩は必ず返し困った事があれば必ず味方となり助けると誓おう」
そう言い殿下は手をぎゅっと握った。心遣い感謝し
「ありがとうございます。でも出来る事をしただけで、大したことはしていません。お気持ちだけで…」
「貴女はご自分の価値を知らない様だ。ジャン陛下の後にダンスに誘う為に、他の方々を出し抜くのにどれ程苦労したか…恐らく今日はダンスの申込で大変な事になりますよ」
嫌な予言?され思わず声が大きくなり
「やめて下さい。そんな人気者ではありませんから」
「もし側室を迎えるなら貴女がいい。ジルも許してくれるでしょ」
「遠慮します」
「私では不満か?」
「いえ恐れ多くて」
「まぁそういう事にしておこう。貴女の夫達はいい男だ。断るのも無理ないね」
こうしてどこまでが本心か分からないレイトン殿下とのダンスが終わると、レイトン殿下の予言?通り終わると次の人が待っている状態。
続けて7人と踊ったところで体力の限界を迎えた。8人目はレイモンド父様だ。気合を入れて父様の手を取ろうとしたら不意に体が浮いた。
「春香無理をし過ぎだ。一旦休みなさい」
「父様…」
「息子達に喝を入れねばならんな!妻が無理をしているのに止めずに」
父様は静かに怒っている。レイモンド父様に抱かれ控席に戻ると既にアビー母様がいて、夫達は仲良く母様の説教を受けている。椅子に下してもらうとマニュラ母様がお茶を入れて下さった。
お茶を飲み息が整ったらケイン父様が控室に下がる様に言い、ケイン父様が私を抱いて控室に移動する。残された夫達は今度はマニュラ母様に怒られている。父母共に私に過保護な気がする。控室に戻りながら
「頑張ったね。でも足が痛いのだろう⁈控室にマッサージするように侍女を控えさせているよ」
「ありがとうございます。すみません…体力無くて」
控室に着くとマリーナさんがいて直ぐにお湯を張ったタライに足を浸ける。温かいお湯で痛みが取れていく感じがする。この後ハーブオイルでマッサージされ足の痛みもマシになった。施術が終わった頃に夫達が控室にやって来た。表情を見ていると母様達にかなり絞られてようだ。やっぱりウチの母最強!
眉尻を下げたローランドが
「春香…済まない。春香が皆から慕われてるのが誇らしくて、春香の体を思いやれていなかった」
「いいよ。体力無い私が情けないだけだよ。明日からランニングでも始めるかなぁ」
場を和ませるために少しお道化てみる。いつもは運動しようとすると“危ない”とか、“これ以上痩せるな”と反対するのに母達の圧力があるせいか何も言わない夫達。そんな夫達がかわいく見える。
少し休憩したら復活しゲストを待たせてはいけないので会場に戻る。この後また数人と踊り私の役目を終えた。
控席で果実水を飲み歓談する人々を眺める。初めは苦手な人や怖かった人も、今は仲良くしてもらっている。私は第一印象でダメだと思うと勝手に相手と距離を取り避けて来て。きちんと向き合えば仲良くなれるのだとここに来てから知った。だって嫌いだった人が今は最愛の夫になり親友になった。
日本を恋しい気持ちはまだあるしきっと死ぬまで消えない。だって故郷だもん。偶に夢を見ると涙が出る事もある。少しずつこっちでの思い出をつくってここが故郷といえる日が来るといいなぁ…
「「春香」」「ハル」
優しい夫の声がして振り返る。眩しい位の美丈夫が私を見ている。これからは愛してくれる人に愛を返していこうと心に誓った。
こうして盛大に開かれた披露宴は終わった。翌日に町屋敷に戻ると思っていたが、国賓のお見送りがあるのであと5日は王城に滞在する事になり毎日お見送りに追われた。
ローランドがやらかした日に3人が協議し直し、添い寝なら床を共にする事がOKになった。夫達は紳士で一緒にベッドで寝てもちゅー以上は絶対しなかった。初めは緊張していた私も慣れて来て秒殺で眠れるようになり、夫の体温と安心する香りで熟睡して、ここ数日肌の調子が良くマリーナさんの機嫌がいい。だってマッサージいらずなのだ。
披露宴が終わって5日目、走り去る最後の馬車に手を振りお見送り完了。明日シュナイダー公爵家の町屋敷に移り3週毎に夫達の住まいに移る。
順番は何故こうなったか知らないがローランド→ミハイル→アレックスの順だ。披露宴が終わるまでローランドの所に居たので明日からミハイルが待つ町屋敷だ。
最後の夕食はローランドと陛下とアンヌ母様といただく。楽しい食事会だが所々陛下の世継ぎを期待する話が入る。そしてアンヌ母様がローランドに
「ローランドは完璧王子と言われるのにここ一番弱いのよ。ここ一番の強さは同じ加護持ちのミハイルが受けたのね。だから春香さんがこちらに渡って来た時も初めてもミハイルが受けるのよ。可哀そうなローランド…これは神のお決めになった事だから仕方ないわ諦めなさい」
「初めて?」
意味が分からず首を傾げてローランドを見たが目を逸らされて。
『あ…また私の知らない話だ』
そう思ったがミハイルが町屋敷に移ったら内緒話はもうしないって言ってた。明日移るからスルーする事にしたが…少し胸騒ぎが…
食事会の後半は話は難しく愛想笑いで終え就寝の為に自室にローランドと戻った。眠る前に居間で二人でゆっくりお茶をする。いつもは向かい合うのに今日は横に座るローランド。
「次に春香がここに来るのは6週後だ。ここ数週間ずっとここに春香が居たから、明日から眠れるか不安だ」
「あっという間だよきっと。寂しかった会いに来てね。私も会いたい時は行くし」
「春香…愛している」
「私も好き!」
この後早めに湯浴みをして私のベッドに入り他愛もない話をしながら二人で眠りに付いた。
翌朝、5時にミハイルが迎えに来る。朝ゆっくり起きてローランドと朝食を頂き身支度をする。ローランドは後追い状態で隙あらば抱きしめてキスしてくる。正直ちょっと鬱陶しいけど暫く会えないから目を瞑ろう。
そして少し早めにミハイルが迎えに来た。不機嫌なローランドと破顔したミハイル対照的な2人を前に戸惑う私。陛下とアンヌ母様にご挨拶し世話になった皆さんにお礼を言って馬車に移動する。最後に抱き付くローランド。
「春香。暫く会えない口付けていいか?」
「うん」
軽い気持ちで返事すると抱き寄せられ
「!!!」
見送りの人が大勢いるのかでディープキスをされ頭が真っ白になる。段々息が苦しくなって来て意識が遠のく…
見かねたアレックスがローランドを引き離しミハイルに抱き留めてくれる。
ごたごたしたが馬車に乗り町屋敷に出発し新たな生活を始めます。只管笑顔のミハイルに少し気持ち悪さを感じながら馬車は町屋敷に向かい進んで行く。
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