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第四章
4-11 RPG③眞瀬木の見解
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永と鈴心は昨日とは違い、瑠深の自室に通された。おおよそ女子高生らしくない閑散とした和室で、居間とほとんど差がなかった。
だがそんなことを気にしている余裕はなかった。これから情報交換という名の腹の探り合いをするのだから。
「で?銀騎詮充郎の娘ってどういうこと?確かあの爺さん大分トシよね。それとも相当元気なの?」
下世話な言い方なのに瑠深が言うとあまりそう聞こえない。サバサバ系とはこういう事か、と永は思った。
そういえば今日はお茶も出ない。歓迎ムードではないこともその発言からよくわかる。
「娘と言っても、詮充郎の精子を使って行われた実験で生まれたデザインベビーです」
瑠深は、淡々と話す鈴心に向かって眉を寄せながら聞く。
「鵺人のあんたが?どういう経緯でそんなことに?」
「そこまでは申し上げられません」
だが鈴心はそれ以上の事は言わなかった。そんな態度で大丈夫なのか、永は横で内心ハラハラしていたが、瑠深は口端を曲げて挑戦を受けてたつボクサーのような趣きで頷いた。
「──わかった。うわずみだけの情報交換がお互いのためってことね」
「恐れ入ります。私はそちらで言う鵺人のリンが、今回の転生で銀騎の身内として生を受けた者です」
「それで、リンって呼ぶのか」
先程の疑問について納得したようにこちらを見た瑠深に、永は遠慮がちに頷いた。どうもこの場は鈴心に任せた方が良さそうだ。
「まあ、そう言うことです」
「過去にこだわる男ってサイテー」
「うっ!」
永に悪態をついた後、それを悪びれる風もなく瑠深はまた鈴心に向き直った。
「けど、あんた御堂って名字じゃなかった?」
「あくまで私は実験体ですから、詮充郎と親子の情はありません。今の養父母は銀騎の分家の御堂に連なる者です」
「へえ。噂通りのマッドサイエンティストクソジジイだね、反吐が出る」
「そこは全く同意です」
言葉を選ばない瑠深の物言いに、永は頷くだけで特に口をはさまなかった。鈴心の動向を見守ろうと思ったからだ。
「ふうん。あんたが随分ややこしい身の上なのはわかった。で、こっちからは何が聞きたいの?」
「眞瀬木の縁者の中に、鵺を崇めるような方がいるか、です」
ずばり聞いた鈴心の胆力はたいしたものだった。そしてそれにあっさり答えた瑠深の回答にも永は驚いた。
「──やるね、そこまで掴んでるんだ。いるよ」
「ほ、ほんとに!?」
思わず声がうわずってしまった永の反応を特に気にもせず、瑠深はサバサバした口調で言ってのける。
「たまに出るね、そういう人。鵺ってさ、雨都から聞いた話じゃあんた達を千年近く呪ってるんでしょ?そんな執念深い化物、珍しいもの」
「つまり、興味の原点は銀騎と大差ない感じですか?」
「そうね。しかも特定の人間を思いのままに転生させるって言うじゃない。そんなの化物って言うか、もう神でしょ。そう考える呪術師が出るのは別におかしいことじゃない」
その瑠深の見解は永にとってはとても興味深いものだった。
「なるほど。眞瀬木は転生させているのは鵺自身だと考えているんですね」
「何、違うの?」
「いえ、その辺は僕らもわかっていなくて。鵺に「お前ら転生させて呪ってやるからな!」って言われたわけじゃないんで」
永が少し笑いながら言うと、瑠深は意外な顔をしていた。
「あ、そう……」
「まあ、おっしゃる通りなのかもしれませんけど」
===============================
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だがそんなことを気にしている余裕はなかった。これから情報交換という名の腹の探り合いをするのだから。
「で?銀騎詮充郎の娘ってどういうこと?確かあの爺さん大分トシよね。それとも相当元気なの?」
下世話な言い方なのに瑠深が言うとあまりそう聞こえない。サバサバ系とはこういう事か、と永は思った。
そういえば今日はお茶も出ない。歓迎ムードではないこともその発言からよくわかる。
「娘と言っても、詮充郎の精子を使って行われた実験で生まれたデザインベビーです」
瑠深は、淡々と話す鈴心に向かって眉を寄せながら聞く。
「鵺人のあんたが?どういう経緯でそんなことに?」
「そこまでは申し上げられません」
だが鈴心はそれ以上の事は言わなかった。そんな態度で大丈夫なのか、永は横で内心ハラハラしていたが、瑠深は口端を曲げて挑戦を受けてたつボクサーのような趣きで頷いた。
「──わかった。うわずみだけの情報交換がお互いのためってことね」
「恐れ入ります。私はそちらで言う鵺人のリンが、今回の転生で銀騎の身内として生を受けた者です」
「それで、リンって呼ぶのか」
先程の疑問について納得したようにこちらを見た瑠深に、永は遠慮がちに頷いた。どうもこの場は鈴心に任せた方が良さそうだ。
「まあ、そう言うことです」
「過去にこだわる男ってサイテー」
「うっ!」
永に悪態をついた後、それを悪びれる風もなく瑠深はまた鈴心に向き直った。
「けど、あんた御堂って名字じゃなかった?」
「あくまで私は実験体ですから、詮充郎と親子の情はありません。今の養父母は銀騎の分家の御堂に連なる者です」
「へえ。噂通りのマッドサイエンティストクソジジイだね、反吐が出る」
「そこは全く同意です」
言葉を選ばない瑠深の物言いに、永は頷くだけで特に口をはさまなかった。鈴心の動向を見守ろうと思ったからだ。
「ふうん。あんたが随分ややこしい身の上なのはわかった。で、こっちからは何が聞きたいの?」
「眞瀬木の縁者の中に、鵺を崇めるような方がいるか、です」
ずばり聞いた鈴心の胆力はたいしたものだった。そしてそれにあっさり答えた瑠深の回答にも永は驚いた。
「──やるね、そこまで掴んでるんだ。いるよ」
「ほ、ほんとに!?」
思わず声がうわずってしまった永の反応を特に気にもせず、瑠深はサバサバした口調で言ってのける。
「たまに出るね、そういう人。鵺ってさ、雨都から聞いた話じゃあんた達を千年近く呪ってるんでしょ?そんな執念深い化物、珍しいもの」
「つまり、興味の原点は銀騎と大差ない感じですか?」
「そうね。しかも特定の人間を思いのままに転生させるって言うじゃない。そんなの化物って言うか、もう神でしょ。そう考える呪術師が出るのは別におかしいことじゃない」
その瑠深の見解は永にとってはとても興味深いものだった。
「なるほど。眞瀬木は転生させているのは鵺自身だと考えているんですね」
「何、違うの?」
「いえ、その辺は僕らもわかっていなくて。鵺に「お前ら転生させて呪ってやるからな!」って言われたわけじゃないんで」
永が少し笑いながら言うと、瑠深は意外な顔をしていた。
「あ、そう……」
「まあ、おっしゃる通りなのかもしれませんけど」
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