大好きな獅子様の番になりたい

あまさき

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2章

愛しい人(レオス視点)

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シリアス様が襲われた。

そう察したときにはもう、カリム様は恐ろしいまでの殺気を放ちながらシリアス様の元へ向かっていた。

そして俺たちがシリアス様の部屋に辿り着いたとき、いかにも悪役然とした男がシリアス様を拘束していた。

その男は、シア殿の件で俺たちが目をつけていたライネ=ヴァレンタインだった。
あまりにも不快な声色から、あいつが本当に狙っていたのはカナリエだと分かった。

(こいつをカナに近づけてはならない…!)

俺は全神経を目の前の男に向けていた。

それがいけなかった。

どんな術を使ったのか、カリム様の目すらも掻い潜って潜んでいたもう一人の男に、カナリエはあっという間に連れ去られてしまった。シリアス様と共に。

番を連れ去られた俺とカリム様は荒れ狂う心の波を必死に堪え、すぐさま二人の救助に向かおうとした。
しかし肝心の場所が分からなかった。俺たちは自身の非力を痛感した。

「シリアス…」
「…二人の居場所が分かるまで、国内全域をくまなく探しましょう」

力なく項垂れるカリム様にそう言いながら、自身も確実にダメージを受けているのが分かった。
自分の不甲斐なさに怒りが溢れる。俺がカナリエを守ると言いながら、易々と彼を連れ去られてしまった。

俺が死にかけた時あの小さな手が精一杯守ってくれた恩を、俺は返せていない。今どれだけ心細い思いをしているだろう、そう考えるだけで固く握りしめた手から血が伝った。

「…レオス殿。この事件、私に一つ思い当たることがある」
「思い当たること…?なんで早く言わないんですか!!もうカナたちは連れ去られてしまったんですよ!」
「違うのだ、レオス殿…それに思い当たったのは、まさにその連れ去られる瞬間なのだ」
「…え?」

見つめたカリム様の瞳は、あまりにも真っ直ぐ俺を見据えていた。そうして語られた話は、あまりにも衝撃的で、国すらも揺るがす知られざる真実だった。



◇◇◇




「まさか、そんな…」

本当にこの話が二人の誘拐に関係するなら、俺たちが考えるよりもっと恐ろしいことが計画されているのかもしれない。

「すぐ二人の救出に向かわなければ!」
「分かっている。しかしどれだけ急いでも、見つかるかどうか…」
「くそっ」

(どこにいるんだ、カナ…!)

こんなにもどかしい思いは初めてだ。
今すぐあの子の元へ行って、震えてるであろう身体を抱きしめてあげたい。

そう思った途端、声が響いた。

「カナ…?」

あの愛しい声で、会いたい、としっかり聞こえた。

そしてその居場所が、どこへ向かえばいいかがはっきりと分かった。

「どうした、レオス殿」
「カリム様。二人の居場所が分かったかもしれません」

すべきことは定まった。俺とカリム様は、二人を救うために動き出した。
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