大国に囲まれた小国の「魔素無し第四王子」戦記(最強部隊を率いて新王国樹立へ)

たぬころまんじゅう

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第二章

悪鬼隊

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「おいおい、なんなんだ?相手の方が数が多いだろうに。妙に慎重な奴らだな」

「フランツ、また来るぞ!」

 森の様子を見ていたジュリが叫んだ。その直後、雄叫びを上げながら再度ルンデル軍は先ほどと同じように矢の一斉射撃をして攻め込んで来る。

「またかよ!」

 再び、ローレンツ軍はルンデル軍の攻めに対処をすることになった。そして、しばらくするとまた森の中にさっと退いてしまった。


※※※※※


「どうだった?」

「敵右翼側はそれなりに対応してきますね。さすがに警戒しているようです」エメルがバートラムに報告するとリンドラも頷いた。

「私のほうも同じような感じでした」

「そうか、敵中央は隙が全く無いな。恐らく例の王子が指揮しているんだろう。それと、一部デタラメに強いのがちらほらいる」

 バートラムが指揮を取りながら感じていたことだった。ローレンツ軍のなかでケタ違いなオーラを纏った兵士が何人かいた。その連中の周りだけはルンデル軍の被害が大きくなる。

「部隊長ですかね?」ドルフも感じていたらしくすかさず反応する。

「そうだろうよ。ドルフ、ありゃ俺やおまえと同等だと思ったほうがいい」

「確かに、こっちにも何人か異様なオーラ出してた奴らがいましたぜ」

 2人の会話を聞いていたアジルも呼応する。この時、バートラムのなかでコーネリアスを倒したのはこの部隊なのではないかという疑念が、確信に近いものになりつつあった。

 今までのローレンツ軍なら、こんな脅威を感じなかった。3大将軍と一騎打ちで渡り合えると評価されてきたのは、せいぜい第二王子ぐらいだ。それがどうしてこんな化け物じみたオーラ持ちがゴロゴロいるのか・・・・・・。

「そっちもか。俺とサシでやりあえる奴なんかゴットハルトのヒゲだるまぐらいかと思ってたんだがな」

「なら、どうしますかい?」

「ふぅむ。森の中までおびき寄せればどうとでも料理出来るんだがな。そういや、おまえんとこ右翼は何かわからんかったのか?」

「ああ、そういや」ドルフはローレンツ軍がいるであろう方向をちらっと見て話し始めた。

「俺らが最初攻め込んで思ったのは、旦那と同じような感想でした。全体的に隙が無いと思ったんですが、ひとつだけ攻めると少し出てくる隊がいるんですよ。次に攻めたときも同じだったんでさ」

 それを聞いてバートラムはニヤッと笑った。

「なら、そこが相手の弱点だな」

 三度目に攻めてきたルンデル軍の攻めは、先ほどの二回に比べて苛烈を極める。ドルフとアジルは突出してきたデカい奴目掛けて斬りかかっていった。ドルフとアジルの二人がかりの連携攻撃で間断なく攻める。

 ドルフが斬り結んでいる間にアジルがオーラを練り込み、衝撃波を食らわせる。逆にアジルが剣を交わしている最中にドルフがオーラを練り込む。こうした連携を取られ、徐々に一隊だけが突出していった。彼らが狙っていたのはアルス隊の部隊長であるガルダであった。

 二回の攻めに突出気味になっていたことをバートラムに突かれたのだったが、もちろん当の本人は知らない。ドルフとアジルの隙の無い攻めにだんだんとイライラしてきていたガルダは少しずつ釣り出されているにも気付かずにジリジリと飛び出てしまっていた。そこへ二人から挑発の言葉が飛んだ。

「なんだ、デカいのは図体だけか!?」

「俺らたった二人に手も足も出ねぇのかよ?」

 冷静に考えれば二人がかりでガルダに斬りかかっているほうが言うセリフではないのだが、直情的なガルダにはもはや冷静に考える余地などない。二人がかりの連携で攻めて来られては、さすがにガルダでもオーラを体内で練る時間が与えられず攻め切ることが出来なかった。

 そこでガルダとしては、距離を詰めて近接戦闘に持ち込みたいところであったが二人が罵倒しながら戦い、付かず離れずの戦いをするため、自然にガルダが追いかける形になっていたのだ。

 周囲がこの状態に気付いた時にはガルダはすでに二人を追い掛けて森に入るところであった。ガルダを追い掛けながら数十人の兵士たちが追いかけていくのを見たアルスは、ジュリとパトスに救出するよう指示を出すと同時に左翼側の攻撃を厚くした。

 指示を受けたジュリとパトスはすぐに隊を率いて突破口を開こうとするものの、間断なく距離を取りながら攻めてくるルンデル軍相手に少し手間取ってしまった。というのも、ルンデル軍はバートラムの指示によりローレンツ軍左翼側に兵力を集中させていたからである。二人が突破した時には既にガルダの姿はなかった。
 
 ガルダ自身がまんまとおびき出されたと気づいた時にはかなり森の深くまで入ってしまった後である。息を切らせながら周りを見て、ハッとしたガルダは急いで戻ろうとした。

 後方から追いかけて来たガルダ隊の兵士たちが目に入った瞬間である。両側から降り注ぐ矢の雨がどこからともなく木の間を抜けて隊士たちがバタバタと倒れて行った。

「うおおおおおおおおっ!!」

 ガルダがオーラを込めて放つと、放った方向の木が軒並み倒れていく。数人のルンデル兵が倒れた木と同じように斬られたが、また別の方向から矢が次から次へと飛んでくる。

 いつの間にかドルフとアジルの姿も消えている。ガルダは急いで来た道を戻り、隊員たちが倒れているところまで戻ると不意に頭上から空気を切り裂きながら一本の矢がガルダの頭部目掛けて飛んできた。それを辛うじて避けた直後に背後から飛んで来た数本の矢を食らってしまった。

 思わずうめき声を上げたガルダだったが、動きは止めず、そのまま木の陰に潜んだ。木の上にはいつの間にか消えていたアジルの姿があった。周囲には複数のルンデル兵が潜んでいるのだろう。ガルダは背中に刺さった矢をグッと力を入れて一本ずつ抜く。

 身体に痛みが走るが、もはや気にしている場合ではない。左右から飛んで来た矢をオーラで弾きつつ、なんとか脱出する隙を探すのだった。
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