闘破蒼穹(とうはそうきゅう)

きりしま つかさ

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第0940話 異変

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習慣の流れで三千雷動を発動させた蕭炎は、その雷獣の攻撃を回避しつつも、足を止めた瞬間、雷獣が天高く唸り声を上げ、四足を激しく打ち付け地面に亀裂を作りながら、電光のごとく彼方へ向けて疾走した。

「ふん!」

この雷獣の攻撃を受けたことで、蕭炎の目に冷ややかな色が浮かんだ。

この一撃は洪辰の必殺技だろう。

威力は確かに地階級の斗技に匹敵するものの、精血を消費することで衰弱状態になるはずだ。

つまり現在の彼は再戦不能で、蕭炎がその雷獣を倒せば、この対決は洪家側の敗北となる。

地面を駆け回りながら、蕭炎は手早く結印を組み始めた。

残影が飛び交う中、掌から緑色の輝く光が急速に発生する。

結印が完成した瞬間、猛烈な風圧と雷鳴の音が迫ってきた。

眉根を寄せた蕭炎はさらに後退し、口を開いて何かを唱えた。

その声は獣のようなもので、「獅虎碎金吟!」

という言葉と共に大気を震わせた。

実体化した音波が四方八方に広がり、雷獣の身体を強打した。

全身に電光が走る様子ながらも、その足は地面を滑らせ数十メートル後退し、ようやく音波の威力から脱出する。

音波が消えた直後、雷獣の巨大な目に電気の輝きが宿り、低く唸ると前足で跳躍。

その巨体は一気に数 dozen メートルを飛ばし、蕭炎の頭上に迫った。

雷光を放つ恐ろしい口から、彼の首筋へと噛み付こうとした。

この度の猛攻撃に対して、蕭炎は後退せず、手早く結印を組み始めた。

瞬間、掌に輝く緑色の結晶が形成された。

そのサイズは手のひら程度で、水晶のように美しいが、内包するエネルギーは極めて恐ろしい。

結晶が完成した時、頭上の影が急速に迫ってきた。

冷ややかな笑みを浮かべた蕭炎は、その雷光の巨口を見上げながら身を翻し、掌を額に押し当てた。

「翻海印!」

接触した瞬間、雷獣から驚愕の叫び声が響き渡り、彼の身体全体で電気の火花が飛び散った。

しかし緑色の結晶と出会うとその光は突然消滅する。

「砕けろ!」

蕭炎の目に冷酷な光が宿り、掌を強く握ると同時に、光の印章が爆発した。



輝く緑色の光は太陽のように輝き、その一瞬に爆発を起こした。

その強大な光は雷獣の体から飛び交う稲妻の光を全て覆い尽くし、その圧倒的なエネルギーが雷獣を侵食する中、その威張りたる姿は悲鳴と共に消え去った。

驚きの目線の中で「バキッと」音を立てて銀色の光点に消えた。

雷獣が爆発した瞬間、光の痕跡もまた急速に散り散りになった。

蕭炎は冷たい目線で遠くで驚きの表情を見せる洪辰を一瞥し、重尺を再び手に取り、地面を蹴って姿を消した。

蕭炎が姿を消すと同時に、洪辰の顔色も変わった。

昊雷錘を見るや急いで手を伸ばそうとしたが、その前に凶猛な風が彼の身体を直撃し、数十メートルもの跡を残して地面に転倒した。

「プチッ」という音と共に。

再び重撃を受けた洪辰は血を吐き出し、起き上がろうとしないうちに黒い影が襲いかかった。

巨大な重尺の影が彼の頭上に迫る直前、「私は負けます!」

と叫んだ。

「チィッ」という音と共に。

重尺は洪辰の頭から半メートル離れたところで突然動きを止めた。

その力が空中で伝わると、洪辰の全身が地面に押し付けられ、カエルのように平らになってしまった。

この場面は天石台全体を静寂に包み込んだ。

誰もが予想外の結末に驚いていた。

最初は天北城の名高い若手天才である洪辰が、知らない青年の前にこんな惨憺たる敗北を喫すとは思っていなかったのだ。

戦闘は長く続いたが、本当に目を見張るものがあったのは、洪辰が全力を尽くしたにもかかわらず、麻布着の青年は始終冷静で、底なしの深みを持つように見えたからだ。

「彼は勝った。



韓家の席では、場中で蕭炎に重尺で追い詰められている洪辰を見ながら、皆息を呑んだ。

韓池がため息をついた。

「彼女は本当に優秀だったわね。

でもこの若者は想像以上よ。



特に韓月と韓雪の娘たちは喜びを隠せなかった。

韓月はようやく安堵し、韓雪はその削ぎ細い姿に心を奪われていた。

暫く経った後、雷鳴のような拍手と歓声が天石台を包み込んだ。

この若手たちの素晴らしい戦闘は観客の期待を遥かに超えていたからだ。

特に麻布着の青年は彼らの記憶に深く刻まれた。



その場に満ちる喝采の中、洪家の者たちは顔色を極端に変えてしまっていた。

韓家に仕掛けた罠が逆に自分たちに跳ね返ったという事実が、彼らの誇りを粉々に踏み潰していたのだ。

今日の恥辱は、決して許されない。

場中で、蕭炎はゆっくりと玄重尺を引き抜き、洪辰を見下ろすように一瞥した後、そのまま背を向けて歩き始めた。

その身体が向きを変えた瞬間、地面に這っていた洪辰の目に凶悪な怨恨の色が一瞬だけ浮かんだ。

掌で地面を押し、袖から雷光の矢が突然飛び出し、蕭炎の背中に直撃する。

予期せぬ事態に観客たちが驚きの声を上げる中、罵声が連鎖的に響き渡った。

「死ね!」

しかし、蕭炎は洪辰の一命を救いながらも、その卑劣な行為に反論すらしなかった。

「チリッ!」

と雷光矢が観客の目を奪う。

正確に背中に命中した矢は血痕すら残さず、その影だけが徐々に消えていく。

「残像か?」

洪辰の心臓が一拍子跳ねた。

次の瞬間、彼の背後で何かが触れた気がした。

その手のひらが彼の背中に静かに置かれているのに気付くと、恐怖の冷たい感覚が全身を駆け抜けた。

「終わりだよ」─蕭炎の声が耳に届いた瞬間、洪辰の口から血が噴き出した。

その身体は無力に地面に倒れ込んだ。

同時に、灰衣老者の動きが速やかに始まった。

彼は一歩で場中へと飛び出し、洪辰を掴み上げた。

「この命は、お前が自ら送り出したんだから、誰にも責任はない」

天石台の上では怒号が連鎖的に響き渡る。

灰衣老者は洪立の方を見やった。

「洪家主よ、あなたが言う通りなら、私が反撃したのは当然だ。

もし私が素早く動かなかったら、今お前の息子は私の代わりに死んでいたかもしれない」

洪立の顔色がさらに暗くなった。

「我が家の者を傷つけた以上、この恨みは一生つづけよう」

「どうせなら、貴様の風雷閣で修めた三千雷動の由来も教えてくれないか。

我々風雷閣にはそのような弟子はいないはずだ」

蕭炎が眉をひそめる。

やはり見破られたのか─しかし、それだけでは何も変わらない。

灰衣老者の目が冷たくなった。

「貴様は逃げられない。

だが──この前に、貴様の三千雷動の修得源を教えてくれないか」

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