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第1359話 四天尊・血河!
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九天尊が突然叫び声を上げた瞬間、蕭炎も僅かに驚きを顔に出した。
その直後、視線の端で赤く染まった地面を見やると、この魂殿にはまだより強力な存在が隠れていたことが分かった。
「仲間がいるかどうかは関係ない!この野郎を殺せ!」
蕭炎の目が瞬きもせず鋭い光を放ち、次の瞬間掌を前に突き出した。
その黒い光の輪が急激に広がり始めた時、九天尊は後方から迫る恐怖的なエネルギーを感じ取り、体中の斗気を暴発させた。
しかし光の輪の速度は全く減ることなく、彼の反撃も無効だった。
「四哥!」
必死に抵抗しても脱出不可能な九天尊が惨憺たる表情で叫ぶと、地面が突然激しく震え出した。
瞬く間に百丈規模の亀裂が広がり、数百丈幅の深い谷間が現れた。
その中から腐敗した血の臭いと凄まじい悲鳴が溢れ出し、天空を覆う暗雲にさらに重みを増す。
「バチ!」
九天尊の叫びと共に大地が崩壊し、その深淵からは無数の死体の惨状が露わになった。
蕭炎は驚きながらも右掌を突き出し、光の輪が九天尊の左腕に接触した瞬間、激痛で彼が悲鳴を上げる。
光の圧力が肉を引き裂く恐怖が直ちに腕全体を破壊し、骨まで腐食していく。
「ふん!」
蕭炎は冷たい笑みと共に掌を握り締めると、光の輪の吸引力がさらに増した。
九天尊も気付き、牙を剥いて手首を切り落とすという極限の手段に出る。
しかし光の圧力は加速し続け、彼の動きを完全に封じた。
「逃げるつもりか?」
蕭炎は冷ややかな目で見つめながら、光の輪が再び九天尊へ迫り始めた。
かつて四星斗尊だった頃とは比べ物にならないほどの圧力が彼を包み込み、抵抗する術もなくなりつつある。
「シュ!」
九天尊の目から絶望が滲み始めたその時、下方の大深淵からは突然破風音と共に百丈規模の血色光線が噴出し、空中で赤い巨龍へと凝縮。
その咆哮と共に凄まじい勢いで蕭炎めがけて突進してくる。
下方から急に伝わる気圧変化を感じ取った蕭炎は僅かに顔を歪めたが、意外にも身を翻すこともなく、九天尊の驚きの表情を見つめるように冷ややかな視線を向けた。
掌を突き出すと瞬時に黒い光輪が飛び出し、その口から九天尊全体を飲み込んでしまう。
「あ!」
身体を光輪に呑まれる九天尊の絶叫が響く中、血龍は同時に蕭炎の体に激突。
濃厚な血色の爆発が空を染め、要塞の城壁では彩鳞たちの顔色が変わった。
彼らもまた血龍の内包する恐るべきエネルギーに驚愕していた。
「ぶっ!」
光輪が九天尊を飲み込む瞬間、血龍は蕭炎の身体に衝突し、赤い太陽のような爆発が空を裂いた。
城壁では死の静寂が訪れる。
人々の顔には先ほどの驚きの残滓が残りながらも、今は恐怖で固まった。
「うわーん」
血海の底から不気味な水音が響く。
半ばに及ぶと漆黒の深淵からは赤い光が滲み出し、粘稠な猩々の血海が現れた。
その様子を見た人々は息を呑んだ。
「えっ?」
九天尊が無事だったことに驚きの声が響く。
底からさらに水音が鳴り、深淵からは赤い光が増していく。
人々の視線を集めながら、削痩した影が血色の空に現れた。
その姿を見た城壁では歓呼が沸き起こった。
「やっと……」
彩鳞たちもほっと息を吐いた。
底から不気味な水音が響く中、赤い光はさらに増し、深淵からは血海が広がり続けた。
粘稠い血の海が深淵からゆっくりと上昇し、深淵と同じ高さに達したところでようやく動きを止めた。
その血海が蠢く中、全身真っ赤な影がゆっくりと浮かび上がってきた。
その影は猩々色の目を開き、天高く漂う蕭炎を見上げながら、枯れ葉のような声で言った。
「殿主様にまで気に入られるだけあって、確かに自慢の種だ……」
蕭炎は下方の人影を凝視した。
赤い長袍をまとったその人物は、髪も目も眉も全て血色に染まっており、一見するだけで背筋が凍り付くような殺伐たる気配を放ち出していた。
突然現れたこの血の影は、獅冥宗の強者たちまで驚かせた。
彼らの中にもその存在を知る者はいなかったのだ。
「一体何という実力だ……」
炎盟側の強者がその赤い影を見つめるにつれ、胸中で重苦しい思いが込み上げてきた。
正確な実力を測ることはできなかったが、明らかにこの人物こそが獅冥宗陣営最強の存在だった。
「血河尊者!?」
魂殿三位と戦っていた胡氏三老はその光景を見て手を止めた。
重い表情で赤い影を見つめながら、胡老大が言った。
「少主様、警戒してください。
この人物は中州でも非常に有名な強者です。
血を化す能力が極めて怪異で、かつて多くの一流の戦士がその手に倒れました。
しかし後に突然姿を消し、魂殿へと身を投じたのです」
「ふん、それは昔の名前だよ……貴方は『魂殿四天尊』、あるいは『血河天尊』と呼ばれるべきか?」
赤い影が血海に足を乗せると、枯れ葉のような声で笑った。
「四天尊……」蕭炎は目元を僅かに引き締めた。
「この魂殿は確かに隠れた名手が多いようだ……眼前のこの人物は九星斗尊の頂点に近い実力だが、半聖への距離はたった一歩。
まさか今回はここまで強い相手が来るとは……貴方は仲間を助けもせずに悠々と構えるのか?」
蕭炎は笑みを浮かべて手を上げると、大天造化掌で撃ち落とした九星斗尊の遺体が空中に飛び出した。
その姿を見れば、明らかに何度か失敗したという傷跡があった。
「この失敗続きの無能を救う価値はないと……」
四天尊はその死骸に冷たい視線を向けた。
口を開くと血色の矢が飛び出し、遺体をたちまち血漿爆発させた。
彼は感情のない声で言った。
「魂殿の人間にとって、感情など余計なものだ」
「ふん、本来は捨て駒だったんだろう……」蕭炎は皮肉な笑みを浮かべた。
「本来は手を出さないつもりだったが、この無能めが貴方の腕にまで傷を与えたなら、老夫が代わりにやるしかない。
蕭族全員の血脈、全てここから取り戻す」
四天尊の言葉と共に深淵からは巨大な血柱が次々と噴き上がり、血霧が四方八方に広がった。
その中から陰気で骨髄まで凍えるような殺伐たる気配が四方に広がり始めた。
その直後、視線の端で赤く染まった地面を見やると、この魂殿にはまだより強力な存在が隠れていたことが分かった。
「仲間がいるかどうかは関係ない!この野郎を殺せ!」
蕭炎の目が瞬きもせず鋭い光を放ち、次の瞬間掌を前に突き出した。
その黒い光の輪が急激に広がり始めた時、九天尊は後方から迫る恐怖的なエネルギーを感じ取り、体中の斗気を暴発させた。
しかし光の輪の速度は全く減ることなく、彼の反撃も無効だった。
「四哥!」
必死に抵抗しても脱出不可能な九天尊が惨憺たる表情で叫ぶと、地面が突然激しく震え出した。
瞬く間に百丈規模の亀裂が広がり、数百丈幅の深い谷間が現れた。
その中から腐敗した血の臭いと凄まじい悲鳴が溢れ出し、天空を覆う暗雲にさらに重みを増す。
「バチ!」
九天尊の叫びと共に大地が崩壊し、その深淵からは無数の死体の惨状が露わになった。
蕭炎は驚きながらも右掌を突き出し、光の輪が九天尊の左腕に接触した瞬間、激痛で彼が悲鳴を上げる。
光の圧力が肉を引き裂く恐怖が直ちに腕全体を破壊し、骨まで腐食していく。
「ふん!」
蕭炎は冷たい笑みと共に掌を握り締めると、光の輪の吸引力がさらに増した。
九天尊も気付き、牙を剥いて手首を切り落とすという極限の手段に出る。
しかし光の圧力は加速し続け、彼の動きを完全に封じた。
「逃げるつもりか?」
蕭炎は冷ややかな目で見つめながら、光の輪が再び九天尊へ迫り始めた。
かつて四星斗尊だった頃とは比べ物にならないほどの圧力が彼を包み込み、抵抗する術もなくなりつつある。
「シュ!」
九天尊の目から絶望が滲み始めたその時、下方の大深淵からは突然破風音と共に百丈規模の血色光線が噴出し、空中で赤い巨龍へと凝縮。
その咆哮と共に凄まじい勢いで蕭炎めがけて突進してくる。
下方から急に伝わる気圧変化を感じ取った蕭炎は僅かに顔を歪めたが、意外にも身を翻すこともなく、九天尊の驚きの表情を見つめるように冷ややかな視線を向けた。
掌を突き出すと瞬時に黒い光輪が飛び出し、その口から九天尊全体を飲み込んでしまう。
「あ!」
身体を光輪に呑まれる九天尊の絶叫が響く中、血龍は同時に蕭炎の体に激突。
濃厚な血色の爆発が空を染め、要塞の城壁では彩鳞たちの顔色が変わった。
彼らもまた血龍の内包する恐るべきエネルギーに驚愕していた。
「ぶっ!」
光輪が九天尊を飲み込む瞬間、血龍は蕭炎の身体に衝突し、赤い太陽のような爆発が空を裂いた。
城壁では死の静寂が訪れる。
人々の顔には先ほどの驚きの残滓が残りながらも、今は恐怖で固まった。
「うわーん」
血海の底から不気味な水音が響く。
半ばに及ぶと漆黒の深淵からは赤い光が滲み出し、粘稠な猩々の血海が現れた。
その様子を見た人々は息を呑んだ。
「えっ?」
九天尊が無事だったことに驚きの声が響く。
底からさらに水音が鳴り、深淵からは赤い光が増していく。
人々の視線を集めながら、削痩した影が血色の空に現れた。
その姿を見た城壁では歓呼が沸き起こった。
「やっと……」
彩鳞たちもほっと息を吐いた。
底から不気味な水音が響く中、赤い光はさらに増し、深淵からは血海が広がり続けた。
粘稠い血の海が深淵からゆっくりと上昇し、深淵と同じ高さに達したところでようやく動きを止めた。
その血海が蠢く中、全身真っ赤な影がゆっくりと浮かび上がってきた。
その影は猩々色の目を開き、天高く漂う蕭炎を見上げながら、枯れ葉のような声で言った。
「殿主様にまで気に入られるだけあって、確かに自慢の種だ……」
蕭炎は下方の人影を凝視した。
赤い長袍をまとったその人物は、髪も目も眉も全て血色に染まっており、一見するだけで背筋が凍り付くような殺伐たる気配を放ち出していた。
突然現れたこの血の影は、獅冥宗の強者たちまで驚かせた。
彼らの中にもその存在を知る者はいなかったのだ。
「一体何という実力だ……」
炎盟側の強者がその赤い影を見つめるにつれ、胸中で重苦しい思いが込み上げてきた。
正確な実力を測ることはできなかったが、明らかにこの人物こそが獅冥宗陣営最強の存在だった。
「血河尊者!?」
魂殿三位と戦っていた胡氏三老はその光景を見て手を止めた。
重い表情で赤い影を見つめながら、胡老大が言った。
「少主様、警戒してください。
この人物は中州でも非常に有名な強者です。
血を化す能力が極めて怪異で、かつて多くの一流の戦士がその手に倒れました。
しかし後に突然姿を消し、魂殿へと身を投じたのです」
「ふん、それは昔の名前だよ……貴方は『魂殿四天尊』、あるいは『血河天尊』と呼ばれるべきか?」
赤い影が血海に足を乗せると、枯れ葉のような声で笑った。
「四天尊……」蕭炎は目元を僅かに引き締めた。
「この魂殿は確かに隠れた名手が多いようだ……眼前のこの人物は九星斗尊の頂点に近い実力だが、半聖への距離はたった一歩。
まさか今回はここまで強い相手が来るとは……貴方は仲間を助けもせずに悠々と構えるのか?」
蕭炎は笑みを浮かべて手を上げると、大天造化掌で撃ち落とした九星斗尊の遺体が空中に飛び出した。
その姿を見れば、明らかに何度か失敗したという傷跡があった。
「この失敗続きの無能を救う価値はないと……」
四天尊はその死骸に冷たい視線を向けた。
口を開くと血色の矢が飛び出し、遺体をたちまち血漿爆発させた。
彼は感情のない声で言った。
「魂殿の人間にとって、感情など余計なものだ」
「ふん、本来は捨て駒だったんだろう……」蕭炎は皮肉な笑みを浮かべた。
「本来は手を出さないつもりだったが、この無能めが貴方の腕にまで傷を与えたなら、老夫が代わりにやるしかない。
蕭族全員の血脈、全てここから取り戻す」
四天尊の言葉と共に深淵からは巨大な血柱が次々と噴き上がり、血霧が四方八方に広がった。
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