闘破蒼穹(とうはそうきゅう)

きりしま つかさ

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第1472話 妖火降臨!

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山頂の上で、冷や汗を流しながら目を開いた蕭炎は、目の前にある重苦しい光景に眉根を寄せた。

まさか今回の魂遊天という体験が、魂殿の神龍見首尾の殿主と遭遇するとは……先ほどの一瞬、あの謎の強者が助けてくれなければ脱出は不可能だった。

確かに魂の衝突では自分が劣らなかったものの、相手の言う通り自身の実力は大きく及ばない。

『その魂殿殿主の実力は紫研よりも上かもしれない』

深呼吸をした蕭炎は胸騒ぎを抑えながら、先程の驚異的な体験を振り返った。

あの人物が果たして魂殿殿主と呼ばれるにふさわしい存在なのか……その強者が現れた瞬間、蕭炎は完全に手足を縛られていたのだ。

『なぜあの謎の強者が助けてくれたのか?』眉根を寄せながら考え込む。

この中州には実力で魂殿殿主を忌み嫌うほどの人物が少ないはずだ。

自分が天境大円満という最高級の魂離脱能力を持ちながらも、危機に瀕したのはそのためだった。

『もし相手の正体が明らかになれば、それは新たな助力となるかもしれない』目を瞬かせながら回想する。

先ほどの謎の強者は魂殿殿主と互角に戦っていたし、その声色からも畏怖の念を感じ取れたのだ。

この大陸で魂殿殿主のような実力者に忌み嫌われる存在は限られる。

しかし思考を巡らせても答えは出ない。

ため息をつくと西北方向を見やった。

漆黒の瞳孔の中で熾熱な炎が躍動する。

今回の魂遊天で得た収穫は大きい——魂殿殿主と遭遇しただけでなく、浄蓮妖火降臨の場所も発見したのだ。

その歪んだ空間の中には封印された浄蓮妖火が存在する。

しかし魂殿殿主や謎の強者がその場にいるのは、彼らもまたその異常な現象を監視していたからだ。

自分が今回の遭遇は自ら罠に飛び込んだようなものだった。

『あの空間が破壊されているように見える。

浄蓮妖火が再び空を裂くのは間もなく……』掌で頬を撫でる。

先程の魂殿殿主との衝突からも、その強大さは肌に染みついていた。

今の自分が相手と戦うなど不可能だ。

だからこそ、浄蓮妖火を得て一刻も早く実力を向上させる必要があったのだ。



再者、魂殿殿主の次に恐ろしい存在となる魂族が控えている。

この相手さえ倒せないなら魂族と対決するなど無理だ。

その凄まじい勢力は先祖である蕭玄まで暗黒の末を辿ったのだ……「浄蓮妖児をどうしても得たい!」

蕭炎は拳を握り、額に触れた手が突然静かになった。

古図から得た奇妙な光球はその意識体が消えた後も穏やかに沈黙し、現在の天境大円満という至高の霊力でも侵入できない。

「この物は浄蓮妖火に対して大きな反応を示す。

やはり伝説の浄蓮妖聖の遺留品だろうが……」眉をひそめる蕭炎は苦労して集めた断片図を手にしたが、得たのは些か秘密程度の情報だった。

「もし光球に何の役割もないなら、あの妖聖を呼び出して罵倒したい衝動に駆られる」

「ふう……」額を揉む指先は諦観に包まれていた。

蕭炎は思考を断ち切ると立ち上がり、眉心から霊力が爆発的に溢れ出し、実体化した人影を作り出す。

その前に立つのは己と完全に同一の霊魂体だった。

その表情には生気があり呆滞など一切ない。

「遠目に見ればまるで双子のように」

「蕭炎」自身に向かって微笑みながら手を伸ばすと、対面の「蕭炎」も笑顔で握手する。

その様は滑稽でありながら不気味さを帯びていた。

「ふーん、二人の蕭炎がいるのか……」

空から降り立つ人々が驚きを見せる中、紫研は興奮して二人を凝視し続けた。

「本体と変わらない霊魂分身、天境大円満という実力。

確かに名に副わる」

「そして実力も劣らず、協調性の良さは完璧だ。

その相乗効果は相当な威力を放つだろう」胡須を撫でながら笑みがこぼれる。

蕭炎が手を振ると霊魂体は散り、霊力となって眉心に吸い込まれた。

「ふっ、ようやく修練終了。

浄蓮妖火の降臨も間近だ。

場所についてはまだ分からないがいずれ明らかになるだろう」風尊者が笑みを浮かべる。

「その場所は知っているよ」蕭炎が微笑んで風尊者の驚きの表情を見つめながら、少し躊躇して告げる。

「先ほど霊魂漫遊中に発見したし、魂殿の殿主とも接触があった」

それを聞いた人々は一斉に視線を集中させた。

その強大な存在は常に謎に包まれていたが実力は超絶だった。

「一体どうしたんだ?」

薬老が厳粛に尋ねる。

蕭炎は手を広げて簡潔に説明した。



「魂殿が浄蓮の妖火に興味を持っているのは明らかだ。

早年からその場を監視していたようだ」薬老は眉根を寄せ、しばらく考え込んでから言った。

「あの謎の強者については私も推測できない。

だが助けてくれたなら、敵ではなく味方だろう」

蕭炎が小さく頷いた。

「魂殿主のことは気にするな。

浄蓮の妖火が現れるのは驚異的な出来事だ。

その時、遠古種族も例外なく関与するだろう。

古族も同様に」魂殿主はその時は他の強者たちが対処してくれるはずだ。

我々は隠れて機会を見つけて浄蓮の妖火を手に入れるだけだ」

薬老が拳を握ると、玉瓶が掌に乗った。

瓶の中には薫り高い雲が渦を巻き、暗赤色の丹薬がその上に浮かんでいる。

冷たい息遣いが徐々に周囲に広がり、十丈以内の空から氷の雪片が降り始めた。

「これが九陰黄泉丹だ。

お前が修業した二ヶ月間、私と大長老で二人でようやく完成させた」蕭炎が玉瓶を受け取ると、足元から冷たい感覚が湧き上がり、息を吐いたその瞬間に白い息は氷柱となりカランと落ちた。

「やはり九陰黄泉丹だ。

大長老と老師にはお礼申し上げます……」蕭炎がほっとしたように笑みかけた。

「この薬も九品宝丹の域にある。

大長老と老師が協力しても苦労されたのは想像に余りある」

薬老が笑った。

「今は全て準備万端だ。

我々ができることといえば、浄蓮の妖火が現れるのを待つだけだ。

本当に手に入れるかどうかは運次第だ。

過去の出世例では一度も人間が降服したことがないからな」

蕭炎が黙って頷いた。

その困難さは承知しているが、何としてでも挑戦するしかない。

その後の日数を経て、天境大円満まで修業を極めた蕭炎は少しずつ余裕を持ち始めた。

同盟の探子も暗に派遣され、最終的に彼の霊感で感知した地域へと到着し、偵察を開始した……当然、その動きは「天府連合」だけではない。

中州では以前から水面下で活動する古い宗派勢力たちも、その地域に注目を向け始めた。

浄蓮の妖火の出世は、中州上層部の多くの争奪欲を刺激したのだ。

普段人里離れた山林が、今や極めて賑わいを見せている。

この暗躍する動きが約四ヶ月続いた……星隕閣で参天巨木の頂に座していた蕭炎は突然目を開き、顔を上げて遠くの空を見つめた。

西方の天空には二つの弯月が上下に並び、静かに現れた。

その瞬間、星空では九つの輝く星々も多くの驚愕の視線の中でゆっくり動き出し、最終的に一直線になった……双月同現、七星連座、天地の潮汐、妖火降臨!

浄蓮の妖火はその時を待っていたかのように、再びこの世に姿を現した!

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