ぼっちな幼女は異世界で愛し愛され幸せになりたい

珂里

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フータの懺悔

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『我の安易な考えと行いによって、この者達の先祖の未来を、我は変えてしまったのだ。』


苦悩に満ちた表情は変わる事なく、フータは声を絞り出すように話す。


『我は大罪を犯した…………。もう、二度と過ちを犯さぬように、我は初代国王となった者へ宿り木を囲んで城を築くように頼み、我と宿り木をここへ閉じ込めたのだ。』


皆は黙って話を聞いていた。

聞いていたけど…………私はどうしても納得出来なくて、首を傾げてしまう。


「ねえ、どのへんが大罪なの?」

『…………幼いユーカには、まだ分からぬか……。』


フータが深く息を吐いて、首を傾げている私を見つめる。


『我が血を与えなければ、獣人という特殊な種族になり他国から理不尽な扱いを受けることも、人間特有の醜い争いを繰り返すこともなかった筈なのだ。』

「フータは、皆が人間になれない方が良かったと思ってるの?」

『……少なくとも、自ら望んだものでは無いだろうからな。』

「えー?なんで?自分達で望んだんでしょ?」


私の言葉に、フータが目を瞠る。


『いやいや、望んでおらぬぞ。彼奴らは、我とずっと一緒にいたいと望みを申しただけで……』

「ほら~!それだよ、それ!」


私が、喋っているフータに被せ気味に声を上げると、フータがビクッとして固まった。


「フータと、ずっと一緒にって望んだんでしょ?不死のフータに"ずっと一緒に"って願うのは、並大抵の覚悟ではとても出来ないと思うんだよね。逆を言えば、それって、どうなる覚悟も出来てますってことで……なんか上手く言えないけど……皆は、色んなことを全部承知の上でフータに"お願い"したんじゃないの?」


目を見開いて唖然としているフータを、私は思いが伝わるよう真剣に見つめた。


「もしサイラスがフータみたいに不死だったなら、やっぱり私も、きっと皆みたいにずっとサイラスと一緒にいたいって望むと思うもん。」

『ユーカ……』

「ユーカ!!」

「グェッ」

私の言葉に、フータが昔を思い起こしていたのか、感慨深げに目を細めていたのだけれど。


これまた私の言葉に喜びを爆発させるサイラスに、ガバッと思い切り抱き締められた私が変な声を出してしまって。


せっかくフータの気持ちが前向きな良い感じのモノになっていたのに、国王様達や……フータにまで苦笑されてしまって、なんとも残念な感じになってしまった。


「もー!!サイラスのバカーッ!!」

「フフッ、ユーカ可愛い。」


私がなんか悔しくて、ギュウギュウと抱き締めてくるサイラスをポカポカと叩いても、サイラスは全く動じないどころか、私を抱き締める力を強め、頬擦りまでしてくる始末だ。


「と、とにかく、私が言いたいのは!フータのせいなんかじゃないってことだよ!大好きな人達とずっと一緒にいたいって思うのは当たり前のことだし、全然悪いことじゃないでしょ?」

『…………そうだな。』


サイラスの腕の中でもがきながら必死に訴える私を、フータは目を細めて見つめ、頷く。


そんなフータの側へ、国王様が歩み寄った。

そしてフータの前まで行くと、国王様は地面に膝をつき、フータを見上げる。


「フータ様。私達は獣人であることに誇りを持っております。」

『…………』


しっかりと、力強く言う国王様を、フータはジッと見つめるけれど、それに返事はしなくて。

ただ黙ってジッと見つめてくるフータに、国王様がフッと表情を緩めて、それはそれは穏やかに笑った。


「フータ様。私達は、幸せです。なあ、お前達?」

「「「勿論です。」」」


国王様の言葉に、3人は大きく頷いて答えた。

国王様達の表情は、本当に、本当に幸せそうで。

獣人で良かった。

心からそう言っているのが、私にも伝わってきた。



『………………そうか。』


そう、呟いたフータの目から、宝石のような綺麗な涙がポロポロと零れ落ちる。


『…………そうか。』


そう、確かめるように、何度も何度も呟くフータの顔は止めどなく溢れる涙に濡れてグシャグシャだったけれど。

なんだかとっても晴れ晴れとしていて、なんだかとってもカッコよかった。
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