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不機嫌な王子の扱い方 〜メイソン〜
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今日は朝からシトシトと雨が降っている。
ただでさえ、そんな天気で気分が憂鬱になるというのに、私の目の前にいる人物は私の気分が更に滅入る状態となっていて、正直、見ているだけでげんなりする。
「……そんなに気になるなら、様子を見に行かれては如何ですか?」
机に突っ伏し、私の話しをまるで聞いていない王子に対して、私は冷ややかな目を向けた。
そんな私を、王子は机に突っ伏したままジロリと恨めしげに見上げる。
「お前が来る前に、5回くらい見に行った。…………さっきも行ったら、気が散るからそんなに覗きに来るなと怒られたんだ……。」
ムスッとしてブツブツ言っている王子に私は只々呆れるばかりで、もう、かける言葉も出てこない。
ーー何やってんだ、この人。
普段の王子は冷静沈着で、何をやらせても割とちゃんと出来てしまう。
いつも無表情で、何事も淡々とこなしている王子も、ひとたびユーカの事になると、途端にそれらが総崩れしてしまうらしい。
今日のユーカは、クレイブの子供達とユーカの部屋で遊ぶ予定になっていた。
朝からウキウキとして、ニコニコ笑顔のユーカとは対照的に、王子はそんなユーカを見て朝から機嫌が悪かった。
「…………ユーカは、クレイブの息子と会うのがそんなに楽しみなの?」
「うん!だってね、今日は妹ちゃんも一緒に来てくれるんだよ!」
いつもなら、朝食を食べ終わると、ユーカの専属侍女であるエマがユーカと手を繋ぎ自室へと戻って行くのだが、今日は王子がその役目をエマから奪い、ユーカと手を繋いで廊下を歩いていた。
廊下で2人に出会してしまった私は、その光景に思わず苦笑する。
クレイブから、今日は子供達がユーカの元へ遊びに来ると事前に聞かされていた為、エマが王子に仕事を奪われた経緯は容易に想像できた。
「独占欲が強すぎる男は嫌われますよ?」
はぁ、と溜息混じりに私がそう言うと、ユーカには絶対しないであろう冷たい目でギロリと睨まれる。
「…………うるせーよ。」
「もうっ、サイラス!そんな事言わないの!」
ーー全くだ。王子はユーカ以外の人間に対する態度が、すこぶる悪い。
無表情が、私達に接する王子の"いつもの顔"で、たまにジロリと睨まれれば、王子の表情筋はちゃんと仕事をするのだなと、ユーカとあまり関わりの無い侍女や城の者達ならば誰もが思っているだろう。
たまに、王子とユーカが一緒に居るところを見かけた城の者達が、笑っている王子を見て腰を抜かしそうなくらい驚いている場面に遭遇する。
私に向かって、王子の態度をペコペコと謝りながら王子に注意しているユーカに、私は目を細めた。
これではどちらが年上か分からないな。
ユーカといる時の王子は、常にユーカにベッタリとくっ付いていて、見ているだけでも暑苦しい。
そんな王子を、いつもユーカはニコニコと嬉しそうに受け入れていた。
いつもは大人びて見える王子も、ユーカと一緒にいる時は子どもっぽくて、年相応に見える。
ユーカにだけは、王子も素の自分をさらけ出せるだろう。
王子の生い立ち、そして今のこの状況、王子としての立場を鑑みれば、ユーカの存在がどれだけ王子の心の支えになっているのかが、よく分かる。
きっと、王子ひとりでは、ここでの生活には耐えられなかったと思う。
…………いや、"きっと"とか"思う"とか、そんな曖昧な言葉なんかじゃなく"絶対"にそうだと断言できる。
ユーカだけが、王子の特別なのだ。
ただでさえ、そんな天気で気分が憂鬱になるというのに、私の目の前にいる人物は私の気分が更に滅入る状態となっていて、正直、見ているだけでげんなりする。
「……そんなに気になるなら、様子を見に行かれては如何ですか?」
机に突っ伏し、私の話しをまるで聞いていない王子に対して、私は冷ややかな目を向けた。
そんな私を、王子は机に突っ伏したままジロリと恨めしげに見上げる。
「お前が来る前に、5回くらい見に行った。…………さっきも行ったら、気が散るからそんなに覗きに来るなと怒られたんだ……。」
ムスッとしてブツブツ言っている王子に私は只々呆れるばかりで、もう、かける言葉も出てこない。
ーー何やってんだ、この人。
普段の王子は冷静沈着で、何をやらせても割とちゃんと出来てしまう。
いつも無表情で、何事も淡々とこなしている王子も、ひとたびユーカの事になると、途端にそれらが総崩れしてしまうらしい。
今日のユーカは、クレイブの子供達とユーカの部屋で遊ぶ予定になっていた。
朝からウキウキとして、ニコニコ笑顔のユーカとは対照的に、王子はそんなユーカを見て朝から機嫌が悪かった。
「…………ユーカは、クレイブの息子と会うのがそんなに楽しみなの?」
「うん!だってね、今日は妹ちゃんも一緒に来てくれるんだよ!」
いつもなら、朝食を食べ終わると、ユーカの専属侍女であるエマがユーカと手を繋ぎ自室へと戻って行くのだが、今日は王子がその役目をエマから奪い、ユーカと手を繋いで廊下を歩いていた。
廊下で2人に出会してしまった私は、その光景に思わず苦笑する。
クレイブから、今日は子供達がユーカの元へ遊びに来ると事前に聞かされていた為、エマが王子に仕事を奪われた経緯は容易に想像できた。
「独占欲が強すぎる男は嫌われますよ?」
はぁ、と溜息混じりに私がそう言うと、ユーカには絶対しないであろう冷たい目でギロリと睨まれる。
「…………うるせーよ。」
「もうっ、サイラス!そんな事言わないの!」
ーー全くだ。王子はユーカ以外の人間に対する態度が、すこぶる悪い。
無表情が、私達に接する王子の"いつもの顔"で、たまにジロリと睨まれれば、王子の表情筋はちゃんと仕事をするのだなと、ユーカとあまり関わりの無い侍女や城の者達ならば誰もが思っているだろう。
たまに、王子とユーカが一緒に居るところを見かけた城の者達が、笑っている王子を見て腰を抜かしそうなくらい驚いている場面に遭遇する。
私に向かって、王子の態度をペコペコと謝りながら王子に注意しているユーカに、私は目を細めた。
これではどちらが年上か分からないな。
ユーカといる時の王子は、常にユーカにベッタリとくっ付いていて、見ているだけでも暑苦しい。
そんな王子を、いつもユーカはニコニコと嬉しそうに受け入れていた。
いつもは大人びて見える王子も、ユーカと一緒にいる時は子どもっぽくて、年相応に見える。
ユーカにだけは、王子も素の自分をさらけ出せるだろう。
王子の生い立ち、そして今のこの状況、王子としての立場を鑑みれば、ユーカの存在がどれだけ王子の心の支えになっているのかが、よく分かる。
きっと、王子ひとりでは、ここでの生活には耐えられなかったと思う。
…………いや、"きっと"とか"思う"とか、そんな曖昧な言葉なんかじゃなく"絶対"にそうだと断言できる。
ユーカだけが、王子の特別なのだ。
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