ぼっちな幼女は異世界で愛し愛され幸せになりたい

珂里

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準備は万端です!

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「…………なんで俺がこんなことを……」

「え~、いいじゃん~。絶対喜ぶとおもうよ~?」



シャカシャカシャカ


サイラスが卵をボウルで溶きながらブツブツと文句を言っている。



朝ご飯を食べ終えた私は、それから色々リサーチして特別メニューなのは朝ご飯だけだということがわかった。


なので今、私とサイラスはお城の厨房を借りて料理を作っている。

国王様の誕生日プレゼントを今から用意するのは正直、無理だ。

だから私は考えに考え抜いた結果、サイラスと2人で手作り料理をプレゼントするという結論に至った。


まあ、作るのは料理の出来るサイラスなんだけどね。

私はちょこっとお手伝いするだけ。

野菜を切るとか、材料を火にかけている時、焦げないように鍋をかき混ぜるとか、それくらい。



「…………あの人は国王なんだから、俺が作った庶民の料理なんて美味しいと思わないよ。」

「んもうっ!あの人じゃなくて、お父さんでしょ!それに、こういうのはサイラスが作った料理っていうのが重要なんだよ!」


ブスッとしながら料理をしているサイラスの横で、私がプリプリと怒りながらそれを手伝う。

そして、そんな私達を、料理長さんとエマさんが後ろで見守ってくれていた。




朝ご飯を食べ終え部屋に着くなり、サイラスと料理がしたいと私が言ったら、エマさんはすぐに厨房へ連れて行ってくれて、料理長に会わせてくれた。

そこで、料理長と話して、サイラスとは夜ご飯を作ることに決めたのだ。

料理長は顔が強面で、最初話すのが怖かったけれど、私が国王様に誕生日のお祝いをしたいと言ったら,感動した料理長に号泣された。

厨房を使うことを快く許可してくれ、何か手伝うことがあったら何でも言ってくださいとまで言ってくれた。

料理長、メチャクチャ良い人。

でも、国王様に料理を出す前に、一度作って料理長に食べてもらわないといけない。

まあ、そうだよね。
国王様に出すんだもんね。


「厳しくチェックしてくれていいですよ!サイラスの作る料理は、何でも全部美味しいですから大丈夫です!」


森で生活していた時、サイラスが作ってくれていた料理は、どれも間違いなく美味しいかったもんね。

絶対に大丈夫!!


私がドヤ顔をし、自分のことのように自信満々で強気に言うのを見て、なんでか料理長が目を細め、頭を撫でてくれた。



その後、嫌がるサイラスを強引に厨房まで引き摺ってきて、今に至る。

なんだかんだ言いながらも、サイラスは料理を完成させてくれた。


メニューは、私も大好きなビーフシチューとオムライス。


「ユーカ」


と、サイラスにオムライスののったスプーンを差し出されたので、身を乗り出してパクッとそれを口に入れた。


「ん~~!!美味しい~~!!」


両頬を手で押さえ悶える私に、サイラスは続けてビーフシチューをのせたスプーンを差し出す。

私はそれにも飛びつきビーフシチューを口にすると、やっぱり美味しくて悶えてしまった。


「サイラス天才!!やっぱりサイラスの作ってくれる料理が一番大好き!!美味しい!!」

「フフッ、そう?」


私が久々のサイラスの手料理に興奮してそう言うと、サイラスはとっても嬉しそうに微笑んだ。

それから私がサイラスを褒めちぎり、どれだけサイラスの料理が美味しいのかを語り出したら、さすがのサイラスも顔を赤くして照れてしまったので、まだまだ言い足りなかったけど一旦止めて、料理長に試食してもらうようにお願いした。


料理長は苦笑しながらオムライスとビーフシチューをパクパクと口に運ぶと、目を見開いて驚き、再びオムライスとビーフシチューをスプーンで掬って味わうように食べている。


「これは……ユーカ様がベタ褒めされるだけはありますね。」


とても美味しいです。と、料理長から国王様に食べさせる許可もすんなり出た。


そうでしょ、そうでしょ!!

サイラスの料理は世界一なんだよ!!


そうやって私がドヤ顔でサイラス自慢をまたしたら、料理長とエマさんは微笑ましいといったように私を見て目を細め、ウンウンと何度も頷いている。


そして私の横では、サイラスが顔を赤くしたまま、

「ユーカ、可愛い!お手伝い上手に出来るようになったね!ありがとう、可愛い!!」

と訳の分からない褒め方をして、私に頬擦りしながら暫く抱きついて離れなかった。


…………まあ、サイラスの役に立てたってことで……いいのかな? 













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