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心の距離の詰め方
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夜ご飯を作るまでまだ時間があるから、サイラスと一緒に一旦サイラスの部屋へ戻った。
サイラスの機嫌も、料理を作り始めた時よりも良くなっていたけれど、まだ少し納得していないような顔をしている。
ちょっと拗ねた感じのサイラスもカッコ可愛い。
思わずデレちゃう顔を引き締めて、ベッドに腰掛けるサイラスに歩み寄る。
「ねえ、サイラス。まだ国王様のこと、許せないの?」
私はサイラスの頭をヨシヨシと撫でながら聞いてみた。
サイラスは俯いて黙っている。
頭を撫でてサイラスの髪を手櫛で梳かしつつ、サイラスが話すのを待つことにした。
サイラスの髪はサラサラで、いつも触っていて気持ちがいい。
サイラスも私が髪に触りたがるのを拒否しないで、されるがままになってくれるから、ついつい、いつもサイラスの髪に手が伸びちゃうんだよね。
サイラスも、私が手櫛で髪を梳きながら頭を撫で撫ですると嬉しそうにしてくれるんだもん。
その顔もまた可愛いんだよな~。
ハッ!!駄目だ!!
サイラスが可愛過ぎて、すぐ顔がニヤけちゃう!!
ちょうど私が顔を引き締め直した時、サイラスが思い悩んでいる表情で私を見上げた。
「…………許せないとかじゃ、ないと思う。…………けど」
「けど?」
「今まで、母さんと2人で暮らしていて……父親の存在なんて俺が生まれた時からなくて。それなのに、いきなり現れてさ。ずっと探してたとか言われても…………そんなに急には"父さん"とか、呼べないよ。」
力弱くそう言うサイラスは、本当に戸惑っているんだなということが分かって、見ていてちょっと可哀想になってしまった。
「うん、ごめん。そうだよね。ゆっくりでいいよ。」
サイラスの頭をヨシヨシと撫でる私を、サイラスが潤んだ瞳でジッと見つめる。
ーー私はなんてバカなんだろう。
サイラスが"父親"に対して複雑な気持ちを抱えていることなんて、森で一緒に暮らしていた時から分かっていた筈なのに。
国王様がどんなに良い人だとしても、その気持ちがすぐになくなるわけ、ないのに。
「ごめんね。無理して、お父さん、なんて呼ばなくていいよ。ただ今日は、私と一緒に国王様の誕生日をお祝いしてほしいの。夜ご飯の時、国王様に改めて"おめでとう"って一緒に言おうよ。」
「…………ユーカと一緒に?」
「うん、私と一緒に。」
ニッコリ笑って私が頷けば、サイラスは眉尻を下げて私を抱き寄せる。
私の肩に顔を埋め、グリグリと擦り付けてくるから、ちょっとくすぐったい。
笑いが込み上げてきちゃうから体を捩って逃げようとしたけど、私を力強く抱き締めているサイラスはびくともしなくて、この体勢を崩せない。
「サイラス、くすぐったいよ~。」
「……離さない。逃げたら駄目だよ。今はユーカに甘えてるんだから、じっとしていて。」
「私に甘えてるの?」
「うん。甘えてるの。」
そう言って、私の肩へ更に頭をグリグリと擦りつけムギュッと抱き締めてくるサイラス。
ーーえ、何これ。何のご褒美ですか。
甘えてくるとか、今日のサイラスは可愛過ぎてヤバイんですけど。
「ユーカ、どうしたの?」
「サイラスが可愛過ぎてヤバイ。……心臓がヤバイ。」
「フフッ、何それ。可愛いのは俺じゃなくてユーカだからね。」
「……っうぅ!!今の笑顔で完全にやられた……!!」
可笑しそうにクスクス笑うサイラスは、もうカッコ可愛さを全面に押し出してきて、それに心臓を撃ち抜かれた私は、サイラスの腕の中でヘニョヘニョと脱力した。
私をしっかりと抱きとめてくれたサイラスはまだ楽しそうに笑っていたけれど、今度はサイラスが私の頭をヨシヨシと撫でながら、抱き締めている腕の力を少し強める。
「…………ありがとう、ユーカ。ちょっとヤル気が出てきた。」
「え~、ちょっと?もっとヤル気出してよ~!」
お互いに顔を見合わせて、クスクスと笑う。
「もう少ししたら、夜ご飯を作りに行こうね。」
「うん。でも、その前に…………たっぷりユーカを補充しておかないと。」
「グェッ!!サ、サイラス……ぐるじぃ…………」
ギュウギュウと抱き締めてくるサイラスに潰されながらも、国王様とサイラスの仲が今より良くなりますように、と願う私なのであった。
サイラスの機嫌も、料理を作り始めた時よりも良くなっていたけれど、まだ少し納得していないような顔をしている。
ちょっと拗ねた感じのサイラスもカッコ可愛い。
思わずデレちゃう顔を引き締めて、ベッドに腰掛けるサイラスに歩み寄る。
「ねえ、サイラス。まだ国王様のこと、許せないの?」
私はサイラスの頭をヨシヨシと撫でながら聞いてみた。
サイラスは俯いて黙っている。
頭を撫でてサイラスの髪を手櫛で梳かしつつ、サイラスが話すのを待つことにした。
サイラスの髪はサラサラで、いつも触っていて気持ちがいい。
サイラスも私が髪に触りたがるのを拒否しないで、されるがままになってくれるから、ついつい、いつもサイラスの髪に手が伸びちゃうんだよね。
サイラスも、私が手櫛で髪を梳きながら頭を撫で撫ですると嬉しそうにしてくれるんだもん。
その顔もまた可愛いんだよな~。
ハッ!!駄目だ!!
サイラスが可愛過ぎて、すぐ顔がニヤけちゃう!!
ちょうど私が顔を引き締め直した時、サイラスが思い悩んでいる表情で私を見上げた。
「…………許せないとかじゃ、ないと思う。…………けど」
「けど?」
「今まで、母さんと2人で暮らしていて……父親の存在なんて俺が生まれた時からなくて。それなのに、いきなり現れてさ。ずっと探してたとか言われても…………そんなに急には"父さん"とか、呼べないよ。」
力弱くそう言うサイラスは、本当に戸惑っているんだなということが分かって、見ていてちょっと可哀想になってしまった。
「うん、ごめん。そうだよね。ゆっくりでいいよ。」
サイラスの頭をヨシヨシと撫でる私を、サイラスが潤んだ瞳でジッと見つめる。
ーー私はなんてバカなんだろう。
サイラスが"父親"に対して複雑な気持ちを抱えていることなんて、森で一緒に暮らしていた時から分かっていた筈なのに。
国王様がどんなに良い人だとしても、その気持ちがすぐになくなるわけ、ないのに。
「ごめんね。無理して、お父さん、なんて呼ばなくていいよ。ただ今日は、私と一緒に国王様の誕生日をお祝いしてほしいの。夜ご飯の時、国王様に改めて"おめでとう"って一緒に言おうよ。」
「…………ユーカと一緒に?」
「うん、私と一緒に。」
ニッコリ笑って私が頷けば、サイラスは眉尻を下げて私を抱き寄せる。
私の肩に顔を埋め、グリグリと擦り付けてくるから、ちょっとくすぐったい。
笑いが込み上げてきちゃうから体を捩って逃げようとしたけど、私を力強く抱き締めているサイラスはびくともしなくて、この体勢を崩せない。
「サイラス、くすぐったいよ~。」
「……離さない。逃げたら駄目だよ。今はユーカに甘えてるんだから、じっとしていて。」
「私に甘えてるの?」
「うん。甘えてるの。」
そう言って、私の肩へ更に頭をグリグリと擦りつけムギュッと抱き締めてくるサイラス。
ーーえ、何これ。何のご褒美ですか。
甘えてくるとか、今日のサイラスは可愛過ぎてヤバイんですけど。
「ユーカ、どうしたの?」
「サイラスが可愛過ぎてヤバイ。……心臓がヤバイ。」
「フフッ、何それ。可愛いのは俺じゃなくてユーカだからね。」
「……っうぅ!!今の笑顔で完全にやられた……!!」
可笑しそうにクスクス笑うサイラスは、もうカッコ可愛さを全面に押し出してきて、それに心臓を撃ち抜かれた私は、サイラスの腕の中でヘニョヘニョと脱力した。
私をしっかりと抱きとめてくれたサイラスはまだ楽しそうに笑っていたけれど、今度はサイラスが私の頭をヨシヨシと撫でながら、抱き締めている腕の力を少し強める。
「…………ありがとう、ユーカ。ちょっとヤル気が出てきた。」
「え~、ちょっと?もっとヤル気出してよ~!」
お互いに顔を見合わせて、クスクスと笑う。
「もう少ししたら、夜ご飯を作りに行こうね。」
「うん。でも、その前に…………たっぷりユーカを補充しておかないと。」
「グェッ!!サ、サイラス……ぐるじぃ…………」
ギュウギュウと抱き締めてくるサイラスに潰されながらも、国王様とサイラスの仲が今より良くなりますように、と願う私なのであった。
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