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閉ざされた記憶 〜サイラス〜
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ユーカをベッドへ寝かせると、俺もユーカの横に横たわった。
ユーカの可愛い寝顔を見ながらスウスウと一定のリズムが心地良いユーカの寝息をすぐ横で聞いていたら、俺にも睡魔が襲ってきたみたいで。
いつの間にかウトウトとしていた。
ーーどれだけ寝てしまっていたのかは分からないけれど、モゾモゾと何かが動く気配でハッと目が覚める。
俺の横でスヤスヤと寝ていた筈のユーカが手足をジタバタとさせ、苦しそうにもがいていた。
けれど起きているわけではなさそうで、悪い夢でも見ているのか,冷や汗をかき、うなされていて閉じている目から涙がポロポロと零れ落ちている。
「ユーカ?」
ユサユサとユーカの体を揺すり声をかけるが、それに対して反応は無い。
目を覚ますどころか、更に顔色を悪くしてうなされている。
呼吸も上手く出来ていないのか、ハァハァと息遣いも荒くなっていた。
いつもと全く違うユーカの様子に、俺は慌ててユーカの体を強く揺する。
どんなに体を揺すっても、大きな声で名前を呼んでも、ユーカが目覚める気配がない。
「ユーカ!!ユーカ!!目を開けて!!」
ーーなんで起きない!?おかしい!!
駄目だ!!駄目だ!!このままだとユーカが……!!!
変な不安が頭をよぎり、体がガタガタと震え出す。
「サイラス、落ち着くのだ」
震えている俺の肩に、温かな手が優しく触れた。
その手の持ち主であるフータはそのまま苦しみ続けているユーカの傍まで近づくと、そっとユーカの頭に手を置き、優しく、優しく撫でる。
撫でている手が淡く光り、ユーカの中に吸い込まれていった。
すると、荒々しかった呼吸が安定し落ち着いてきて、寝息がスウスウと心地良い音になった。
苦しそうだった表情も消え、今はいつもの可愛らしい寝顔に戻っている。
俺はその様子にホッと胸を撫で下ろし、まだ震えの止まらない手で涙の残るユーカの目尻をそっと拭った。
ーー怖かった。
なんでこんなにも不安になるのか。
何度呼んでも、あの鈴の鳴るような可愛らしい声が返ってこない。
何度呼んでも、あの美しく神秘的な漆黒の瞳で俺を見つめ返してはくれない。
先程の光景を思い出すとまた恐怖で体がゾクリとし、震え出してしまう。
震える手でユーカを腕の中へ抱き込み、ユーカの温もりを感じたくてギュウギュウと強く抱き締めた。
「うぅ……」
小さく呻きながら体をモゾリと動かすユーカに安堵し、抱き締める腕にまたギュッと力を込める。
俺の行動に反応を示してくれるのが、堪らなく嬉しい。
やはり俺は、ユーカに何かあったら……ユーカがいなくなってしまったら、きっと……いや、もう、絶対に生きていけないだろう。
さっきので、それをはっきりと確信してしまった。
俺の腕の中でスヤスヤと眠るユーカの顔を覗き込み、ジッと見つめる。
そして顔を上げ俺達の傍らに立つフータに目を移すと、フータは慈愛に満ちた目でユーカを見ていた。
「…………なぁ、なんでユーカがこんな状態になったのか、フータは知っているのか?」
眉間に皺を寄せ訝しげにそう問うと,フータが視線を俺に向け目を細める。
「我が知っていたら、どうするのだ?」
「知っている事を全部教えてほしい。何がユーカをこんなにも苦しめているのか、その原因が知りたいんだ」
ジッと俺を見据えるフータを真っ直ぐに見つめて、俺は真剣に答えた。
「……ユーカの心の闇は想像以上に深い。ユーカの自己評価が低く、自身を私なんかとよく言うのはそのせいであろうな。あまりに酷な出来事だったゆえ、ユーカ自身が己の記憶を封印し奥底に仕舞い込んだのだ」
「記憶を封印?」
「そうだ。今は明るく元気なユーカだが、ある日突然その記憶を思い出すやもしれぬ。…………その時、お前はユーカを救えるか?」
俺の意志を見定めるように、フータは俺から視線を外さずジッと目を合わせてくる。
俺がユーカを想う気持ちは、絶対に誰にも負けない。
だから俺もこの気持ちを、生半可な想いじゃないこの気持ちがフータに伝わるように、ジッと見つめ返す。
「救えるかどうかは分からない。でも、どんなユーカでも俺は側を離れない。ずっとずっと側に居て、ユーカが俺にとってどれだけ大切な存在なのかを伝え続ける」
そう言った俺をフータは暫く考え込むように黙って見つめた後、ハァと深く息を吐いてユーカに視線を移した。
ユーカの可愛い寝顔を見ながらスウスウと一定のリズムが心地良いユーカの寝息をすぐ横で聞いていたら、俺にも睡魔が襲ってきたみたいで。
いつの間にかウトウトとしていた。
ーーどれだけ寝てしまっていたのかは分からないけれど、モゾモゾと何かが動く気配でハッと目が覚める。
俺の横でスヤスヤと寝ていた筈のユーカが手足をジタバタとさせ、苦しそうにもがいていた。
けれど起きているわけではなさそうで、悪い夢でも見ているのか,冷や汗をかき、うなされていて閉じている目から涙がポロポロと零れ落ちている。
「ユーカ?」
ユサユサとユーカの体を揺すり声をかけるが、それに対して反応は無い。
目を覚ますどころか、更に顔色を悪くしてうなされている。
呼吸も上手く出来ていないのか、ハァハァと息遣いも荒くなっていた。
いつもと全く違うユーカの様子に、俺は慌ててユーカの体を強く揺する。
どんなに体を揺すっても、大きな声で名前を呼んでも、ユーカが目覚める気配がない。
「ユーカ!!ユーカ!!目を開けて!!」
ーーなんで起きない!?おかしい!!
駄目だ!!駄目だ!!このままだとユーカが……!!!
変な不安が頭をよぎり、体がガタガタと震え出す。
「サイラス、落ち着くのだ」
震えている俺の肩に、温かな手が優しく触れた。
その手の持ち主であるフータはそのまま苦しみ続けているユーカの傍まで近づくと、そっとユーカの頭に手を置き、優しく、優しく撫でる。
撫でている手が淡く光り、ユーカの中に吸い込まれていった。
すると、荒々しかった呼吸が安定し落ち着いてきて、寝息がスウスウと心地良い音になった。
苦しそうだった表情も消え、今はいつもの可愛らしい寝顔に戻っている。
俺はその様子にホッと胸を撫で下ろし、まだ震えの止まらない手で涙の残るユーカの目尻をそっと拭った。
ーー怖かった。
なんでこんなにも不安になるのか。
何度呼んでも、あの鈴の鳴るような可愛らしい声が返ってこない。
何度呼んでも、あの美しく神秘的な漆黒の瞳で俺を見つめ返してはくれない。
先程の光景を思い出すとまた恐怖で体がゾクリとし、震え出してしまう。
震える手でユーカを腕の中へ抱き込み、ユーカの温もりを感じたくてギュウギュウと強く抱き締めた。
「うぅ……」
小さく呻きながら体をモゾリと動かすユーカに安堵し、抱き締める腕にまたギュッと力を込める。
俺の行動に反応を示してくれるのが、堪らなく嬉しい。
やはり俺は、ユーカに何かあったら……ユーカがいなくなってしまったら、きっと……いや、もう、絶対に生きていけないだろう。
さっきので、それをはっきりと確信してしまった。
俺の腕の中でスヤスヤと眠るユーカの顔を覗き込み、ジッと見つめる。
そして顔を上げ俺達の傍らに立つフータに目を移すと、フータは慈愛に満ちた目でユーカを見ていた。
「…………なぁ、なんでユーカがこんな状態になったのか、フータは知っているのか?」
眉間に皺を寄せ訝しげにそう問うと,フータが視線を俺に向け目を細める。
「我が知っていたら、どうするのだ?」
「知っている事を全部教えてほしい。何がユーカをこんなにも苦しめているのか、その原因が知りたいんだ」
ジッと俺を見据えるフータを真っ直ぐに見つめて、俺は真剣に答えた。
「……ユーカの心の闇は想像以上に深い。ユーカの自己評価が低く、自身を私なんかとよく言うのはそのせいであろうな。あまりに酷な出来事だったゆえ、ユーカ自身が己の記憶を封印し奥底に仕舞い込んだのだ」
「記憶を封印?」
「そうだ。今は明るく元気なユーカだが、ある日突然その記憶を思い出すやもしれぬ。…………その時、お前はユーカを救えるか?」
俺の意志を見定めるように、フータは俺から視線を外さずジッと目を合わせてくる。
俺がユーカを想う気持ちは、絶対に誰にも負けない。
だから俺もこの気持ちを、生半可な想いじゃないこの気持ちがフータに伝わるように、ジッと見つめ返す。
「救えるかどうかは分からない。でも、どんなユーカでも俺は側を離れない。ずっとずっと側に居て、ユーカが俺にとってどれだけ大切な存在なのかを伝え続ける」
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