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底企
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アンソニーがこの国へ来てから2ヶ月経とうとしているが、その後も平穏な日々が続いていた。
…………けれど、何事も無くはなかったんだと思う。
毎日お母様のご機嫌伺いをしているアンソニーが、ここ最近のお母様はすこぶる機嫌が悪いと、学園で教えてくれたから。
きっと、お兄様やオーウェン様が私の為に裏で色々と動いてくれているんだと思う。
私なんかの為に動いてくれるのが有り難く思う反面、申し訳なく思い、早くなんとかしなければという強い焦燥感に駆られるのだった。
そして夜、今日も今日とてお母様のご機嫌取りの最中であろうアンソニーと玄関前で遭遇する。
一階にある書庫に本を取りに行くところだったのだけれど、お母様に見つかってヘタに絡まれるのも厄介だと思い、2階から階段を下りようとしていたのを引き返す。
バチンッ
その直後、下から何かを叩くような音がして振り返ると、お母様がアンソニーをおいて去る姿が目に入った。
アンソニーは左の頬をさすりながらお母様の立ち去る後ろ姿を静かに目で追っている。
その表情は眉を顰めているのだけれど、怒っているのとも少し違う、どこか悲しそうにも見えて…………なんだか放っておくことも出来ずに仕方なく下へ行くことにした。
「何をしているんですか。」
「あれ?見られてた?」
私が声をかけながら階段を下りて行くと、アンソニーは気まずそうにヘラッと笑う。
近寄ってよくよく見れば、アンソニーの口の端から少し血が出ていた。
私はポケットからハンカチを取り出しアンソニーの口にそっとあてる。
アンソニーは目を見開き、ビクッと肩を震わせた。
そんなに驚かれるとは思っていなかった私もつられて驚いてしまい、そのままの状態でお互いに固まってしまった。
「…………血が出ているわ。」
「あ、ああ、ありがとう。」
アンソニーは私からハンカチを受け取ると、ゴシゴシと口の端を雑に拭う。
「痛ぇ~」と顔を顰めて頬を擦るアンソニーに私は呆れて溜息を吐いた。
「いい加減、お母様のご機嫌を取るのはやめたらどう?あの人の言いなりになったってろくな事は無いわよ。」
「あはは。娘なのに酷い言いようだね~。」
「茶化さないで。私は真剣に忠告しているのよ。」
ワザと戯けたように言うアンソニーを私はキッと睨む。
その様子に肩を竦めて苦笑するアンソニーは頬をさすりながら私をジッと私を見つめた。
「シャーロットこそ、イザベラ様を煽るのはやめときなよ。最近ますます機嫌が悪くなってて困るんだよね。色々と贈り物をしてるのにそんなに効果がないしさ。それに、せっかく王太子が裏で頑張ってるのにそんな事してたら意味ないでしょ。」
「あら、意味なくなんかないわ。あの人の標的が私である限り、他の誰かには害がないんですもの。こんな素晴らしいことはないわ。あの人の毒に侵されるのは私だけで十分よ。」
そう言ってニッコリ笑って見せれば、アンソニーはやれやれといったように溜息を吐いた。
「何を言っても無駄なようだね。」
「それはお互い様でしょう?」
「あはは、そうだね。」
お兄様の部屋から出てきたのを見た日から、アンソニーはどこか吹っ切れたようで裏の無い笑顔を見せることが多くなった。
何を話したのかは分からないけれど、良い傾向だと思う。
そんな事を考えながらアンソニーを見つめていると気不味そうに頭をポリポリと掻いて目を逸らされた。
「じゃあ、これありがとうね。綺麗にして返すから。」
「アンソニー」
ヒラヒラとハンカチを振り立ち去ろうとするアンソニーを咄嗟に呼び止める。
第一印象は最悪で、ルーカスに聞いたアンソニー情報もやっぱり最悪で、お母様や隣国に媚びを売る最低な奴としか思っていなかった。
だけど、最近のアンソニーは前ほど嫌な奴だとは思わなくなった。
隣国を離れ、お兄様と話したことでアンソニーに何かしら心境の変化があったのなら喜ばしいことだ。
彼の生い立ちにも思うところがあるし…………必ずしもアンソニーが"悪"であるとは私には思えなかった。
何をどうしたって、私達が「いとこ」だという事実は変わらない。
ならばアンソニーには真っ当な人生を送ってもらいたいというのが今の私の願いだった。
「何?」と、アンソニーが振り返る。
「貴方には、お母様のようになってほしくないわ。あの人の毒に侵されないでね。」
「あはは、何それ。心配してくれてるの?僕もついにシャーロットの大事な人達に仲間入り出来たのかな?」
「そうね。今はアンソニーにも傷ついてほしくないと思っているわ。」
「!!」
戯けて言うアンソニーに私が真剣な表情で頷くと、アンソニーは目を見開いて固まってしまった。
「無茶はしないで。」
「…………」
口を開くことなく立ち竦むアンソニーに念を押すように強く言い残して、私はその場を後にする。
=============
アンソニーはシャーロットの後ろ姿を見送りながら髪をぐしゃぐしゃと掻き乱した。
「……あぁ、クソッ。王太子の思惑通りになってる気がして腹が立つなぁ。」
そう言って天を仰ぐアンソニーは悔しそうな……けれど、どことなく少し嬉しそうな表情をしている。
「ハァ……」と深い溜息を一つ吐き、再びシャーロットの歩いて行った方を向いたアンソニーの目には生気が宿っていた。
「まあ、しょうがないか。僕もシャーロットの特別に仲間入りしたんだったら、僕もそれにちゃんと答えないといけないからね。」
アンソニーはン~ッと伸びをしてから「ヨシッ!」と何かを決意したかのように一声上げると、廊下を力強く歩き出した。
…………けれど、何事も無くはなかったんだと思う。
毎日お母様のご機嫌伺いをしているアンソニーが、ここ最近のお母様はすこぶる機嫌が悪いと、学園で教えてくれたから。
きっと、お兄様やオーウェン様が私の為に裏で色々と動いてくれているんだと思う。
私なんかの為に動いてくれるのが有り難く思う反面、申し訳なく思い、早くなんとかしなければという強い焦燥感に駆られるのだった。
そして夜、今日も今日とてお母様のご機嫌取りの最中であろうアンソニーと玄関前で遭遇する。
一階にある書庫に本を取りに行くところだったのだけれど、お母様に見つかってヘタに絡まれるのも厄介だと思い、2階から階段を下りようとしていたのを引き返す。
バチンッ
その直後、下から何かを叩くような音がして振り返ると、お母様がアンソニーをおいて去る姿が目に入った。
アンソニーは左の頬をさすりながらお母様の立ち去る後ろ姿を静かに目で追っている。
その表情は眉を顰めているのだけれど、怒っているのとも少し違う、どこか悲しそうにも見えて…………なんだか放っておくことも出来ずに仕方なく下へ行くことにした。
「何をしているんですか。」
「あれ?見られてた?」
私が声をかけながら階段を下りて行くと、アンソニーは気まずそうにヘラッと笑う。
近寄ってよくよく見れば、アンソニーの口の端から少し血が出ていた。
私はポケットからハンカチを取り出しアンソニーの口にそっとあてる。
アンソニーは目を見開き、ビクッと肩を震わせた。
そんなに驚かれるとは思っていなかった私もつられて驚いてしまい、そのままの状態でお互いに固まってしまった。
「…………血が出ているわ。」
「あ、ああ、ありがとう。」
アンソニーは私からハンカチを受け取ると、ゴシゴシと口の端を雑に拭う。
「痛ぇ~」と顔を顰めて頬を擦るアンソニーに私は呆れて溜息を吐いた。
「いい加減、お母様のご機嫌を取るのはやめたらどう?あの人の言いなりになったってろくな事は無いわよ。」
「あはは。娘なのに酷い言いようだね~。」
「茶化さないで。私は真剣に忠告しているのよ。」
ワザと戯けたように言うアンソニーを私はキッと睨む。
その様子に肩を竦めて苦笑するアンソニーは頬をさすりながら私をジッと私を見つめた。
「シャーロットこそ、イザベラ様を煽るのはやめときなよ。最近ますます機嫌が悪くなってて困るんだよね。色々と贈り物をしてるのにそんなに効果がないしさ。それに、せっかく王太子が裏で頑張ってるのにそんな事してたら意味ないでしょ。」
「あら、意味なくなんかないわ。あの人の標的が私である限り、他の誰かには害がないんですもの。こんな素晴らしいことはないわ。あの人の毒に侵されるのは私だけで十分よ。」
そう言ってニッコリ笑って見せれば、アンソニーはやれやれといったように溜息を吐いた。
「何を言っても無駄なようだね。」
「それはお互い様でしょう?」
「あはは、そうだね。」
お兄様の部屋から出てきたのを見た日から、アンソニーはどこか吹っ切れたようで裏の無い笑顔を見せることが多くなった。
何を話したのかは分からないけれど、良い傾向だと思う。
そんな事を考えながらアンソニーを見つめていると気不味そうに頭をポリポリと掻いて目を逸らされた。
「じゃあ、これありがとうね。綺麗にして返すから。」
「アンソニー」
ヒラヒラとハンカチを振り立ち去ろうとするアンソニーを咄嗟に呼び止める。
第一印象は最悪で、ルーカスに聞いたアンソニー情報もやっぱり最悪で、お母様や隣国に媚びを売る最低な奴としか思っていなかった。
だけど、最近のアンソニーは前ほど嫌な奴だとは思わなくなった。
隣国を離れ、お兄様と話したことでアンソニーに何かしら心境の変化があったのなら喜ばしいことだ。
彼の生い立ちにも思うところがあるし…………必ずしもアンソニーが"悪"であるとは私には思えなかった。
何をどうしたって、私達が「いとこ」だという事実は変わらない。
ならばアンソニーには真っ当な人生を送ってもらいたいというのが今の私の願いだった。
「何?」と、アンソニーが振り返る。
「貴方には、お母様のようになってほしくないわ。あの人の毒に侵されないでね。」
「あはは、何それ。心配してくれてるの?僕もついにシャーロットの大事な人達に仲間入り出来たのかな?」
「そうね。今はアンソニーにも傷ついてほしくないと思っているわ。」
「!!」
戯けて言うアンソニーに私が真剣な表情で頷くと、アンソニーは目を見開いて固まってしまった。
「無茶はしないで。」
「…………」
口を開くことなく立ち竦むアンソニーに念を押すように強く言い残して、私はその場を後にする。
=============
アンソニーはシャーロットの後ろ姿を見送りながら髪をぐしゃぐしゃと掻き乱した。
「……あぁ、クソッ。王太子の思惑通りになってる気がして腹が立つなぁ。」
そう言って天を仰ぐアンソニーは悔しそうな……けれど、どことなく少し嬉しそうな表情をしている。
「ハァ……」と深い溜息を一つ吐き、再びシャーロットの歩いて行った方を向いたアンソニーの目には生気が宿っていた。
「まあ、しょうがないか。僕もシャーロットの特別に仲間入りしたんだったら、僕もそれにちゃんと答えないといけないからね。」
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