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顛末
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「その汚らわしい口でシャーロットの名を呼ぶな。」
ヘンリーはシャーロットを腕の中に抱き留めたまま、眉間に皺を寄せてイザベラに蔑みの視線を浴びせる。
「先程も言ったでしょう?私がみすみす可愛いシャーロットを一人にさせる訳がない。貴方が仕込んでいた毒は事前に睡眠薬へすり替えおいたから、シャーロットは眠っているだけだ。まあ、今から起こる事をこの子には見せたくなかったから丁度良いのだけれど。」
ヘンリーは慈しむようにシャーロットの頭を撫で、額に優しくキスを落とした。
真っ青な顔でカタカタと体を震わせるイザベラは、両脇から取り押さえられながら何とか立っているという状態だった。
ヘンリーは再びイザベラに視線を向けると、口の端を少し上げ冷たく微笑む。
「フフッ。顔が真っ青ですよ。そんなに今のこの状況が怖いですか?あぁ、それとも毒がいい感じに体に蓄積されてきたのかな?そろそろ効果が出てきてもおかしくない頃だからね。」
「ど、毒?何を言って……食事は飲み物まで全て私が口にする前に侍女に毒見をさせているもの。そんな事出来るわけが…………」
真っ青な顔色を更に酷くさせて反論するイザベラを、ヘンリーは冷たい笑みはそのままに目を細めて見上げた。
「本当に飲食物以外、何も口に入れていませんか?」
「当たり前でしょ!他に何があるって言うのよ!」
イザベラはそう言いながらイライラした様子で右手親指の爪をギリギリと噛んだ。
イザベラをジッと見ていたヘンリーはその様子を見てほくそ笑む。
「言ったそばから口に入れているではありませんか。」
「え?」
「最近、思い通りにならない事が多くて、よく親指の爪を噛んでいませんか?……それ、イザベラ様がイライラした時によくやっている癖ですよね。」
イザベラが目を見開き、爪を咥えたまま動きを止めた。
「あぁ、癖だから本人にあまり自覚は無いのかな?侍女達からの報告によると、イザベラ様は最近頻繁にマニキュアを塗り直させているようですね。そんなに僕に色々と邪魔をされて悔しかったですか?」
「ま、まさか…………」
「フフッ、気付いてませんでした?アンソニーは既にこちら側の人間ですよ?というかもうイザベラ様の周りにいる人間に貴方の味方はいないと思いますけど。」
茫然として膝から崩れ落ちるイザベラを両脇を取り押さえている警備隊員が眉間を皺を寄せつつ辛うじて支えている。
ヘンリーはシャーロットの頭を愛しそうに撫でながらイザベラを一瞥し、笑みを深めた。
「言ったでしょう?もう終わりだって。貴方には消えてもらいます。私達の……シャーロットの前から永遠に消えてください。」
ヘンリーは眠っているシャーロットを抱きかかえて立ち上がると、両脇から取り押さえられ項垂れるイザベラを冷たく見下ろす。
恐怖を感じたイザベラはビクッと肩を震わせ恐る恐るヘンリーを見上げた。
「今まで通り好き勝手に遊んでいるだけならば良かったものを…………お前はシャーロットとルーカスの生みの親という、ただそれだけで生かしておいたのだ。それなのに……シャーロットに手を出せばどうなるのか身をもって思い知るが良い。」
過呼吸気味にヒィヒィと嗚咽し涙を流すイザベラに、美しい笑みを浮かべた王妃が歩み寄って来た。
そしてイザベラの肩に手を置き、耳元に顔を近付けそっと囁く。
「私の代わりにシャーロットとルーカスを産んでくれてありがとう。後は私に任せて、貴方は安心して消えてちょうだい。」
美しく微笑む王妃を見て、イザベラはヘンリーから感じる恐怖を王妃にも感じ取り、震えが止まらない。
そして、全てを悟ったのだ。
自分はこの2人に生かされていただけなのだと。
イザベラは王妃を、ただ気の弱い女だと思っていた。
愛しているだろう国王が側妃を迎える事になっても、側妃が我儘放題に振る舞っても、嫌な顔をせずにただ黙って静かに微笑んでたから。
憎いであろう女の産んだ子供達を我が子のように可愛がっているサマを見て、頭がおかしいのではないかと思ったくらいだ。
イザベラは自分の産んだ子にさえも愛情が湧かず、この国にいる要因ともなっているシャーロットとルーカスを産んだ時からずっと憎んでいる。
幼少の頃から王女として蝶よ花よと大事に育てられ我儘に育ったイザベラは、大人になってもその傲慢な性格は変わらなかった。
想い人がいる中、政略結婚をさせられても王女として多少なりとも責務があると理解していたイザベラは渋々隣国に嫁いで来たが、内心では自分の思い通りにならない事に憤慨していたのだ。
故に子を産んでからは責務を果たしたと言わんばかりに遊び歩いた。
周りもそれを黙認し、イザベラを自由にさせていた為、イザベラもそれでいいのだと、自分は何をしてもいいのだと思っていたのだ。
ヘンリーが成人してからは母国であるボヴェルデンから頻繁連絡がくるようになり、なんとかルーカスを皇太子にするようにしろと言われ始める。
イザベラにとって国取り等には然程興味は無かったが、自分が嫌いな者達を苦しめる事が出来るなら面白そうだと、ボヴェルデンに言われるがままヘンリーをどうにかしようと行動にうつした。
ヘンリーが成人する前からボヴェルデンからはヘンリーに刺客が送られていたようだが、国王も王妃もヘンリーも涼しい顔でそれ等をかわし平然としている。
大国であるこの国には、その全てがボヴェルデンの仕業だと分かっているであろうが、イザベラにそれを何も言わない。それ等についてイザベラが問い詰められたり責められたりした事は一度も無かった。
そんな事も、イザベラをイラつかせていたが、国王や王妃、ヘンリーに溺愛されているシャーロットとルーカスを見かける度にそのイライラは積み重なっていった。
そして、イザベラが綿密に練った計画を、あの日、シャーロットに邪魔をされてイザベラのイライラは頂点に達する。
毒を飲めと言われて大人しく飲んだシャーロットに驚きはしたが、逆に腹が立って部屋に押しかけると、あろうことかシャーロットはイザベラを挑発してきたのだ。
イザベラはシャーロットのその態度に激怒し、憎らしい感情が沸々と込み上げるのを止めなかった。
ーーこの子さえいなければ。
シャーロットを愛しいと思う感情を微塵も持ち合わせていないイザベラの頭には、自分の邪魔をする忌々しい人間を排除するという考えしか既に無かった。
けれど、それがいけなかった。
イザベラは分かっていなかったのだ。
シャーロットが、どれだけ周りの人間から愛されているのかを。
この国で怒らせてはいけない者達に、どれだけ愛されているのかを。
イザベラは、分かっていなかった。
ガタガタと震えるイザベラを、王妃とヘンリーは冷たく見下ろしている。
ヘンリーがイザベラを取り押さえている警備隊に「連れて行け」と合図をすると、警備隊はイザベラを引き摺るように歩き出した。
イザベラは絶叫し、涙や鼻水を垂れ流して抵抗するが、警備隊はそれに構う事なくズルズルとイザベラを引き摺って行く。
激しく抵抗する中、イザベラの目の端に王妃とヘンリーの姿を捉えた。
目の端に映った王妃とヘンリーは、それはそれは満足気に笑っていた。
イザベラが今まで見た中で一番、嬉しそうに笑っていたのだ。
その笑顔を見て、もう自分がどんなに足掻いても無駄なのだと理解する。
イザベラはパタリと抵抗をやめ、静かに涙を流しながら警備隊に引き摺られて部屋を出て行った。
ヘンリーはシャーロットを腕の中に抱き留めたまま、眉間に皺を寄せてイザベラに蔑みの視線を浴びせる。
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真っ青な顔でカタカタと体を震わせるイザベラは、両脇から取り押さえられながら何とか立っているという状態だった。
ヘンリーは再びイザベラに視線を向けると、口の端を少し上げ冷たく微笑む。
「フフッ。顔が真っ青ですよ。そんなに今のこの状況が怖いですか?あぁ、それとも毒がいい感じに体に蓄積されてきたのかな?そろそろ効果が出てきてもおかしくない頃だからね。」
「ど、毒?何を言って……食事は飲み物まで全て私が口にする前に侍女に毒見をさせているもの。そんな事出来るわけが…………」
真っ青な顔色を更に酷くさせて反論するイザベラを、ヘンリーは冷たい笑みはそのままに目を細めて見上げた。
「本当に飲食物以外、何も口に入れていませんか?」
「当たり前でしょ!他に何があるって言うのよ!」
イザベラはそう言いながらイライラした様子で右手親指の爪をギリギリと噛んだ。
イザベラをジッと見ていたヘンリーはその様子を見てほくそ笑む。
「言ったそばから口に入れているではありませんか。」
「え?」
「最近、思い通りにならない事が多くて、よく親指の爪を噛んでいませんか?……それ、イザベラ様がイライラした時によくやっている癖ですよね。」
イザベラが目を見開き、爪を咥えたまま動きを止めた。
「あぁ、癖だから本人にあまり自覚は無いのかな?侍女達からの報告によると、イザベラ様は最近頻繁にマニキュアを塗り直させているようですね。そんなに僕に色々と邪魔をされて悔しかったですか?」
「ま、まさか…………」
「フフッ、気付いてませんでした?アンソニーは既にこちら側の人間ですよ?というかもうイザベラ様の周りにいる人間に貴方の味方はいないと思いますけど。」
茫然として膝から崩れ落ちるイザベラを両脇を取り押さえている警備隊員が眉間を皺を寄せつつ辛うじて支えている。
ヘンリーはシャーロットの頭を愛しそうに撫でながらイザベラを一瞥し、笑みを深めた。
「言ったでしょう?もう終わりだって。貴方には消えてもらいます。私達の……シャーロットの前から永遠に消えてください。」
ヘンリーは眠っているシャーロットを抱きかかえて立ち上がると、両脇から取り押さえられ項垂れるイザベラを冷たく見下ろす。
恐怖を感じたイザベラはビクッと肩を震わせ恐る恐るヘンリーを見上げた。
「今まで通り好き勝手に遊んでいるだけならば良かったものを…………お前はシャーロットとルーカスの生みの親という、ただそれだけで生かしておいたのだ。それなのに……シャーロットに手を出せばどうなるのか身をもって思い知るが良い。」
過呼吸気味にヒィヒィと嗚咽し涙を流すイザベラに、美しい笑みを浮かべた王妃が歩み寄って来た。
そしてイザベラの肩に手を置き、耳元に顔を近付けそっと囁く。
「私の代わりにシャーロットとルーカスを産んでくれてありがとう。後は私に任せて、貴方は安心して消えてちょうだい。」
美しく微笑む王妃を見て、イザベラはヘンリーから感じる恐怖を王妃にも感じ取り、震えが止まらない。
そして、全てを悟ったのだ。
自分はこの2人に生かされていただけなのだと。
イザベラは王妃を、ただ気の弱い女だと思っていた。
愛しているだろう国王が側妃を迎える事になっても、側妃が我儘放題に振る舞っても、嫌な顔をせずにただ黙って静かに微笑んでたから。
憎いであろう女の産んだ子供達を我が子のように可愛がっているサマを見て、頭がおかしいのではないかと思ったくらいだ。
イザベラは自分の産んだ子にさえも愛情が湧かず、この国にいる要因ともなっているシャーロットとルーカスを産んだ時からずっと憎んでいる。
幼少の頃から王女として蝶よ花よと大事に育てられ我儘に育ったイザベラは、大人になってもその傲慢な性格は変わらなかった。
想い人がいる中、政略結婚をさせられても王女として多少なりとも責務があると理解していたイザベラは渋々隣国に嫁いで来たが、内心では自分の思い通りにならない事に憤慨していたのだ。
故に子を産んでからは責務を果たしたと言わんばかりに遊び歩いた。
周りもそれを黙認し、イザベラを自由にさせていた為、イザベラもそれでいいのだと、自分は何をしてもいいのだと思っていたのだ。
ヘンリーが成人してからは母国であるボヴェルデンから頻繁連絡がくるようになり、なんとかルーカスを皇太子にするようにしろと言われ始める。
イザベラにとって国取り等には然程興味は無かったが、自分が嫌いな者達を苦しめる事が出来るなら面白そうだと、ボヴェルデンに言われるがままヘンリーをどうにかしようと行動にうつした。
ヘンリーが成人する前からボヴェルデンからはヘンリーに刺客が送られていたようだが、国王も王妃もヘンリーも涼しい顔でそれ等をかわし平然としている。
大国であるこの国には、その全てがボヴェルデンの仕業だと分かっているであろうが、イザベラにそれを何も言わない。それ等についてイザベラが問い詰められたり責められたりした事は一度も無かった。
そんな事も、イザベラをイラつかせていたが、国王や王妃、ヘンリーに溺愛されているシャーロットとルーカスを見かける度にそのイライラは積み重なっていった。
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イザベラは分かっていなかったのだ。
シャーロットが、どれだけ周りの人間から愛されているのかを。
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イザベラは、分かっていなかった。
ガタガタと震えるイザベラを、王妃とヘンリーは冷たく見下ろしている。
ヘンリーがイザベラを取り押さえている警備隊に「連れて行け」と合図をすると、警備隊はイザベラを引き摺るように歩き出した。
イザベラは絶叫し、涙や鼻水を垂れ流して抵抗するが、警備隊はそれに構う事なくズルズルとイザベラを引き摺って行く。
激しく抵抗する中、イザベラの目の端に王妃とヘンリーの姿を捉えた。
目の端に映った王妃とヘンリーは、それはそれは満足気に笑っていた。
イザベラが今まで見た中で一番、嬉しそうに笑っていたのだ。
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