田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一

文字の大きさ
70 / 180
第六章 鬼神龍魔呂、ハーレムをしてしまう

EP 10

しおりを挟む
居酒屋メニューで反省会
​ 深夜の地下3階。
 つい先ほどまで、愛の告白と悲鳴が飛び交っていた『BAR 煉獄』の空気は、劇的に変化していた。
​ ジュワァァァァァッ……!!
​ 心地よい揚げ物の音。
 漂ってくるのは、ニンニク醤油とごま油の芳ばしい香り。
 照明は少し明るくなり、BGMはジャズから「賑やかな祭囃子(和風)」へと切り替わっている。
​「……ほら、できたぞ」
​ 龍魔呂がドンッとテーブルに置いたのは、洒落たカクテルではない。
 山盛りの**『特製・若鶏の唐揚げ』と、湯気を立てる『だし巻き卵』、そしてキンキンに冷えた『メガジョッキ(生ビール)』**だった。
​「「「わあぁぁぁぁ……!」」」
​ カウンターから座敷席へと移動させられた女性陣(ルチアナ、ラスティア、フレア、ヴァルキュリア、セーラ、ルナ、リーザ)が、ゴクリと喉を鳴らした。
​「さっきまで『愛』だの『人生』だの語っていたが……。腹が減っては恋もできんだろう」
​ 龍魔呂は、ベストのボタンを外し、袖をさらにまくり上げ、腰に前掛けを巻いていた。
 完全に**「居酒屋の大将」**スタイルである。
​「食え。カイト農場の地鶏と卵だ。味は保証する」
​ その言葉が合図だった。
​「い、いただきますっ!」
​ ルチアナが唐揚げに箸を伸ばし、ガブリと齧り付く。
 サクッ! という軽快な音と共に、熱々の肉汁が口の中に溢れ出す。
​「はふっ、あつっ! うまぁぁぁい!!」
​ ルチアナは涙目で叫び、すかさずビールを流し込んだ。
 クゥゥ~ッ!!
​「これよ! 結局これなのよ! 愛より唐揚げ! 恋よりビール!」
​ 創造神の威厳など欠片もない。ただの酔っ払いである。
​ †
​「こっちの焼き鳥も絶品よ!」
​ ラスティアは、タレの絡んだ『ねぎま』を頬張っていた。
 炭火の香りと甘辛いタレが、魔王の胃袋を鷲掴みにする。
​「悔しいけど……龍魔呂の言う通りね。こんな美味しいものを前にしたら、悩みなんてどうでもよくなるわ」
​「そうですわね……。私、禁断の扉を開けそうになりましたけど、この『だし巻き卵』の優しさを知ったら、家に帰ってリュウにも作ってあげたくなりました」
​ セーラが、ふわふわの卵焼きを食べてほっこりと微笑む。
 龍魔呂の料理には、荒ぶる精神を鎮める鎮魂歌(レクイエム)のような効果があった。
​「ポテトサラダ美味しいですわー! ハムがいっぱい入ってます!」
 ルナもご満悦だ。
​「この『冷やしトマト』も最高です! お塩だけでこんなに甘いなんて!」
 ヴァルキュリアも箸が止まらない。
​ 先ほどまでの修羅場が嘘のように、全員が笑顔で食卓を囲んでいる。
 それを厨房から眺めながら、龍魔呂は満足げに頷いた。
​「……フッ。やはり、女は笑って飯を食っている時が一番だな」
​ 彼は手際よく追加の枝豆を茹でながら呟いた。
​「龍魔呂さん、さすがだねぇ」
​ 隣でコーラを飲んでいたカイトが感心する。
​「みんなの胃袋と心を同時に満たしちゃうなんて。……やっぱり、このハーレムの支配者は龍魔呂さんだよ」
​「……よせ、オーナー。俺はただの餌付け係だ」
​ 龍魔呂は苦笑して否定した。
​ †
​ 宴は深夜まで続いた。
 食べ尽くし、飲み尽くし、語り尽くした美女たちは、テーブルに突っ伏して幸せそうに寝息を立てていた。
​「むにゃ……龍魔呂ぉ……もう食べられないわよぉ……」
「……唐揚げ……おかわり……」
​ その無防備な寝顔を見ながら、龍魔呂は静かにグラスを拭き上げた。
​「……さて。閉店の時間だ」
​ 彼は一人一人に毛布をかけ、照明を落とした。
 シリアスな旅立ちを決意したはずが、気づけば大量の美女に囲まれ、居酒屋のオヤジになっていた夜。
 だが、この騒がしくも温かい日常こそが、今の彼にとっての「救い」なのかもしれない。
​「……悪くない夜だったな」
​ 龍魔呂は小さく呟き、カイトと共に店を後にした。
​ こうして、『BAR煉獄の恋騒動』は、誰一人結ばれることなく(全員キープ状態で)、平和な満腹感と共に幕を閉じたのである。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~

Ss侍
ファンタジー
 "私"はある時目覚めたら身体が小石になっていた。  動けない、何もできない、そもそも身体がない。  自分の運命に嘆きつつ小石として過ごしていたある日、小さな人形のような可愛らしいゴーレムがやってきた。 ひょんなことからそのゴーレムの身体をのっとってしまった"私"。  それが、全ての出会いと冒険の始まりだとは知らずに_____!!

追放されたけど気づいたら最強になってました~無自覚チートで成り上がる異世界自由旅~

eringi
ファンタジー
勇者パーティーから「役立たず」と追放された青年アルト。 行くあてもなく森で倒れていた彼は、実は“失われし最古の加護”を持つ唯一の存在だった。 無自覚のまま魔王を倒し、国を救い、人々を惹きつけていくアルト。 彼が気づかないうちに、世界は彼中心に回り始める——。 ざまぁ、勘違い、最強無自覚、チート成り上がり要素満載の異世界ファンタジー!

異世界スローライフ希望なのに、女神の過保護が止まらない

葉泪秋
ファンタジー
HOTランキング1位感謝です!(2/3) 「小説家になろう」日間ランキング最高11位!(ハイファンタジー) ブラック企業で過労死した俺、佐久間遼。 神様に願ったのは、ただ「異世界で、畑でも耕しながらのんびり暮らしたい」ということだけ。 そうして手に入れた、辺境の村での穏やかな日々。現状に満足し、今度こそは平穏なスローライフを……と思っていたのだが、俺の妙なスキルと前世の社畜根性が、そうはさせない。 ふとした善意で枯れた井戸を直したことから、堅物の騎士団長やら、過保護な女神やらに目をつけられることになる。 早く穏やかに暮らしたい。 俺は今日も、規格外に育った野菜を手に、皆の姿を眺めている。 【毎日18:00更新】 ※表紙画像はAIを使用しています

元公爵令嬢は年下騎士たちに「用済みのおばさん」と捨てられる 〜今更戻ってこいと泣きつかれても献身的な美少年に溺愛されているのでもう遅いです〜

日々埋没。
ファンタジー
​「新しい従者を雇うことにした。おばさんはもう用済みだ。今すぐ消えてくれ」  ​かつて婚約破棄され、実家を追放された元公爵令嬢のレアーヌ。  その身分を隠し、年下の冒険者たちの身の回りを世話する『メイド』として献身的に尽くしてきた彼女に突きつけられたのは、あまりに非情な追放宣告だった。  ​レアーヌがこれまで教育し、支えてきた若い男たちは、新しく現れた他人の物を欲しがり子悪魔メイドに骨抜きにされ、彼女を「加齢臭のする汚いおばさん」と蔑み、笑いながら追い出したのだ。 ​ 地位も、居場所も、信じていた絆も……すべてを失い、絶望する彼女の前に現れたのは、一人の美少年だった。 ​「僕とパーティーを組んでくれませんか? 貴方が必要なんです」  ​新米ながら将来の可能性を感じさせる彼は、レアーヌを「おばさん」ではなく「一人の女性」として、甘く狂おしく溺愛し始める。  一方でレアーヌという『真の支柱』を失った元パーティーは、自分たちがどれほど愚かな選択をしたかを知る由もなかった。  ​やがて彼らが地獄の淵で「戻ってきてくれ」と泣きついてきても、もう遅い。  レアーヌの隣には、彼女を離さないと誓った執着愛の化身が微笑んでいるのだから。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~

よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】 多くの応援、本当にありがとうございます! 職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。 持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。 偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。 「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。 草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。 頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男―― 年齢なんて関係ない。 五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!

最弱職〈祈祷士〉だった俺、実は神々の加護持ちでした~追放されたけど無自覚チートで世界最強~

eringi
ファンタジー
パーティから「役立たず」と言われ追放された祈祷士ルーク。だが彼の祈りは神々に届いており、あらゆる奇跡を現実にする「神の権能」だった。本人は気づかぬまま無双し、救った相手や元パーティの女性たちから次々想いを寄せられる。裏切った者たちへの“ざまぁ”も、神の御業のうちに。無自覚チート祈祷士が、神々さえも動かす伝説を紡ぐ──!

転生辺境の雑用兵、知らぬ間に世界最強になっていた件 〜追放されたけど美女たちに囲まれて安寧生活〜

eringi
ファンタジー
辺境軍の雑用兵として転生した青年・レオン。異世界に転生したのに、剣も魔法も地味でパッとしない日々。ところが彼の“地味な努力”が、実は世界の理をゆるがすほどの能力だと気づく者が次々と現れる。貴族令嬢、魔族の姫、神官少女──気づけばハーレム状態に。追放された元仲間が破滅していく流れの中、本人だけは「俺、そんな強いかな?」と首をかしげる。無自覚最強×ざまぁ×追放後スローライフ×英雄伝説が交錯する、異世界逆転ストーリー。

処理中です...