田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一

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第十二章 ファミレス12時間耐久レース

EP 10

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【結果】体重は減ったが、もっと大切なものを失った
​朝日が眩しいカイト農場の校庭。
ドスゥゥゥン……!
黄金の竜王デュークが着地し、その背中から女性陣が次々と降り立った。
​「ふふふ……見て! 私のウエスト!」
​創造神ルチアナが、制服のスカートをくるりと回して見せた。
​「キュッと締まってるわ! 昨日のパフェも、深夜のポテトも、全て魔力に変換して燃やし尽くしたのよ!」
​「私もよ! 見なさいこの美脚!」
​魔王ラスティアもポーズを決める。
リベラも、フレアも、リーザも、ルナも。
全員、ダンジョンの過酷な運動により、出発前よりもスリムな体型を取り戻していた。
​「勝ちましたわ……! 35万の出費も、筋肉痛も、全てはこの『美』のため!」
​リベラが勝利の拳を突き上げる。
ダイエット成功。
ファミレス女子会とダンジョン攻略のハイブリッド作戦は、大勝利に終わった――かに見えた。
​「……あれぇ?」
​トラック(ポチ)を牽引して戻ってきたカイトが、彼女たちの顔を覗き込んで首を傾げた。
​「みんな、痩せたのはいいけどさ……」
​カイトは、畑で枯れかけた野菜を見るような目で言った。
​「なんか……『干からびた大根』みたいになってるよ?」
​「「「は?」」」」
​全員が慌てて鏡(ラスティアの魔法)を取り出し、自分の顔を映した。
​「ヒッ……!?」
​そこに映っていたのは、痩せてはいるが、生気を失った「ゾンビ」の群れだった。
​ルチアナの肌は、ファミレスの乾燥した空調に12時間晒されたせいで、カサカサに粉を吹いている。
ラスティアの目の下には、徹夜の影響で、墨で塗ったようなドス黒いクマができている。
リベラの目はスマホと書類の見過ぎで充血し、血走っている。
ルナに至っては、糖分の過剰摂取とその後の急激な消費による乱高下(シュガー・クラッシュ)で、白目を剥いて半開きになっていた。
​「肌のツヤが……! ハリが消滅しているわ!?」
「クマが……コンシーラーでも隠せないレベルのクマがぁぁ!」
​悲鳴が上がる。
体重という「数字」は減った。だが、「美しさ」という最も大切な要素が、徹夜と過労によって根こそぎ奪われていたのだ。
​「……愚か者共め」
​人間の姿に戻ったデューク教官が、腕組みをして冷酷に告げた。
​「不健康な痩せ方だ。筋肉は萎み、肌は荒れ、内臓は疲弊している。……それは『美』ではない。ただの『劣化(老化)』だ」
​「ぐふっ……!!」
​正論のナイフが、彼女たちの心臓(と肌年齢)を貫いた。
​「いいか。本当の美とは、規則正しい生活と、質の高い睡眠、そしてバランスの取れた食事から作られる。……徹夜でドリンクバーなど言語道断だ!」
​デュークがホイッスルを口にくわえた。
​ピピィーーーーッ!!!
​「よって、これより『生活習慣改善合宿・シーズン2』を開始する!」
​「いやぁぁぁぁッ!!」
​ルチアナが頭を抱える。
​「もう走りたくないぃぃ! 私は優雅に寝て過ごしたいのよぉぉ!」
​「問答無用! まずは**『早寝早起き』**だ! 今夜から20時就寝! スマホ没収! 寝る前にホットミルクとストレッチだ!」
​「小学生かぁぁぁ!!」
「私のスパチャ確認時間がぁぁぁ!」
​リーザが泣き叫ぶが、デュークは聞く耳を持たない。
リベラも抵抗しようとしたが、鏡に映った自分の「疲れ切ったお局顔」を見て、ガックリと項垂れた。
​「……従いましょう。この顔では、生徒(カイト様)に合わせる顔がありませんわ……」
​「そ、そんなぁ……」
​ズルズルとデュークに引きずられていく女性陣。
校庭には、彼女たちの悲痛な叫び声がこだました。
​   ◇
​「やれやれ。賑やかな奴らだ」
​その様子を、鬼神・龍魔呂が軒先でタバコを吸いながら眺めていた。
​「ま、痩せたんならいいじゃないか。今夜は祝勝会(リバウンド確定)の宴でも用意してやるか」
​「いいね! 僕、採れたての野菜いっぱい持っていくよ!」
​カイトがニコニコと笑う。
隣では、ようやく解放されたポチが、山盛りのフライドポテトを幸せそうに頬張っていた。
​『ムシャムシャ……やっぱこれだぜ。ササミなんて食ってられるか』
​「ポチ、食べ過ぎるとまたドナドナされるよ?」
​『うっせー。明日から本気出す』
​懲りない面々。
終わらない騒動。
カイト農場の日常は、今日も筋肉痛と笑い声と共に過ぎていく。
​「さあみんな! 明日も早いよ! 畑仕事が待ってるからね!」
​カイトの爽やかな声が、青空に吸い込まれていった。
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