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第十五章 シェアハウス、、そして指名手配される
EP 7
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【月末】リーザの土下座と、石ころの錬金術
そして、運命の月末がやってきた。
天魔窟マンションの最上階、ペントハウスのリビングルーム。
「はいっ! 今月分の家賃、金貨3枚です!」
キャルルが、元気よくテーブルの上に金貨を並べた。
彼女の金貨は、クエスト報酬でコツコツ稼いだ、汗と努力の結晶だ。
「ふふ、キャルルさんは優秀ね。管理人の私としても助かるわ」
ルナが優雅に紅茶を飲みながら微笑む。
彼女はオーナーでありながら、ルームメイトでもあるという不思議な立ち位置だ。
「さて……。問題はそちらね?」
ルナの視線が、ソファの端でガタガタと震えている少女に向けられた。
アイドル・リーザである。
「り、リーザさん? まさかとは思いますが……」
キャルルのうさ耳が不安げに揺れる。
リーザは顔色が青を通り越して土気色になり、脂汗を滝のように流していた。
「あ、あのね……。言い訳をさせて欲しいの……」
リーザが震える声で切り出した。
「昨日……スーパーに行ったらね……。『幻の霜降り・キング牛(A5ランク)』が……タイムセールで半額だったの……」
「……それで?」
「さらに……新作のステージ衣装に使うレース生地が……可愛くて……」
「……それで?」
「き、気づいたら……財布の中身が……小銭だけに……」
「バカヤロウうううううっ!!」
キャルルが激昂した。
安全靴で床をダンッ! と踏み鳴らす。
「契約は絶対ですよ!? シェアハウスのルールを守れないなら、出て行ってもらいますからね!?」
「いやぁぁぁ! 追い出さないでぇぇぇ!」
リーザはその場から滑り落ち、美しいフォームで土下座を決めた。
「お願いします! 来月! 来月まとめて払いますから! 頼むからここに住まわせてぇぇ! 外のボロアパートには戻りたくないのぉぉ!」
額を床に擦り付けるアイドル。
その姿はあまりにも情けなく、そして悲壮だった。
「だめです! ここで甘やかしたらリーザさんのためになりません!」
キャルルが心を鬼にする。
修羅場と化したリビング。
その時、ルナがカップを置いて立ち上がった。
「まあまあ、キャルルさん。そんなに怒らないであげて」
「でもルナさん! お金の問題はなぁなぁにしちゃダメです!」
「ふふ、いいのよ。……お金なんて、『作れば』いいんだから」
「へ?」
ルナは窓辺に歩み寄ると、観葉植物の鉢植えに入っていた「白い化粧石(ただの石ころ)」を一つ、ひょいとつまみ上げた。
「見ててね」
ルナが石を指先で摘む。
そして、フッと軽く魔力を込めた。
カッ……!
一瞬、リビングが黄金色の光に包まれた。
凄まじい密度の魔力が収束し、物質の構成要素を書き換えていく。
ポーン。
軽快な音と共に、ルナの指先にあった石ころが、姿を変えていた。
それは、鈍く、重厚な輝きを放つ、一枚の「金貨」だった。
「はい、どうぞ」
ルナは出来たての金貨を、リーザの目の前に投げた。
チャリン。
それは紛れもなく、純金特有の澄んだ音を立てた。
「え……?」
リーザが顔を上げる。
そこには、さっきまで石ころだったはずの物が、最高品質の金貨となって転がっている。
「こ、これは……?」
「私の分と合わせて、これで家賃は支払い済みってことにしてあげるわ。……ほら、拾いなさい?」
「ル、ルナ様ぁぁぁ!!」
リーザは歓喜の声を上げて金貨に飛びついた。
「ありがとうございます! 一生ついていきます! さすが次期女王! 錬金術バンザイ!」
リーザは涙を流して喜んでいる。
だが、その光景を見ていたキャルルだけは、顔から血の気が引いていた。
(……石が、金になった?)
キャルルの優れた動体視力は見てしまった。
手品ではない。
幻術でもない。
原子レベルで物質を組み替える、神の御業。
(ま、待って……。それって……)
キャルルの脳裏に、ある恐ろしい単語が浮かび上がった。
それは、国家を揺るがす大罪。
経済を崩壊させる禁忌。
「あ、あの……ルナさん……?」
キャルルが震える声で尋ねる。
「もしかして……今までファミレスやカラオケで払っていたお金も……全部、そうやって……?」
「ええ、そうよ?」
ルナは悪びれもなく、天使のような笑顔で答えた。
「だって、いちいち銀行に行くの面倒でしょう? 現地調達(物質変換)が一番エコだもの」
その瞬間、キャルルの世界が崩れ去った。
そして、運命の月末がやってきた。
天魔窟マンションの最上階、ペントハウスのリビングルーム。
「はいっ! 今月分の家賃、金貨3枚です!」
キャルルが、元気よくテーブルの上に金貨を並べた。
彼女の金貨は、クエスト報酬でコツコツ稼いだ、汗と努力の結晶だ。
「ふふ、キャルルさんは優秀ね。管理人の私としても助かるわ」
ルナが優雅に紅茶を飲みながら微笑む。
彼女はオーナーでありながら、ルームメイトでもあるという不思議な立ち位置だ。
「さて……。問題はそちらね?」
ルナの視線が、ソファの端でガタガタと震えている少女に向けられた。
アイドル・リーザである。
「り、リーザさん? まさかとは思いますが……」
キャルルのうさ耳が不安げに揺れる。
リーザは顔色が青を通り越して土気色になり、脂汗を滝のように流していた。
「あ、あのね……。言い訳をさせて欲しいの……」
リーザが震える声で切り出した。
「昨日……スーパーに行ったらね……。『幻の霜降り・キング牛(A5ランク)』が……タイムセールで半額だったの……」
「……それで?」
「さらに……新作のステージ衣装に使うレース生地が……可愛くて……」
「……それで?」
「き、気づいたら……財布の中身が……小銭だけに……」
「バカヤロウうううううっ!!」
キャルルが激昂した。
安全靴で床をダンッ! と踏み鳴らす。
「契約は絶対ですよ!? シェアハウスのルールを守れないなら、出て行ってもらいますからね!?」
「いやぁぁぁ! 追い出さないでぇぇぇ!」
リーザはその場から滑り落ち、美しいフォームで土下座を決めた。
「お願いします! 来月! 来月まとめて払いますから! 頼むからここに住まわせてぇぇ! 外のボロアパートには戻りたくないのぉぉ!」
額を床に擦り付けるアイドル。
その姿はあまりにも情けなく、そして悲壮だった。
「だめです! ここで甘やかしたらリーザさんのためになりません!」
キャルルが心を鬼にする。
修羅場と化したリビング。
その時、ルナがカップを置いて立ち上がった。
「まあまあ、キャルルさん。そんなに怒らないであげて」
「でもルナさん! お金の問題はなぁなぁにしちゃダメです!」
「ふふ、いいのよ。……お金なんて、『作れば』いいんだから」
「へ?」
ルナは窓辺に歩み寄ると、観葉植物の鉢植えに入っていた「白い化粧石(ただの石ころ)」を一つ、ひょいとつまみ上げた。
「見ててね」
ルナが石を指先で摘む。
そして、フッと軽く魔力を込めた。
カッ……!
一瞬、リビングが黄金色の光に包まれた。
凄まじい密度の魔力が収束し、物質の構成要素を書き換えていく。
ポーン。
軽快な音と共に、ルナの指先にあった石ころが、姿を変えていた。
それは、鈍く、重厚な輝きを放つ、一枚の「金貨」だった。
「はい、どうぞ」
ルナは出来たての金貨を、リーザの目の前に投げた。
チャリン。
それは紛れもなく、純金特有の澄んだ音を立てた。
「え……?」
リーザが顔を上げる。
そこには、さっきまで石ころだったはずの物が、最高品質の金貨となって転がっている。
「こ、これは……?」
「私の分と合わせて、これで家賃は支払い済みってことにしてあげるわ。……ほら、拾いなさい?」
「ル、ルナ様ぁぁぁ!!」
リーザは歓喜の声を上げて金貨に飛びついた。
「ありがとうございます! 一生ついていきます! さすが次期女王! 錬金術バンザイ!」
リーザは涙を流して喜んでいる。
だが、その光景を見ていたキャルルだけは、顔から血の気が引いていた。
(……石が、金になった?)
キャルルの優れた動体視力は見てしまった。
手品ではない。
幻術でもない。
原子レベルで物質を組み替える、神の御業。
(ま、待って……。それって……)
キャルルの脳裏に、ある恐ろしい単語が浮かび上がった。
それは、国家を揺るがす大罪。
経済を崩壊させる禁忌。
「あ、あの……ルナさん……?」
キャルルが震える声で尋ねる。
「もしかして……今までファミレスやカラオケで払っていたお金も……全部、そうやって……?」
「ええ、そうよ?」
ルナは悪びれもなく、天使のような笑顔で答えた。
「だって、いちいち銀行に行くの面倒でしょう? 現地調達(物質変換)が一番エコだもの」
その瞬間、キャルルの世界が崩れ去った。
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