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第十五章 シェアハウス、、そして指名手配される
EP 10
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【漂流】辿り着いた先は、人参の楽園
「はぁ……はぁ……! つ、着いた……!」
夜のカイト農場。
その入り口に、土煙と共に三つの影が滑り込んだ。
「ここなら……ここの結界内なら、警察のレーダーも誤魔化せるはず……!」
キャルルが膝をつく。
マッハ1での長距離移動と、二人を抱えての重量負荷。流石の月兎族も限界だった。
「おえぇ……。三半規管が……死んだ……」
リーザが目を回して倒れ込む。
「あら、素敵な星空ね」
ルナだけが、髪を直しながら涼しい顔をしている。
そこへ、騒ぎを聞きつけた農場の主、カイトがランタンを持って現れた。
「あれ? キャルルちゃん? それにリーザちゃんも? ……こんな夜更けにどうしたの?」
カイトの顔を見た瞬間、キャルルの中で何かが決壊した。
「カイト様ぁぁぁぁぁ!!」
キャルルは涙と鼻水を垂れ流しながら、カイト(が持っていた収穫済み人参のカゴ)に抱きついた。
「うわぁぁん! 助けてくださぁぁい! 私たち、指名手配犯になっちゃったんですぅぅ!」
「ええっ!? 指名手配!?」
◇
数分後。
農場のリビングで、カイトたちは事情を聞いていた。
「……なるほど。ルナさんが錬金術で金貨を作っちゃって、それが原因で追われていると」
カイトが呆れたようにルナを見る。
ルナは悪びれもなく、カイトが出したお茶を啜っている。
「純正の金よ? 何が悪いのかしら」
「国の許可がない通貨発行は重罪だよ……」
カイトが頭を抱える。
そこへ、眼鏡をクイッと押し上げながら、風紀委員長兼・農場の頭脳であるリベラが進み出た。
「……仕方ありませんわね。これ以上、カイト様の農場に火の粉が降り掛かるのは避けねばなりません」
リベラはキリッとした表情で言った。
「私が天魔窟警察と交渉してきます。……ルチアナ様、ご同行願いますわ」
「え~? 私、今からネトゲのレイド戦なんだけど~」
ソファでスルメを齧っていたルチアナが面倒くさそうに立ち上がる。
彼女の格好は、「学校指定ジャージ(上下)」に「便所サンダル」という、創造神にあるまじきスタイルだった。
「形だけでいいのです。……『政治的解決』を図りますわよ」
◇
農場の正門前。
赤色灯を回した天魔窟警察のパトカー(魔導車両)と、重武装ゴーレム部隊がズラリと並んでいた。
『警告する! 逃亡犯はこの敷地内に逃げ込んだと思われる! 直ちに引き渡せ!』
拡声器の声が響く。
そこへ、リベラとジャージ姿のルチアナがゆっくりと歩み出た。
「こんばんは、お巡りさん。夜分遅くにご苦労さまですわ」
リベラが慇懃無礼に微笑む。
『貴様らは何者だ! 公務執行妨害で逮捕するぞ!』
警察隊長が威圧する。
だが次の瞬間、彼らは門の奥にいる「野次馬たち」を見て凍りついた。
「ん? どうしたのかしら?」
と、腕組みをする魔王ラスティア。
「騒がしいな。焼き払うか?」
と、口から炎を漏らす竜王デューク。
「やれやれ、安眠妨害ですね」
と、七色の炎を纏う不死鳥フレア。
『グルルル……(美味そうな鉄人形だ)』
と、涎を垂らす神狼フェンリルと始祖竜ポチ。
『な……!?』
警察隊長の電子脳がエラーを吐き出した。
(魔王!? 竜王!? 神獣に始祖竜!? なんだこの化け物揃いの魔境は!?)
そこへ、リベラが畳み掛ける。
「事を構えるつもりはありませんの。……どうか穏便に、『政治的解決』をお願いできませんこと?」
「あ~、うんうん。よろ~」
ルチアナがジャージのポケットに手を突っ込んだまま適当に頷く。
(そ、そしてあのジャージ女……! データにないが、凄まじい神気を感じる……! こいつが親玉か!?)
警察たちが完全に萎縮しているところへ、トドメの一撃が現れた。
「……どうした? リベラ」
暗闇から、ぬらりと鬼神・龍魔呂が現れた。
彼は手ぬぐいで顔を拭きながら(風呂上がり)、不機嫌そうに警察を睨んだ。
「あ、龍魔呂さん。今、お話し合いを……」
その顔を見た瞬間、警察隊長が悲鳴を上げた。
『ヒィッ!? き、貴様は……!!』
ざわめく警察部隊。
『おい嘘だろ!? あれは『DEATH 4』の一角……!』
『裏社会の伝説、『処刑人(パニッシャー)』の龍魔呂!? なぜこんな所に!?』
『撤退だ! あんなのとやり合ったら、天魔窟ごと消滅させられるぞ!』
龍魔呂の悪名(と実力)は、法執行機関にとってトラウマ級の恐怖だった。
バックがデカすぎる。
もはや国家権力ですら手を出せない「聖域(サンクチュアリ)」がここにはあった。
「……ん? なんだ、客か?」
龍魔呂が首を傾げる。
『い、いいいえっ!! 本官たちは何も見ていませんでしたァッ!!』
警察隊長が敬礼と共に絶叫した。
『レーダーの誤作動でした! ここには誰も逃げ込んでいません! 平和な農場です! 失礼しましたァァァッ!!』
「全車、撤退ィィィッ!!」
ドバババババッ!!
警察部隊は来た時以上のスピードで、砂煙を上げて逃げ去っていった。
「……ふぅ。話のわかる方々で助かりましたわ」
リベラが眼鏡を直す。
「なんだったんだ?」
龍魔呂は不思議そうにアクビをした。
◇
こうして、キャルルたちの指名手配は(力技で)取り消され、平和が戻った。
「よかったぁぁ……! 逮捕されずに済みましたぁ……!」
リビングでへたり込むキャルル。
カイトが温かい人参スープを差し出す。
「大変だったね。……でも、行く場所がないなら、しばらくここで暮らすといいよ。部屋は余ってるし」
「えっ? いいんですか!?」
「うん。キャルルちゃんは働き者だし、大歓迎だよ」
その言葉に、キャルルは瞳を潤ませた。
安全で、Sランク人参が食べ放題で、家賃もタダ(労働対価)。
……あれ? もしかして、シェアハウスより好条件なのでは?
「カイト様……! 一生ついていきますぅぅ!」
キャルルはカイトに抱きついた。
その横で、ルナとリーザも「ちゃっかり居座る気満々」でくつろいでいる。
こうして、カイト農場にまた一人(と二人の問題児)、新たな住人が加わった。
音速の月兎キャルル。
彼女の蹴りとカイトの人参があれば、農場の毎日はさらに騒がしく、そして美味しくなることだろう。
「はぁ……はぁ……! つ、着いた……!」
夜のカイト農場。
その入り口に、土煙と共に三つの影が滑り込んだ。
「ここなら……ここの結界内なら、警察のレーダーも誤魔化せるはず……!」
キャルルが膝をつく。
マッハ1での長距離移動と、二人を抱えての重量負荷。流石の月兎族も限界だった。
「おえぇ……。三半規管が……死んだ……」
リーザが目を回して倒れ込む。
「あら、素敵な星空ね」
ルナだけが、髪を直しながら涼しい顔をしている。
そこへ、騒ぎを聞きつけた農場の主、カイトがランタンを持って現れた。
「あれ? キャルルちゃん? それにリーザちゃんも? ……こんな夜更けにどうしたの?」
カイトの顔を見た瞬間、キャルルの中で何かが決壊した。
「カイト様ぁぁぁぁぁ!!」
キャルルは涙と鼻水を垂れ流しながら、カイト(が持っていた収穫済み人参のカゴ)に抱きついた。
「うわぁぁん! 助けてくださぁぁい! 私たち、指名手配犯になっちゃったんですぅぅ!」
「ええっ!? 指名手配!?」
◇
数分後。
農場のリビングで、カイトたちは事情を聞いていた。
「……なるほど。ルナさんが錬金術で金貨を作っちゃって、それが原因で追われていると」
カイトが呆れたようにルナを見る。
ルナは悪びれもなく、カイトが出したお茶を啜っている。
「純正の金よ? 何が悪いのかしら」
「国の許可がない通貨発行は重罪だよ……」
カイトが頭を抱える。
そこへ、眼鏡をクイッと押し上げながら、風紀委員長兼・農場の頭脳であるリベラが進み出た。
「……仕方ありませんわね。これ以上、カイト様の農場に火の粉が降り掛かるのは避けねばなりません」
リベラはキリッとした表情で言った。
「私が天魔窟警察と交渉してきます。……ルチアナ様、ご同行願いますわ」
「え~? 私、今からネトゲのレイド戦なんだけど~」
ソファでスルメを齧っていたルチアナが面倒くさそうに立ち上がる。
彼女の格好は、「学校指定ジャージ(上下)」に「便所サンダル」という、創造神にあるまじきスタイルだった。
「形だけでいいのです。……『政治的解決』を図りますわよ」
◇
農場の正門前。
赤色灯を回した天魔窟警察のパトカー(魔導車両)と、重武装ゴーレム部隊がズラリと並んでいた。
『警告する! 逃亡犯はこの敷地内に逃げ込んだと思われる! 直ちに引き渡せ!』
拡声器の声が響く。
そこへ、リベラとジャージ姿のルチアナがゆっくりと歩み出た。
「こんばんは、お巡りさん。夜分遅くにご苦労さまですわ」
リベラが慇懃無礼に微笑む。
『貴様らは何者だ! 公務執行妨害で逮捕するぞ!』
警察隊長が威圧する。
だが次の瞬間、彼らは門の奥にいる「野次馬たち」を見て凍りついた。
「ん? どうしたのかしら?」
と、腕組みをする魔王ラスティア。
「騒がしいな。焼き払うか?」
と、口から炎を漏らす竜王デューク。
「やれやれ、安眠妨害ですね」
と、七色の炎を纏う不死鳥フレア。
『グルルル……(美味そうな鉄人形だ)』
と、涎を垂らす神狼フェンリルと始祖竜ポチ。
『な……!?』
警察隊長の電子脳がエラーを吐き出した。
(魔王!? 竜王!? 神獣に始祖竜!? なんだこの化け物揃いの魔境は!?)
そこへ、リベラが畳み掛ける。
「事を構えるつもりはありませんの。……どうか穏便に、『政治的解決』をお願いできませんこと?」
「あ~、うんうん。よろ~」
ルチアナがジャージのポケットに手を突っ込んだまま適当に頷く。
(そ、そしてあのジャージ女……! データにないが、凄まじい神気を感じる……! こいつが親玉か!?)
警察たちが完全に萎縮しているところへ、トドメの一撃が現れた。
「……どうした? リベラ」
暗闇から、ぬらりと鬼神・龍魔呂が現れた。
彼は手ぬぐいで顔を拭きながら(風呂上がり)、不機嫌そうに警察を睨んだ。
「あ、龍魔呂さん。今、お話し合いを……」
その顔を見た瞬間、警察隊長が悲鳴を上げた。
『ヒィッ!? き、貴様は……!!』
ざわめく警察部隊。
『おい嘘だろ!? あれは『DEATH 4』の一角……!』
『裏社会の伝説、『処刑人(パニッシャー)』の龍魔呂!? なぜこんな所に!?』
『撤退だ! あんなのとやり合ったら、天魔窟ごと消滅させられるぞ!』
龍魔呂の悪名(と実力)は、法執行機関にとってトラウマ級の恐怖だった。
バックがデカすぎる。
もはや国家権力ですら手を出せない「聖域(サンクチュアリ)」がここにはあった。
「……ん? なんだ、客か?」
龍魔呂が首を傾げる。
『い、いいいえっ!! 本官たちは何も見ていませんでしたァッ!!』
警察隊長が敬礼と共に絶叫した。
『レーダーの誤作動でした! ここには誰も逃げ込んでいません! 平和な農場です! 失礼しましたァァァッ!!』
「全車、撤退ィィィッ!!」
ドバババババッ!!
警察部隊は来た時以上のスピードで、砂煙を上げて逃げ去っていった。
「……ふぅ。話のわかる方々で助かりましたわ」
リベラが眼鏡を直す。
「なんだったんだ?」
龍魔呂は不思議そうにアクビをした。
◇
こうして、キャルルたちの指名手配は(力技で)取り消され、平和が戻った。
「よかったぁぁ……! 逮捕されずに済みましたぁ……!」
リビングでへたり込むキャルル。
カイトが温かい人参スープを差し出す。
「大変だったね。……でも、行く場所がないなら、しばらくここで暮らすといいよ。部屋は余ってるし」
「えっ? いいんですか!?」
「うん。キャルルちゃんは働き者だし、大歓迎だよ」
その言葉に、キャルルは瞳を潤ませた。
安全で、Sランク人参が食べ放題で、家賃もタダ(労働対価)。
……あれ? もしかして、シェアハウスより好条件なのでは?
「カイト様……! 一生ついていきますぅぅ!」
キャルルはカイトに抱きついた。
その横で、ルナとリーザも「ちゃっかり居座る気満々」でくつろいでいる。
こうして、カイト農場にまた一人(と二人の問題児)、新たな住人が加わった。
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