56 / 115
二章 誘惑の秘宝と王女の日記
9.伯爵領へ
しおりを挟む
翌日、ディランは一人でチャーリーのもとへ行き、カランセ伯爵の書状をもう一度確認した。きちんと読んでみると、伯爵が婚約を望んでいないことが伺い知れる。チャーリーが伯爵家に送ったのは婚約の打診というより、エミリーが学院を騒がせたことを持ち出しての脅しに近い。親族がディランとの婚約を不安に思うのは当たり前だろう。
チャーリーは目的を達成させる力を人一倍持っているが、踏むべき手順とか人の心など大事な部分を省くことが多い。身分故に許されてしまうことも少なくないが、今回は完全に失策だ。チャーリーがそのことに気づくことはないだろうが、ディランは伯爵としっかり話をして信頼を回復する必要がある。
(婚約を許して下さるといいけど……)
ディランはエミリーのためにも、彼女の家族には祝福してもらいたい。
ディランは出発の予定を数日伸ばして、魔道士ディーンではなく、王子ディランが婚約者の実家に挨拶に行くのに失礼のない準備を整えた。
当日、魔道士団研究棟の前に2台の馬車が乗り付ける。王家の紋章もなく質素な馬車に見えるが、内装は王族と婚約者が乗るにふさわしい豪華なものにした。馬車1台に対し馬に乗った騎士が2名ずつ護衛としてついている。王子の移動にしては少人数だが、ディランにしては仰々しいくらいだ。
馬車から3名の侍女が出てきたのを見て、エミリーが目を丸くしていた。侍女たちは、テキパキとディランたちの荷物を馬車に乗せる。エミリーは手伝おうとしていたが、ベテラン侍女に「姫様にそのようなことはさせられません」と言われて固まっていた。
「王都に来たときには、私と父と御者の方だけだったんです。やっぱり、王子様ってすごいですね……」
「侍女は一緒じゃなかったんだね。母上に今回のことを話したら、泊りがけなら最低でも侍女は10人以上必要だって叱られたんだ。でも、4人以上だと馬車をもう一台追加しないといけなくてさ。あまり多いと目立って危険だし……3人で大丈夫そう?」
「デ、ディラン様が不自由でないなら大丈夫です。私は自分で何でもできます!」
エミリーは姿勢を正して答える。もちろん、エミリーは伯爵令嬢なので、領地では侍女や乳母に世話をしてもらっていた。学院に通うために一人で何でもできるよう練習してきたようだ。
ちなみに学院の寮では、掃除や洗濯等は寮の使用人がやってくれるし、体調を崩せば看護も頼める。食事も時間を問わず食堂で用意してもらえるので、魔法で整えられたボードゥアンの洋館より環境はいい。そのため、学院で侍女や侍従を連れているのは、シャーロットやチャーリーなど一部の人間だけだ。
「旅に侍女がついて来るなんて、考えてもみませんでした。カランセ伯爵家はそもそも王都に来ることもあまりないので……」
「やっぱり、カランセ伯爵はパーティに興味ないんだね」
シクノチェス王国では、王都で社交のためのパーティが頻繁に開かれている。しかし、近年は国政に介入したい野心がある者の集まりと化しているのだ。
中央と距離をおいている領主は、領主会議が行われるときのみ王都に来るというのも珍しくない。伯爵もその一人なら、王家と繋がりを持つことに興味もないだろう。結婚の許しを得るためにディランの身分は役に立ちそうもない。
「殿下、お嬢様をご紹介頂けますか?」
会話が途切れたタイミングで、同行してくれる者を代表して、騎士のルークが声をかけてくる。騎士が4名、御者2名、侍女2名、侍女のふりをした女医が1名、ずらりと並ぶ。
「僕の婚約者のエミリーだ。みんな、急で悪いけどよろしくね」
「エミリー・カランセです。よろしくお願いします」
エミリーがペコリと頭を下げると、それぞれが簡単に自己紹介していった。
「みんな、普段は母に仕えてくれているんだ」
「俺はディラン殿下の専属だって、いつも言ってるのに……」
ルークの言葉に賛同するように、彼の部下の騎士たちも頷いている。彼らはチャーリーのもとで働く近衛騎士だったが、シャーロットに対する態度を理由に解雇されたので、ディランのところに来てもらったのだ。かなり前の出来事なので、4人ともディランとは長い付き合いだ。
「ありがとう。ルーク、みんな」
「エミリー様、聞いてください。ディラン殿下はひどいんですよ。学院にもついて行くって言ったのに、『護衛なんていらないよ』の一言で、俺らを母上のところに置き去りにしたんです」
「そ、そうなんですね」
エミリーが巨木のようにでかい4人を見上げて困惑した表情を浮かべている。貴族出身の近衛騎士にしては粗野で騎士特有の暑苦しさがある。
「ルーク、エミリーが困ってるから変な絡み方しないでよ」
王子として公務があるときには来てもらうが、魔法があるので学院の中まで護衛は必要ない。ディランは、入学時にルークともめたことを思い出してげんなりした。
「ディラン殿下がエミリー様を庇った!」
「なんか、考え深いな」
「ディラン殿下も大人になっちゃったんだな」
「俺、ちょっと寂しいかも」
ルークたちは、ディランにバッチリ聞こえていることも気にせず、楽しそうに語り合っている。チャーリーに追い出されたのは、こういうところが災いしたのだと思うが指摘はしない。
「エミリー、腕は保証するから安心してね」
エミリーがなんとも言えない表情で4人を見上げているので、ディランはエミリーの耳元で囁く。エミリーは恥ずかしそうに頬を赤らめて頷いた。
「イチャイチャしないで下さいよ」
「俺も可愛い彼女が欲しい」
「出発するよ」
ルークたちはまだ騒いでいたが、ディランは気にせずエミリーとともに馬車に乗り込む。それを見て、仕事を思い出したのか、それぞれ動き出した。
「休憩をなるべく挟むようにするけど、疲れたらすぐ言ってね」
「はい、ありがとうございます」
ディランはエミリーが王都に来たときの日程を聞き出して、それよりもゆったりとした日程を組んだ。王都に着いてすぐに寝込んだと言っていたエミリーに配慮してのことだ。
エミリーは馬車の中で不安そうな顔をしていたが、走り出してしばらくすると普段どおりの元気を取り戻した。
「何で揺れないんですか?」
「馬車の揺れが気になるから改善してほしいってご要望があって、振動を吸収する座席を師匠と開発したんだ」
「王都に来たときより、ずっと快適です」
「それなら良かった」
座席の改善はチャーリーの母である王太子妃の要望だ。王太子妃の無茶振りは毎回ディランを困らせるが、チョコレートの事といい、エミリーに会ってからは役立つことも多い。ディランは投げ出さずに師匠と最後までやり遂げた自分を密かに褒めた。
チャーリーは目的を達成させる力を人一倍持っているが、踏むべき手順とか人の心など大事な部分を省くことが多い。身分故に許されてしまうことも少なくないが、今回は完全に失策だ。チャーリーがそのことに気づくことはないだろうが、ディランは伯爵としっかり話をして信頼を回復する必要がある。
(婚約を許して下さるといいけど……)
ディランはエミリーのためにも、彼女の家族には祝福してもらいたい。
ディランは出発の予定を数日伸ばして、魔道士ディーンではなく、王子ディランが婚約者の実家に挨拶に行くのに失礼のない準備を整えた。
当日、魔道士団研究棟の前に2台の馬車が乗り付ける。王家の紋章もなく質素な馬車に見えるが、内装は王族と婚約者が乗るにふさわしい豪華なものにした。馬車1台に対し馬に乗った騎士が2名ずつ護衛としてついている。王子の移動にしては少人数だが、ディランにしては仰々しいくらいだ。
馬車から3名の侍女が出てきたのを見て、エミリーが目を丸くしていた。侍女たちは、テキパキとディランたちの荷物を馬車に乗せる。エミリーは手伝おうとしていたが、ベテラン侍女に「姫様にそのようなことはさせられません」と言われて固まっていた。
「王都に来たときには、私と父と御者の方だけだったんです。やっぱり、王子様ってすごいですね……」
「侍女は一緒じゃなかったんだね。母上に今回のことを話したら、泊りがけなら最低でも侍女は10人以上必要だって叱られたんだ。でも、4人以上だと馬車をもう一台追加しないといけなくてさ。あまり多いと目立って危険だし……3人で大丈夫そう?」
「デ、ディラン様が不自由でないなら大丈夫です。私は自分で何でもできます!」
エミリーは姿勢を正して答える。もちろん、エミリーは伯爵令嬢なので、領地では侍女や乳母に世話をしてもらっていた。学院に通うために一人で何でもできるよう練習してきたようだ。
ちなみに学院の寮では、掃除や洗濯等は寮の使用人がやってくれるし、体調を崩せば看護も頼める。食事も時間を問わず食堂で用意してもらえるので、魔法で整えられたボードゥアンの洋館より環境はいい。そのため、学院で侍女や侍従を連れているのは、シャーロットやチャーリーなど一部の人間だけだ。
「旅に侍女がついて来るなんて、考えてもみませんでした。カランセ伯爵家はそもそも王都に来ることもあまりないので……」
「やっぱり、カランセ伯爵はパーティに興味ないんだね」
シクノチェス王国では、王都で社交のためのパーティが頻繁に開かれている。しかし、近年は国政に介入したい野心がある者の集まりと化しているのだ。
中央と距離をおいている領主は、領主会議が行われるときのみ王都に来るというのも珍しくない。伯爵もその一人なら、王家と繋がりを持つことに興味もないだろう。結婚の許しを得るためにディランの身分は役に立ちそうもない。
「殿下、お嬢様をご紹介頂けますか?」
会話が途切れたタイミングで、同行してくれる者を代表して、騎士のルークが声をかけてくる。騎士が4名、御者2名、侍女2名、侍女のふりをした女医が1名、ずらりと並ぶ。
「僕の婚約者のエミリーだ。みんな、急で悪いけどよろしくね」
「エミリー・カランセです。よろしくお願いします」
エミリーがペコリと頭を下げると、それぞれが簡単に自己紹介していった。
「みんな、普段は母に仕えてくれているんだ」
「俺はディラン殿下の専属だって、いつも言ってるのに……」
ルークの言葉に賛同するように、彼の部下の騎士たちも頷いている。彼らはチャーリーのもとで働く近衛騎士だったが、シャーロットに対する態度を理由に解雇されたので、ディランのところに来てもらったのだ。かなり前の出来事なので、4人ともディランとは長い付き合いだ。
「ありがとう。ルーク、みんな」
「エミリー様、聞いてください。ディラン殿下はひどいんですよ。学院にもついて行くって言ったのに、『護衛なんていらないよ』の一言で、俺らを母上のところに置き去りにしたんです」
「そ、そうなんですね」
エミリーが巨木のようにでかい4人を見上げて困惑した表情を浮かべている。貴族出身の近衛騎士にしては粗野で騎士特有の暑苦しさがある。
「ルーク、エミリーが困ってるから変な絡み方しないでよ」
王子として公務があるときには来てもらうが、魔法があるので学院の中まで護衛は必要ない。ディランは、入学時にルークともめたことを思い出してげんなりした。
「ディラン殿下がエミリー様を庇った!」
「なんか、考え深いな」
「ディラン殿下も大人になっちゃったんだな」
「俺、ちょっと寂しいかも」
ルークたちは、ディランにバッチリ聞こえていることも気にせず、楽しそうに語り合っている。チャーリーに追い出されたのは、こういうところが災いしたのだと思うが指摘はしない。
「エミリー、腕は保証するから安心してね」
エミリーがなんとも言えない表情で4人を見上げているので、ディランはエミリーの耳元で囁く。エミリーは恥ずかしそうに頬を赤らめて頷いた。
「イチャイチャしないで下さいよ」
「俺も可愛い彼女が欲しい」
「出発するよ」
ルークたちはまだ騒いでいたが、ディランは気にせずエミリーとともに馬車に乗り込む。それを見て、仕事を思い出したのか、それぞれ動き出した。
「休憩をなるべく挟むようにするけど、疲れたらすぐ言ってね」
「はい、ありがとうございます」
ディランはエミリーが王都に来たときの日程を聞き出して、それよりもゆったりとした日程を組んだ。王都に着いてすぐに寝込んだと言っていたエミリーに配慮してのことだ。
エミリーは馬車の中で不安そうな顔をしていたが、走り出してしばらくすると普段どおりの元気を取り戻した。
「何で揺れないんですか?」
「馬車の揺れが気になるから改善してほしいってご要望があって、振動を吸収する座席を師匠と開発したんだ」
「王都に来たときより、ずっと快適です」
「それなら良かった」
座席の改善はチャーリーの母である王太子妃の要望だ。王太子妃の無茶振りは毎回ディランを困らせるが、チョコレートの事といい、エミリーに会ってからは役立つことも多い。ディランは投げ出さずに師匠と最後までやり遂げた自分を密かに褒めた。
2
あなたにおすすめの小説
【完結】べつに平凡な令嬢……のはずなのに、なにかと殿下に可愛がれているんです
朝日みらい
恋愛
アシェリー・へーボンハスは平凡な公爵令嬢である。
取り立てて人目を惹く容姿でもないし……令嬢らしくちゃんと着飾っている、普通の令嬢の内の1人である。
フィリップ・デーニッツ王太子殿下に密かに憧れているが、会ったのは宴会の席であいさつした程度で、
王太子妃候補になれるほど家格は高くない。
本人も素敵な王太子殿下との恋を夢見るだけで、自分の立場はキチンと理解しているつもり。
だから、まさか王太子殿下に嫁ぐなんて夢にも思わず、王妃教育も怠けている。
そんなアシェリーが、宮廷内の貴重な蔵書をたくさん読めると、軽い気持ちで『次期王太子妃の婚約選考会』に参加してみたら、なんと王太子殿下に見初められ…。
王妃候補として王宮に住み始めたアシュリーの、まさかのアツアツの日々が始まる?!
次期騎士団長の秘密を知ってしまったら、迫られ捕まってしまいました
Karamimi
恋愛
侯爵令嬢で貴族学院2年のルミナスは、元騎士団長だった父親を8歳の時に魔物討伐で亡くした。一家の大黒柱だった父を亡くしたことで、次期騎士団長と期待されていた兄は騎士団を辞め、12歳という若さで侯爵を継いだ。
そんな兄を支えていたルミナスは、ある日貴族学院3年、公爵令息カルロスの意外な姿を見てしまった。学院卒院後は騎士団長になる事も決まっているうえ、容姿端麗で勉学、武術も優れているまさに完璧公爵令息の彼とはあまりにも違う姿に、笑いが止まらない。
お兄様の夢だった騎士団長の座を奪ったと、一方的にカルロスを嫌っていたルミナスだが、さすがにこの秘密は墓場まで持って行こう。そう決めていたのだが、翌日カルロスに捕まり、鼻息荒く迫って来る姿にドン引きのルミナス。
挙句の果てに“ルミタン”だなんて呼ぶ始末。もうあの男に関わるのはやめよう、そう思っていたのに…
意地っ張りで素直になれない令嬢、ルミナスと、ちょっと気持ち悪いがルミナスを誰よりも愛している次期騎士団長、カルロスが幸せになるまでのお話しです。
よろしくお願いしますm(__)m
嫌われ黒領主の旦那様~侯爵家の三男に一途に愛されていました~
めもぐあい
恋愛
イスティリア王国では忌み嫌われる黒髪黒目を持ったクローディアは、ハイド伯爵領の領主だった父が亡くなってから叔父一家に虐げられ生きてきた。
成人間近のある日、突然叔父夫妻が逮捕されたことで、なんとかハイド伯爵となったクローディア。
だが、今度は家令が横領していたことを知る。証拠を押さえ追及すると、逆上した家令はクローディアに襲いかかった。
そこに、天使の様な美しい男が現れ、クローディアは助けられる。
ユージーンと名乗った男は、そのまま伯爵家で雇ってほしいと願い出るが――
【完結済】私、地味モブなので。~転生したらなぜか最推し攻略対象の婚約者になってしまいました~
降魔 鬼灯
恋愛
マーガレット・モルガンは、ただの地味なモブだ。前世の最推しであるシルビア様の婚約者を選ぶパーティーに参加してシルビア様に会った事で前世の記憶を思い出す。 前世、人生の全てを捧げた最推し様は尊いけれど、現実に存在する最推しは…。 ヒロインちゃん登場まで三年。早く私を救ってください。
転生したら地味ダサ令嬢でしたが王子様に助けられて何故か執着されました
古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄され
恋愛
皆様の応援のおかげでHOT女性向けランキング第7位獲得しました。
前世病弱だったニーナは転生したら周りから地味でダサいとバカにされる令嬢(もっとも平民)になっていた。「王女様とか公爵令嬢に転生したかった」と祖母に愚痴ったら叱られた。そんなニーナが祖母が死んで冒険者崩れに襲われた時に助けてくれたのが、ウィルと呼ばれる貴公子だった。
恋に落ちたニーナだが、平民の自分が二度と会うことはないだろうと思ったのも、束の間。魔法が使えることがバレて、晴れて貴族がいっぱいいる王立学園に入ることに!
しかし、そこにはウィルはいなかったけれど、何故か生徒会長ら高位貴族に絡まれて学園生活を送ることに……
見た目は地味ダサ、でも、行動力はピカ一の地味ダサ令嬢の巻き起こす波乱万丈学園恋愛物語の始まりです!?
小説家になろうでも公開しています。
第9回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作品
まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?
せいめ
恋愛
政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。
喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。
そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。
その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。
閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。
でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。
家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。
その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。
まずは亡くなったはずの旦那様との話から。
ご都合主義です。
設定は緩いです。
誤字脱字申し訳ありません。
主人公の名前を途中から間違えていました。
アメリアです。すみません。
出ていってください!~結婚相手に裏切られた令嬢はなぜか騎士様に溺愛される~
白井
恋愛
イヴェット・オーダム男爵令嬢の幸せな結婚生活が始まる……はずだった。
父の死後、急に態度が変わった結婚相手にイヴェットは振り回されていた。
財産を食いつぶす義母、継いだ仕事を放棄して不貞を続ける夫。
それでも家族の形を維持しようと努力するイヴェットは、ついに殺されかける。
「もう我慢の限界。あなたたちにはこの家から出ていってもらいます」
覚悟を決めたら、なぜか騎士団長様が執着してきたけれど困ります!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる