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三章 犯人を追って【オーギュスト】
【幕間2】図書館へ
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私は離宮の裏口でキョロキョロと周りを見渡した。裏口の前には、真っ赤な薔薇の花弁が一枚落ちている。こちらに注目する嫌な視線はない。
今日は新しい橋の開通を祝う式典が郊外で行われている。王太子殿下が御一家で出席されているため王宮の警備は疎らだ。
私は問題ないことを確認して離宮を出た。ローブを深く被っていれば、他の魔導師団員に紛れて気にする者もいない。隠れて護衛する者たちは付いてきているが、その辺りは気にしないことにする。
目的地の図書館に着くと、一般の来館者に混ざって列に並んだ。順番が来て、『魔導師団員ミーシャ』の身分証を警備の騎士に渡す。
「妃殿……ミーシャさん、今日はお一人ですか?」
「ええ。どうしても借りたい本があったの」
私はモジモジしながら騎士に微笑みかける。可愛い笑顔は騎士の判断を鈍らせることだろう。
「でん……いつもご一緒されている同僚の方はご存知なのですか?」
「ええ。もちろんよ」
私が断言しても騎士は戸惑っている。仕方がないので、遠くで見守る護衛にチラリと視線を送った。騎士は聖女専属の近衛騎士の姿を確認して、明らかにホッとした顔をする。どうやら、真面目な騎士のようだ。罪悪感で胸がチクリと痛む。
「では、ごゆっくりお過ごし下さい」
騎士は丁寧に身分証を私に返して道を開けた。オーギュスト殿下が隣りにいたなら、丁寧すぎて身分がバレると注意されていたことだろう。
「ごめんなさい。ありがとうございます」
私は色んな意味を込めた謝罪をして図書館に入った。あの騎士は上司に後で叱られる。申し訳ないが、私にはどうすることもできない。
……
館内は多くの人で賑わっていた。本を自由に読める時間は私にとって貴重だ。囮になるために来ていることも忘れて、楽しんでしまいそうになる。
楽しんでいるほうが、囮だとバレないかも……
どうせならと、好みの本を読みながら時間を潰していると、護衛とは違う視線が集まってきた。想像していたより人数が多い。
警戒しながら本を読んでいると、近くを歩いていた女性が何もないところで躓いた。
「お怪我はありませんか?」
私を警護していた近衛隊長が女性に手を貸している。女性は胸が大きくて色気がすごい。そう思って見ていると、いつの間にか知らない男たちに囲まれてしまっていた。そのうちの一人に口を塞がれ液体を嗅がされる。おそらく、身体の自由を奪うような薬だろう。
「妃殿下、どうされました!?」
男の焦った声が聞こえて、その男に抱き上げられる。声は丁寧なのに、絶対に離してくれそうにない。
「ミシュリーヌ妃殿下が体調を崩されたようです。離宮までお連れします」
私を抱きかかえた男は図書館の職員に話しかけ、普段は閉ざされている扉を開けさせる。そこから先は王族のために作られた専用の空間だ。職員は私の様子に焦ったのか、男の言葉を少しも疑っていない。
「静かにしていて下されば、怖い思いはさせません」
男の一人がそんな風に言ったが、もちろん、離宮に連れて帰ってもらえるわけがない。私は乗り心地の悪い馬車に乗せられて、王宮の敷地を出てしまった。
今日は新しい橋の開通を祝う式典が郊外で行われている。王太子殿下が御一家で出席されているため王宮の警備は疎らだ。
私は問題ないことを確認して離宮を出た。ローブを深く被っていれば、他の魔導師団員に紛れて気にする者もいない。隠れて護衛する者たちは付いてきているが、その辺りは気にしないことにする。
目的地の図書館に着くと、一般の来館者に混ざって列に並んだ。順番が来て、『魔導師団員ミーシャ』の身分証を警備の騎士に渡す。
「妃殿……ミーシャさん、今日はお一人ですか?」
「ええ。どうしても借りたい本があったの」
私はモジモジしながら騎士に微笑みかける。可愛い笑顔は騎士の判断を鈍らせることだろう。
「でん……いつもご一緒されている同僚の方はご存知なのですか?」
「ええ。もちろんよ」
私が断言しても騎士は戸惑っている。仕方がないので、遠くで見守る護衛にチラリと視線を送った。騎士は聖女専属の近衛騎士の姿を確認して、明らかにホッとした顔をする。どうやら、真面目な騎士のようだ。罪悪感で胸がチクリと痛む。
「では、ごゆっくりお過ごし下さい」
騎士は丁寧に身分証を私に返して道を開けた。オーギュスト殿下が隣りにいたなら、丁寧すぎて身分がバレると注意されていたことだろう。
「ごめんなさい。ありがとうございます」
私は色んな意味を込めた謝罪をして図書館に入った。あの騎士は上司に後で叱られる。申し訳ないが、私にはどうすることもできない。
……
館内は多くの人で賑わっていた。本を自由に読める時間は私にとって貴重だ。囮になるために来ていることも忘れて、楽しんでしまいそうになる。
楽しんでいるほうが、囮だとバレないかも……
どうせならと、好みの本を読みながら時間を潰していると、護衛とは違う視線が集まってきた。想像していたより人数が多い。
警戒しながら本を読んでいると、近くを歩いていた女性が何もないところで躓いた。
「お怪我はありませんか?」
私を警護していた近衛隊長が女性に手を貸している。女性は胸が大きくて色気がすごい。そう思って見ていると、いつの間にか知らない男たちに囲まれてしまっていた。そのうちの一人に口を塞がれ液体を嗅がされる。おそらく、身体の自由を奪うような薬だろう。
「妃殿下、どうされました!?」
男の焦った声が聞こえて、その男に抱き上げられる。声は丁寧なのに、絶対に離してくれそうにない。
「ミシュリーヌ妃殿下が体調を崩されたようです。離宮までお連れします」
私を抱きかかえた男は図書館の職員に話しかけ、普段は閉ざされている扉を開けさせる。そこから先は王族のために作られた専用の空間だ。職員は私の様子に焦ったのか、男の言葉を少しも疑っていない。
「静かにしていて下されば、怖い思いはさせません」
男の一人がそんな風に言ったが、もちろん、離宮に連れて帰ってもらえるわけがない。私は乗り心地の悪い馬車に乗せられて、王宮の敷地を出てしまった。
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