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四章 平和を願って【ミシュリーヌ】
第23話 再びの……【オーギュスト】
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しばらくスープを味わっていると、魔力の強い集団が近づいてくるのを感じた。オーギュストたちを出迎えるために領都から来た魔導師団員だ。ブノワが気がついて、オーギュストの方を見つめる。オーギュストは気づかないふりをしてスープを飲んだ。
「何者かが接近中。検索をかけます」
一拍遅れてポールが険しい表情で言う。マリエルと合流したときとは違い、馬の足音より先に気づくことができたらしい。
「ああ、頼む」
オーギュストが言うと、ポールが真剣な表情で魔法を飛ばす。ただ、相手のほうが力量があるため、検索魔法は弾かれたはずだ。その証拠にポールの額から汗が流れた。
相手が魔導師団員ならば、検索魔法が弾かれても同時に魔導師団員にだけ分かる暗号が送り返されてくる。マリエルとの合流時はマニュアルどおり暗号が送られてきていたが、今日はそれがない。つまり、ポールからすると、相手は自分より強い人物で、さらに魔導師団員ではないということになる。
「相手が何者か分かりません」
ポールは緊張した顔で、まだ見えない集団の方を睨みつけている。
ただ、オーギュストにはよく知る魔力しか感じない。実際には新人を試すために暗号を送って来なかっただけだろう。
「団長」
ブノワが抗議するように囁く。オーギュストが落ち着いているので、真実に気づいたのだろう。
「私の指示ではない。彼らなりに新人を歓迎しているんだろうな」
ポールか驚いた顔でオーギュストとブノワを交互に見た。ブノワは険しい表情を崩さない。
「そうなると、我々は相手が敵対勢力であると仮定して動くことになりますが、よろしいですか?」
「好きにしろ」
オーギュストはスープや建物などをマジックバックにしまう。ブノワとポールに保護の魔法をかけて、結界の端で見守ることにした。
やがて、馬の蹄の音が聞こえてきて魔導師団員が姿を現す。ブノワは一気に距離を詰めて攻撃魔法を放った。ポールも必死でブノワを守る魔法を展開する。だか、勝負は一瞬だった。
団員の一人が馬上から片手を上げると、ブノワとポールは魔法で縛られて並んで座らされる。ポールは何が起きたのかも把握できていないようだった。無理もない。魔法を放ったのは、精鋭部隊の中でもトップクラスの実力者であるフェランだ。オーギュストでも油断していれば同じことになる。
「魔導師団員であることは目視で確認できたはずだ。なぜ、襲ってきた?」
フェランの迫力にポールは涙目だ。ブノワはギロリとフェランを睨みあげている。少々血の気が多いが将来が楽しみだ。
「暗号が送られて来ませんでした。魔導師団員に変装した敵である可能性があります」
「なるほど……確かにな」
オーギュストは感心しながら、焚き火でスープを温め直していた。到着したばかりの団員もフェランを残して各々が動き出している。暗くなる前に野営の準備を済ませたいのだろう。フェランもそれを見て小さく息を吐いた。
「団長、勝手に納得しないで下さい」
「悪い」
フェランは馬を部下に預けて、オーギュストのそばに座った。興奮した様子のブノワはまだ縛られたままだ。オーギュストはブノワとポールを焚き火の近くまで魔法で運んでやる。ポールは怯えた顔でフェランを見ているので、余計なことをしたかもしれない。
「どのくらい援護されました?」
オーギュストはスープを精鋭部隊の面々に配りながら、ブノワたちとのやり取りを話してきかせた。フェランはオーギュストの話を聞きながら険しい表情だが、他の隊員は食事を始めている。野営は何かあるか分からないので、食事はできる時に摂ってしまうのが鉄則だ。ポールは精鋭部隊の隊員にスープの味を褒められて、ようやく落ち着きを取り戻したようだ。
「使えそうか?」
「本人のやる気次第ですかね」
フェランがため息交じりに言った。即戦力とはいかないのだろう。だが、調査隊に送り返す必要はなさそうだ。
「良かったな。合格らしいぞ」
「なんだか、納得がいきません」
ブノワが不貞腐れたように呟く。
「そうか? 優しいと思うがな」
「優しい?」
「彼らが『魔導師団員に変装した敵』だったのなら、二人は確実に死んでいる。本来なら自分より実力がある敵と遭遇した場合には逃げる一択だ。間違っても、正面から仕掛けるべきではない。何かあっても私がいるというのが頭にあったんだろう?」
護衛対象者などがいて逃げられない状況であれば戦うしかない。その場合も罠を張るなどやれることは他にあるはずだ。オーギュストの存在が油断を生んだと言って良い。フェランたちを敵だと想定するなら、オーギュストもいないものとして作戦を練るべきだった。
「……」
オーギュストが具体例を上げていくと、ブノワは神妙な顔で聞いている。それを見て、フェランが二人の拘束を解いた。
「何者かが接近中。検索をかけます」
一拍遅れてポールが険しい表情で言う。マリエルと合流したときとは違い、馬の足音より先に気づくことができたらしい。
「ああ、頼む」
オーギュストが言うと、ポールが真剣な表情で魔法を飛ばす。ただ、相手のほうが力量があるため、検索魔法は弾かれたはずだ。その証拠にポールの額から汗が流れた。
相手が魔導師団員ならば、検索魔法が弾かれても同時に魔導師団員にだけ分かる暗号が送り返されてくる。マリエルとの合流時はマニュアルどおり暗号が送られてきていたが、今日はそれがない。つまり、ポールからすると、相手は自分より強い人物で、さらに魔導師団員ではないということになる。
「相手が何者か分かりません」
ポールは緊張した顔で、まだ見えない集団の方を睨みつけている。
ただ、オーギュストにはよく知る魔力しか感じない。実際には新人を試すために暗号を送って来なかっただけだろう。
「団長」
ブノワが抗議するように囁く。オーギュストが落ち着いているので、真実に気づいたのだろう。
「私の指示ではない。彼らなりに新人を歓迎しているんだろうな」
ポールか驚いた顔でオーギュストとブノワを交互に見た。ブノワは険しい表情を崩さない。
「そうなると、我々は相手が敵対勢力であると仮定して動くことになりますが、よろしいですか?」
「好きにしろ」
オーギュストはスープや建物などをマジックバックにしまう。ブノワとポールに保護の魔法をかけて、結界の端で見守ることにした。
やがて、馬の蹄の音が聞こえてきて魔導師団員が姿を現す。ブノワは一気に距離を詰めて攻撃魔法を放った。ポールも必死でブノワを守る魔法を展開する。だか、勝負は一瞬だった。
団員の一人が馬上から片手を上げると、ブノワとポールは魔法で縛られて並んで座らされる。ポールは何が起きたのかも把握できていないようだった。無理もない。魔法を放ったのは、精鋭部隊の中でもトップクラスの実力者であるフェランだ。オーギュストでも油断していれば同じことになる。
「魔導師団員であることは目視で確認できたはずだ。なぜ、襲ってきた?」
フェランの迫力にポールは涙目だ。ブノワはギロリとフェランを睨みあげている。少々血の気が多いが将来が楽しみだ。
「暗号が送られて来ませんでした。魔導師団員に変装した敵である可能性があります」
「なるほど……確かにな」
オーギュストは感心しながら、焚き火でスープを温め直していた。到着したばかりの団員もフェランを残して各々が動き出している。暗くなる前に野営の準備を済ませたいのだろう。フェランもそれを見て小さく息を吐いた。
「団長、勝手に納得しないで下さい」
「悪い」
フェランは馬を部下に預けて、オーギュストのそばに座った。興奮した様子のブノワはまだ縛られたままだ。オーギュストはブノワとポールを焚き火の近くまで魔法で運んでやる。ポールは怯えた顔でフェランを見ているので、余計なことをしたかもしれない。
「どのくらい援護されました?」
オーギュストはスープを精鋭部隊の面々に配りながら、ブノワたちとのやり取りを話してきかせた。フェランはオーギュストの話を聞きながら険しい表情だが、他の隊員は食事を始めている。野営は何かあるか分からないので、食事はできる時に摂ってしまうのが鉄則だ。ポールは精鋭部隊の隊員にスープの味を褒められて、ようやく落ち着きを取り戻したようだ。
「使えそうか?」
「本人のやる気次第ですかね」
フェランがため息交じりに言った。即戦力とはいかないのだろう。だが、調査隊に送り返す必要はなさそうだ。
「良かったな。合格らしいぞ」
「なんだか、納得がいきません」
ブノワが不貞腐れたように呟く。
「そうか? 優しいと思うがな」
「優しい?」
「彼らが『魔導師団員に変装した敵』だったのなら、二人は確実に死んでいる。本来なら自分より実力がある敵と遭遇した場合には逃げる一択だ。間違っても、正面から仕掛けるべきではない。何かあっても私がいるというのが頭にあったんだろう?」
護衛対象者などがいて逃げられない状況であれば戦うしかない。その場合も罠を張るなどやれることは他にあるはずだ。オーギュストの存在が油断を生んだと言って良い。フェランたちを敵だと想定するなら、オーギュストもいないものとして作戦を練るべきだった。
「……」
オーギュストが具体例を上げていくと、ブノワは神妙な顔で聞いている。それを見て、フェランが二人の拘束を解いた。
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