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終章:「鉄路の旅の終幕」
アフターサプライズ:「異空を越えた再会、そして――」
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騒がしい異世界での日々から、また一年近いの時が経過。
世間はいくらかの落ち着きと、異世界との接続する前の形態を取り戻し。
そして会生もまた。日本へと戻ってから、建設隊隊員として従来の任務と日々に戻っていた。
「――ハ」
だがその日、会生は車両基地のある駐屯地を離れ。
実家の自室で一時を過ごしていた。
その日は休日。
所属駐屯地の所在する土地が地元であり、実家がそう遠くない会生は。休日は時折実家に帰って休養の時を過ごすようにしていた。
茶の間で、タブレット端末で映画を流しつつ。コーヒーを相方に適当に過ごしていた会生。
玄関より来客を告げるチャイムが響いたのは、その時であった。
「?、郵便か?」
本日、来客の予定は聞いていない。郵便か荷物だろうかと予想する会生。
両親は、歳柄もなく二人で出かけているので自分が出るしかない。
「やれやれ」と零しつつ腰を上げ、玄関へと立つ会生。
「はい――」
玄関の向こうに気配を感じ、それに答えながら。扉を開く会生。
――思わぬ光景。思わぬ人物の姿が。
日本人、いや地球人ではありえない、青い肌色に尖った耳の少女が。
身なりは日本に紛れるためか、ご丁寧にブレザーの学生服に身を包み。しかしダークエルフという種族からまるで擬態出来ていない姿の少女が。
――他ならぬ、ミューヘルマの姿が。
正しくは、最後に分かれた時より少し成長し、大人びて見える彼女の姿がそこにあった。
「――は?」
それに思わず、大変に訝しむ色を含めた声を零す会生。
「アイセイ様――来ちゃいましたっ」
それに、まさに押しかけ女房かと言いたくなるそれで。「てへ」と言うように悪戯っぽく返したミューヘルマ。
「――少し待つんだ――どういうことだ?」
さすがに意表を突かれ、状況を整理すべく考えを巡らせる会生。
「あら?アイセイ様の夢枕には、知らせがなかったのですか?」
しかしミューヘルマは引き続きの悪戯っぽい笑みで。そんな言葉を向けてくる。
その言葉で、いくらかの推察はついた。
聞けば、ミューヘルマの元へは。件の作業服と白衣の人物より再びの知らせがあったらしい。
なんでも、「果敢に戦い成し遂げた君等には、絆を繋ぎ続ける資格権利がある。これはその贈り物だ」とか。
どうやらごく一部の人間に限定して、秘密裏に地球日本と異世界を行き来する力と権利が与えられたらしい。
「ッ、まったく――」
合点が行き、しかし悪戯にも程があるそれに。会生はその顔を大変に渋くして声を零す。
「ふふ、そして早速ですがアイセイ様――「あの時」に、言えなかった事をお伝えさせていただきますね?」
「?」
そんな会生をよそに、ミューヘルマは何かまた悪戯っぽい笑みでそんな言葉を紡ぐ。
それにまた訝しむ色を浮かべる会生だが。
「ッ」
次には、会生の身を少し強引な力が襲った。
見れば、ミューヘルマは少し伸びた身長で、苦も無くアイセイの後ろ首に両腕を回し。会生の身を自分へと引き寄せて、顔を突き合わさせていたのだ。
「アイセイ様……――いや、セイラ(征羅)――我は貴殿が欲しい……この我のものとなってもらうぞっ!」
そしてその可憐な顔立ちに、しかし王族として、王女として。欲するものを是が非でも手に入れんとする意志を表す、不敵で傲岸不遜な笑みを浮かべ。
そんな宣告の言葉をミューヘルマは寄越した。
「よいか?我は貴殿に傲岸さを教わった。それを今度は、貴殿を我がものとするために振るわせてもらう」
そして続く宣告の言葉の後に。
ミューヘルマは傲岸不遜と不敵でいっぱいの顔に、しかし次には悪戯っぽさと愛らしさを含めて見せ。
「――逃がしはせぬぞっ?」
「ニシっ」と笑い、締めくくりにそんな一言を、会生の眼を見つめて告げて見せた。
「――ハァッ」
それに会生は一言、まずは端的な溜息を放ち。
「俺の攻略難易度は、異常級(インセイン)だぞッ?」
「望むところだっ」
そして、その仏頂面に少しの笑みを見せて、会生は不敵に言い放ち。
ミューヘルマもまた不敵な笑顔を、それに答えた――
――――――――――
お疲れさまでした。以上で完結となります。
装甲列車周りの妄想設定を思いついて、それ使いたくて始めたお話でしたが、お察しの通り反省点増し増しになった感じです。
作者の悪癖も多分に露出し、後半からトンデモ話となりました。
本当に申し訳ない。
ただやりたかったネタはやれて作者自身は満足です。
本当に申し訳ない。
またいつかお会いしましょう。
ありがとうございました。
世間はいくらかの落ち着きと、異世界との接続する前の形態を取り戻し。
そして会生もまた。日本へと戻ってから、建設隊隊員として従来の任務と日々に戻っていた。
「――ハ」
だがその日、会生は車両基地のある駐屯地を離れ。
実家の自室で一時を過ごしていた。
その日は休日。
所属駐屯地の所在する土地が地元であり、実家がそう遠くない会生は。休日は時折実家に帰って休養の時を過ごすようにしていた。
茶の間で、タブレット端末で映画を流しつつ。コーヒーを相方に適当に過ごしていた会生。
玄関より来客を告げるチャイムが響いたのは、その時であった。
「?、郵便か?」
本日、来客の予定は聞いていない。郵便か荷物だろうかと予想する会生。
両親は、歳柄もなく二人で出かけているので自分が出るしかない。
「やれやれ」と零しつつ腰を上げ、玄関へと立つ会生。
「はい――」
玄関の向こうに気配を感じ、それに答えながら。扉を開く会生。
――思わぬ光景。思わぬ人物の姿が。
日本人、いや地球人ではありえない、青い肌色に尖った耳の少女が。
身なりは日本に紛れるためか、ご丁寧にブレザーの学生服に身を包み。しかしダークエルフという種族からまるで擬態出来ていない姿の少女が。
――他ならぬ、ミューヘルマの姿が。
正しくは、最後に分かれた時より少し成長し、大人びて見える彼女の姿がそこにあった。
「――は?」
それに思わず、大変に訝しむ色を含めた声を零す会生。
「アイセイ様――来ちゃいましたっ」
それに、まさに押しかけ女房かと言いたくなるそれで。「てへ」と言うように悪戯っぽく返したミューヘルマ。
「――少し待つんだ――どういうことだ?」
さすがに意表を突かれ、状況を整理すべく考えを巡らせる会生。
「あら?アイセイ様の夢枕には、知らせがなかったのですか?」
しかしミューヘルマは引き続きの悪戯っぽい笑みで。そんな言葉を向けてくる。
その言葉で、いくらかの推察はついた。
聞けば、ミューヘルマの元へは。件の作業服と白衣の人物より再びの知らせがあったらしい。
なんでも、「果敢に戦い成し遂げた君等には、絆を繋ぎ続ける資格権利がある。これはその贈り物だ」とか。
どうやらごく一部の人間に限定して、秘密裏に地球日本と異世界を行き来する力と権利が与えられたらしい。
「ッ、まったく――」
合点が行き、しかし悪戯にも程があるそれに。会生はその顔を大変に渋くして声を零す。
「ふふ、そして早速ですがアイセイ様――「あの時」に、言えなかった事をお伝えさせていただきますね?」
「?」
そんな会生をよそに、ミューヘルマは何かまた悪戯っぽい笑みでそんな言葉を紡ぐ。
それにまた訝しむ色を浮かべる会生だが。
「ッ」
次には、会生の身を少し強引な力が襲った。
見れば、ミューヘルマは少し伸びた身長で、苦も無くアイセイの後ろ首に両腕を回し。会生の身を自分へと引き寄せて、顔を突き合わさせていたのだ。
「アイセイ様……――いや、セイラ(征羅)――我は貴殿が欲しい……この我のものとなってもらうぞっ!」
そしてその可憐な顔立ちに、しかし王族として、王女として。欲するものを是が非でも手に入れんとする意志を表す、不敵で傲岸不遜な笑みを浮かべ。
そんな宣告の言葉をミューヘルマは寄越した。
「よいか?我は貴殿に傲岸さを教わった。それを今度は、貴殿を我がものとするために振るわせてもらう」
そして続く宣告の言葉の後に。
ミューヘルマは傲岸不遜と不敵でいっぱいの顔に、しかし次には悪戯っぽさと愛らしさを含めて見せ。
「――逃がしはせぬぞっ?」
「ニシっ」と笑い、締めくくりにそんな一言を、会生の眼を見つめて告げて見せた。
「――ハァッ」
それに会生は一言、まずは端的な溜息を放ち。
「俺の攻略難易度は、異常級(インセイン)だぞッ?」
「望むところだっ」
そして、その仏頂面に少しの笑みを見せて、会生は不敵に言い放ち。
ミューヘルマもまた不敵な笑顔を、それに答えた――
――――――――――
お疲れさまでした。以上で完結となります。
装甲列車周りの妄想設定を思いついて、それ使いたくて始めたお話でしたが、お察しの通り反省点増し増しになった感じです。
作者の悪癖も多分に露出し、後半からトンデモ話となりました。
本当に申し訳ない。
ただやりたかったネタはやれて作者自身は満足です。
本当に申し訳ない。
またいつかお会いしましょう。
ありがとうございました。
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