2 / 7
2
しおりを挟む
こちらに非は一切ございません。
あちらからの一方的な解消。
ならこちらは慰謝料を頂いてご縁を切るだけのこと。
ですが、一方的なあの態度。
何か嫌がらせのひとつもしてやりたくなるのが人情じゃございません?
何かないかしら?
「ローザ様、お悩みでしょうか?」
侍女のサンドラが尋ねてきました。
「そうね、大いに悩んでるわ」
「……本日の件でございますか?」
「そうよ、あのおバカさんの相手に疲れたの」
「……お言葉を」
「ごめん遊ばせ?」
叱れても懲りません。
あれを、馬鹿と言う以外表す言葉はありませんもの。
「解消したいのでしたらご自身でお父様達に申し上げればいいのよ。それを私に押し付けて」
根性なし。
へたれ。
甲斐性なし。
婚約半年でこれでは結婚しても先が思いやられます。
解消なら私個人として歓迎ですけどね。
あの方が一方的に解消を望んでるのに、なぜ私が小間使いの真似をしなくてはならないのかしら?
女にこんなことを押し付けるなんて本当にみっともない。
「私が動くのは癪だわ」
「と、言いますと?」
「なぜ私が言う通りに働かねばならないの?あちらの希望なんだから自分でお支度なさればよろしいのよ」
「手続きはよろしいのですか?」
「私からはしないわ。放っときなさい。……あ、でもあなた達はお父様への報告の義務はあるわね?それは万事と滞りなく、ね?」
「かしこまりました」
舐められるのが嫌いな父が娘を小間使いと勘違いした婚約者をどう扱うか興味はあった。
「面白そうだわ。お父様は何と仰るかしら?」
「想像もつきません。お喜びにならないことだけは確実でこざいますね」
「婚約者様は現実が見えてらっしゃらないのよね。我が家をたかが伯爵家と侮っていらっしゃる。格上の公爵であってもあちらは我が家の援助なしには没落寸前だというのに、ほほほ」
本当におバカさん。
あちらからの一方的な解消。
ならこちらは慰謝料を頂いてご縁を切るだけのこと。
ですが、一方的なあの態度。
何か嫌がらせのひとつもしてやりたくなるのが人情じゃございません?
何かないかしら?
「ローザ様、お悩みでしょうか?」
侍女のサンドラが尋ねてきました。
「そうね、大いに悩んでるわ」
「……本日の件でございますか?」
「そうよ、あのおバカさんの相手に疲れたの」
「……お言葉を」
「ごめん遊ばせ?」
叱れても懲りません。
あれを、馬鹿と言う以外表す言葉はありませんもの。
「解消したいのでしたらご自身でお父様達に申し上げればいいのよ。それを私に押し付けて」
根性なし。
へたれ。
甲斐性なし。
婚約半年でこれでは結婚しても先が思いやられます。
解消なら私個人として歓迎ですけどね。
あの方が一方的に解消を望んでるのに、なぜ私が小間使いの真似をしなくてはならないのかしら?
女にこんなことを押し付けるなんて本当にみっともない。
「私が動くのは癪だわ」
「と、言いますと?」
「なぜ私が言う通りに働かねばならないの?あちらの希望なんだから自分でお支度なさればよろしいのよ」
「手続きはよろしいのですか?」
「私からはしないわ。放っときなさい。……あ、でもあなた達はお父様への報告の義務はあるわね?それは万事と滞りなく、ね?」
「かしこまりました」
舐められるのが嫌いな父が娘を小間使いと勘違いした婚約者をどう扱うか興味はあった。
「面白そうだわ。お父様は何と仰るかしら?」
「想像もつきません。お喜びにならないことだけは確実でこざいますね」
「婚約者様は現実が見えてらっしゃらないのよね。我が家をたかが伯爵家と侮っていらっしゃる。格上の公爵であってもあちらは我が家の援助なしには没落寸前だというのに、ほほほ」
本当におバカさん。
52
あなたにおすすめの小説
婚約破棄、されたほうです。
みけねこ
恋愛
社交パーティーの会場のど真ん中で突然言い渡された婚約破棄。
目の前で婚約者は肩を抱き寄せられ、得意げに弟はこちらにそう突きつけた。
婚約破棄、されたのはどうやらこちらのようです。
婚約破棄で見限られたもの
志位斗 茂家波
恋愛
‥‥‥ミアス・フォン・レーラ侯爵令嬢は、パスタリアン王国の王子から婚約破棄を言い渡され、ありもしない冤罪を言われ、彼女は国外へ追放されてしまう。
すでにその国を見限っていた彼女は、これ幸いとばかりに別の国でやりたかったことを始めるのだが‥‥‥
よくある婚約破棄ざまぁもの?思い付きと勢いだけでなぜか出来上がってしまった。
未来予知できる王太子妃は断罪返しを開始します
もるだ
恋愛
未来で起こる出来事が分かるクラーラは、王宮で開催されるパーティーの会場で大好きな婚約者──ルーカス王太子殿下から謀反を企てたと断罪される。王太子妃を狙うマリアに嵌められたと予知したクラーラは、断罪返しを開始する!
婚約者は妹を選ぶようです(改稿版)
鈴白理人
恋愛
アドリアナ・ヴァンディール侯爵令嬢には妹がいる。
アドリアナが家格の同じ侯爵家の三男であるレオニード・ガイデアンの婚約者となり半年経つが、最近の彼は妹のリリアーナと急接近し、アドリアナをないがしろにし始める。
どこでも泣き出すリリアーナにアドリアナは嘆息してしまうが、レオニードはリリアーナをかばい続け、アドリアナを非難する言葉ばかりを口にするようになった。
リリアーナのデビュタント会場で、とうとうそれは起こるべくして起こった。
「アドリアナ・ヴァンディール侯爵令嬢!僕は君との婚約を破棄して、妹のリリアーナ・ヴァンディールと婚約を結び直す!」
宜しいのでしょうか、レオニード・ガイデアン侯爵令息?
その妹は──
婚約破棄を謝っても、許す気はありません
天宮有
恋愛
侯爵令嬢の私カルラは、ザノーク王子に婚約破棄を言い渡されてしまう。
ザノークの親友ルドノが、成績が上の私を憎み仕組んだようだ。
私が不正をしたという嘘を信じて婚約を破棄した後、ザノークとルドノは私を虐げてくる。
それを耐えながら準備した私の反撃を受けて、ザノークは今までのことを謝ろうとしていた。
【完結】幼馴染に告白されたと勘違いした婚約者は、婚約破棄を申し込んできました
よどら文鳥
恋愛
お茶会での出来事。
突然、ローズは、どうしようもない婚約者のドドンガから婚約破棄を言い渡される。
「俺の幼馴染であるマラリアに、『一緒にいれたら幸せだね』って、さっき言われたんだ。俺は告白された。小さい頃から好きだった相手に言われたら居ても立ってもいられなくて……」
マラリアはローズの親友でもあるから、ローズにとって信じられないことだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる