無能と蔑まれ婚約破棄された私の数学は、最強の剣術でした~元婚約者が後悔した頃には、寡黙な辺境伯に世界一溺愛されています~

aozora

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 鞘に収められたままの剣は、ずしりと重かった。

 それは、エララが今まで生きてきた世界には存在しなかった、確かな質量を持った『力』の象徴だった。

 あの時。

 ギデオン老人は熱を帯びた瞳でエララを射抜き、問いかけたのだ。

「お嬢さん、世界は数式でできている」

「人の動きも、星の軌道も、剣の切っ先でさえもな」

 その言葉は、まるで雷鳴のようにエララの心に響き渡っていた。

「お前の頭の中にある宝を、形にしてみる気はないかね?」

 蔑まれ、否定され、公爵令嬢の身分を追放された理由そのものであった、自分の思考。

 それが、世界と渡り合うための『力』になるかもしれない。

 冷たい方程式の羅列でしかなかったはずの世界に、初めて、確かな熱が灯るのを感じた。

 エララは、差し出された剣を見つめた。

「……はい。この『宝』を、私の生きる証として、形にしてみせます」

 意志を込めて小さく、しかし確かな声で答える。

 その柄を握れば、もう二度と、か弱く物静かなだけの公爵令嬢には戻れないだろう。

 だが、それでよかった。

 彼女が解くべき方程式は、もう、そこにあったのだから。

 エララは、震える指でゆっくりと剣の柄に触れた。

 ひんやりとした革の感触が、緊張で汗ばむ手のひらに吸い付くようだ。

 彼女がそっとそれを握りしめると、ギデオンは満足げに頷き、剣を手放した。

 ずしり、とした重みが腕にかかる。

 王都の舞踏会で手にした扇とは比べ物にならない、生命のやり取りを前提とした無骨な質量。

 それが不思議と、今のエララには心地よかった。

「良い覚悟だ、お嬢さん」

 ギデオンはしわがれた声で言った。

「その剣は、お前の理が世界を切り開くための、最初の筆となるだろう」

 そして、傍らで息を飲んで成り行きを見守っていたカシアンに目を向けた。

「辺境伯殿。少しばかり、この娘を借りるぞ。日が暮れるまでにはお返ししよう」

「ああ、任せる」

 カシアンは、どこか呆然とした様子で短く答えた。

「……だが、彼女は貴殿の想像を超えるだろう」

 彼の黒い瞳は、剣を握るエララの横顔に釘付けになっている。

 そこに映るのは、追放されてきたか弱き令嬢の面影ではなかった。

 未知の数式を前にした、純粋な探求者の顔がそこにあった。

「さて、お嬢さん。まずは場所を変えよう」

 ギデオンは促した。

「思考を巡らせるには、少しばかり広い方がいい」

 三人は庵の外に出た。

 森を切り開いた小さな広場は、木漏れ日がまだらに地面を照らし、静寂に満ちている。

「まず、その重い鉄の塊は置いておけ。今のあんたには、まだ早い」

 ギデオンはそう言うと、庵の壁に立てかけてあった二本の木剣のうち、一本をエララに放り投げた。

 彼女は慌てて真剣を地面に置き、飛んできた木剣を受け取る。

 真剣ほどの重さはないが、それでもずっしりとした手応えがあった。

「いいか。これからあんたに教えるのは、腕力で剣を振るう技術ではない」

 ギデオンはゆっくりと言葉を紡ぐ。

「そんなものは、王都の騎士どもにでも習えばいい」

 ギデオンはもう一本の木剣を手に取り、ゆっくりと構える。

「わしが教えるのは、戦闘を『認識』する方法だ。あんたの頭脳が、世界をどう捉えているか。それを、そのまま身体で表現する術をな」

「認識、ですわ……?」

 エララは問い返した。

「そうだ。力で斬るな。理で斬れ。刃の軌跡は、最も美しい解を描かねばならん」

 ギデオンの言葉は、まるで詩のようだった。

 だが、エララにはその意味が直感的に理解できた。

 最も美しい解――――それは、無駄がなく、必然性に満ちた、最小作用の原理に基づく軌跡のことだ。

「構えてみろ。どう構えるかは、あんたが決めろ」

 ギデオンは続けた。

「あんたの身体が最も安定し、どの方向にも淀みなく動ける座標。それを探し出せ」

 座標、という言葉に、エララの思考が切り替わる。

 彼女は言われた通り、足を肩幅に開き、少しだけ膝を落とした。

 自分の身体を三次元空間の原点(0,0,0)と定義する。

 足の位置でX軸とY軸を定め、背筋を伸ばすことでZ軸を意識する。

 木剣の重みでふらつかないよう、重心をわずかに落とす。

 彼女の頭の中では、自身の身体が、無数の数式によって安定性を保つための最適解を導き出していた。

「……ほう」

 ギデオンが感心したように息を漏らす。

「初めて剣を持つ者の構えではないな。まるで、水に浮かぶ木の葉のように、淀みがない」

 その言葉に、少し離れて見ていたカシアンも頷く。

 騎士団で数多の剣士を見てきた彼にも、エララの構えが尋常でないことは分かった。

 力みはなく、それでいてどこにも隙がない。

 まるで、これから起こる全ての事象に対応できる準備が整っているかのような、完璧な均衡。

「では、始めるぞ」

 ギデオンが告げた瞬間、彼の姿がかすんだ。

 次の瞬間、老人のものとは思えぬ鋭い踏み込みと共に、木剣の切っ先がエララの喉元へと真っ直ぐに突き出される。

「――っ!」

 咄嗟に目をつぶりそうになるエララに、ギデオンの叱咤が飛んだ。

「見るな! 計算しろ! あの切っ先は、ただの速度を持った『点』だ! お前に向かってくるベクトルに過ぎん!」

 ベクトル。

 その単語が、恐怖に固まりかけたエララの思考を解き放った。

 そうだ。これはただの物理現象。

 ギデオンの肩の初動角度、踏み込んだ足が地面に与える力積、そこから生まれる加速度。

 それらの変数を入力すれば、切っ先が到達する未来の座標は、ただ一つの方程式の解として導き出される。

 彼女の世界から、感情が消えた。

 ギデオンの木剣は、恐ろしい凶器ではなく、ただの幾何学的な線に見えた。

 その線が描く軌道、到達予測地点。

 それらを回避するための最短経路は――――。

 エララは、大きく後ろに跳んだり、慌てて剣で受け止めたりはしなかった。

 ただ、すっ、と半歩だけ右に身体をずらした。

 まるで最初からそこに誰もいなかったかのように、ギデオンの木剣はエララの左の肩先をかすめ、空を切った。

 風圧が、彼女の銀髪を揺らす。

 最小限の動き。最小限のエネルギー消費。

 完璧な、座標変換。

「……なっ」

 声にならない声を発したのは、カシアンだった。

 今の動きは、偶然ではない。予測していた。

 いや、予測という言葉ですら生ぬるい。

 まるで、未来が見えていたかのような、完璧な回避。

 ギデオンは突きを放った体勢のまま、ぴたりと動きを止めていた。

 そして、ゆっくりと振り返ると、その目に驚愕の色を浮かべた。

「……お嬢さん。今のは、どうやった?」

「どう、とは……?」

 エララは不思議そうに首を傾げた。

「貴方の踏み込みの深さと腕の角度から、剣先が到達する座標を計算し、私の身体がその直線上から外れるように移動しただけですわ。それが、最も効率的な解でしたので」

 当たり前のことを言うように、彼女は淡々と答えた。

 その答えに、ギデオンはしばし絶句し、やがて腹の底から笑い声を上げた。

「くっ、くく……はっはっは! 効率的な解、だと!? そうか、そうか! 決闘とは、お前にとっては解を求めるための設問に過ぎんのか!」

 老賢者は、宝物を見つけた子供のようにはしゃいでいる。

「面白い! 面白すぎるぞ、エララ・フォン・ヘムロック! ならば、この問題はどう解く!」

 笑い声が途絶えた瞬間、ギデオンの雰囲気が再び変わる。

 今度は、先ほどよりも速く、そして複雑な攻撃がエララを襲った。

 右上段からの袈裟斬り。それを途中で止め、翻しての胴薙ぎ。

 変幻自在の、予測不能な連続攻撃。

 並の騎士であれば、防戦一方でたちまち打ち込まれていただろう。

 だが、エララの目には、その複雑な剣の軌跡が、無数の関数グラフが重なり合って見えるかのようだった。

 一つ一つの攻撃は、独立したベクトル。

 彼女は、それら全てのベクトルを瞬時に分解し、合成し、最適な回避ルートを計算し続ける。

 一歩下がり、半身になる。

 腰を捻り、上体をわずかに傾ける。

 軸足を中心に、くるりと回転する。

 彼女の動きは、まるで舞踏会のワルツのようだった。

 相手の荒々しい攻撃という音楽に合わせ、静かに、しかし完璧なステップで踊り続ける。

 汗ひとつかかず、息も乱さない。

 全ての攻撃は、彼女の衣服を数センチの差で通り過ぎていく。

 カシアンは、もはや言葉を失っていた。

 あれは、剣術ではない。

 武術ですらない。

 彼が知る、いかなる戦闘技術の範疇にも収まらない、異質の何かだ。

 まるで、世界の法則そのものが、彼女を守っているかのような光景だった。

 力と速さを信奉するアラリック王子が見れば、きっとこう叫ぶだろう。「化け物め」と。

 だが、カシアンの目に映るエララの姿は、ただひたすらに、美しかった。

 無駄なものが一切ない、洗練された論理の舞。

 それは、どんな宝石よりも、どんな芸術品よりも、彼の心を強く揺さぶった。

 やがて、立て続けに十数合の攻撃を繰り出したギデオンが、ぜぇ、と息を切らして大きく後ろに跳んだ。

「……はぁ、はぁ……まいった。降参だ」

 老人は木剣を地面に突き立て、肩で息をしている。

 その顔には、疲労の色よりも、常識を超えたものを見た驚愕と、底知れない歓喜が浮かんでいた。

「……信じられん。一度も触れることすらできんとは……。お嬢さん、あんたは、本当に今日初めて剣を握ったのか?」

「はい。ですが、剣を握るのも、扇子を握るのも、本質は同じですわ」

 エララはけろりとした顔で答えた。

「対象物の重心と、それを持つ私の身体との関係性を最適化するだけですから」

 その言葉に、ギデオンは天を仰いだ。

「関係性の最適化、か……。わしが何十年もかけて追い求めてきた剣の極意を、あんたは初めから知っていたというわけだ。いやはや、恐れ入る」

 ギデオンは深く息をつくと、真剣な眼差しでエララを見つめ直した。

「あんたの才能は、わしの想像を遥かに超えている。その頭脳は、まさしく王国……いや、この大陸の宝だ」

 初めて他人から、自分の思考を『宝』だと真正面から肯定された。

 エララの胸の奥が、じわりと熱くなる。

「ですが……」

 ギデオンは言葉を続けた。

「今のままでは、宝の持ち腐れだ。あんたの身体は、まだその完璧な計算結果を、寸分の狂いもなく実行できる域には達していない」

「と、申しますと?」

 エララは問い返した。

「回避はできた。だが、反撃はできん。お前の頭脳が導き出した『最適の反撃角度』に、今のあんたの身体と、その木剣が応えられないのだ」

 確かに、とエララは思った。

 回避しながら、相手の防御が最も手薄になる座標、カウンターを入れるべき最短経路が、いくつも見えていた。

 だが、それを実行しようとすると、身体が、そして木剣が、思考の速度についてこない。

 わずかなズレが生じ、完璧な『解』とはならないのだ。

「あんたのその神がかった思考を、寸分の狂いもなく体現する『器』が必要だ」

 ギデオンは、カシアンの方をちらりと見た。

「軽くて、硬くて、そして何より、持ち主の意志を寸分違わず切っ先に伝える、完璧な均衡を持った剣がな」

 その言葉に、カシアンは静かに一歩前に出た。

 彼の瞳には、先ほどの驚きとは違う、確かな決意の光が宿っていた。

「……心当たりがある」

 カシアンは、エララに向かって、静かに、しかし力強く告げた。

「このフェイラン領には、頑固者だが王国一の腕を持つ鍛冶師がいる。そして、彼の領地でしか採れない、幻の金属も」

 エララの灰色の瞳が、わずかに見開かれる。

 自分の思考を形にするための、器。

 それは、彼女の知性がこの物理世界で真の力を持つための、最後にして最大の変数だった。

 空には、傾き始めた日の光が、木々の間から美しい幾何学模様を描き出していた。

 エララは、自分の人生という難解な方程式に、新たな項が加えられたのを感じていた。
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