しがない電気屋のおっさん、異世界で家電召喚ライフしてたら民から神格化され魔王から狙われる

長月 鳥

文字の大きさ
46 / 130

おっさんたち作戦会議す①

しおりを挟む
 放課後、俺達は教室に留まって作戦会議を開くことにした。
 「まずは全体の流れを確認しようか」
 俺は書画カメラとプロジェクターを呼び出して、教室のホワイトボードに学校から配布された資料の画像を投影させた。すると、クラスのみんなが不思議そうに集まり出す。
 こういう“何かを始める感”って、いつもワクワクするな。それをみんなで共有できる電化製品はやはり最高だ。
 
 まずは一日目フォーカスストライクか、魔力を的に当てる射撃競技。
 威力、速度、コントロールが評価基準だな。
 「競技の形式は弓道に近いな。試技は三回、同じメンバーでもいいし一回ずつメンバーを変えてもいい。選手は、決められた場所から魔法を放つ。距離はおよそ三十メートル、的はそれぞれ固定式、移動式、幻影式があるのか」
 「一度に沢山の生徒が競技をするので隣の人との距離が近くて集中力を保つのが難しかったです」
 前回これに参加したスイランが経験談を話してくれた。
 固定式と移動式はなんとなく分かるが、幻影式ってなんだろう──って悩んでるとステラが説明してくれた。

 「最初の的は固定式。大きさは直径一メートルの円形ターゲット。これは精度と威力を測るためのものです」
 「二つ目は移動式。宙に浮いて左右にスライドする的で、命中精度とタイミングの見極めが問われる」
 「三つ目は魔導結界で構成された幻影的。視覚を惑わせる仕掛け付きで、精神集中と魔力の純度が求められる」
 「それぞれの試技には時間制限があり、構えから発射までの所作にも点数が付けられます。打ち出す魔法は魔力が込められているのならなんでもいいそうです」
 なるほど、それなら俺の家電が魔道具として通用しているのなら、照度のバカ高いLEDライトでもいいってことなんじゃないか? 光速に勝てるものなんてこの世界にも無いだろうな……って、自信満々で実演して参加表明したら──
 「あなたの魔道具から発せられた光には魔法痕が存在しません、それでは失格になってしまいます」と、ステラに言われた。
 さすがにチート過ぎたか。

 とりあえず一日目の参加者は、経験者のスイラン、炎魔法が得意なトレス、どこから湧いてくるのか自信満々な姫様に決まった。

 「次は二日目のマナ・ブロウってやつだな。肉体強化系の接近戦。魔力で筋力や反射を上げて戦うトーナメント形式の模擬試合だ」
 「これはにゃーが行くにゃ!」 
 ライミが拳を突き上げた。
 「異議なし。というか、むしろお願いしたい」
 俺も自信がないわけではないけど、参加者は一名だけだし譲るとしよう。 
 全員一致で二日目はライミに決まった。

 「三日目のシールド・クラッシャーはペア戦だな。片方が結界を張って標的となるフラッグを守り、もう片方が攻撃して相手の結界内のフラッグを破壊する」
 旗取りゲームの内容か、参加できる人数が二人だから攻撃と防御に回るだけの単純な競技に感じるけど、魔法が絡むとそうもいかないだろうな。

 「防御しているだけでいいなら私、やります……結界魔法は研究していますので……」
 ステラが挙手した。観察眼と戦略思考が活きる役割だから合っているかもしれない。
 それにしても、ステラが自分から手を挙げるなんて意外だな。

 「はいっ、にゃーが攻撃するにゃ!」
 ライミがマナ・ブロウの時のように勢いよく手を挙げた。やっぱり戦うの好きなんじゃん。
 「最近、魔力制御も鍛えてるんだ。爆破系なら、ちょっと自信あるぜ」
 トレスも肩を回しながら言った。

 「ちなみに、この競技の舞台は半球状の競技フィールド。中央を境にチームが分かれ、それぞれの守備側が結界を構築し、攻撃側が魔法で破壊を試みる」
 「制限時間は五分。防御側の結界は、魔力と構造の強度、持続性が評価される。一方、攻撃側は威力、持続的な破壊力、戦術的なアプローチがポイントになる」
 「力任せの攻撃では、魔法結界には通じにくいんです。むしろ、結界の構造を読んで、魔力の流れを見極めないと」
 スイランが静かに補足する。

 「にゃ? じゃあ、にゃーの拳じゃダメにゃ?」
 ライミは振り上げた拳をそっと下した。
 「もちろん破壊力は必要だけど、それだけじゃ崩しきれない可能性が高い。結界って、だいたい“弱点”があるんだ」
 「じゃあ俺も炎魔法しか使えないから対策されたら終わりだな」
 スイランの指摘に、トレスも躊躇する。なかなか奥が深い競技だな。

 「ジュダくん。君の得意な魔法って何かしら?」
 姫様がふとジュダに視線を向ける。
 「僕は……氷の魔法です。凍結させることで結界の魔力の流れを鈍らせたり、ひびを入れたりできるかもしれません」
 ジュダくんの得意魔法は氷か、なんか合ってるな。これからは氷の美少年とでも呼ぼうか。
 「氷の魔法なんて珍しいですね、半魔の方が得意って聞きますけど……」
 姫様は眉を顰めて、ジュダくんを見た。そういえば氷を使う生徒は見たことないな。

 「そうですか? 俺の故郷では一般的な魔法ですよ」
 「まぁよろしいですわ。構造を凍結で脆くしてから魔法を打ち込むというのも、有効かもしれませんわね」
 「でも、氷だけじゃ足りないかもな……」
 スイランが慎重に言った。
 「炎魔法の威力は際限がないけど、氷魔法は上限が決まっていますからね、対策されるとやはり脆いかもしれません」
 炎も氷もダメか……。

 「となると、電次郎さんの出番かもしれませんね」
 ステラがぽつりと呟いた。
 「え、俺?」
 「電力って、魔力の流れを“乱す”性質があるように見えるんです。もしかしたら結界の内部構造に直接干渉できる可能性があるかもしれません……」
 「……マジか」
 でも、不確定な要素が有効かっちゃ有効かもしれない──
 「じゃあ、頑張ってみるわ」
 やるからには全力だ。本番までに使えそうな家電をピックアップしておこう。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

神様転生~うどんを食べてスローライフをしつつ、領地を豊かにしようとする話、の筈だったのですけれど~

於田縫紀
ファンタジー
大西彩花(香川県出身、享年29歳、独身)は転生直後、維持神を名乗る存在から、いきなり土地神を命じられた。目の前は砂浜と海。反対側は枯れたような色の草原と、所々にぽつんと高い山、そしてずっと向こうにも山。神の権能『全知』によると、この地を豊かにして人や動物を呼び込まなければ、私という土地神は消えてしまうらしい。  現状は乾燥の為、樹木も生えない状態で、あるのは草原と小動物位。私の土地神としての挑戦が、今始まる!  の前に、まずは衣食住を何とかしないと。衣はどうにでもなるらしいから、まずは食、次に住を。食べ物と言うと、やっぱり元うどん県人としては…… (カクヨムと小説家になろうにも、投稿しています) (イラストにあるピンクの化物? が何かは、お話が進めば、そのうち……)

異世界ほのぼの牧場生活〜女神の加護でスローライフ始めました〜』

チャチャ
ファンタジー
ブラック企業で心も体もすり減らしていた青年・悠翔(はると)。 日々の疲れを癒してくれていたのは、幼い頃から大好きだったゲーム『ほのぼの牧場ライフ』だけだった。 両親を早くに亡くし、年の離れた妹・ひなのを守りながら、限界寸前の生活を続けていたある日―― 「目を覚ますと、そこは……ゲームの中そっくりの世界だった!?」 女神様いわく、「疲れ果てたあなたに、癒しの世界を贈ります」とのこと。 目の前には、自分がかつて何百時間も遊んだ“あの牧場”が広がっていた。 作物を育て、動物たちと暮らし、時には村人の悩みを解決しながら、のんびりと過ごす毎日。 けれどもこの世界には、ゲームにはなかった“出会い”があった。 ――獣人の少女、恥ずかしがり屋の魔法使い、村の頼れるお姉さん。 誰かと心を通わせるたびに、はるとの日常は少しずつ色づいていく。 そして、残された妹・ひなのにも、ある“転機”が訪れようとしていた……。 ほっこり、のんびり、時々ドキドキ。 癒しと恋と成長の、異世界牧場スローライフ、始まります!

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

異世界に転生したので幸せに暮らします、多分

かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。 前世の分も幸せに暮らします! 平成30年3月26日完結しました。 番外編、書くかもです。 5月9日、番外編追加しました。 小説家になろう様でも公開してます。 エブリスタ様でも公開してます。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

処理中です...