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おっさんたち作戦会議す①
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放課後、俺達は教室に留まって作戦会議を開くことにした。
「まずは全体の流れを確認しようか」
俺は書画カメラとプロジェクターを呼び出して、教室のホワイトボードに学校から配布された資料の画像を投影させた。すると、クラスのみんなが不思議そうに集まり出す。
こういう“何かを始める感”って、いつもワクワクするな。それをみんなで共有できる電化製品はやはり最高だ。
まずは一日目フォーカスストライクか、魔力を的に当てる射撃競技。
威力、速度、コントロールが評価基準だな。
「競技の形式は弓道に近いな。試技は三回、同じメンバーでもいいし一回ずつメンバーを変えてもいい。選手は、決められた場所から魔法を放つ。距離はおよそ三十メートル、的はそれぞれ固定式、移動式、幻影式があるのか」
「一度に沢山の生徒が競技をするので隣の人との距離が近くて集中力を保つのが難しかったです」
前回これに参加したスイランが経験談を話してくれた。
固定式と移動式はなんとなく分かるが、幻影式ってなんだろう──って悩んでるとステラが説明してくれた。
「最初の的は固定式。大きさは直径一メートルの円形ターゲット。これは精度と威力を測るためのものです」
「二つ目は移動式。宙に浮いて左右にスライドする的で、命中精度とタイミングの見極めが問われる」
「三つ目は魔導結界で構成された幻影的。視覚を惑わせる仕掛け付きで、精神集中と魔力の純度が求められる」
「それぞれの試技には時間制限があり、構えから発射までの所作にも点数が付けられます。打ち出す魔法は魔力が込められているのならなんでもいいそうです」
なるほど、それなら俺の家電が魔道具として通用しているのなら、照度のバカ高いLEDライトでもいいってことなんじゃないか? 光速に勝てるものなんてこの世界にも無いだろうな……って、自信満々で実演して参加表明したら──
「あなたの魔道具から発せられた光には魔法痕が存在しません、それでは失格になってしまいます」と、ステラに言われた。
さすがにチート過ぎたか。
とりあえず一日目の参加者は、経験者のスイラン、炎魔法が得意なトレス、どこから湧いてくるのか自信満々な姫様に決まった。
「次は二日目のマナ・ブロウってやつだな。肉体強化系の接近戦。魔力で筋力や反射を上げて戦うトーナメント形式の模擬試合だ」
「これはにゃーが行くにゃ!」
ライミが拳を突き上げた。
「異議なし。というか、むしろお願いしたい」
俺も自信がないわけではないけど、参加者は一名だけだし譲るとしよう。
全員一致で二日目はライミに決まった。
「三日目のシールド・クラッシャーはペア戦だな。片方が結界を張って標的となるフラッグを守り、もう片方が攻撃して相手の結界内のフラッグを破壊する」
旗取りゲームの内容か、参加できる人数が二人だから攻撃と防御に回るだけの単純な競技に感じるけど、魔法が絡むとそうもいかないだろうな。
「防御しているだけでいいなら私、やります……結界魔法は研究していますので……」
ステラが挙手した。観察眼と戦略思考が活きる役割だから合っているかもしれない。
それにしても、ステラが自分から手を挙げるなんて意外だな。
「はいっ、にゃーが攻撃するにゃ!」
ライミがマナ・ブロウの時のように勢いよく手を挙げた。やっぱり戦うの好きなんじゃん。
「最近、魔力制御も鍛えてるんだ。爆破系なら、ちょっと自信あるぜ」
トレスも肩を回しながら言った。
「ちなみに、この競技の舞台は半球状の競技フィールド。中央を境にチームが分かれ、それぞれの守備側が結界を構築し、攻撃側が魔法で破壊を試みる」
「制限時間は五分。防御側の結界は、魔力と構造の強度、持続性が評価される。一方、攻撃側は威力、持続的な破壊力、戦術的なアプローチがポイントになる」
「力任せの攻撃では、魔法結界には通じにくいんです。むしろ、結界の構造を読んで、魔力の流れを見極めないと」
スイランが静かに補足する。
「にゃ? じゃあ、にゃーの拳じゃダメにゃ?」
ライミは振り上げた拳をそっと下した。
「もちろん破壊力は必要だけど、それだけじゃ崩しきれない可能性が高い。結界って、だいたい“弱点”があるんだ」
「じゃあ俺も炎魔法しか使えないから対策されたら終わりだな」
スイランの指摘に、トレスも躊躇する。なかなか奥が深い競技だな。
「ジュダくん。君の得意な魔法って何かしら?」
姫様がふとジュダに視線を向ける。
「僕は……氷の魔法です。凍結させることで結界の魔力の流れを鈍らせたり、ひびを入れたりできるかもしれません」
ジュダくんの得意魔法は氷か、なんか合ってるな。これからは氷の美少年とでも呼ぼうか。
「氷の魔法なんて珍しいですね、半魔の方が得意って聞きますけど……」
姫様は眉を顰めて、ジュダくんを見た。そういえば氷を使う生徒は見たことないな。
「そうですか? 俺の故郷では一般的な魔法ですよ」
「まぁよろしいですわ。構造を凍結で脆くしてから魔法を打ち込むというのも、有効かもしれませんわね」
「でも、氷だけじゃ足りないかもな……」
スイランが慎重に言った。
「炎魔法の威力は際限がないけど、氷魔法は上限が決まっていますからね、対策されるとやはり脆いかもしれません」
炎も氷もダメか……。
「となると、電次郎さんの出番かもしれませんね」
ステラがぽつりと呟いた。
「え、俺?」
「電力って、魔力の流れを“乱す”性質があるように見えるんです。もしかしたら結界の内部構造に直接干渉できる可能性があるかもしれません……」
「……マジか」
でも、不確定な要素が有効かっちゃ有効かもしれない──
「じゃあ、頑張ってみるわ」
やるからには全力だ。本番までに使えそうな家電をピックアップしておこう。
「まずは全体の流れを確認しようか」
俺は書画カメラとプロジェクターを呼び出して、教室のホワイトボードに学校から配布された資料の画像を投影させた。すると、クラスのみんなが不思議そうに集まり出す。
こういう“何かを始める感”って、いつもワクワクするな。それをみんなで共有できる電化製品はやはり最高だ。
まずは一日目フォーカスストライクか、魔力を的に当てる射撃競技。
威力、速度、コントロールが評価基準だな。
「競技の形式は弓道に近いな。試技は三回、同じメンバーでもいいし一回ずつメンバーを変えてもいい。選手は、決められた場所から魔法を放つ。距離はおよそ三十メートル、的はそれぞれ固定式、移動式、幻影式があるのか」
「一度に沢山の生徒が競技をするので隣の人との距離が近くて集中力を保つのが難しかったです」
前回これに参加したスイランが経験談を話してくれた。
固定式と移動式はなんとなく分かるが、幻影式ってなんだろう──って悩んでるとステラが説明してくれた。
「最初の的は固定式。大きさは直径一メートルの円形ターゲット。これは精度と威力を測るためのものです」
「二つ目は移動式。宙に浮いて左右にスライドする的で、命中精度とタイミングの見極めが問われる」
「三つ目は魔導結界で構成された幻影的。視覚を惑わせる仕掛け付きで、精神集中と魔力の純度が求められる」
「それぞれの試技には時間制限があり、構えから発射までの所作にも点数が付けられます。打ち出す魔法は魔力が込められているのならなんでもいいそうです」
なるほど、それなら俺の家電が魔道具として通用しているのなら、照度のバカ高いLEDライトでもいいってことなんじゃないか? 光速に勝てるものなんてこの世界にも無いだろうな……って、自信満々で実演して参加表明したら──
「あなたの魔道具から発せられた光には魔法痕が存在しません、それでは失格になってしまいます」と、ステラに言われた。
さすがにチート過ぎたか。
とりあえず一日目の参加者は、経験者のスイラン、炎魔法が得意なトレス、どこから湧いてくるのか自信満々な姫様に決まった。
「次は二日目のマナ・ブロウってやつだな。肉体強化系の接近戦。魔力で筋力や反射を上げて戦うトーナメント形式の模擬試合だ」
「これはにゃーが行くにゃ!」
ライミが拳を突き上げた。
「異議なし。というか、むしろお願いしたい」
俺も自信がないわけではないけど、参加者は一名だけだし譲るとしよう。
全員一致で二日目はライミに決まった。
「三日目のシールド・クラッシャーはペア戦だな。片方が結界を張って標的となるフラッグを守り、もう片方が攻撃して相手の結界内のフラッグを破壊する」
旗取りゲームの内容か、参加できる人数が二人だから攻撃と防御に回るだけの単純な競技に感じるけど、魔法が絡むとそうもいかないだろうな。
「防御しているだけでいいなら私、やります……結界魔法は研究していますので……」
ステラが挙手した。観察眼と戦略思考が活きる役割だから合っているかもしれない。
それにしても、ステラが自分から手を挙げるなんて意外だな。
「はいっ、にゃーが攻撃するにゃ!」
ライミがマナ・ブロウの時のように勢いよく手を挙げた。やっぱり戦うの好きなんじゃん。
「最近、魔力制御も鍛えてるんだ。爆破系なら、ちょっと自信あるぜ」
トレスも肩を回しながら言った。
「ちなみに、この競技の舞台は半球状の競技フィールド。中央を境にチームが分かれ、それぞれの守備側が結界を構築し、攻撃側が魔法で破壊を試みる」
「制限時間は五分。防御側の結界は、魔力と構造の強度、持続性が評価される。一方、攻撃側は威力、持続的な破壊力、戦術的なアプローチがポイントになる」
「力任せの攻撃では、魔法結界には通じにくいんです。むしろ、結界の構造を読んで、魔力の流れを見極めないと」
スイランが静かに補足する。
「にゃ? じゃあ、にゃーの拳じゃダメにゃ?」
ライミは振り上げた拳をそっと下した。
「もちろん破壊力は必要だけど、それだけじゃ崩しきれない可能性が高い。結界って、だいたい“弱点”があるんだ」
「じゃあ俺も炎魔法しか使えないから対策されたら終わりだな」
スイランの指摘に、トレスも躊躇する。なかなか奥が深い競技だな。
「ジュダくん。君の得意な魔法って何かしら?」
姫様がふとジュダに視線を向ける。
「僕は……氷の魔法です。凍結させることで結界の魔力の流れを鈍らせたり、ひびを入れたりできるかもしれません」
ジュダくんの得意魔法は氷か、なんか合ってるな。これからは氷の美少年とでも呼ぼうか。
「氷の魔法なんて珍しいですね、半魔の方が得意って聞きますけど……」
姫様は眉を顰めて、ジュダくんを見た。そういえば氷を使う生徒は見たことないな。
「そうですか? 俺の故郷では一般的な魔法ですよ」
「まぁよろしいですわ。構造を凍結で脆くしてから魔法を打ち込むというのも、有効かもしれませんわね」
「でも、氷だけじゃ足りないかもな……」
スイランが慎重に言った。
「炎魔法の威力は際限がないけど、氷魔法は上限が決まっていますからね、対策されるとやはり脆いかもしれません」
炎も氷もダメか……。
「となると、電次郎さんの出番かもしれませんね」
ステラがぽつりと呟いた。
「え、俺?」
「電力って、魔力の流れを“乱す”性質があるように見えるんです。もしかしたら結界の内部構造に直接干渉できる可能性があるかもしれません……」
「……マジか」
でも、不確定な要素が有効かっちゃ有効かもしれない──
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やるからには全力だ。本番までに使えそうな家電をピックアップしておこう。
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