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第十話 編入
しおりを挟む前までなら憂鬱だった通学路は今日からは憂鬱ではない。
何故なら、私の隣には私と同じ高校の制服に身を包んだラナがいるからだ。
私はいつもの通学路をラナと話しながら歩いていると高校に到着する。
高校に到着した私はラナを職員室まで送り届け、私は自分のクラスに戻る。
自分のクラスの中に入ると話し声が止んだ。
そう言えばそうだったな。
私は学校で嫌われていたな。
それを思い出した納得した私は黙って自分の席に向かい、その席に座る。
そのまま席に座りながら担任の先生がくるまで待っていたのだ。
外を見ながら待っていると、チャイムが鳴り響く。
チャイムが鳴ると担任がやって来る。
入ってきた担任が朝のホームルームを終えると、教室の廊下側の方を向いたのだ。
「今日から転入生がやってくる。入ってきてくれ」
すると、教室のドアが開く。
この高校の制服に身を包み、水色の髪を肩まで伸ばし、美しい青色の瞳をした美少女が入ってきたのだ。
クラスの中の男子達はそんなラナに見惚れていたのだ。
「えっと、初めまして。僕はラナ・シーアナ。イギリスからやって来た留学生だよ」
「それじゃあ、質問がある生徒は手を挙げろ」
クラスの殆どが手を挙げていたのだ。
特にクラスの男子の勢いは凄かったな。
先生はある1人の男子生徒を指したのだ。
「イギリス人なのに、なんでそんなに日本語が上手なのですか?」
「教えて貰ったんだ。日本人に」
「日本人?」
「うん。ゲームで出会った日本人に。ね、樹」
そう言い、ラナは私の方を向いて、微笑んだ。
微笑んでくれたのはいいが、視線が私に集まってしまう。
私の予想通り、クラス中の視線が私に集まる。
それは担任の先生もだったな。
堪らず、担任の先生がラナに質問してしまったのだ。
「シーアナさんは山木君とはどんな関係なのだ?」
「うん?僕と樹は婚約関係だよ」
ラナはいい笑顔でそう言い切ったのだ。
その言葉で、クラスは阿鼻叫喚となってしまう。
私は思わず、席から立ち上がってしまったのだ。
「ラ、ラナ。それはあまり言わない方が」
「えっ。だって、樹のお母さんには許可を貰ったから何も問題無いよね?」
「確かに何も問題無いが」
ラナの正論に私は反論が出来ない。
ブリキのおもちゃのように首を動かした担任が私の方を向いてくる。
「山木君。シーアナさんが言っていたことは本当なのか?」
「あ、はい、間違い無く事実です。母親にも既に紹介しています。ラナがこの高校に編入してきたのも日本に住むためですから」
「そして、今は樹の家で暮らしているよ。毎日がとても楽しいよ」
そう言い、ラナは笑顔を浮かべていたのだ。
クラスメイト達は唖然としている。
それもそうだろう。
学校の嫌われ者の婚約者が外国人の美少女なのだから。
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