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第十三話 初デート
しおりを挟む「樹、ラナちゃん。はい、これ」
そう言い、母さんは私とラナに何かのチケットを渡してくる。
そのチケットを見てみると、ここから1時間ぐらいの距離にある遊園地の前売り券だったのだ。
日にちは今週の日曜日か。
「母さん。この遊園地のチケットは?」
「私が買ったのよ。ラナちゃんとのデート用に」
「デ、デート」
ラナは顔を少し赤くして恥ずかしがっている。
「樹。ラナちゃんとの初デート、頑張るのよ」
母さんは両手を握っている。
「分かったよ、母さん。ラナとの初デート、必ず成功させるよ」
その日から私はラナとの初デートに備えて準備を始める。
準備は無事に終わり、当日を迎えたが、あいにくの雨だったのだ。
「今日は雨だから、遊園地は無理そうだわ」
「雨なら仕方ないか」
ラナは残念そうな表情を浮かべていたる。
このまま遊園地を諦めるようかと思ったが、ラナが残念そうな表情を浮かべるなら話は違う。
私は母さんとラナに適当な言い訳をし、雨が降っている外に出る。
雨が降る中で正拳突きの構えを取る。
そして、上に向かった至った正拳突きを放つ。
すると、空を包んでいた雨雲が掻き消え、空に青空が広がったのだ。
よし、これならいけるな。
私は何気ない表情を浮かべながら家に戻り、晴れたことを母さんとラナに伝えたのだ。
それを聞いた2人は驚いた表情を浮かべていたが、晴れた空を見て、更に驚いた表情を浮かべていたな。
ラナは母さんにバレないようにするために耳打ちしてくる。
「樹。何かしたの?」
「ああ。ラナが残念そうな表情を浮かべていたから、至った正拳突きで雨雲を掻き消したよ」
「ぼ、僕の為に雨雲を掻き消したの?」
「ああ、そうだ。折角のラナとの初デートだからな」
「う、嬉しいけど、な、なんか恥しいな」
ラナは恥ずかしいのか顔を少し赤くする。
「あれ?ラナちゃん。顔が赤いけど大丈夫なの?」
「だ、大丈夫だよ。少しだけ熱いだけ」
その後、私とラナは朝食を食べた後、着替えてから駅に向かう。
駅に到着したら、電車に乗って遊園地に向かう。
遊園地に到着したら、母さんから貰ったチケットで遊園地の中に入る。
遊園地に入場した私はラナの手にそれぞれの指を絡ませ、ラナの手を握る。
俗に言う恋人繋ぎだ。
「い、樹。この手の繋ぎ方は?本の中でも見たことがないよ」
「これは恋人繋ぎと呼ばれている手の繋ぎ方だよ。私とラナは恋人同士だから」
「た、確かにそうだけど、こ、恋人繋ぎ、中々恥ずかしいね」
そう言いながらもラナは少し顔を赤くしながらも微笑んでくれる。
その後、私達は遊園地を楽しむ。
ラナは本当に楽しそうに私と遊園地で過ごしてくれる。
楽しい時間はすぐに過ぎていく。
あっと言う間に閉園に時間になったのだ。
夜になり、閉園を伝える蛍の光が流れている。
「そろそろ帰ろうか、ラナ」
ラナは返事をせずに私から手を離し、私よりも少し前に歩いた。
「まだ帰りたくないと思うけど、閉園の時間だから仕方ないね」
ラナは両手を後ろに手を組み、私の方を向いてきた。
「でも、まだ帰りたく無いと思うんだ。樹はどう?」
「私もまだ帰りたく無いと思っているよ」
「僕と同じだね。また来ようね、樹」
ラナは笑顔を浮かべている。
その笑顔はとても幸せそうだ。
私はその笑顔に見惚れてしまい、ああとしか呟くことしか出来なかったのだ。
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