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第四十一話 陰陽師
しおりを挟む美少女、いや、詩花の記憶が戻ったので山から下山する。
山から下山した私達はリーヴの家に向かって歩き始める。
ちなみに、白い狐は私達の後ろについてきている。
それにしても白狐か。
確か、白狐は色んな神社とかで信仰の対象になっていたな。
有名なのは稲荷神社とかか。
白狐は善狐で様々な幸運をもたらすとか伝わっているはずだ。
そんなことを考えているとリーヴの家に到着したのだ。
リーヴの家に到着したら、緑茶を淹れてから私達はリビングにある椅子に座る。
後ろからついてきていた白狐は詩花の膝の上に座っている。
座ると詩花が話し始める。
「わたくしを逃してくれた方はどうなりましたか?」
「私に貴方を託して、息を引き取った。直ぐに向かったが、死体は既に無かった」
「そうですか」
詩花は悲しそうな表情を浮かべたが、直ぐにキリッとした表情を浮かべる。
「わたくしには1つ、いえ、2つの幸運がありました」
「2つの幸運?」
「はい、樹様。1つ目の幸運は樹様達に託されたことです。そして、2つの幸運はこの子がわたくしの元にやってきてくれたことです」
そう言いながら、詩花は膝の上に優しく撫でている。
優しく撫でられた白狐は嬉しそうに鳴く。
「どういうことだ?」
「この子はわたくしが唯一契約している妖怪の白狐で、わたくしの右手に触れてくれたお陰で記憶を取り戻すことができました」
「妖怪?」
「あ、失礼いたしました。大事なことを言っておりませんでした。実はわたくし、陰陽師で御座います」
お、陰陽師だと。
やっぱり、私の予想はあっていたか。
またファンタジーに巻き込まれたな。
それに安倍ということは最強の陰陽師と現代に伝わっている安倍清明の血縁者の可能性が高い。
「もしかして、詩花は安倍清明の血縁者か?」
「はい、そうで御座います」
どうやら、本当のことらしい。
まさか、千年以上前の陰陽師の血縁者に会えるとは。
まぁ、この凄さは異世界人のラナとノルウェー人のリーヴには分からないだろう。
2人の方をちらり見るとラナは驚いた表情を浮かべ、リーヴは不思議な表情を浮かべていたのだ。
うん?
なんで、ラナは。
あ、そうか。
ラナは本で知ったから驚いているのか。
私は2人に陰陽師と安倍清明について説明する。
全てを説明し終えると詩花が私の方を向き、真剣な表情を浮かべていることに気が付く。
私が気が付いたことを確認してから、詩花は頭を深々下げたのだ。
「樹様。どうか、わたくしに協力して下さいませ」
「頼まならなくても私は協力するつもりだ。あの者に任せたからな」
詩花は少し驚いた表情を浮かべながら、頭を上げる。
「あの方にですか?」
「ああ、あの者には命を賭けて最後の願いをされたからな。それに」
「それに?」
「リーヴの時もそうだったが、目の前で困っている女性を見捨てる程、私は薄情な男ではない」
ラナは嬉しそうに笑顔を浮かべ、詩花は安堵の表情を浮かべている。
だが、リーヴだけは顔を真っ赤にしていた。
リーヴは顔を真っ赤にしているんだ?
そんなことを思っているとラナからジト目を向けられ、詩花からは呆れた視線を向けられてしまう。
「樹って、意外とこうゆうことは疎いよね」
「樹様。女性の気持ちを考えて下さいませ」
う、うん?
私、何かしたか?
私はただ当たり前のことを言っただけだが?
微妙な空気になってしまう。
その微妙な空気を掻き消したのは詩花だ。
「樹様。お電話を貸して下さいませんか?」
ロックを解除したスマホを詩花に渡す。
私からスマホを受け取った詩花は何処かに電話し始める。
話し終えると詩花は私にスマホを返してくれる。
電話が終わってから10分後ぐらいにチャイムが鳴る。
チャイムが鳴ったので玄関に向かうとすると、何故か詩花もついてくる。
そのことを不思議に思いながら、来客に対応するためにドアを開ける。
ドアを開けた私は驚いて固まってしまう。
家の外に警察官がいたからだ。
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