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第四十七話 解消
しおりを挟むいつもの家なのに入るのを躊躇してしまう。
ラナにリーヴと詩花のことを話さないと思うと。
だが、ここにいても時間を消費するだけだ。
深呼吸をして、心を落ち着かせてからいつものように鍵を開けて、家の中に入る。
玄関で靴を脱いで、リビングに向かっているとテレビの音が聞こえてくる。
リビングに到着するとラナがリビングのソファーに座って、ニュース番組を見ていたのだ。
ニュース番組を見ていたラナは私に気が付き、私の方に視線を向けてくる。
「あ、おかえり、樹」
ラナはいつもと変わらない表情で私のことを出迎えてくれた。
「ラナ。母さんは?」
「うん?お義母さんは美容室に行くとか言っていたよ。後1時間ぐらいは帰って来ないと思うよ」
母さんがいないか。
なら、今話すべきだ。
「ラナ。少し話したいことがあるから、時間いいか?」
「うん、いいよ」
ラナはテレビの電源をリモコンで消し、私の方に向いてくれる。
私はラナの隣に座り、リーヴと詩花との重婚のことを話した。
全てを話し終えるとラナは直ぐに口を開く。
「いいと思うよ」
ラナの返答は軽いものだ。
「ラ、ラナ?私はこの現代日本で重婚することになるんだ。一夫一妻が殆どになったこの世界で」
ラナは不思議そうな表情を浮かべていたが、何かを思い出したような表情を浮かべる。
「あ、そっか。樹は知らないだっけ。僕が元々いた世界は普通に重婚が出来るよ。だから、特に気にならないよ。なんなら、僕は嬉しいよ」
「なんで嬉しいんだ?」
「だって、僕の好きな人が複数の女性から好かれているんだよ。それは樹がとてもいい男性という証拠にもなるんだよ」
そっか。
ラナは一夫多妻が普通の異世界からやってきたんだ。
だから、普通に受け入れたのか。
「それとも樹はリーヴと詩花のことが嫌いなの?」
「いや、嫌いではないが。常識とラナを裏切ってしまうのではないかと思っていただけだ」
「それなら、2人を受け入れてもいいんじゃない?」
「そうだな、ラナ。女性から素直に好意を伝えられたんだ。男として受け入れないとな」
私の返答を聞いたラナは満足そうな表情を浮かべていたのだ。
解消したが、3人の美少女が私の婚約者になるのか。
それに、1人はまだ10歳の少女だ。
そんなことを考えているとラナの声が聞こえてくる。
「そう言えば、このことはお義母さんには話すの?」
「いや、話さない」
「えっ。なんで?」
「多分母さんのことだ。これまでのファンタジーは信じてくれると思うが、余計な心配を掛けたくない。同じ理由で楓にも話さない」
「分かったよ。樹がそう決めたなら、僕は反対しないよ」
話し終えると玄関から鍵が開く音が聞こえてくる。
どうやら、母さんが帰ってきたみたいだ。
私とラナは席から立ち上がって、玄関に向かう。
いつもの夜を過した後、私は自室に戻る。
自室に戻った私はベッドの上に座り、スマホをポケットから取り出す。
私は深呼吸してから、リーヴと詩花にメッセージを送る。
返事をしたいから明日会わないかと。
直ぐに返事は帰ってくる。
はいと。
その後、待ち合わせ場所と時間を決めてからスマホを充電器にさす。
スマホを充電した私はベッドに寝転がり、上に向かって右手を上げ、拳を握っる。
明日は私にとって大事な日になるだろう。
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