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第五十八話 宣戦布告
しおりを挟む春休みが終わってから1ヶ月が経つ。
私は高校2年生に上がり、今も高校に通っている。
私はいつもの通学路をラナと一緒に歩き、高校に向かっている。
ラナと一緒に通学路を歩いていると三叉路に差し掛かった時に聞き覚えがある声が聞こえてくる。
この声は。
私とラナの視線は自然と声がする方に向けられる。
少しすると、高校の制服に身を包んだリーヴと楓が三叉路にやってきた。
リーヴと楓は1歳年下なので今は高校1年生だ。
「あ、おはよう。お兄ちゃん、ラナお姉ちゃん」
「おはよう御座います。樹さん、ラナさん」
リーヴと楓が挨拶をしてくれる。
私達は挨拶を返し、一緒に高校に向かう。
高校に到着したら、昇降口で別れる。
リーヴと楓と別れた私達は自分のクラスに向かったのだ。
クラスに到着したらまたいつもの日常が始まる。
午前中の授業を受け、昼休みなったらラナかリーヴと楓の三人かで食べる。
今日はラナと二人で昼食を食べている。
昼食を食べたら、午後の授業を受ける。
学校が終わったら、ラナとリーヴと楓と一緒に下校する。
一緒に帰るのはリーヴと楓を送り届けるためだ。
リーヴを家まで送り届けたら、ラナと楓に一緒に家に帰る。
1週間に3回は楓は家に泊まるので、一緒の家に帰るのだ。
ちなみに楓が家に泊まらない日は元父親と一緒に住んでいる家まで送り届けている。
その家はリーヴの家の近くにあるので、リーヴを送り届けた後に楓をその家に送り届ける。
家に帰った私達はいつものように過ごし、あっという間に夜になってしまう。
寝る時間までは母さんとラナと楓と過ごし、寝る時間になったら各々部屋に戻る。
部屋に戻り、明日の準備を終えた私はベッドに寝転がる。
明日も学校なので寝ようと思ったが、直ぐには寝れなかったのだ。
あれからちょうど1年が経ったのだから。
私はベッドから起き上がり、窓を開ける。
開けた窓からは冷たい夜風が部屋の中に入ってきて、少しだけの寒さを感じる。
私は窓枠に両腕をつき、空に浮かぶ月を見上げる。
異世界に召喚され、千年間正拳突きを修行し続け、ラナという婚約者を出来てから異世界から帰還したあの日だ。
あの日から私はファンタジーに巻き込まれていった。
この現代社会で。
だが、あのファンタジーな日々は無駄では無かったな。
様々な者に出会えたからだ。
英雄達に戦友に。
そして、大切な婚約者達に。
リーヴに詩花に。
私は夜空に向かって右手を伸ばす。
そのまま右手を握り潰す。
月を握り潰すように。
そろそろ寝ようと思い、窓を閉めようとすると何かが空に浮かんでいたのだ。
それは映像だった。
私は窓を閉めるのをやめ、視線をその映像に集中する。
その映像に映り出されていたのは全身黒ずくめの格好をした者だった。
「いきなりで悪いが、宣戦布告をさせて貰う。まずは一斉蜂起だ」
その言葉と共に映像が16分割され、様々な人種の者達が映されたが、その手には銃が握られていたのだ。
一斉蜂起か。
間違い無い。
あれが、闇の武器商人。
まずは無力化だな。
私が正拳突きを放つと映し出されていた者達は銃を手から落とし、地面に倒れ込む。
映像は元に戻り、闇の武器商人が映し出されたが、慌てる様子は感じられ無かったのだ。
「やはり失敗するか。まぁ、いい。これはただの確認だからな。さて、招待するから準備してくれ。至りし者よ」
至りし者か。
多分、私のことを指しているだろう。
なら、準備するか。
私は院から貰った服装に着替えた。
この服装には仮面もついていて、顔を隠せる。
そして、この仮面にはボイスチェンジャーもついているので声からバレることもない。
その服装に着替え終わると私は光に包まれる。
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